2025年01月17日(金)

2025年の抱負_5 会社の持続力を高める専門性

大丸建設は社員3人の小さな会社です。多摩に根ざして150年余、歴史を長く刻んでこられたのは、会社に息づく「匠の技」を未来に伝えていきたいという思いから。

私は、幼少のころから父に連れられて建築の現場に出向き、建物を素材から形にしていく職人さんの格好いい姿に憧れ、また現場で的確に指示を出していく父の後ろ姿を見て、いつか私も工務店で働くんだという意識がありました。

大学時代も建築や土木を専攻し、その後専門学校では建築士の資格試験の勉強をして、一級建築士に合格。建築資格取得の講師も務めています。木造耐震診断の資格や、省エネ建築の資格など、時代に合わせてさまざまな専門性を身につけてきました。これも、工務店は「住まい」をトータルで考え、建てて終わりではなく、「建ててからこそがお客様との本当のお付き合いの始まり」という社是を受け継いできたからで、お客様の住まいの長い一生に寄り添っていくためには各種の専門性が必要だからです。

住まいも人と同じように、年数を重ねればなんらかのトラブルが発生します。そんな時にはまず、私たち大丸建設にご相談ください。ハウスドクターとして、何が最もその住まいに必要な処方なのかを提案させていただきます。

2025年01月14日(火)

2025年の抱負_4 東京一極集中時代に工務店はどうあるべきか

口減少が止まりません。2023年10月1日現在の人口動態を見ていくと、総人口は1億2435万2千人で、前年に比べ59万5千人(-0.48%)の減少となり、13年連続で減少しています。特に若者(15歳未満)の割合は11.4%と過去最低になり、一方で高齢者(65歳以上)の割合は29.1%となり過去最高を更新し続けています。今後少子高齢化の傾向はますます顕著になり、若者が高齢者を社会的に支えていく構造もいずれ立ち行かなくなる可能性があります。

ただ、この人口減少のトレンドは、東京だけで言うと状況が異なっており、全国47都道府県のうち、東京都のみ2年連続で人口の増加となっています。東京への一極集中の状況は明らかで、地方都市と東京の課題は同じ尺度で考えるのは難しいと思います。

ただ、東京でもさらに都心に近い方と、大丸建設がある多摩地方では、暮らし方や働き方は多少異なります。郊外では土地を取得して家を建てることはまだ可能ですし、若い世帯でも一戸建てを新築できる価格帯の土地はあると言えます。

大丸建設では、建物を建てるだけではなく、お客様の暮らしを提案できる会社でありたいと思っています。隣近所と仲良くなれるような暮らし方を大丸ニュースやこのブログでも折にふれ発信していきます。

 

2025年01月10日(金)

2025年の抱負_3 気候危機時代の建築現場

近年、日本では気温の上昇が著しく、毎年のように夏の平均気温が史上最高記録を更新し続けています。建築現場は屋外や高所で作業することが多く、環境に大きく左右されます。特に夏の暑さは命に危険を及ぼすほどのもので、熱中症対策や休憩など、現場を担う職人さんやスタッフには口すっぱく注意喚起していますが、それに勝る暑さに、どう立ち向かえばいいのか、頭を悩ませるばかりです。

特に昨年は、あまりの暑さで作業が進まず、上棟が1日余計に延びてしまったことがありました。これまでも台風や大雪など、気象状況によって工期に影響が及ぶことがないわけではありませんでしたが、猛暑は長い日数続くことで、工事現場の作業員は心身の負担を強いられ、命の危険に晒されることも事実です。

この先、猛暑の時期に工期がかかる場合、工期の延長なども視野に入れてのスケジュール組成や、お客様のご理解、ご協力が必要になっていくようになるかもしれません。大丸建設のような小さな工務店の力だけでは機運醸成は難しく、業界を上げての啓発が必要になってきます。仲間の工務店などと連携しながら、夏場の建築現場環境の改善に向けて動いていきたいと思います。

 

2025年01月07日(火)

2025年の抱負_2 大災害に備える

1年前の元日の午後、能登半島を襲った大震災は、お正月気分の私たちに大きな衝撃を与えました。崩れる家、隆起した道路や、土砂崩れした海岸線に、火事で焼けた輪島の朝市……。道路が寸断され、救助の手が届かない人々が多く出ました。高齢化した地域では、孤立した住宅もあり、今なお復興は進んでいない状況です。それに加えて昨年夏の大水害で、二度の大きなダメージを受けた能登地方。現地に生きる方々に心からお見舞い申し上げるととおに、我々のできることは何かを真剣に考えなければなりません。

私は一級建築士として、これまで東日本大震災や台風被害の現場などに出向き、ボランティアとして応急危険度判定などを手掛けてきました。数々の倒壊した建物を見てきて、まずは命を守ることの大切さを痛切に感じ、そのためには耐震診断により耐震性に不安がある建物は耐震補強をしていくべきだと考えています。

