(6) 宮城県「くりこま」の燻煙乾燥材

大丸建設が自然素材に特化した工務店として舵を切った時からお付き合いがあるのが、宮城県北部の栗駒山麓の材木です。

「くりこま材」と呼ばれる杉は、乾燥方法に特徴があります。燻煙乾燥とは、木材を低温でじっくり燻しながら乾燥することで、木材の繊維質を壊さずに強度を保ちながら、虫を寄せつけない独自の製法です。くりこまの燻煙乾燥材は、スモークのような独特の燻された香りがあり、色もほんのりとピンクがかっていて、とても個性的です。虫に強いので、構造材や水回りにも使っています。

以前、会社で、くりこまの林業ツアーをしたことがありました。山の神様に祈りを捧げてから、大樹を伐採しました。切り口から水が滲み出て、さっきまで大地から水を吸っていたことがわかりました。そんなふうに、産地とつながっているからこそ伝えられることもあると思っています。

【写真提供:株式会社くりこまくんえん】

http://www.kurikomakunen.jp/

 

(5) 栃木県産材も使っています

大丸建設では、なるべく「近場」から材木をとりたいとも考えていて、関東地方で比較的林業が盛んな栃木県からも材木を取り寄せています。紀州から運ぶよりの輸送距離が短いので、価格もおさえられます。

栃木県産材は、益子林業からとっています。

益子林業で扱うのは、八溝材といって、栃木県と茨城県と福島県の県境にある八溝山系で伐採された材木です。そのなかでも、栃木県側で産出された材を「とちぎ八溝材」と呼んで製材しているとのことです。乾燥方法として、伐採後、枝葉をつけたまま3〜5カ月山林で寝かし、丸太の内部まで含水率を下げる「葉枯らし材」を使っています。

とちぎ八溝材は関東のなかでも良材として知られています。木目がきれいで、赤身の色が美しく、強度が強いのが特徴です。

[写真提供:益子林業有限会社]

https://www.masirin.com/

(4) 森に立っているように木を使う

大丸建設では以前、山長商店の榎本会長をお招きして、家づくりセミナーを行ったことがあります。

榎本会長のお話でたいへん印象的だったのが、「木が森の中で立っているように、家を建てましょう」ということ。先月お話ししましたが、木は根っこの方を「元口」といい、空に近い方を「末口」といいます。ですので、家を建てる時にも、「元口」を土台側にして、「末口」を天井側にすることで、木が元々地面に立っていたように家を建てることができます。

木表、木裏についても、家のどこの部分に木のどの部位を使うのかで室内の表情が変わります。木目がまっすぐできれいな柾目部分は床の間など家の顔になる部分に使ったり、一方で木目が印象的な赤身部分は子ども部屋に、など、木の表情によって使う場所を変えることもできます。

[写真提供:山長商店]

https://yamacho-net.co.jp/

(3) 一貫生産のよさ

紀州(和歌山県)の杉材を一大ブランドに押し上げた山長商店は、紀伊半島の南部に約5000ヘクタールもの社有林を持ち、植林、育林、伐採、製材、乾燥、仕上げ、品質検査、選別、プレカット施工までの一貫生産で、高品質な木材をつくっています。

いい木材をつくるには、植林から育林、適度な間隔で木を植え、太陽の光を浴びられるように下草刈りや除伐、間伐をして、50〜100年生の材を見極めて、適切に伐採していく、そのプロセスが大事です。

皮むきや製材、そして木の含水率を落としてくるいを少なくすることで強度を高め、品質検査をして、強度測定を経て納得のいくものを選定して出荷します。

植林から伐採までの山仕事と、製材加工、乾燥と、業者が分かれていることも多いのですが、山長商店の場合はそれを自社一貫でおこなっているので、品質が極めて高く安心して使うことができます。

[写真提供:山長商店]

https://yamacho-net.co.jp/

(2) 紀州材の特徴

大丸建設でメインで使っている木材は、紀州(和歌山県)産の杉材です。和歌山県の山長商店から取り寄せています。山長の材は、急峻な山で立木として育ち、時に台風にさらされるなど、生育環境は過酷です。その分、木目が詰まっており、強くねばりがあるのが特徴です。

木目が詰まっているということは、木の骨格となる部分が強いため、構造材に使うのに適しています。

紀州材だから全てがいいかというと、一概にそうとは言えず、山林を管理している山長商店の長年にわたる植林や製材の技術によるところが大きいのです。

[写真提供:山長商店]

https://yamacho-net.co.jp/

 

(1) 杉にも「県民性」はある?

