2021年07月26日(月)

(8)社会での健全なお金のまわりかた

ウッドショックによって木材価格が高騰したことによって、住宅の建築コストに対してよりシビアに、真剣に考えることになったこの数カ月。大丸建設でもお客様に対して、よりていねいに住宅建築のコストについて説明し、納得していただき、お見積もりを出しています。

材を育てるのには一朝一夕ではなく、それこそ50年以上の長い年月が必要です。植林、下草刈り、間伐・除伐、伐採まで、1本の木が植えられてから私たちの手元に届くまで、林業者の一生涯がそのまま込められているような熟練の技術と、材の見極めの眼力があって、初めて私たちの手元に届きます。

もちろん住宅を建てる側としてはコストが安くなるのに越したことはありませんが、山林の環境維持や林業家の技術継承を、ただコストだけで切り捨てていいのでしょうか。住宅を建てる人、そしてそこに一番近い工務店が、木材が届くまでにどのような時間や技術が必要で、それを次の世代に伝えていくために、健全な価格で購入し、産業を回していくサイクルの一つとしてうまく機能していくよう、私たちもあらゆる機会を通してお客様に伝えていきたいと思っています。

 

2021年07月22日(木)

(7) ウッドショックをきっかけに国産材の価値を高めたい

2カ月にわたりウッドショックについて考えてきましたが、そもそも木材の原材料費がどのように決まるのか、日本の住宅建築における国産材の重要性、ひいては産地を守り育てることの大切さを突きつけられる、大きなきっかけになったのではないかと思います。

大丸建設のように、日本で古くから伝わる木造建築を主とする工務店は、木材がなければ家を建てることはできません。もちろん、輸入材も木材なので私たちは家を建てることはできますが、大丸建設の大工・職人は、国産材(スギ・ヒノキ)を扱うことに長けていて、木目のくせ、やわらかさ、強度、材質など、同じ種類の材であっても、部位によって適材適所を使い分けるやり方で、木を無駄なく大切に安全に使う技術を持っています。日本の高温多湿な気候風土に適した材は、なんといっても国産材(スギ・ヒノキ)だと私は思っています。そして、国産材を安全に美しく使い尽くす技術、つまり「匠の技」を伝え、その価値を残し高めていくことが大切だと私は考えています。

 

2021年07月19日(月)

(6) 木材の値段はどのように決まるのか

木材価格がそもそも適正かどうか、それを考えるのには、木材がどのように流通しているかを知ることが大切です。

木材は山から搬出され、原木(丸太)がストックヤード(貯木場)に置かれたあと、市場に売りに出される、合板工場・集成材工場・製材工場に送って加工され、ハウスメーカーや工務店などの住宅市場に売りに出されます。

木材価格は、原木市場でのセリによって価格変動し、また合板・製材工場のストック量が増えれば価格下落、在庫が減れば価格上昇となります。国産材市場は材のストックの量で変わるのですが、もちろんその価格は海外からの輸入材にも影響され、輸入材の量や円高ドル高などの為替相場によっても大きく変動します。

今回のウッドショックは、輸入材の減少と価格高騰が引き金になって、国産材の需要過多、在庫減少が連鎖的に起こり、結果的に国産材の価格も大幅上昇となりました。

 

2021年07月16日(金)

(5) ウッドショックで国産材価格はむしろ適正に?

林野庁の統計データを見ると、国産材の価格はそもそも安すぎたのではないか、という指摘があります。統計データをとり始めた1960年(昭和35年)はスギの丸太1流米(m2)あたり10,000円ほどで、1980年(昭和55年)までは上昇を続け、40,000円ほどになりました。その後、価格が下落を続け、2020年は13,000円ほど。結果的に、ウッドショックで国産スギ材の価格が20,000円ほどに上がったとしても、そもそもウッドショック前の値段が適正だったのかどうかを考え直さなければなりません。

もちろん、お客様にとっては、素材の価格は安いに越したことはないですし、国産材が高いから国産材を使えない、という選択になるのは、工務店として避けたいのが本音です。しかし、木材価格があまりに安いと、林業そのものが持続可能ではなくなるので、今後数十年先を見越した時に、日本の木材加工の技術や日本独自の建築工法が廃れてしまうのは残念極まりないです。

何をもって適正価格というのか、ウッドショックをきっかけに、私たち工務店も、お客様も、一緒に考えていくことができればと思います。

 

2021年07月12日(月)

(4) ウッドショックはいつまで続くのか

今年前半、住宅業界や木材産業を揺るがしたウッドショックですが、いつまで続くのでしょうか。実際のところ、まだ見通しが立っていないというのが本当のところで、少なくとも新型コロナウイルスの感染拡大がある程度落ち着いてみないと、市場動向までは見極められないようです。北米ではワクチン接種が進み、移動や交流が活発化してきているので、数カ月もすれば住宅需要も落ち着いてくるという見方もありますが、感染症の流行は予断を許さない状況なので、現時点では何一つ確定的なことはないと言えます。

少なくとも、国内では木材価格の高騰は続き、国内の木材ストックが減って、材料の奪い合いの状況がまだまだ深刻です。資金力に余裕のある大手住宅メーカーは、ウッドショックの影響はあったとしても軽微でしょう。中小工務店への影響は深刻で、今後、材を手配できずに業務ができない、資金繰りがまわらずに倒産といったケースも出てくるかもしれません。

大丸建設のように産地と直接つながっている工務店は、影響があってもこれまでの信頼関係の蓄積で、材が入手できない、工期が遅れるところまでには至っていません。長年の経営姿勢に救われている面があると思い、今後も手綱を緩めることなく、産地との関係性を大切にしていきたいです。

 

