マンションのフルリフォームは価格的にもおすすめ

 首都圏で新規に土地を取得し、さらに住宅を新築するとなると、多大なコストが必要になります。相続などでご両親の土地に建てるようなケースでもない限り、希望の広さ、利便性、交通の便など、すべてを兼ね備えることはなかなか難しいように思います。
 しかし、中古マンションを「建物の中の土地」ととらえ、フルリフォームすることで自分らしいデザインや間取りを実現できれば、駅近などの好立地で、かつ集合住宅ならではの利便性を兼ね備え、さらに新築戸建てよりも安価で理想の住宅を取得できる、と考えることもできます。
 戸建てのフルリフォームの場合、構造を残して壊す費用もかかるので、だいたい新築の8割くらいの費用となりますが、マンションの場合はほぼRC(鉄筋コンクリート)造で、基礎や構造部分はそのまま使えますので、かなり割安と言えます。
 配管なども、水が流れる勾配と径の直径さえ確保できれば、水回りも自由に変更ができます。

大丸が手がけるマンションリフォーム

 大丸建設では新築同様のフルリフォームから、内装リフォーム、耐震リフォーム、カギの付け替えといった小規模な営繕まで、住まいのことならどのようなことでも対応しています。
 マンションリフォームも手がけていますが、実は、マンション専門のリフォーム業者に比べると、どうしても価格が高くなり、大工の本領を発揮しにくいという面もあります。
 大丸建設が得意とするのは、木造の造作、いわゆる「匠の技」が発揮できる場面です。マンションの場合はそもそも防音性の担保や共有部分でもある外観の統一等で、建材の仕様が決められている場合も多く、個別のマンションに出入りの業者が一括で大量に建材を仕入れるなどして、個別対応せざるを得ない私たちにはコスト面で不利な面があります。
 それでも、お客様の個別のニーズに対応する無垢の木の自然素材リフォームは得意とするところなので、ぜひお問い合わせください。

間仕切りは入れるよりも外す方が難しい

 大きな空間に間仕切りを入れて2つの部屋に分けることは、出入口の確保さえできればそれほど難しいことではありませんが、逆に二つの部屋の一つに広げる方が難しいのが本音です。壁をはがしてみたら耐震壁だった、筋交いが入っていた……ということが往々にしてあるからです。建物にとっては、たとえそれが間仕切り壁であっても(耐震壁でなくても)、壁が増える方が強度は増すので、安全面では強化されると言えます。
 リビングを広くしたいから……とのご要望で、壁を外したこともあります。とはいえ、構造上の強度を落とすことはぜったいにできません。壁を抜いても柱だけは残す、筋交いや火打ちなどを入れて見通しは確保しつつ強度は保つ、というような形で、お客様と一つひとつ確認をとりながらご要望に近づけるようにしています。

部屋に間仕切りを入れる場合

 1月は年の初めということもあり、リフォームについてのコラムは1カ月お休みといたしました。今月より再開します。住みながらの中規模リフォームについての続きからです。
 新築したときは小さかったお子さんが成長して、大きめにつくっていた子ども室に間仕切りを入れて部屋を区切る。これまで大丸で何軒も手がけている事例です。元々、間仕切りを入れやすいよう、出入口分のスペースを確保したり、柱を真ん中に置いたりしているので、大丸で新築した家であればとてもやりやすいです。
 間仕切り用の壁は耐震壁とは違うので、簡易なものでも大丈夫です(極端に言えば襖やカーテンでもいいくらいです)。実際は石膏ボードを張ることが多いでしょうか。床と壁にちょっとしたフレームをつくり、下地材を置き、そこにボードを立てて釘などでしっかり留めます。耐震壁ではないですが、人間が寄りかかっても平気なくらいの強度は担保できていますので、安心してお使いいただけます(ボードであれば、壁に画鋲で絵などを張っても平気です)。

「稲城」に根ざしながら多摩全体を見る

 大丸建設の所在地は東京都稲城市大丸です(だから大丸建設です)。稲城市は多摩丘陵の南部、多摩川沿いに位置し、東京都で言えば町田市に次ぐ南部、神奈川県に隣接しています。ある意味、辺境とも言える地域です。
 私たち安田家は調布市に住居を構えています。私自身は現在、狛江市に住んでいます。地元といえば稲城も調布も同じような感覚で、活動範囲は稲城市、調布市、府中市、多摩市、町田市、川崎市、狛江市、国分寺市や三鷹市、八王子市、世田谷区、横浜市など多岐にわたります。行政区だけで区切るのは難しいと感じています。
 主要幹線道路でいえば鶴川街道や川崎街道、流域でいえば多摩川、地形で言えば多摩丘陵、そのように行政区にしばられず、「多摩に根ざして」のキャッチフレーズで事業を展開していきたいと思っています。
 私たち大丸建設の技術力を必要としてくださるお客様はたくさんいらっしゃると信じています。一つひとつの出会いを大切に、次世代につなげていきたいと考えています。

兄に期待していること。

 私の兄・常務取締役の安田博昭は、私の手の回らない情報発信や広報の分野を主に担っています。兄は調布市の小学校でPTA会長を務めてきました。PTAの仕事はボランティアにも関わらず、兄は一生懸命会合に出て、学校と保護者、地域をつなぐ活動をしてきました。
 私は建築業界のイベントや勉強会など、どちらかと言えば同業者との付き合いの方が多いのですが、兄の場合、同業はもとより、地域密着での活動ができています。異業種とのつながりは私よりも多いのではないかと思います。
 ぜひ、兄には地域での顔と信頼を生かし、営業面で私をサポートしてほしいと思っています。私にはできないことで、兄にしかできないことがたくさんあるのですから。

木工フェスタを復活します!

