2026年03月23日(月)

第6回 変化の時代に、地域工務店ができること

技術を持った大工や職人の不足や、建築資材の高騰、気候変動による建築環境への影響など、建築業界は非常に厳しい風にさらされています。こうした状況の中で、私たちが価格だけで勝負するのは、正直難しくなっています。

大丸建設が大切にしたいのは、多摩地域での暮らしを前提に、環境に調和しながら、無理のない家づくりを継続していくことです。建築工程の一つひとつを吟味し、見積の根拠をお客さまに丁寧に説明するなかで、暮らしの価値観に即して優先順位をつけていくことで、メリハリのある家づくりができるようになると信じています。


大工不足の推計や労務単価の上昇は、先の話ではなく、すでに始まっている現実です。
だからこそ、私たちは誠実に、地に足をつけて家づくりを進めていきます。派手なことはできませんが、数を追うよりも質を高め、短期の利益よりも長期の信頼を重ねていきます。地域の工務店の役割は、そこにあると思っています。

2026年03月20日(金)

第5回 ストックの時代に高まるリノベーション人気

新築住宅の着工棟数が減少するなかで、これから確実に重みが増すのがリノベーションです。国交省も、既存住宅流通・リフォーム市場の活性化を重要課題として位置づけています住まいを「直して長く使う」ことは、これからの暮らしの現実的な選択肢になっていきます。
ただしリノベーションをして住まうには、新築以上に“目利き”であることと、丁寧な調査が必要です。既存の躯体の状態、断熱・耐震、配管や設備の耐久性など、見えないところほどしっかりとした調査が求められます。だからこそ地域の工務店として、建物の履歴を読み、無理のない計画を立てることが大切です。

既存住宅を活かしながら、断熱・耐震・設備更新を行い、現代の暮らしに合わせて再構築する。リノベーションは今後、住宅市場の重要な柱になっていくはずです。

特に多摩地域では、築20年、30年の住宅が増え、構造はしっかりしているものの、断熱性や省エネ性など、性能面がこの気候危機時代に合わなくなっている家が増えてきています。

新築か、リノベかといった判断軸ではなく、住まい手が暮らしの中で何を重要視するのかで、提案できる内容が変わってきます。私たちは、その判断材料を丁寧に提示する立場でありたいと考えています。

 

2026年03月18日(水)

第4回 新築戸建て住宅のニーズと変化

新築戸建て住宅のニーズは、量だけで見れば総戸数の減少はすでに始まっていますが、全体需要が消えるわけではありません。
求められているのは、「より安心して暮らせる家」です。私たちの現場でも、断熱性能の高い住まい、耐震・耐久性を重視した設計、ひろがりと可変性のある間取りへのニーズが高まっています。

総じて見ると、新築ではあっても、単に新しいものを求めるわけではなく、暮らしの質を高めたいという価値観の変化を感じます。

新築を選ぶ理由には、長く住まううえで将来への安全性の担保や、光熱費の高騰に左右されず、温熱環境に優れた空間での健康で快適な暮らしへの切望があるのではないでしょうか。
着工棟数が減る時代だからこそ、家を一軒建てるごとに、お客さまが求めている本質的なニーズと、その背景をしっかり読み取りながら進める必要があります。

2026年03月16日(月)

第3回 これからの住宅市場はどうなる?

国内の住宅市場全体を見渡すと、新築住宅着工数は長期的に減少傾向にあるという推計があります。これは人口減少や住宅ストック(中古住宅)の増加、ライフスタイルの変化など、さまざまな要因がありますが、一方で、住宅市場はまったく停滞しているわけではありません。

新築住宅の着工棟数の減少に比して、リノベーションや省エネ改修への関心や需要は高まっていると言えます。情報の流通が多様化したことで、リノベーションの可能性が広がり、「選択肢の多様化」の波も確実に訪れていると言えます。

これからは、新築偏重主義ではなく、比較的安価に既存住宅をアップデートして、そのぶん暮らしの質を高める価値観が広がっていくことと思います。
「家は暮らしを整え、人生を育む場所である」という視点を忘れずに、これからの市場の傾向を読み解き、お客さまのニーズに応えられるように準備を進めていきたいと考えます。

2026年03月14日(土)

第2回 建築材料価格の変動と現場のリアル

先月は、大工不足に直面している問題についてふれましたが、建築材料の価格も、ここ数年で波が大きくなっています。
世界的な資源の価格が高騰し、サプライチェーンにも大きな影響が出ています。鉄鋼・セメント・木材・仕上げ材などの価格が大きく動いているなかで、この数年、特にコロナ禍を経て、建築の価格は大きく上昇したと言われています。

材料価格が変動すると、結果的に、お客さまの建築コストに跳ね返ってきてしまうため、その負担をおさえたいと思いつつも、赤字では工務店は続けられないので、見積の再検討や仕様の見直しが必要になります。
大丸建設は、国産材や、日本のメーカーの自然素材をメインで使っているので、世界的な価格の影響は比較的受けにくいのですが、一方で、資材不足に陥らないよう、産地やメーカーと強固な関係をつくる、といった努力を続けています。


「今だけの価格」でなく「長期的な価値」を見据えた家づくりに、産地やメーカーとの信頼関係を築くことは欠かせません。お客さまに対して誠実であるために、てねいな説明を尽くすことで、お客様からの信頼にもつながると考えています。

 

2026年03月12日(木)

