第3回 資材高騰③大切な「確かめる」こと

家づくりに使う材料は、その種類によって、調達のルートが少しずつ違います。木材は、長くお付き合いをしている産地や材木屋さんから。それ以外の建材や住宅設備、金物類は、多くの場合、メーカーや問屋さん経由で仕入れています。

以前は、必要な部材を発注すれば、ほぼ予定通りに揃ってくるのが当たり前でした。しかし今は、その問屋さんに「これ、いま入りますか」と一つひとつ確認しなければ、あるかないかさえ見えてこない場面が増えています。

特に手こずっているのが、ユニットバスやトイレをはじめとした住宅設備の納期です。納期そのものが出てこないことも、もはや珍しくありません。大丸建設で今進めている現場は、早い段階で発注をかけて確保できていますが、この先の現場については、その都度仕入れ先と相談しながら、見通しを立てるしかないのが実情です。

家づくりの中で、当たり前に流れていた仕入れの仕組みが、うまく成り立たない。中東情勢や大きな災害などによって、当たり前は簡単にひっくり返ってしまいます。私たちはそんな状況を何度か経験しているので、今回も「またか」という感覚で、日々、仕入れ先とのやり取りを重ねています。

一見遠回りに見える「聞く」「確かめる」という地味な作業が、今のような時期には、現場を支えるいちばん確かな手段になっていると感じます。

第1回 資材高騰①「塗料」問題は他人事ではない

家づくりに使う塗料は、ふだんあまり話題にのぼらない部材かもしれません。けれども、外壁、木部、室内の建具、屋根材まで、住まいの仕上がりを最後に決めていく大切な役割を担っています。色合いや艶のひと刷毛で、家全体の印象は大きく変わります。

その塗料が、ここに来て少しずつ入りにくくなってきています。今のところ、進行中の現場には支障なく回せていますが、頼みにしている材料問屋さんがいつ動けなくなるかは、正直なところ見通せていません。日々状況が変わるなかで、手探りで仕入れの段取りを組んでいる、というのが現場の実感です。「次に入れたいときに入る保証がない」という前提で動かざるをえません。

塗料が止まれば、最後の仕上げ工程が止まります。住まいの引渡しは、内装や設備が整い、最後の塗装まで終わってはじめて、ご家族の暮らしが始まります。

最近ニュースでよく見る、お菓子のパッケージが無色になったりデザインが変わったりする状況は、よその業界の話ではありません。建築業界ほど深刻とも言えます。

先月のブログでもお伝えしましたが、資材の状況は、ひと月の間にも変わっていきます。今月は、現場のもう少し奥のほうで起きていることや、メーカー品の値上げなど、少し話題を広げてお伝えしていきたいと考えています。

第8回 住んでから続いていく家づくり

家は完成した瞬間が終わりではありません。むしろ、そこからが本当の始まりです。

住み始めてから気づくこと、使いながら調整していく部分、時間とともに変化する素材の表情。これらを含めて、住まいは完成していきます。

自然素材である無垢材は、家が経ってからも呼吸をしていて、夏は周りの湿度を吸ってややふくらみ、逆に冬は乾燥します。冬に「パン」と音を立てることがあるので、それを知らないお客様からご連絡がくることがありますが、木の性質をお伝えすると安心して、むしろその変化を楽しんでくださいます。

さらに、メンテナンスや相談といった関係も続いていきます。何かあったときに相談できる存在があるかどうかは、暮らしの安心に直結します。お客さまの住まいをつくった私たちは、お客さまに次いでその家のことを知っている存在です。「住まいの主治医」として、困ったときにいつでも駆けつけられる存在でありたい。

 

家づくりは一度きりの出来事ではなく、長い時間をかけて続いていくものです。その時間に寄り添うことが、私たちの役割だと考えています。

住まいは、暮らしとともに育っていくものです。その過程に関わり続けられることが、私たち大丸建設の喜びであり、誇りだと感じています。

 

第7回 大工の仕事が家をつくる時間

家づくりの中で、最も長く現場に関わるのが大工です。上棟(家の骨組みである柱や梁を組み上げること)から造作、仕上げまで、日々現場に入り、建物の形をつくっていきます。

 

大工の仕事は、単に図面通りに組み立てることではありません。現場の状況に応じて判断し、微調整を行いながら進めていきます。

例えば、1本1本の木の木目を見て、どのように張り合わせれば美しい床になるのか。木は自然素材なので、一つひとつ表情が異なります。色合いや木目、板目が経年変化していくのを見越して、心地よく張り合わせていきます。

そうした積み重ねが、最終的な仕上がりに大きく影響します。

現在は大工不足が大きな課題となっていますが、それ以上に感じるのは、経験と技術の重みです。時間をかけて身につけた技術は、一朝一夕では代替できません。だからこそ大丸建設では常用大工を大切にし、家族の一員のように長くお付き合いをしています。

家の品質は、大工の仕事の質に大きく左右されます。その意味で、現場で過ごすこの時間は、家づくりの核心と言えるかもしれません。

第6回 基礎工事から見える家の品質

家の品質は、完成してからでは見えにくい部分で決まることが多くあります。大丸建設の住まいは、むしろそこが真骨頂と言えます。その代表が基礎工事です。

 

基礎は建物を支える最も重要な部分であり、施工の精度がそのまま建物全体に影響します。配筋の組み方やコンクリートの打設など、一つひとつの工程が丁寧に行われているかどうかが重要です。地盤との関係性、建物や周辺環境の湿度や風通しなど、「強さ」だけでなく「温熱環境」にもつながってくる重要なポイントです。

