一貫生産のよさ

紀州(和歌山県)の杉材を一大ブランドに押し上げた山長商店は、紀伊半島の南部に約5000ヘクタールもの社有林を持ち、植林、育林、伐採、製材、乾燥、仕上げ、品質検査、選別、プレカット施工までの一貫生産で、高品質な木材をつくっています。

いい木材をつくるには、植林から育林、適度な間隔で木を植え、太陽の光を浴びられるように下草刈りや除伐、間伐をして、50〜100年生の材を見極めて、適切に伐採していく、そのプロセスが大事です。

皮むきや製材、そして木の含水率を落としてくるいを少なくすることで強度を高め、品質検査をして、強度測定を経て納得のいくものを選定して出荷します。

植林から伐採までの山仕事と、製材加工、乾燥と、業者が分かれていることも多いのですが、山長商店の場合はそれを自社一貫でおこなっているので、品質が極めて高く安心して使うことができます。

[写真提供:山長商店]

https://yamacho-net.co.jp/

紀州材の特徴

大丸建設でメインで使っている木材は、紀州(和歌山県)産の杉材です。和歌山県の山長商店から取り寄せています。山長の材は、急峻な山で立木として育ち、時に台風にさらされるなど、生育環境は過酷です。その分、木目が詰まっており、強くねばりがあるのが特徴です。

木目が詰まっているということは、木の骨格となる部分が強いため、構造材に使うのに適しています。

紀州材だから全てがいいかというと、一概にそうとは言えず、山林を管理している山長商店の長年にわたる植林や製材の技術によるところが大きいのです。

[写真提供:山長商店]

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杉にも「県民性」はある?

日本人は「県民性」に興味を持ちやすい、といいます。

たとえば、東北の人は我慢強い、群馬県人は義理人情に厚くてかかあ殿下、大阪の人は活動的でおしゃべり、熊本県人は質実剛健……。なんとなく、思い当たる節はありませんか? もちろん、すべての県民が同じ性質を有しているわけではありませんが、その土地の文化や歴史、そして気候風土などが、県民性になんらかの影響を及ぼしている可能性はありそうです。

 

木材にも「県民性」がある、と言えそうです。県民性、というよりは産地の気候風土というほうが正しいかもしれません。建築用材でいうと、杉ならば、雪国で育ったものと、温暖な風土で育ったものとでは、性質がかなり異なります。

 

適材適所を見分ける技術

このように、樹種や、樹木の部位によって、家のどの場所にどのような木材を使うのか、「適材適所」で木を配していく技術が、工務店や職人には求められます。

大丸建設では古くから、「木は、森で立っていたように使うのがいい」と伝えられてきました。材木になってしまうと、木のどちらが上で下なのか見分けがつけにくくなります。根っこの方を元口、天に向かう方を末口というのですが、元口と末口の方向性を確かめるのには、板目や節の流れ方を見るとわかります。板目が矢印のように上を向いているのが末口方面になります。

また、木には「表」と「裏」があります。板状になった時に、白身(辺材)側が木表、赤身(心材)側が木裏です。白太の方が、一般的に板目がまっすぐできれいなので、内装の表面に向くようにします。

 

 

骨のように家を支える心材、やわらかく明るい辺材

樹木には白太(辺材)と赤身(心材)があり、部位によって特徴に違いがあります。家の建て方においても、適材適所があります。

心材は成長を止め、細胞が硬く、水や空気を通しにくい性質があります。木材自体もくるいにくく、水やカビなどに強いため、柱など、家を支える部材として使われます。心材は木の骨格ともいえるため、家の骨組みになるのもなるほど道理ですね。

一方、辺材は細胞が新しくまだ成長の途上にあります。多孔質で空気や水分を含むことができるので、調湿性能があります。色が明るく、肌ざわりがやわらかいので、内装材として使うと、室内空間が心地良くなります。赤身と比較すると腐りやすくなるので、床下や水回りなど、湿気が多い空間には使いません。

 

同じスギでも赤身と白太がある

樹種によって「適材適所」は異なりますが、同じ1本の木でも、部位によっての「適材適所」もあります。

部位の特徴が際立つのがスギです。スギを輪切りにすると、丸太の中心から年輪が重なっているのがわかります。中心に近づくにつれて色は赤くなり、外側が白いことがわかります。この赤い部分を「赤身」といい、白い部分を「白太」といいます。

赤身は、年輪の中心に近い部分を指すことから「心材」とも言われます。同様に、白太は外周部に近いところにあるため「辺材」とも呼ばれます。

 

木は、肥大成長といって、中心から外側に向かって太っていくように成長していきます。外側の辺材は成長の途上にあり、細胞が新しくてやわらかいので、水や空気をたくさん含みます。一方、内側の心材は成長を止めてどんどん硬く収縮していきます。樹脂をたくわえ、水や空気を通しにくくなります。成長とともに白太が赤身になり、骨のように樹木を支えていくように役割を変えていきます。