林業を支えるには中長期的な視野が必要

令和のウッドショックによって、木材の価格が高騰し、私たちのような小さな工務店や材木店、日本の林業地に大きな影響がありました。今まさに家を建てているお客様も、建築材料の値段があがり、苦渋の選択をされることもあるかと思います。

そもそも、外国産材に頼った家づくりは、海外の市場価格に影響され、日本での安心・安定した家づくりを阻害する要因にもなっていました。今回のウッドショックは、家づくりのあり方そのものを考え直すきっかけになったのではないかと思います。

今、国産材へのニーズが高まっていますが、これを一時のものにしてはならないと思います。住宅用として使える木を育てるには、最低でも50年はかかり、50年続く林業を私たちは支えなければならないのです。山を守る人を経済的に支えるには、どのように木が植えられ、育ち、どのような手入れが必要で、私たちの手に届くまでにどのような製材、加工、流通のプロセスを経てくるのかを知る必要があります。短期的な視野でなく、50年先を見据えた家づくり。それは、山や森を守ることにもつながります。

私たち大丸建設は、長年産地と提携して良質な国産材を手に入れられる環境にあります。ほとんどの産地を私自ら訪れ歩いています。今後、お客様に山のことを伝えていくことにも、もっと力を入れていきたいと思います。

 

 

木材自給率を50%以上に

戦後の拡大造林期、復興時期の日本では、日本の木材自給率は90%以上だったものの、高度経済成長が始まるなかで、木材の需要が高まり、段階的に外国産材の輸入を始めようという機運が高まりました。昭和39年に木材の自由化が始まり、安価で品質が安定している外国産材が日本国内に入るようになりました。その後、ツーバイフォーや集成材などの新建材におされ、昭和45年には木材自給率が45%に。50%を割り込むと、林業が成り立たなくなり、一次産業でもある林業の従事者が減り、山が荒廃していく悪循環に陥りました。

平成14年の木材自給率は18.8%と底をつき、このままでは日本の住宅産業が壊滅的な状況になってしまうと、国産の集成材への後押しや、プレカット技術の普及が進みました。21世紀になり、地球温暖化や気象の激化などの洪水調節、水源涵養機能など、環境面からの森林の多面的な役割が見直されるようにもなりました。

最新の木材自給率(2019年度)は37.8%まで回復し、2025年の木材自給率50%の目標達成に向けて、弾みをつけたいところです。

今回のウッドショックで、外国産材に頼るリスクを肌身で感じた私たち住宅業界。ぜひ、中長期的な視野で日本の林業を支えていきたいものです。

[参照:林野庁の資料より]

日本の林業の歴史

日本ではなぜ、木材の6割以上を輸入に頼るようになったのでしょうか。

林野庁の資料によると、日本では古来、森林資源を建築や燃料(薪炭)として利用してきた歴史があります。江戸時代には建築文化が著しく発達し、木材供給が過剰になり、江戸の近くでは山の木が大量に伐採される事態に陥りました。そうして、江戸時代の大都市近郊で、育てやすく木質が素直なスギやヒノキが造林されるようになり、林業が産業としてスタートしていきます。

明治維新によって西欧の文明が入り、日本も近代化がスタートします。建築用材のニーズが増え、住宅だけでなく工場や公共建築、造船など、多用途に木が使われるようになりました。明治30年には我が国初めての「森林法」が制定され、本格的に森林整備が始まります。国有林、私有林の棲み分けができてきたのもこの頃です。

太平洋戦争が始まると、軍需物資として大量の木材が必要になり、大規模な森林伐採が行われました。戦後、荒廃した森林を再生し、林業を立て直すために、 スギ・ヒノキを中心に戦後の拡大造林が行われます。

私たちが現在使用しているのは、戦後に植えられた木がほとんどです。

山を守る視点を持つこと

ウッドショックにより、木材の6割以上を外国産材に頼ってきた日本の住宅業界のもろさが浮き彫りになりました。ここで国産材に注目が集まってきていますが、一時的に国産材に需要が集中することで市場が混乱することがよいとは思えません。

私たち大丸建設は長年、「山を守る」視点を持って、日本の林業生産者と手を携えてきました。国産木材の多くは、戦後に植えられたスギで、1本のスギが使えるようになるまでは、50〜60年ほどかかります。その間、スギに光が当たるように間引きをしたり、下草を刈って山を整備する、いわゆる「山守り」の仕事が大切になります。