第1回 地域から選ばれる工務店として

三月は、年度の終わりであり、新しい年度を迎えるにあたっての総括の時期です。卒業や入学、仕事が変わったり、新生活が始まったりと、お客さまの暮らしも変化するシーズンで、私たち建築に携わる者にとっても、この時期は納期を意識することが多く、忙しい日々を送っています。

ここ数年、建築業界を取り巻く環境は大きく変化しています。大工不足、労務費の上昇、材料価格の変動など、ニュースや統計の数字だけでなく、現場の空気として、それを日々感じています。価格が上昇するのに伴って、建築価格をただ上げればいいわけではなく、本当に必要なものは何かを考えるきっかけになります。

また、大工や職人など、技術を持った人の確保が難しくなっています。だからこそ、技術をどう守り伝えるかを真剣に考えざるをえません。
市場が変わるからこそ、私たちはなぜ地域に根ざしていくのか、その意味を問い直さなければなりません。東京都の郊外部、多摩地域という環境は、都心とは違う強みを持っています。土地のゆとり、自然との距離感、そして地域のつながり。その中で、大丸建設はいかに地域から選ばれる存在になっていくのか、ていねいな情報発信がこれからも求められると感じています。

 

2026年03月10日(火)

第4回 大工不足の行く末

技術を持つ大工を確保していくうえで、今後については、かなり厳しい見通しも出ています。国土交通省が2025年10月に発表した「住宅分野における建設技能者の持続的確保懇談会とりまとめ」の資料によると、大工就業者数が2035年に約15万人(2020年の約30万人から半減)という見込みが示されています。建設技能者数が今後減少し、「不足が深刻化する」という状況が目前に迫っています。
この、恒久的な大工不足に打つ手はないのでしょうか。

私たち大丸建設では、高い大工技術に評価を受け、ニーズが高まっている一方で、慢性的な人手不足に困っている状態が続いていますが、それでも常用大工がいて、長く働き続けてくれているのは、大工自身が「本物の木にふれる経験」を大切にしてくれているからです。

技術者の働き方を整え、段取りと生産性を上げ、育成を仕組みにし、地域の現場を守る。これは工務店の努力だけでなく、社会全体で取り組むべきテーマだと思います。
家は暮らしの土台です。その土台をつくる人がいなくなる未来だけは、なんとしても避けたい。そう思いながら、私たちは今日も現場に立っています。

2026年03月08日(日)

第3回 なぜ大工が足りなくなるのか

大工は、ただ人がいれば成り立つ仕事ではありません。木の性質を読み、納まりを考え、現場で判断し、仕上げに責任を持つ。現場での経験がそのまま品質になる世界です。
だからこそ「技術力のある大工」を確保するのは、さらに難しいと言えます。住宅業界では、一人親方の年齢構成は60歳以上が約半数ということで、若手の確保が困難な状況です。同時に「技術が継承されなくなっている」「教育する余裕がない」といった声が年代を問わず多いとされています。

若い大工を育てるには時間が必要です。しかし現場が忙しいほど、育成に割ける時間は十分にとれず、現場教育だけでは限界が出やすいのが実態です。また、社員大工の数が少なく、個人事業主として直接工務店等と契約を結ぶため、教育の仕組みを持ちにくいという課題も見えています。

 

技術者の不足は、単なる人数不足よりも、家づくりの根幹に響く問題だと感じています。

 

2026年02月13日(金)

第2回 なぜ大工が足りなくなるのか

大工不足の背景には、いくつもの要因が重なっています。いちばん大きいのは高齢化です。建設業は55歳以上の比率が高く、若い担い手が薄い構造が続いています。


もう一つは、「入り口」と「定着」です。若い人が入ってこない、入っても続かない。仕事の大変さだけでなく、現場の不規則さ、将来像の描きにくさも影響します。若い世代ほど「休みが少ない」「賃金が低い」といった就労環境の課題を挙げ、離職率が高いのが現状です。私のブログでも再三記載していますが、夏場の暑さも大きな要因ではないかと私は考えています。
加えて、2024年4月から建設業にも時間外労働の上限規制が本格適用されました。 これは労働環境を改善するうえでは必要なことと考えられますが、一方で、短期的には「限られた人手で段取りをより厳密にする」ことが求められます。
人が減る、若手が続かない、働き方は変わる。三つが同時に進むからこそ、現場はじわじわ厳しい環境になり、経営側としても打撃を受けています。

 

2026年02月11日(水)

第1回 建築業界全体が大工不足に直面

ここ数年、現場でいちばん実感するのが「大工が足りない」という事実です。大丸建設では幸い、常用の大工がいて、技術が受け継がれていますが、それにしても絶対数が足りません。これは大丸建設だけの話ではなく、全国の工務店が同じ悩みを抱えています。


数字で見ても状況ははっきりしています。住宅分野の資料では、大工は長期的に減少し、2020年時点で約20万人と“20年で半減”してしまいました。 さらに、大工の高齢化が進んでいます。建設業全体を見ても、就業者は1997年をピークに減り続け、2024年は477万人まで減少したというデータがあります。

 

つまり、現場が忙しいから足りないのではなく、働く人の“母数”が減り、ベテランが多く、若手が薄い。こうした社会的な構造のなかで、私たちは家を建てています。今の大工不足は「景気の波」ではなく、社会のかたちそのものが生んでいる問題だと感じます。