住みながらリフォームは最大1カ月が限界

 中規模リフォームの場合、予算が限られているため、どうしても「住みながら」になります。引っ越しの費用、敷金や礼金、家賃などにお金がかかってしまうからです。ただ、これまでお話ししたように、水回りが使えない、家が狭くなるなど、生活のQOLが下がるので、1カ月以上の長期間になるようであれば、たとえお金がかかっても一度外に出る方がお互いにラクと言えます。お年寄りが住んでいるところで「日中の話し相手ができてよかった……」という話もないわけではないですが。
 普段だったら積極的に外に出かける方でも、心配だからと家に残る人もいます。当然、工事の音も大きいですし、配管を切るときなどは金属臭がします。工具も危険を伴うものがありますし、養生で家の美観も損なわれるので、お子さんがいるご家庭だとこちらもとても気を使います(特にお子さんは工事に興味津々ですから、危険が伴うほどに近寄ってきます!)。
 住みながらリフォームで、お客様も、私たちも、気持ちよく作業して、暮らせるよう、また近隣の方々にもご迷惑をおかけないように、大丸建設では様々な対応をしています。ぜひお問い合わせください。

大きな部屋を区切る、小分けにした部屋を広げる

 ライフステージの変化に応じて、例えば大きな子ども部屋を小さく間仕切りして個室をつくる。あるいは子どもが大きくなって独立したので子ども部屋をなくし、夫婦の趣味の部屋としてつなげて広々と使う。こうした部屋数の調整のリフォームも承っています。
 実は大きな部屋を二つに分ける方がラクです。床に下地をつくって間柱を立ててボードを張れば終わりです。大丸で新築した家は、大空間はいずれ間仕切ることを前提に設計してあるので、とてもスムーズにいきます。
 狭い家の場合、壁をつくることはできても、個室の入口を個別に設けるのが難しい場合が多いです。廊下からのアクセスが狭い場合、新しくつくった部屋に入るために廊下をとらなければならず、無駄なスペースができることがあります。
 子どもが独立した時に個室の仕切りをとって広くするパターンの場合、耐震と構造上とっていい壁なのかを判断する必要があります。柱や筋交いで補強する場合もあります。

キッチンリフォームは10日から2週間。

 台所のリフォームには時間がかかります。システムキッチンのセットを入れ替えるだけであれば、実は3日もあればできてしまうのですが、実際そのような住まいはまれです。天井や床、壁との整合性、配管のつなぎ目の設計なども含め、約10日から2週間は必要です。
 キッチンリフォームは、暮らし方への理想と大きく関わってきます。孤立型のキッチンから、調理中に家族の顔が見られるような対面型のキッチンに変更するとなると、リビングやダイニングとの関係も設計し直すことになります。キッチンは滞在時間が長い場所なので、念入りな設計が必要です。
 リビングなどの内装リフォームは、床や壁をはがしてやり替えるとなると、仕上げも含めて2週間くらいが必要です。壁紙をはがした時にそのまま下地が使えるかどうか、床なりが多い場合に補強をするか、コンセントの位置の移動や増設など、やりながら手を加えていくことが多いからです。

トイレと玄関は何とか1日で終わらせる。

 リフォームで急がなければならないのは、トイレと玄関です。トイレの場合は「使えない」と生活上の困難をきたすので、なるべく急ぎます。床をはがして既存のトイレをはずし、新しいトイレをセッティングし、床を入れ替えます。壁の工事が入ると1日で済まない場合がありますが、その時も用だけは足せるようにします(トイレが2室あるお宅の場合はもう少し余裕がありますが)。
 玄関も同様に、1日で終わらせなければならない箇所です。玄関の工事が終わらないと防犯上不安です。玄関がない=外からカギを閉められないので外出できない、ということです。勝手口がある家であれば、ベニヤで開口部を塞いでしまえばそれで済むのですが、今は勝手口がある家も少ないのです。

お風呂の工期は1週間から10日。

 お風呂のリフォームでは、まず既存のお風呂を解体 → 配管のやり直しが必要なら配管の修正、補強 → サッシの移動 → コンクリートを新しく打つ → ユニットバスを入れる → 配管をつなぐ。こうしたプロセスを経ます。
 解体してみると、土台と柱の根元が水回りで腐っている場合が多いです。土台の入れ替えや柱の補修を速やかに行います。また、配管が古いと鉄管の場合がありますが、そうすると錆で配管がやられていることがあるので、赤水が出たら配管を塩ビ管かポリ管に入れ替えます
 お風呂のリフォームと同時並行で進めるのが洗面所と洗濯機の防水パンです。いずれも、床をはがし、壁をはがし、配管をやり変えるといった作業が必要になります。
 この間、入浴はできないので、銭湯を利用していただく、洗濯もコインランドリーをご使用いただくことになります。洗面くらいであれば台所などでも可能です。