適正に管理された山は、雨水を蓄え、洪水の調節機能を持つなど、環境保全に役立ちます。一方で、管理が行き届かない山は荒れ、土地が痩せ衰えます。大雨の時には土砂崩れや洪水の原因になることも。

日本の山を維持管理していくためには、林業が産業として成り立たなければなりません。経済が回らないと、山で働く人がいなくなるからです。

 

[写真提供:山長商店]

ウッドショックをどこまで吸収できるか

令和のウッドショックでは、北米からの輸入材が入らなくなったことで、木材価格が高騰し、そのぶん国産材の需要が高まって、圧倒的な材木不足の状況に陥っています。

木材価格は日に日に変わり、このブログの執筆時点での正確な数字を出しにくい状況ですが、シカゴの木材先物価格取引市場では、今年5月の段階で、新型コロナウイルスの世界的なパンデミックが宣言された昨年4月と比べて約5倍の価格高騰が起こりました。

日本への木材価格の影響は、昨年秋以降、数回にわたって値段があがり、1.5倍〜2倍ほどで、外国産材ではなく国産材に至っても、末端で1.2倍以上の価格になっている実勢です。

大丸建設でも1.1〜1.2倍ほどの木材仕入れ価格が上昇しており、社内である程度吸収の努力をしても限界があります。特に、リフォーム材に関しては価格の上昇が顕著なので、お客様に値上げをお願いせざるを得ない状況に陥っています。

 

令和のウッドショック、大丸建設への影響

日本の住宅業界を直撃している「令和のウッドショック」ですが、大丸建設にも影響は少しずつ出始めています。

大丸建設は、ほぼ100%、国産材を使って住宅をつくっているため、ほぼ外国産材の住宅メーカーよりはウッドショックの影響は少ないとはいえます。木材市場が混乱すると、国産材の需要を圧迫して、結果的に私たちのように産地直送の地域工務店への影響も回避できない状況になっています。

私たちが直接つながっている産地でも、需要が過多の状況で、在庫が少なくなってきているとのことです。リフォームの場合は近場から材木を仕入れていますが、どうにか木材市場から在庫を確保しようと努力していて、結果的に仕入れの価格が上がる状況になっています。

大丸建設も、お付き合いのある材木店も、お客様への影響を極力減らそうと努力していますが、世界的な価格高騰で、材木の原価はどうしても上がってきています。令和のウッドショックがいつまで続くかで、小規模の材木店や工務店が店を畳まなければいけなくなる事態も想定され、住宅業界挙げての対策が必要だと感じています。

 

新型コロナウイルスの影響が拡大

北米のDIYブームが、回り回って日本の住宅市場を直撃している。令和のウッドショックは、まさしくグローバル経済の弊害を実感させる出来事になりました。北米の住宅供給過多により木材価格が高騰し、中国経済の回復によって木材需要が大幅に高まり、また今年3月のスエズ運河での貨物船座礁事故で世界の物流が滞り、木材流通が大混乱しました。

新型コロナウイルスの世界的な流行は、私たちの日常生活に大きな影響を及ぼしていますが、経済的にも大打撃で、飲食店やスポーツ、エンタメ業界のみならず、住宅業界にも大きな影響を及ぼしています。

日本の「巣篭もり需要」で、白物家電や家具、インテリアグッズの業界は大躍進でした。住宅業界もステイホームでリフォーム、リノベーションのニーズは高まりをみせ、大丸建設も堅調ではありましたが、ここにきてウッドショックの影響を受け始めており、お客様と見積もりについてご相談をすることも起こってきています。

 

 

 

令和の“ウッドショック”で住宅業界が混乱

2021年に入り、木材価格の高騰が止まりません。

新型コロナウイルスの世界的な流行により、「巣ごもり需要」が高まったことで、DIY文化が盛んな北米で住宅用資材、特にツーバイフォー用の需要が急増しました。特に、梁などの構造材に使われるベイマツなどの集成材の入手が困難になり、日本の市場に出回らなくなってきています。そのため、住宅の着工が遅れたり、工期が長引く、見積もり金額が上がるなどの影響が出ており、私たちのような小さな工務店から、大手ハウスメーカーまで、会社の規模の大小にかかわらず多大な影響が出ている状況です。

米国のDIYの活況と、中国経済の回復といった、諸外国の状況に日本の住宅市場が影響を受ける理由は、日本の木材流通量の6割以上を外国産材に頼っているからです。食料自給率もそうですが、木材の自給率をいかに高めていくのか、住宅業界だけでなく、消費者も一緒に考えていく契機になるとよいなと思っています。