基礎工事の工程は完成後に隠れてしまうため、一般には見えません。しかし、だからこそ現場では特に注意を払う必要があります。信頼できる基礎工事屋さんと連携して、私たちもしっかりと現場に立ち会うようにしています。

見えない部分にどれだけ手をかけているか。それが、長く安心して住める家かどうかの分かれ目になります。

基礎工事は地味な作業ですが、家づくりの根本を支える重要な時間だと感じています。

第5回 着工前に整えておくべき準備

実際に設計が終わって、着工に移ると、いよいよ「家づくり」が本格化します。

 

工事が始まる前の準備は、家づくりの中でも非常に重要な工程です。見えない部分が多いだけに軽視されがちですが、この段階でどれだけ整理されているかが、その後の現場に大きく影響します。

 

地盤の確認、配管の計画、工程の調整など、着工前に決めておくべきことは多くあります。これらが曖昧なまま進むと、現場での手戻りや無理な工程につながります。

特に最近は人手不足の影響もあり、現場の段取りがより重要になっています。無理のない工程を組むことで、品質と安全性の両方を確保することができます。工期が無駄に延びると、結果としてコストにも影響します。いかにスムーズに工事が進行するかを調整するのが現場監督の役目です。

家づくりは「始まってから考える」のではなく、「始まる前に整える」ことが大切です。見えない準備の積み重ねが、施工中の信頼と完成後の安心につながります。

第4回  間取りより大切にしたいこと

家づくりの相談で最も多いのが「間取り」や「デザイン」に関する話です。ただ、長く住んでいただくことを考えると、間取りだけで住み心地が決まるわけではありません。

たとえば、光の入り方や風の抜け方、素材の質感、温熱環境。こうした要素が組み合わさって、日々の暮らしの快適さが変わってきます。

間取りは目に見える部分ですが、それ以外の要素は完成してから実感されることが多いものです。そのため、計画段階でどこまで意識できるかが重要になります。

断熱性能を高めるために素材に適した断熱材を選ぶこと、堅牢で地震に強い住まいにするために構造計算をしっかりすること。こうした住まいの性能面は、表側には見えてこないものです。大丸建設では、デザインをよく見せるために柱を減らして見た目を優先する、という選択はしていません。見た目や使い勝手だけでなく、「長く暮らせるかどうか」という視点で考える。これが大丸建設の家づくりでは欠かせないポイントです。

 

間取りは大切ですが、それだけにとらわれず、住まい全体のバランスを見ていくことが必要だと感じています。

第3回  敷地を読むことから始まる設計

家づくりというと、まず間取りを考えるイメージがありますが、実際にはその前にやるべきことがあります。それが「敷地を読む」という作業です。

大丸建設では、自社設計の場合、契約前であっても土地探しに同行させていただくことがあります。そのくらい土地選びは大切で、立地条件や地盤は住まいづくりにとても重要な要素になるからです。

同じ広さの土地でも、日当たり、風の通り、周辺環境はすべて異なります。道路との関係や高低差、隣家との距離感なども含めて、その場所ごとに条件は変わります。

こうした要素を丁寧に見ていくことで、その土地に合った家のあり方が見えてきます。逆に、敷地の特性を無視して間取りを優先すると、住んでからの違和感につながることもあります。

設計は机の上だけで完結するものではありません。現地に立ち、空気を感じ、周囲の環境を読み取る。その積み重ねが、住み心地に直結します。

家は単独で存在するものではなく、周囲の環境とともに成り立つものです。敷地を読むことは、その第一歩だと考えています。

第8回 自然素材の家づくりが求められる時代へ

住まいの価値が変化している今、住宅の性能や耐久性だけでなく、「素材」そのものが生活の質に与える影響が注目されています。とくに環境や健康への意識が高まる中で、自然素材を使った住宅のニーズは依然として高いと感じています。

自然素材は単なる装飾ではありません。木材の調湿性、脱炭素といった環境側面、そして肌にふれたときの感触や香りが、暮らしに豊かさをもたらします。

都市部と比べて空気や緑の近い多摩の暮らしだからこそ、自然素材の家は理にかなった選択肢として受け入れられやすいと感じています。植栽を含めた敷地全体の環境づくりや、木材の調湿性・断熱性は、四季の変化が大きい日本でこそ、その心地よさが大きな価値になるのではないでしょうか。大丸建設は、地域の気候や暮らし方を踏まえた自然素材住宅を、これからも誠実にお届けしていきたいと思っています。

第7回 多摩地方だからこその価格的優位性

最近、都心と郊外の住宅価格差を示すデータを見る機会が増えました。23区など東京都心では地価や建物価格が高騰しており、住宅用地の価格が㎡あたり数十万円から百万円を超えるエリアも珍しくありません。都心部のマンションの市場価格は1戸あたり1億円を超え、これに対して、多摩地域など東京の郊外部では同じ規模の住宅用地でも、都心の約半分の価格で取得できるケースが多いという比較もあります。

稲城市をはじめとした多摩エリアの地価も、23区と比べると落ち着いた水準です。

この価格的な優位性は、単なる「安さ」ではなく、 暮らしの質とのバランスに直結します。同じ価格でも、マンションではなく庭付きの戸建て住宅を得られる可能性が生まれます。もちろん、都心の利便性には及びませんが、郊外だからこそ得られる「ゆとり」は見えない価値として大きいのではないでしょうか。
大丸建設の現場でも、こうした価格の差が「家づくりの選択肢」を広げているという実感があります。暮らしの基盤としての価値を大切にしながら、地域特性を活かした住まいづくりを、これからも丁寧に進めていきたいと考えています。