日本人は「県民性」に興味を持ちやすい、といいます。

たとえば、東北の人は我慢強い、群馬県人は義理人情に厚くてかかあ殿下、大阪の人は活動的でおしゃべり、熊本県人は質実剛健……。なんとなく、思い当たる節はありませんか? もちろん、すべての県民が同じ性質を有しているわけではありませんが、その土地の文化や歴史、そして気候風土などが、県民性になんらかの影響を及ぼしている可能性はありそうです。

 

木材にも「県民性」がある、と言えそうです。県民性、というよりは産地の気候風土というほうが正しいかもしれません。建築用材でいうと、杉ならば、雪国で育ったものと、温暖な風土で育ったものとでは、性質がかなり異なります。

 

(8) 適材適所を見分ける技術

このように、樹種や、樹木の部位によって、家のどの場所にどのような木材を使うのか、「適材適所」で木を配していく技術が、工務店や職人には求められます。

大丸建設では古くから、「木は、森で立っていたように使うのがいい」と伝えられてきました。材木になってしまうと、木のどちらが上で下なのか見分けがつけにくくなります。根っこの方を元口、天に向かう方を末口というのですが、元口と末口の方向性を確かめるのには、板目や節の流れ方を見るとわかります。板目が矢印のように上を向いているのが末口方面になります。

また、木には「表」と「裏」があります。板状になった時に、白身(辺材)側が木表、赤身(心材)側が木裏です。白太の方が、一般的に板目がまっすぐできれいなので、内装の表面に向くようにします。

 

 

(7) 骨のように家を支える心材、やわらかく明るい辺材

樹木には白太(辺材)と赤身(心材)があり、部位によって特徴に違いがあります。家の建て方においても、適材適所があります。

心材は成長を止め、細胞が硬く、水や空気を通しにくい性質があります。木材自体もくるいにくく、水やカビなどに強いため、柱など、家を支える部材として使われます。心材は木の骨格ともいえるため、家の骨組みになるのもなるほど道理ですね。

一方、辺材は細胞が新しくまだ成長の途上にあります。多孔質で空気や水分を含むことができるので、調湿性能があります。色が明るく、肌ざわりがやわらかいので、内装材として使うと、室内空間が心地良くなります。赤身と比較すると腐りやすくなるので、床下や水回りなど、湿気が多い空間には使いません。

 

(6) 同じスギでも赤身と白太がある

樹種によって「適材適所」は異なりますが、同じ1本の木でも、部位によっての「適材適所」もあります。

部位の特徴が際立つのがスギです。スギを輪切りにすると、丸太の中心から年輪が重なっているのがわかります。中心に近づくにつれて色は赤くなり、外側が白いことがわかります。この赤い部分を「赤身」といい、白い部分を「白太」といいます。

赤身は、年輪の中心に近い部分を指すことから「心材」とも言われます。同様に、白太は外周部に近いところにあるため「辺材」とも呼ばれます。

 

木は、肥大成長といって、中心から外側に向かって太っていくように成長していきます。外側の辺材は成長の途上にあり、細胞が新しくてやわらかいので、水や空気をたくさん含みます。一方、内側の心材は成長を止めてどんどん硬く収縮していきます。樹脂をたくわえ、水や空気を通しにくくなります。成長とともに白太が赤身になり、骨のように樹木を支えていくように役割を変えていきます。

(5) 広葉樹は主に家具などに使われる

クリ、メープル、オークなどの広葉樹。家具屋に行くとよく見かける樹種です。広葉樹は針葉樹に比べて成長がゆっくりで、時間をかけて育つため、材が緻密で重いのが特徴です。強度が高く、硬く、くるいにくいので、精密な加工が必要な家具づくりに向いています。

椅子やソファーは人の体重を支え、本棚や食器棚、テレビボードなど、重いものを置いたり収納する棚類も、十分な強度が必要です。引き出しなどは、0.1mm単位で調整をし、スムーズな開閉ができるようにします。やわらかく動きやすい針葉樹だと、緻密な設計や加工技術を要する家具には向かず、堅牢で強度のある広葉樹に部があります。