気象が激化しているので、外装チェックはこまめに。

2000年代に入り、地球温暖化、気候変動の影響が顕著に現れてきています。「50年に一度の大雨」のような激しい気象現象が、毎年どこかで起こっています。雨とは、基本的に上から下に降るものですが、近年は横殴りの雨や、地面に叩きつけて下から跳ね返ってくる、巻き込むような、「下から上」の雨も見られます。

現代の工法では、このような気象の激化に対して、特に防水をしっかりおこなうなど、何かしらの対応策をほどこしています。それでも、「50年に一度」ならず、「100年に一度」レベルの気象災害も起こる時代ですから、大雨の後には水漏れなどをチェックする習慣をつくるとよいでしょう。

戸建住宅でも「修繕積立金」の用意を。

外装は必ずメンテナンスが必要なものです。外装の修理費用を月に1万円でも積み立てておけば、1年で12万円、10年で120万円くらいになります。外壁メンテナンス費用は月1万円というのが、だいたいの相場観です。

その他にも設備や内装などのリフォームが10年くらいでなんらか発生するので、「家のメンテナンスのための積み立て」は、集合住宅でなくても必要な経費と言えます。

現在は気候の激化により、気象災害も起きやすく、地震がいつ起こるかもわからないので、いくら積み立てておくのが安全とは一概には言えませんが、「住まいのメンテナンスのためにお金をためておく」ことの重要性は、お知らせしたいと思います。

 

外装メンテナンスの費用感

外装メンテナンスは、家の大きさ(外壁の面積)によって大きく変わります。

外壁から屋根までやる場合は、足場をかける費用まで考えると、外壁面積で30〜50坪くらいで想定すると、だいたい150〜250万円くらいではないかと思います。家の大きさによっても、施工業者や施工内容によっても価格は異なります。塗装だけならば2週間くらいが施工期間と考えてよういでしょう。

もともと使っている外装材や屋根材によって、施工のしやすさが変わってきます。施工期間が短いほど、費用も少なくて済みます。屋根が瓦であれば、壊れている一部分だけ直せばいいのですから。初期投資とメンテナンス費用は、ある一定期間までは反比例関係とも言えるのです。

外装メンテナンスは全体で

外装のメンテナンスを安価で仕上げるために、劣化した一部だけの塗装で済ませようとする方がいますが、それはやめる方がいいと思います。一部だけ塗装すると、見た目としても違いが出てきますが、実は「見えている部分」だけが劣化しているわけではないのです。汚れていないように見えても実は汚れていたり、劣化が見えないところで進行しているケースもあるのです。

何より、外装メンテナンスをやる際は、足場をかける手間がかかるので、その手間賃を考えると、一部だけやるよりも、全体をまとめてやる方が効率的です。

軒下のメンテナンスも必要です

近年、気候が激化して、雨は上から下に降るものだったのが、あまりに激しい雨で上から叩きつけられた雨が今度は下から上に飛び跳ねてきたり、横から打ち付けてくるような、そんな風に変わってきています。

雨風が軒裏まで風で巻き込んでしまうケースが増えてきており、軒先や軒裏の劣化が心配です。昔は軒天井も木で施工していましたが、最近では風雨対策でサイディングボードに張り替えたり、ペンキを塗り替えるメンテナンスをしています。

ペンキなどがささくれのように出ている軒先は、美観の問題もありますが、水がしみやすくなってきているサインでもあります。早めにメンテナンスをするのがおすすめです。

 

木の外壁塗装の方法

外装をメンテナンスする最大の目的は、住まいの構造材を守るためです。要は雨漏り、水染み対策です。外壁が傷むと、そこから雨風が入りやすくなり、染み込んで、構造材が劣化します。すると耐震に影響したり、壁の中がカビたり腐敗して、健康被害にもつながります。

外壁が木の場合は、しっかりと塗装をして、仕上げ材で水の対策をすることが大切です。木の外壁材が傷んだ場合は、塗装をするか、交換です。

木の塗装は、オイルステイン系の油を染み込ませる塗装か、ペンキと呼ばれる塗膜をつくるタイプの塗装の大きく2種類です。

木がしっかりしているうちはオイルステイン系の方が、木の良さをいかせるのでおすすめです。大丸建設ではかつて、木にはペンキ系の外壁塗装をおこなっていましたが、日光や風雨に当たると劣化してペンキが剥がれてきます。また、木は生きているので、湿気を吸ったり乾燥すると動き出して、それでペンキが剥がれることもあります。ステイン系の方が木の性質に寄り添ってよさそうに思います。

 

屋根のメンテナンス方法

外装メンテナンスというと、つい外壁の補修をイメージしがちですが、実は屋根のメンテナンスがすごく大切です。

瓦屋根の場合は、瓦がはずれたり、棟瓦の漆喰部分が割れていれば、メンテナンスのサインです。瓦は基本的にメンテナンスフリーですが、棟瓦の漆喰は、天井のてっぺんで最も雨風を受けやすいところでもあるため、注意してチェックするようにしましょう。

カラーベストの屋根の場合は、埃がついたり、苔が生えたりして、表面が劣化します。水洗いをしてから塗装します。ガルバリウム鋼板の屋根も、カラーベスト材同様、10年から15年で表面塗装のツヤがなくなり、塗膜をもう一度つくる必要があります。苔が生えると劣化が早くなり、割れやすくなります。そうすると屋根から水が入り天井や構造材に影響を与えます。

 

外装材のメンテナンスパターン

大丸建設で使う外装材は、高千穂の「そとん壁」がスタンダードです。そとん壁は火山灰(シラス)が主原料です。ほかにも、モルタル材を外装に吹き付けるパターンと、サイディングボードもあります。

そとん壁はメンテナンスフリーであることが売りで、汚れていれば水洗いをすればきれいになります。

モルタル吹き付けの外装材は、15年くらいで塗膜の状態が劣化してくるので、外装が水を吸い込みやすくなり、クラックが入ります。10〜15年程度で一度塗り替えをすることが必要になります。

サイディングボードの外装材の場合、やはり10〜15年で目地が硬化したり、亀裂が入るので、打ち替えをして、表面塗装をしていきます。継ぎ目をコーキングします。

外装材によってメンテナンスのやり方は異なります。初期投資に多少お金がかかっても、後々メンテナンスしやすい材料を選ぶのか、初期投資をおさえてメンテナンスにお金をかけるのか、新築の際にじっくり検討されるとよいでしょう。