(4) 同じ針葉樹でも材によって特性が違う

日本で建築用材として主に使われているのはスギです。日本で大量に植えられていて、比較的安価に入手でき、流通経路もしっかりしているからです。ヒノキも多く使われています。

スギは、軽くて素直で加工しやすいのと、やわらかくて肌ざわりがいいこと、色が明るいので、壁材や床材などの内装材に使われます。真っ直ぐでくせがないので、柱や梁にも使われます。

ヒノキはスギよりも水に強いため、土台や水回りに使われます。水回りや土台には、シロアリなどの忌避成分を含むヒバや、油分(ヤニ)が多く含まれるアカマツなども使われます。

(3) 日本で計画的に植林されている針葉樹

日本で植林されているのは針葉樹です。真っ直ぐに伸び、広葉樹に比べて早く大きくなるので、計画的に生産するのに向いています。また、広葉樹よりも軽く、やわらかく、加工しやすいのが特徴です。

スギ、ヒノキ、カラマツ、アカマツなどの針葉樹は、日本で昔から計画的に植林されてきました。特にスギは、針葉樹の中でも軽くやわらかく、素直で加工しやすいので、スギの花粉症が国民病になるくらい、日本中に植えられています。

全国でも有名なスギの産地はいくつもありますが、大丸建設では紀州・和歌山県の山長商店からスギを直送してもらっています。ほかにも、宮城県の栗駒山麓や、埼玉県の西川材、高知県の四万十川流域など、産地と直接のつながりがあります。

 

(2) 針葉樹と広葉樹の違い

木材には、いろんな種類があります。日本は世界有数の森林大国で、木の種類はざっくりと、針葉樹と広葉樹に大別されます。

針葉樹と広葉樹の大きな違いは、こちらも読んで字の如し、葉っぱの形です。針葉樹の葉っぱは針のような形をしていて、チクチクします。広葉樹の葉は、薄く平べったくて、いわゆる「葉っぱ」の形はこちらの方が連想しやすいかもしれません。

樹形も異なり、針葉樹は天に向かって真っ直ぐに伸びるのが特徴です。一方、広葉樹は枝を広く広げて、丸くこんもりとした樹形になります。

針葉樹は広葉樹に比べて早く成長するため、材としても軽く加工しやすくなります。広葉樹は成長がゆっくりで、細胞の組織が複雑で、緻密に重くなります。

(1)「適材適所」を知ると、木の住まいはもっと心地よい

今年の夏は暑くなりそうですね。

梅雨が近づき、ここ数日、蒸し暑い日が続いていますが、こんな時こそ、無垢材の心地よさを実感します。

先月は、自然素材や無垢材のお手入れ方法や、経年美化という考え方についてお話ししました。今月は、木の持つ特性・特質について、詳しくお伝えしていきます。

「適材適所」という言葉があります。辞書でひくと、その人の才能や能力に応じて、適した任務や役割を与えること、という意味合いで紹介されます。そもそもは、伝統的な日本建築において、その場所の適性に応じて、木材の使い分けをしていくという、まさに適「材」を適「所」に与える、という意味なのです。

(8) 昔ながらの掃除方法を見直してみる

今は、使い捨てのお掃除ワイパーや、シュッと吹きかけるだけで汚れを落とせるスプレー、強力な吸引力を持つ掃除機や、お掃除ロボットなど、便利な掃除道具がたくさんあります。こうしたものは、家事を効率化し、私たちの暮らしを便利にしてくれました。しかし、家族で家にいる時間が長くなると、その「当たり前」を見つめ直し、掃除そのものを「楽しむ」マインドが必要になってくるかもしれません。

玄関を整えることで自分を見つめ直す。雑巾で床を磨くことで体を動かし、床が艶を増していく姿を日々感じる。自分と家の距離が近いほど、住まいに対する発見が増えていきます。季節によって木材の表情や温度感が変わること、光の当たり方や風の通り方を感じ、主体的に住まいをよくしていこうという気持ちにつながります。

ぜひ、ご家族で、「お家時間」に家のお手入れを楽しんでください。きっと新たな発見があるはずです。

(7) ワックスがけに挑戦しよう!

