仕上がりのよさを選ぶならやっぱりプロに

DIYは気軽に楽しめるものですが、仕上がりをよくするならば、やはりプロに頼む方がおすすめです。左官壁を塗る場合は、素人でやるとどうしても厚ぼったくなってしまったり、隅角部や桟の際の仕上げがピシッと決まらずにはみ出してしまうなど、精緻な美しさを求めるのはどうしても難しくなります。

また、棚などのDIYも、地震などの災害を考えると、下地に設置できるような技術が必要になりますし、きちんと釘が刺さるかどうかも含めて、できればプロに頼む方が賢明です。自分で持ち運びできるような小さめの棚であれば、DIYでも十分に楽しむことができます。

「造作」の魅力は、なんといっても、自分の思い通りの棚や家具をつくれることです。棚の幅や高さのピッチも自由自在ですし、ペイントだって自分の好みに仕上げることができます。DIYの延長として楽しむもよし、プロと一緒に自分で手を動かすのもよし、工夫次第でどこまでもオリジナリティを楽しめます。私たち大丸建設も、DIYのアドバイスもできるので、お気軽にご相談ください。

[写真:会社HP事例紹介より「壁のない土間の家」]

DIYで楽しむこともできる

昨今の社会情勢で巣ごもり需要が増すなかで、住まいを快適にしたいと、DIYを楽しむ人が増えているように感じます。壁に漆喰を塗る、オープンラックを自作する、洗面所の鏡をお気に入りのものに付け替えるなど、玄人顔負けの技術を持った方もいて、私たちも驚くくらいです。

DIYする時に気をつけたいのは、壁に何かを取り付ける時に、下地を意識することです。木造住宅ならば、胴縁や石膏ボードがある場所でなければ、棚やラックなどを取り付けることはできません。マンションなどの鉄筋コンクリート造の場合は、下地の場所探しは難航します。ホームセンター等で「下地どこ太」という石膏ボード用の下地探しが売っており、安価で手に入るので、こうした便利グッズを活用するのもよいでしょう。

収納家具全盛期からミニマリストへ

日本で「収納」という概念が生まれたのは比較的最近で、主に布団をしまう目的の「押入」と、衣類をしまう「箪笥」があります。そのうち、食器を片付ける食器棚、本を置く本棚などが登場し、部屋にさまざまな収納家具があふれるようになったのは、意外にも戦後のことです。

押入れに加えて収納家具が増え、生活面積を圧迫するようになって、近年流行したワードが「片付け」「断捨離」「ミニマリスト」です。本当に必要なモノだけを厳選してシンプルに暮らそうというメッセージに、モノにあふれた現代社会で共感が広がっています。

大丸のお客様でも、最近、箪笥や食器棚といった「家具」をなくして、カウンター収納にしたり、ウォークインクローゼットで家具を置かない家庭も増えています。そんな時に、大工技術による「造作」で、細やかなニーズに対応できるのが大丸建設の強みです。

押入れ、収納の歴史

日本で「収納」という概念が登場したのは、おそらく明治時代になってからで、比較的最近のことです。文化財として公開されている古民家を見学しても、床の間や仏間はあるものの、押入れは見当たらず、衣類などは箪笥(たんす)に入れたり、衣紋掛け(えもんかけ)に着物を掛けるなどして収納していたことがわかります。

江戸時代まで綿入の布団は高級品で、一般庶民の生活とはかけ離れたものでした。畳で寝られるのはまだいい方で、藁の上に寝る庶民が多数だったことを考えると、衣類や布団など、たくさんのモノをしまう必要がそもそもなかったのかもしれません。

着物を入れられる箪笥も、庶民にとっては高級品。そもそも、着物自体を何着も持つことがなかった江戸時代までを考えると、押入れが登場して布団や衣類を収納する環境になったことが、豊かさの象徴なのかもしれません。