大丸建設は東京都建築士事務所協会に所属し、自治体の耐震診断を請け負うことのできる工務店です。これまでも数多くの耐震診断の実績があります。備えあれば憂いなし、近い将来発生すると予測されている首都直下自身に備えて、ご自宅の耐震にご不安のある方は、遠慮なくご相談ください。

2025年01月01日(水)

2025年の抱負_1 予測のつかない時代を生き延びるために

新年明けましておめでとうございます。本年も大丸建設をご愛顧の程、どうぞよろしくお願い申し上げます。

2025年がスタートしました。昨年は、能登半島の大震災と豪雨被害、また日本各地で線状降水帯による水害が起こり、一方夏場の暑さは毎年最高記録を更新するなど、気候危機と大災害に翻弄された1年でした。

世界を見渡せば戦争は終わらず、エネルギー価格やガソリン価格の高騰や、円安も深刻で、経済には大きな影響が及んでいます。家計を見れば相次ぐ物価高で生活コストが上がり、一方で最低賃金は上昇して労働環境は改善しつつあるようですが、我々のような中小企業にはコスト高で打撃を受けています。

スポーツではパリオリンピックでの日本勢の躍進とともに、メジャーリーガーの大谷翔平選手の活躍は日本に明るい話題を提供してくれました。

私たちの暮らしは、経済や社会、世界の情勢に大きく影響を受けます。大丸建設も社会の一員として、よい地域や未来をつくるために、微力ながら貢献していきたいと思います。

本年もどうぞよろしくお願いいたします。

 

株式会社大丸建設 代表取締役社長 安田佳正

2024年12月26日(木)

空き家を考える_10 地域コミュニティが空き家に対してできること

空き家問題は全国的な課題で、今後ますます深刻化していくことが考えられます。自分の家の隣に放置空き家があって、衛生面や防犯上のリスクが高まれば、安心して生活できる居住環境が保たれなくなります。住宅の所有者や相続人の問題なので、地域住民が介入できることではないですが、こうした問題を未然に防ぐためにも、地域コミュニティの中で声をかけ合う、挨拶をし合う、高齢者世帯や独居の方に日頃から目を配るといった日常的な関係性がとても大切になります。

 

工務店としては、基本的に世帯単位のお客様への情報提供や、相続によって引き継いだ土地や家屋を適切に管理していく方法をお伝えすることくらいしかできませんが、大切な家族の思い出や、ご先祖様から受け継いだ歴史などもあるので、ご家族の思いに寄り添い、予算的にも労力的にも現実的な解決策を提供していくことでお役に立ちたいと考えています。

例えば、現代はITが発達していますので、センサーなどを設置することで近隣への悪影響を及ぼす環境を未然に防ぐ手立てを構築することや、不法侵入を監視して抑止力につなげることもできるはずです。

また、倒壊や害虫・害獣のリスクを防ぐために最低限行うべきメンテナンスも、引き継いだ住宅の状態を見れば判断できます。台風や地震等で屋根が飛ばない、倒壊しないようにするため、耐震診断等の補助制度を使うこともできますので、ご相談ください。

 

思い入れのある土地や家屋であっても、人が住まない建物は劣化し、傷みます。それがご自身にとって負の資産になると、楽しい思い出も辛いものになってしまう可能性があります。資産価値があるうちに早めに売却するのも一つの手です。リノベーションなどで新たな居住者を得て新しい思い出が生まれる家として価値が受け継がれていくこともあります。

 

大丸建設では相続で受け継いだ建物の維持管理のご相談も承ります。お客さま本意で現実的な解決策をご提案していきますので、ぜひお気軽にお問い合わせください。

 

 

2024年12月23日(月)

空き家を考える_9 普及啓発も重要

地方自治体では、空き家特措法による「特定空家等」の選定による指導・勧告や代執行ができるようになっただけでなく、普及啓発も重要視しています。

 

所有者への啓発活動としては、空き家の適切な管理や活用の重要性を所有者に知らせるため、セミナーやパンフレット配布を行ったり、空き家の改修やリノベーションに対し、補助金や低金利融資を提供することで、空き家の利活用を促すことも始まっています。

さらに、空き家を売却、貸出、もしくは活用した場合に、譲渡所得税や住民税を減免する仕組みを導入した自治体もあります。相続人が放棄した空き家の管理を、行政や専門機関が引き継ぐ仕組みを構築することの検討も始まっています。

 

さらに、地域内の空き家の状況をデジタル化し、所有者、状態、立地などの情報を一元管理して空き家データベースの構築に取り組んだり、空き家を活用したい人と提供したい所有者をマッチングする「空き家バンク」を設置・運営が進んでいます。