 近年、現場の忙しさにかまけてしまい、お客様同志の大切な交流の場でもあった木工フェスタを開催できずにいました。兄でもある常務の息子が小学校1年生、娘が就学前から始めたイベント。今では彼らもすっかり大きくなりました。学校の友達を連れてきて、子どもたちが「木のおもちゃって自分でつくれるんだ!」と体験し、お父さんやお母さんは自らが思い描いたスツールやベンチ、本棚をつくり、その方々がいつしか私たちのお客様になり……。OBのお客様と見学中のお客様が、大丸の木の家の暮らし心地について話し合ったり、大工がつくってくれた仕口や継手を見て技術力に感心してくださったり……。お客様同士の貴重な交流の場であったのと当時に、大工、職人たちと私たちのコミュニケーションの大切な機会でもあったと、いまになってその意味を感じています。
 木工フェスタは、単なる啓発やイベントではない、大丸建設にとって大切な要であると気づきました。今年はぜひ復活させて、今後継続して、地域の方々に本物の木にふれていただく機会を提供しようと思っています。

プラスを生かしてマイナスを減らす

 私の強みでもある「現場で培った感覚と技術を見抜く目」は、それ自体が大丸建設の強みと言えると思います。
 大丸建設は、施工技術で言えばどの工務店にも負けないほどの技があると自負しています。明治初期の創業以来140年続く「匠の技」という言葉を正真正銘受け継いでいると言えます。
 今、大丸建設の現場の中心になっている若き棟梁は私と同世代。熟練の棟梁の元に学び、現場感覚を身につけ、今なおたゆまぬ努力で技術の研鑽に勤しんでいます。他にも、若くて有能な大工が入ってきて、今後も長く大丸の家づくりは安泰です。
 現場監督、そして棟梁は、建築現場で多数の職人さんをまとめる親分とも言えます。職人一人ひとりの個性、持ち味、技術力を正確に把握し、現場監督との報告・連絡・相談を重ね、生きた自然素材を適材適所で生かしながら、お客様にご満足のいく素晴らしい住まいをつくってゆく。一人ではできない仕事で、仲間づくり、コミュニケーションが大切です。
 今年はそこも強化していきたいと思っています。

私と会社の強み、そして弱み

 会社の強みを生かしていくこと、弱みを克服していくことは、どちらも大切です。ウィークポイントから目をそらさずにきちんと見つめ、認めたうえで、得意分野を伸ばしていくような経営方針を今年は描いていきたいと思っています。
 私の強みは現場で培った技術と建築の知識、技能だと思います。
 一方で、「設計・デザイン」は苦手分野です。建築家の設計した家や、お客様がデザインに強いこだわりがありお客様主導でつくった家で素晴らしいデザインの住まいもありますが、基本的にはオーソドックスな間取り(大空間のLDK+和室、水回りと、寝室、広い子ども室)の「大丸スタイル」に落ち着いてしまいます。
 設計・デザインはセンスがものを言うのですが、私は決してその分野は得意ではありません。得意なのは、職人集団をまとめあげ、誰にも負けない施工技術で安心・安全な住まいをつくること。逆に、設計はセンスのよい方にお願いすれば、素晴らしいデザインと堅牢で美しい住まいが両立できます。今後は少しずつ協働の方向性を模索していきたいと思います。

これまでも、これからも変わらず「家業」。

 大丸建設は明治初期に天才宮大工と呼ばれた初代から140年の歴史を数える工務店です。2代目は大正時代に名建築と謳われた木造建築物を多く手がけてきました。3代目で本格的に創業、企業としての大丸建設の礎を築きました。現社長で5代目、代々、家族で受け継いできた「家業」です。
 父である現社長も古希を迎えました。まだまだ現役で活躍していますが、父を楽させてやりたい気持ちもどこかにあります。また、私には兄がいて、私が現場で忙しい分、会社の情報発信や、「チルチンびと『地域主義工務店』の会」での学びの場に出て最新のエコ住宅の知見を学んでくるなど、助けてもらっています。
 兄の子どもたちは幼いころから大丸木工フェスタで見事な木工作品を作り上げるなど、根っからの大丸魂を受け継いでいます。兄を支える兄嫁、そして父を支え私たちを育ててくれた明るく闊達な母など、家族あっての私を最近よく感じています。
 社員にも家族がいて、みんな、それぞれの生活を支えています。社員がやりがいをもって、その家族が私たちの仕事に誇りをもってくれるような、そんな会社をつくり上げていきたいと思っています。