前回、香害(こうがい)は、誰もが被害者にも、加害者にもなりうるものなのだと書きました。現代社会は多様な化学物質に囲まれ、何かしらの化学物質が含まれた製品を使うことは誰にも避けられないことです。また、化学物質があるからこその利便性を享受できていることも事実です。ものごとは全てプラスの面と、マイナスの面があるので、ゼロリスクにすることは現代社会を否定することにもなりますし、それは現実的ではありません。
一方で、香害についての知識があれば、自分が加害者になることを防ぐことはできます。「長時間香りが持続する」という効果をうたった柔軟剤や合成洗剤を使わないこと、化粧品や整髪料等を購入する時には、香り成分ができる限り自然由来のものを選ぶことならば、誰にでもできることです。自分にとっては心地よい香りであっても、他の誰かを苦しめる可能性がある、ということを知っておくだけで、自ずと選択や行動が変わってくるのではないでしょうか。