(4) 合板に使われる樹種

合板は木材でできています。木材は大きく、広葉樹と針葉樹にわけられ、広葉樹は硬く堅牢で比較的高価、針葉樹はやわらかく加工しやすく大量生産に向いているという特徴があります。

日本は、杉や檜などの針葉樹の生産が盛んで、国産で安定した木材供給が可能です。

かつて合板といえば、フィリピンやマレーシアからラワン材を輸入してつくるのが主流でした。やわらかく加工しやすいのが特徴です。今は、日本に多く自生するシナ合板がよく使われます。シナは色が明るく、曲げに強く軽いという特徴があります。

最近では、杉や檜など、日本で大量に植林している針葉樹を使った合板も出てきており、合板の生産が地場産業になっている地域もあります。

(3) 合板の使用用途

合板は加工しやすく安価で手に入るので、多様な用途で使われます。

最もよく使われているのは「コンパネ(コンクリートパネル)」と言われる用途で、建物の基礎を作るときにコンクリートを流し込む型枠として使われます。耐水加工をしてあるので、洗って繰り返して使うことができます。

構造用合板は、住宅の壁、床、天井の下地材かつ耐力壁をかねて使われます。住宅の構造を補強し、かつ大量に使われるものなので、耐力や接着剤などで厳しい基準が設けられています。

家具や建具にも使われます。シナ合板やラワン合板は、軽くて加工しやすい、大きな面材としても使われるので、建具でご覧になったことのある方もいらっしゃるのではないでしょうか。

 

(2) なぜ合板を使うのか

住宅建築で合板を使う理由は、2つあります。

一つは、押入れの内部など、外からは見えないところの仕上げを安価に済ませるため。合板は一応「木材」なので仕上げ材として使うこともできます。

もう一つは耐震性を担保するという意味合いです。合板は木材を積層して接着し、熱で圧着しているため、地震の揺れに対する耐力があります。耐震改修では構造用の合板を使い、壁の耐力を補強します。

合板は木材を原料として工業製品で、規格を統一することができ、変形しない、軽い、広い面積を得られるといったメリットもあります。何より無垢材よりも価格が安いです。デメリットは、直接仕上げをする時に接着剤のヤニが出たり、接着剤自体の化学物質に反応したり、無垢材ならではのやわらかさや質感を得られないということがあります。

(1) 「合板ゼロの家」の今。

建築用材として重要な役割を担う「合板」。

大丸建設では、合板は有害化学物質を含むとして、一時期、極力使わない方向に切り替えていた時があります。大丸建設が所属する「チルチンびと『地域主義工務店』の会」では、「合板ゼロの家」を推奨していました。なぜ、合板を使わないほうがいいのでしょうか?

合板は、薄くスライスした木材を接着剤で貼り合わせて、機械で圧着した板材で、木材ではあるのですが接着剤の要素も多く、まさに工業製品と言えます。以前、合板に使われている接着剤に有害な化学物質が含まれており、それがシックハウスの原因物質の一つになっているとして、大丸建設では極力使わないようにしていました。

今は、接着剤の有害化学物質を極力減らす法律ができているため、有害な合板はだいぶ減ってきています。

 

(8) 材を生かすのも「人」です

これまで、大丸建設でお付き合いのある産地の材木ごとに「県民性」をみていきましたが、いかがでしたでしょうか?

一般的に、寒いところの材木は、目が詰まっていて、時に、雪に押しつぶされて曲がるなどして、表情が豊かだと言われています。温かい地方は杉が早く育って大きくなるので、目が粗いという印象がありましたが、林業家の努力によってとても良質な材ができるようになっています。

気候風土による材の特質は確かにありますが、植林から育林や製材・乾燥の技術といった、一貫生産による質の向上と、林業に関わる人々の努力、それこそ「100年の計」での材木づくりこそが、材の質を左右します。