住みながら中規模リフォームを行う場合

 フルリフォームの場合は、お客様が別のところに暮らしているため、我々工務店は工事のみに集中できます。ところが、お客様が住まいながらのリフォームの場合は、近隣への配慮から時間が制限され(基本的には9時-18時くらいです。新築やフルリフォームでは工期が迫ると近隣のご迷惑にならない範囲で残量をすることもあります)、また毎日養生や現状復帰などの手間がかかります。
 お風呂やトイレ、キッチンなどの水回りは、お客様にとって毎日の生活に関わる部分です。多少は生活に不便をおかけすることになるので、工期中でもできる限り気持ちよく暮らしていただくために、さまざまに気を配ることになります。
 工事の順番も重要です。キッチン、風呂、洗面所、トイレといった水回りリフォームは一気にやることが多いのですが、その場合は洗面所から始めることが多いです。ユニットバスは発注してから届くまでに時間がかかるので、まずは洗面所回りを直している間にお風呂を発注し、届いたらすぐにお風呂にとりかかえるようにします。

中規模リフォームの特徴

 建物の基礎と構造を残したフルリフォームの場合、ほとんど新築と同じようなプロセスを経ます。暮らしながらのリフォームは不可能で、工期の間、お客様は完全に住まいを移すことになります。予算規模も新築の8割くらいです。
 大丸建設でいう「中規模リフォーム」とは、金額的にいうと500万円から1000万円くらいの範囲のリフォームのこと。1階のお風呂、キッチン、リビング、ダイニングなどを入れ替える、和室はそのまま残して廊下は新しくする、など。まずは現地調査をし、設計と見積もりを行ってから工事に入ります。
 中規模リフォームで大変なのは、既存住宅の「残す部分」と「新しくリフォームする部分」のつなぎ合わせです。古い建物は多少なりとも傾いたりしているものです。床の高さが合わない、色が異なる、新しい建材が合わない、などといった部分で、どちらを立てるかの取り合いになります。
 例えば窓で言うと、サッシを取り外して新しいものを入れる時に、既製品がそのまま嵌れば問題ありませんが、外壁のモルタルを切る時にパテと外壁の色が変わってしまったり、一部色を塗り替えると美観上おかしくなるため全体を塗り替えるのかどうかといった判断が必要になってきます。

リフォーム物件の申請について

 先月は、基礎と構造を残してスケルトン(骨組み)の状態にし、フルリフォームする場合の工期やプロセスについてお話ししました。今月は、中規模なリフォームやマンションリフォームについてお話したいと思います。
 リフォーム物件は、元々の住宅が建築基準法に違反している物件がなければ、基本的には役所への届け出は不要です。
 木造住宅には「4号物件」というものがあります。正式には、建築基準法6条1項4号に準じて、確認申請が必要なのです。
 確認申請が必要なのは、建物を建築しようとする時。建築基準法のなかでの「建築」の定義は、新築、改築、増築、移転です。フルリフォームはそれに当てはまらないのです。建て替えのことを改築といいます。リフォームは改築ではありません。増築は、準防火地域以外であれば、10平米3坪つまり10畳以内なら申請は不要です。移転とは、移築のことで、元々建物がないところにないところに移すので申請が必要です。
 つまり、リフォームとは「大規模な修繕」、「大規模な模様替え」というのが基準法上の意味になるのです。

フルリフォームの工期

 フルリフォームの工期は、新築よりやや短い程度です。
住宅の新築には約5-6カ月を要します。フルリフォームだと3-4カ月くらいです。骨組みや基礎、土台が残っているので、全部やらなくて済む分短いのです。
 フルで使える条件は基礎・土台がしっかりしていること。ただし、ここで基礎の補強が入ると工期は変わらなくなる。つまり、費用面でもお得ではないので、基礎がダメな場合はフルリフォームよりも解体して新築をおすすめします。
 構造については、補強する場所は必ず出てくる。1日工事をすれば、その都度1カ所くらいは補強が必要な場所が見つかるので、自ずと構造の強度は上がっていくと言えます。例えば接合部に金物を入れるなど、細かな補強をすることができるので、どんどん耐震強度は上がっていきます。
 しかし、増築がからんでくると、工期や費用もかさんできます。ただし、東京など首都圏の場合は、敷地に余裕がなくて現状の住まいでも建ぺい率いっぱいに建てられていることが多いので、増築の軒数は決して多くはありません。

フルリフォームの流れ

 フルリフォームは、構造体を残すのが基本になってきます。いわばスケルトン状態で、建前(上棟式)からスタートすると考えてよいでしょう。フルリフォームを前提にした解体では、重機を入れずに大工が手で壊すことが大半です。
 残るのは基礎・土台・柱・梁で、使えるものがあれば筋交いなどは残します。壁をはがしてみてようやく構造体の状態がわかることもあります。構造体がしっかりしていて補強すら不要なものもあれば、シロアリなどにやられている、お風呂場回りが腐っているものも出てきます。フルリフォームでいける強度が保証されているかどうかは、事前に耐震診断等できちんと判断できます。
 骨だけの状態になったら、構造的な問題がないかを確かめ、必要なものは補強していきます。構造も必ずしも全部を使えるわけではないので、間仕切り壁を移動するなどの必要も出てきます。