押入れ、収納の歴史

日本で「収納」という概念が登場したのは、おそらく明治時代になってからで、比較的最近のことです。文化財として公開されている古民家を見学しても、床の間や仏間はあるものの、押入れは見当たらず、衣類などは箪笥(たんす)に入れたり、衣紋掛け(えもんかけ)に着物を掛けるなどして収納していたことがわかります。

江戸時代まで綿入の布団は高級品で、一般庶民の生活とはかけ離れたものでした。畳で寝られるのはまだいい方で、藁の上に寝る庶民が多数だったことを考えると、衣類や布団など、たくさんのモノをしまう必要がそもそもなかったのかもしれません。

着物を入れられる箪笥も、庶民にとっては高級品。そもそも、着物自体を何着も持つことがなかった江戸時代までを考えると、押入れが登場して布団や衣類を収納する環境になったことが、豊かさの象徴なのかもしれません。

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