畳のサイズは地域によって異なる

日本の住まいは「尺貫法」という寸法で計算することが多いのですが、もっともイメージしやすいのが畳のサイズで、だいたい半間を1モジュールとして、半間の畳×2枚で、長幅が一間の畳が1枚、という計算になります。新築住宅やマンションの折込チラシでは、部屋の大きさを示す基準として、今でも「*畳(あるいは*J)」という形で表示されることが多いです。それだけ、日本人の空間認識に「畳」が影響していることがわかります。

その畳、実は地域によってサイズが微妙に異なります。

・関東地方では「江戸間」(1760mm×880mm)

・主に愛知県を中心とした中京地域や、一部近畿、四国地方などで使われている「中京間」(1820mm×910mm)

・関西以西で使われることの多い「京間」(1910mm×955mm)

ほかに、戦後に公団住宅などで広がった「団地間」(1700mm×850mm)

があり、同じ「*畳間」でもずいぶん広さが異なることがわかります。

[写真:会社HPの事例紹介より「木材をふんだんに使った自然素材の家」]

日本の住まいづくりの単位

造作家具から少し話は脱線します。前回、「押入れ」の寸法についてお話ししましたが、そもそも日本独自の家づくりの単位として「寸」「尺」「間」というものがあります。日本古来の寸法でもある「尺貫法(しゃっかんほう)」という単位で、例えば押入れの幅を「一間(けん)」というように、「寸(すん)」「尺(しゃく)」「間(けん)」と呼ぶ単位が今なお住まいづくりでは残っています。

「寸」は3.03cm(約3cm)で、柱は3寸5分(約10.5cm)とか4寸(約12cm)という言い方をよくします。ちなみに昔話に出てくる一寸法師は、身長が3cmほどの小さな男の子、ということでした。

一尺は一寸の10倍で約30.3cmです。そして、押入れや建具の幅でよく見聞きするのが一間(けん)という単位です。一間は一尺の6倍で、約181.8cmですが、現代ではだいたい180cmくらい、半間は90cm程度で、押入れは一間、半間、という言い方をされます。畳の大きさも、だいたい半間×2枚で、長幅が一間、短幅が半間と覚えておくと、だいたい合っています。

押入れからクローゼットに。

昔ながらの日本家屋の収納といえば「押入れ」で、どの家でもだいたい寸法は決まっています。1間(けん)は幅が約180cm。奥行きは80cm前後で、柱なども含めると90cmくらいの深さになっています。上下2段に分かれていることが多く、それを2枚引き戸で開け閉めします。押入れの高さは180cmくらいで、そのうえに高さ30cmほどの天袋があることも多いです。押入れは奥行きが深いので収納量が多く、布団もすっぽり入るのが魅力です。洋服をバーにかけるならば、2本バーを並べて奥にも洋服を架けることもできます。一方、奥行きが深すぎるため、奥のものを取り出しづらかったり、湿気がたまってカビやダニなどが発生する懸念もあります。

押入れからクローゼットに変わったのは、ライフスタイルの変化と、「寸」「間」や「尺」の単位を基本とした日本家屋のあり方が変わってきたからです。日本独自の間合いや寸法を使わなくなり、収納のサイズ感や発想も自由になってきたことから、クローゼットのあり方も自由に変化してきました。

工務店は収納も「造作」に対応しています!

今、空前の「お片付け」ブームで、自分らしい収納がほしい、と憧れている方も多いのではないでしょうか。今は組み立て式の家具や、拡張性の高いものなどがたくさん市販されており、センチ単位でオーダーできるものもあるため、インテリア本や雑誌などで情報を集めては、あれこれ思いをめぐらせるのも楽しいものですね。

私たち大工工務店の強みは、「造作家具」をつくれることです。造作とは、柱や梁など、主要な構造物以外の内装を「つくる」ことで、その範囲は天井、床、階段、建具、鴨居、手すりから、建具のレールに至るまで幅広く、最近ではキッチンや洗面所の水回り、家具、時にはテーブルなども造作でつくることがあります。

家の内装に関わるものはほぼつくれるのが大工工務店の魅力。今月は、造作家具についてお話しします。

[写真:当社HP「大丸の事例紹介」より]