2021年07月08日(木)

(3) 粗利を削りながら対応している厳しさ

価格の高騰も悩ましいところです。大丸建設でも木材の仕入れ価格がすでに10〜20%上がってきています。価格を全てお客様に転嫁するのも厳しいので、私たちも粗利を削って対応してきていますが、それも限界のところまできています。

一般的に、住宅の建築費に占める木材の価格の割合は、1割程度なので、例えば総工費が4,000万円の住宅の場合は、10%を材木費とすると400万円、そのうちの10〜20%の価格上昇として工務店が粗利を削ったとしても、最終的にはお客様への価格転嫁の影響は木材価格の10%として、40万円くらいは負担が増える、ということになります。

私たちも、なるべくお客様の負担を減らしたいと、限界近くまでがんばっていますが、そもそも工務店がつぶれてしまっては元も子もないので、かなり厳しい計算と、予測をたてながら、見積もりをつくっている状況です。

どうぞご理解をいただければ幸いです。

 

2021年07月05日(月)

(2) ウッドショックの中小工務店への影響

ウッドショックが中小工務店にもたらしている影響は、はかりしれません。まず一つは、建築の主要材である木材が入手しにくくなっていること。これまで輸入材に頼っていた工務店やハウスメーカーが、こぞって国産材に手を出しています。材木店や産地で供給量が逼迫し、早ければ今夏にはストックがなくなる材木店も出てくると言われています。資金力に余裕のある大手メーカーが、多少高値になったとしても木材を確保し出すと、資金力のない中小工務店はお手上げです。

材料が確保できないと、家を建てることができません。特に新築住宅の場合はまとまった量の材料が必要となり、着工時期をずらすなどして調整をはかることもあります。ストックヤードがあって、ある程度材を確保できている工務店ならば、数カ月はしのぐことができても、それでも影響が長期化すると、先行きが見えなくなります。

お客様がいても、家を建てられない! これは最大の影響で、多くの中小工務店が悲鳴をあげています。

 

2021年07月02日(金)

(1) “ウッドショック”の影響が止まりません

7月は、先月に引き続き、ウッドショックの影響についてお話ししたいと思います。

2021年ごろから問題が表面化し、春先あたりから中小工務店にも影響が及ぶようになってきたウッドショック。新型コロナウイルスの世界的な流行により、世界的にライフスタイルの変化がおこり、特に家のDIY文化が盛んな米国で住宅需要が高まったことから、主に北米産材を中心に木材の需要が過多となりました。中国経済の回復や、春先に起こった運河でのコンテナ座礁事故による物流の混乱も重なり、世界的に材木が入手困難な状況になってしまいました。

日本の木材自給率は37.8%(2019年度)で、輸入材が使えなくなると、急に国産材への注目が高まり、国産材の市場の奪い合いという状況が起こっています。私たち大丸建設は、もともと産地との結びつきが強いため、産地直送で国産材を仕入れることができていましたが、6月に入ってついに、一部の産地からは材の供給見通しが厳しい状況にあると連絡を受け、対策を検討しているところです。

 

2021年06月28日(月)

林業を支えるには中長期的な視野が必要

令和のウッドショックによって、木材の価格が高騰し、私たちのような小さな工務店や材木店、日本の林業地に大きな影響がありました。今まさに家を建てているお客様も、建築材料の値段があがり、苦渋の選択をされることもあるかと思います。

そもそも、外国産材に頼った家づくりは、海外の市場価格に影響され、日本での安心・安定した家づくりを阻害する要因にもなっていました。今回のウッドショックは、家づくりのあり方そのものを考え直すきっかけになったのではないかと思います。

今、国産材へのニーズが高まっていますが、これを一時のものにしてはならないと思います。住宅用として使える木を育てるには、最低でも50年はかかり、50年続く林業を私たちは支えなければならないのです。山を守る人を経済的に支えるには、どのように木が植えられ、育ち、どのような手入れが必要で、私たちの手に届くまでにどのような製材、加工、流通のプロセスを経てくるのかを知る必要があります。短期的な視野でなく、50年先を見据えた家づくり。それは、山や森を守ることにもつながります。

私たち大丸建設は、長年産地と提携して良質な国産材を手に入れられる環境にあります。ほとんどの産地を私自ら訪れ歩いています。今後、お客様に山のことを伝えていくことにも、もっと力を入れていきたいと思います。

 

 

2021年06月24日(木)

木材自給率を50%以上に

戦後の拡大造林期、復興時期の日本では、日本の木材自給率は90%以上だったものの、高度経済成長が始まるなかで、木材の需要が高まり、段階的に外国産材の輸入を始めようという機運が高まりました。昭和39年に木材の自由化が始まり、安価で品質が安定している外国産材が日本国内に入るようになりました。その後、ツーバイフォーや集成材などの新建材におされ、昭和45年には木材自給率が45%に。50%を割り込むと、林業が成り立たなくなり、一次産業でもある林業の従事者が減り、山が荒廃していく悪循環に陥りました。

平成14年の木材自給率は18.8%と底をつき、このままでは日本の住宅産業が壊滅的な状況になってしまうと、国産の集成材への後押しや、プレカット技術の普及が進みました。21世紀になり、地球温暖化や気象の激化などの洪水調節、水源涵養機能など、環境面からの森林の多面的な役割が見直されるようにもなりました。

最新の木材自給率(2019年度)は37.8%まで回復し、2025年の木材自給率50%の目標達成に向けて、弾みをつけたいところです。

今回のウッドショックで、外国産材に頼るリスクを肌身で感じた私たち住宅業界。ぜひ、中長期的な視野で日本の林業を支えていきたいものです。

[参照:林野庁の資料より]