志のある産地とのお付き合いで、確かな材を取り寄せ、いい住まいをつくっていきたい。それが大丸建設の、住まいづくりの志と言えます。

(7) 今後、高知の土佐材もとっていきたい。

大丸建設では、紀州『山長商店』の杉材をメインに、栃木県の『益子林業』、宮城県の『くりこまくんえん』と、全国各地から直接木材を取り寄せています。大丸建設のような自然素材と日本の伝統的な工法を大切にしている工務店では、どのような材を使うのかが「命」とも言えます。

一方で、会社としては、さまざまな産地と提携することでリスクを分散し、確実に良質な材を確保するとともに、お客様の要望に合わせて、材の「県民性」ならぬ「適材適所」でよりよい家づくりをしたいと考えています。

土佐檜のブランドで有名な高知県産材も今後取り寄せていく予定です。土佐の山林は急傾斜のイメージがありますが、行ってみたところ林地は意外にも平らで、木材は素直に育っていると感じました。目が詰まっていて、いい材だなと思い、ぜひ大丸の住まいに使ってみたい、と。そんなふうに思わせてくれる山地との出会いは、楽しいものです。

*大丸建設は、「一般社団法人 高知県木材協会」の東京都土佐材パートナー企業になっております。

[参照:http://www.k-kenmoku.com/untitled177.html]

(6) 宮城県「くりこま」の燻煙乾燥材

大丸建設が自然素材に特化した工務店として舵を切った時からお付き合いがあるのが、宮城県北部の栗駒山麓の材木です。

「くりこま材」と呼ばれる杉は、乾燥方法に特徴があります。燻煙乾燥とは、木材を低温でじっくり燻しながら乾燥することで、木材の繊維質を壊さずに強度を保ちながら、虫を寄せつけない独自の製法です。くりこまの燻煙乾燥材は、スモークのような独特の燻された香りがあり、色もほんのりとピンクがかっていて、とても個性的です。虫に強いので、構造材や水回りにも使っています。

以前、会社で、くりこまの林業ツアーをしたことがありました。山の神様に祈りを捧げてから、大樹を伐採しました。切り口から水が滲み出て、さっきまで大地から水を吸っていたことがわかりました。そんなふうに、産地とつながっているからこそ伝えられることもあると思っています。

【写真提供:株式会社くりこまくんえん】

http://www.kurikomakunen.jp/

 

(5) 栃木県産材も使っています

大丸建設では、なるべく「近場」から材木をとりたいとも考えていて、関東地方で比較的林業が盛んな栃木県からも材木を取り寄せています。紀州から運ぶよりの輸送距離が短いので、価格もおさえられます。

栃木県産材は、益子林業からとっています。

益子林業で扱うのは、八溝材といって、栃木県と茨城県と福島県の県境にある八溝山系で伐採された材木です。そのなかでも、栃木県側で産出された材を「とちぎ八溝材」と呼んで製材しているとのことです。乾燥方法として、伐採後、枝葉をつけたまま3〜5カ月山林で寝かし、丸太の内部まで含水率を下げる「葉枯らし材」を使っています。

とちぎ八溝材は関東のなかでも良材として知られています。木目がきれいで、赤身の色が美しく、強度が強いのが特徴です。

[写真提供:益子林業有限会社]

https://www.masirin.com/

(4) 森に立っているように木を使う

大丸建設では以前、山長商店の榎本会長をお招きして、家づくりセミナーを行ったことがあります。

榎本会長のお話でたいへん印象的だったのが、「木が森の中で立っているように、家を建てましょう」ということ。先月お話ししましたが、木は根っこの方を「元口」といい、空に近い方を「末口」といいます。ですので、家を建てる時にも、「元口」を土台側にして、「末口」を天井側にすることで、木が元々地面に立っていたように家を建てることができます。

木表、木裏についても、家のどこの部分に木のどの部位を使うのかで室内の表情が変わります。木目がまっすぐできれいな柾目部分は床の間など家の顔になる部分に使ったり、一方で木目が印象的な赤身部分は子ども部屋に、など、木の表情によって使う場所を変えることもできます。

[写真提供:山長商店]

https://yamacho-net.co.jp/