例えば、空き家を活用してコミュニティスペースやシェアハウス、観光施設などに再利用するプロジェクトを支援することで、移住希望者や起業家が新築で住戸やオフィスを取得するよりも安価で入居できるようになるなどして、移住・定住促進につなげることができます。

空き家問題は大きな課題ではありますが、逆に空き家を地域の資源ととらえ、新たな仕組みを構築することで、地域の活性化につなげることもできます。行政と民間企業による空き家管理のサービスやリノベーション活用事例も増えてきていますので、空き家に困っている方は調べてみてはいかがでしょうか。

 

2024年12月19日(木)

空き家を考える_8 空き家に対して自治体ができること

国の法律を実際に執行して運用するのは、地方自治体となります。自治体独自でも空き家対策計画を策定することが求められます。例えば、空き家の調査、管理、活用、所有者への啓発活動などです。

 

自治体では空き家の調査・実態把握を行います。現地調査の実施し、空き家の状態や所有者を特定します。この情報をもとに、「特定空家等」に該当する物件を選定します。「特定空家等」に該当する場合、まず所有者に対し改善の指導や勧告を行います。改善がなされない場合、命令を出すことで法的な強制力を持たせます。

周辺住民に悪影響を及ぼす可能性のある危険な空き家に対しては、所有者が指導や勧告に従わない場合、自治体が建物を代わりに解体・撤去することができます。その費用は後日、所有者に請求されます。解体費用が回収できない場合、滞納処分として財産の差し押さえなどを行うこともあります。

このように、空き家特措法によって、空き家問題に対処するために行政が積極的に介入できるようになりました。一方で、所有者不明の空き家や、所有者が対応に消極的なケースでは、実効性に限界があるとの指摘もあります。今後は、所有者不明土地問題への対応や、空き家活用のさらなる促進が課題となっています。

 

2024年12月16日(月)

空き家を考える_7 「空家等対策特別措置法」とは

これらの空き家の問題に対処するため、政府は「空家等対策の推進に関する特別措置法」を施行し、特定空家等に対する指導や勧告を行っています。

空家等対策の推進に関する特別措置法(以下「空き家特措法」)は、2015年に施行された法律で、日本国内における増加する空き家問題に対処するために制定されました。この法律の目的は、空き家やその敷地が周辺の生活環境に与える悪影響を防ぎ、適切な管理と利活用を促進することです。

空き家特措法では、危険性が高い空き家を「特定空家等」に指定できるようにしています。先に述べたような、倒壊や災害時の危険性がある、衛生上の問題を引き起こす、景観を著しく損なう、近隣の生活環境に悪影響を及ぼすといった、特定空家等に指定された建物に対しては、行政が所有者に対して修繕や撤去、管理の改善を指導・勧告・命令できるようになっています。

特定空家等に指定された場合、住宅用地に適用される固定資産税の減免措置が解除され、税負担が増加します。これにより、放置された空き家の管理や利活用を所有者に促す効果があります。

さらに、所有者が行政の指導や勧告に従わない場合、行政が建物を強制的に解体・撤去する権限を持ちます。この場合、解体にかかる費用は所有者に請求されます。

 

 

 

2024年12月12日(木)

空き家を考える_6 景観や環境への影響

空き家が多い地域は、地域の防犯・防災に影響を及ぼすだけではなく、景観や住環境にも悪影響を与えると言えます。

 

老朽化した空き家では、害虫や害獣の発生源となり、衛生環境の悪化を招く可能性があります。空き家の中や周辺でゴミが放置されることで、害虫(ゴキブリ、シロアリなど)や害獣(ネズミ、ハクビシンなど)の繁殖が進みます。こうした害虫や害獣が周辺住宅に移動したり、繁殖が拡大することで、放置された空き家だけではなく、人が住んでいる家にも悪影響を及ぼしてしまいます。

住宅街の景観への影響も深刻です。多くの空き家では雑草が生い茂り、樹木の枝が伸び、隣家の敷地にかかってしまったり、果実が落ちてそのまま朽ちて衛生上の問題を引き起こします。木の枝が電線にかかると、発火して火災や停電につながることもあります。

空き家の敷地が放置されている場合、ゴミや廃棄物の不法投棄場所として利用される可能性があります。悪臭の発生源になることも考えられるため、近隣の住民にとっては迷惑な状態になってしまいます。

 

また、先にも述べたように、老朽化した空き家は、地震や台風などの災害時に倒壊の危険性が高まり、周辺住民やインフラに被害を及ぼす可能性もあります。

こうしたことから、空き家が多い地域では住民が安心して暮らせなくなり、結果的に地域全体の人口減少や衰退が進む可能性がある、深刻な課題と言えます。