家時間が長くなるこの機会に、思い切って床のワックスがけをしよう!というのも、いいチャンスかもしれませんね。そもそも、床は、汚れやすく傷つきやすい場所です。椅子を引いたり、物を動かしたり、落としたり。お子さんがいたずら書きをしてしまうかもしれません。ワックスがけは、床を傷から保護し、汚れにくくするために、ぜひやっておきたいものです。艶が出ることでお掃除も楽になります。

 

お子さんが小さい家は、お子さんの顔は床から近いため、なるべく化学薬品を使わない、自然素材のワックスを使うようにしてください。米ぬかや蜜蝋を原料にしたナチュラルなものだと安心ですね。無垢材はもともと、多孔質なものです。ワックスで「孔」の蓋をしてしまうと、せっかくの調湿性が失われます。自然素材のワックスは多孔性を生かしながら、艶を出すことができるのもポイントです。

(6) 米ぬかで床をスペシャルケア!

ご自宅が無垢の杉板の床材の方は、ぜひ「米ぬか」を掃除に取り入れてみてください。米ぬかをさらしなどの袋に入れて、しっかりと縫い合わせたものを、床磨きに使います。昔、田舎の古民家などでは、おばあちゃんが米ぬか袋を掃除に使っており、磨き込まれた床がピカピカに光っていた、という記憶をお持ちの方もいるかもしれませんね。

米ぬかには適度な油分があり、それが自然とワックスの代わりになっていました。既製品のワックスのように、一度塗ればピカピカになるというわけではありませんが、時間を重ねるごとに風合いを増す床は、まさに自分で育てていく感覚ですね。

米ぬかは自然素材のワックスにも使われる素材です。家でぬかが手に入る人は、ぜひ試してみてください。

(5) 無垢材の床は磨くほど応えてくれる

杉の無垢材の床は、お手入れのしがいがあります。

お手入れ方法といっても、特に難しいことはなく、雑巾がけをすることくらいです。雑巾を固く絞って、ていねいに床を拭くことを積み重ねていくと、時間が経つほどに床が飴色に輝いてきます。手を大きく動かして雑巾がけをすると、二の腕のシェイプアップにもつながるという話を聞きました。

フローリング建材などは、完成したその時が最高に美しく、あとは経年劣化していくものになりますが、自然素材は手入れをするほど「経年美化」していきます。無垢材の杉床のお宅は、お手入れをするほど美しくなり応えてくれるので、きっと楽しくなりますよ。

(4) 杉は多孔質で調湿性が高い

大丸建設では、新築の家では無垢の杉材を床板として使うことが多いです。無垢の杉はやわらかく、肌ざわりがよくて、温かみがあります。それは単に自然素材だからというだけでなく、杉の持つ特性にあります。

木材は微細な細胞からなる自然素材ですが、杉はその中でも特に微細な「孔(穴)」が多くある「多孔質」な特徴を持っています。周囲の湿度が高い時には、この「孔」が水分を吸って、逆に周囲が乾燥している時には杉自身が蓄えた水分を吐き出します。まるで呼吸しているようですね。

室内に一部でも無垢の杉があると、調湿性能が働き、心地よく過ごすことができます。木材の持つやわらかな雰囲気、香りが、癒しをもたらしてくれます。床がベストですが、腰壁や、木工教室でつくったベンチなどでも、その効果を感じることができるはずですよ。

 

(3) 玄関、靴を整えることの大切さ。

少林寺では、作務(掃除)の前に、もっと大切なことがあります。

道場の履物を整理する「脚下照顧(きゃっかしょうこ)」という教えです。

これは、単に履物を整える、道場の入り口をきれいにする、礼節のためだけのものではありません。足元を整えるということは、自分の足元を見ることにつながり、さらには自分自身を見つめることにもなる、という深い教えです。

玄関とは、家族が外から帰ってきて最初に足を踏み入れる場でもあります。玄関がどういう姿であるかは、その家の暮らしやあり方そのものとも言えそうです。靴を揃える、玄関を整えることが、自分自身、家族自身を照らすことにもなるという、少林寺の教えを、ぜひこの機会に皆さんの暮らしにも取り入れてみてください。