日本の住まいづくりの単位

造作家具から少し話は脱線します。前回、「押入れ」の寸法についてお話ししましたが、そもそも日本独自の家づくりの単位として「寸」「尺」「間」というものがあります。日本古来の寸法でもある「尺貫法(しゃっかんほう)」という単位で、例えば押入れの幅を「一間(けん)」というように、「寸(すん)」「尺(しゃく)」「間(けん)」と呼ぶ単位が今なお住まいづくりでは残っています。

「寸」は3.03cm(約3cm)で、柱は3寸5分(約10.5cm)とか4寸(約12cm)という言い方をよくします。ちなみに昔話に出てくる一寸法師は、身長が3cmほどの小さな男の子、ということでした。

一尺は一寸の10倍で約30.3cmです。そして、押入れや建具の幅でよく見聞きするのが一間(けん)という単位です。一間は一尺の6倍で、約181.8cmですが、現代ではだいたい180cmくらい、半間は90cm程度で、押入れは一間、半間、という言い方をされます。畳の大きさも、だいたい半間×2枚で、長幅が一間、短幅が半間と覚えておくと、だいたい合っています。

押入れからクローゼットに。

昔ながらの日本家屋の収納といえば「押入れ」で、どの家でもだいたい寸法は決まっています。1間(けん)は幅が約180cm。奥行きは80cm前後で、柱なども含めると90cmくらいの深さになっています。上下2段に分かれていることが多く、それを2枚引き戸で開け閉めします。押入れの高さは180cmくらいで、そのうえに高さ30cmほどの天袋があることも多いです。押入れは奥行きが深いので収納量が多く、布団もすっぽり入るのが魅力です。洋服をバーにかけるならば、2本バーを並べて奥にも洋服を架けることもできます。一方、奥行きが深すぎるため、奥のものを取り出しづらかったり、湿気がたまってカビやダニなどが発生する懸念もあります。

押入れからクローゼットに変わったのは、ライフスタイルの変化と、「寸」「間」や「尺」の単位を基本とした日本家屋のあり方が変わってきたからです。日本独自の間合いや寸法を使わなくなり、収納のサイズ感や発想も自由になってきたことから、クローゼットのあり方も自由に変化してきました。

工務店は収納も「造作」に対応しています!

今、空前の「お片付け」ブームで、自分らしい収納がほしい、と憧れている方も多いのではないでしょうか。今は組み立て式の家具や、拡張性の高いものなどがたくさん市販されており、センチ単位でオーダーできるものもあるため、インテリア本や雑誌などで情報を集めては、あれこれ思いをめぐらせるのも楽しいものですね。

私たち大工工務店の強みは、「造作家具」をつくれることです。造作とは、柱や梁など、主要な構造物以外の内装を「つくる」ことで、その範囲は天井、床、階段、建具、鴨居、手すりから、建具のレールに至るまで幅広く、最近ではキッチンや洗面所の水回り、家具、時にはテーブルなども造作でつくることがあります。

家の内装に関わるものはほぼつくれるのが大工工務店の魅力。今月は、造作家具についてお話しします。

[写真:当社HP「大丸の事例紹介」より]

(8) 自然の光も「照明」として考えよう

朝、太陽の光を浴びて体を動かすと、心身がすっきりしませんか? 太陽の光を浴びることで、脳から分泌される睡眠ホルモンの一種「セロトニン」の分泌量が増えて、心身が活性化します。セロトニンは精神の安定やリラックスにつながる、別名「幸せホルモン」とも言われる物質です。日照時間の少ない冬季や、悪天候が続くと、なんとなく元気がなくなる……というのも、ホルモンに関係しています。

セロトニンは睡眠ホルモン「メラトニン」の原料にもなります。メラトニンは夜に分泌されるのですが、夜なかなか寝付けなかったり、夜中に何度も目がさめるのは、メラトニンが不足していることが原因です。朝のうちにしっかり太陽の光を浴びることで、セロトニンが分泌され、それが原料となって夜はメラトニンが働きます。しっかりと睡眠をとることで、体が休まり、睡眠と覚醒のリズムが整います。

照明計画でも、メラトニンの生成に影響しますので、できるだけ寝る部屋は明るくしすぎない、寝る直前はリラックスするなど心がけることで、メリハリの効いた生活リズムになります。

心身と光(照明)はつながっていることを考え、照明計画に生かしていただければと思います。

 

(7) 太陽の光も重要な「照明」

照明と日光は、切っても切り離せない関係です。日が明るいときには室内で照明をつける必要はなく、一方で光が強すぎる場合はカーテンなどで遮光しなければなりません。日の光がたくさん入る家は住んでいて気持ちよく、太陽の光をいかに室内に取り入れていくかという空間設計と照明計画は、切っても切り離せない関係です。

日中、屋外にいるときには、太陽光を浴びて過ごすので、目はそこで見た光の状態に慣れており、逆に室内に入ったときには、屋外とのギャップが大きすぎないように、自然な明るさの光で過ごせることも大切です。

一方で、人がぐっすり眠るためには、夜間に明るい光を浴びすぎないことも大事で、寝る数時間前はほの暗い明かりの中でゆったりと過ごすことで、スムーズな入眠につながります。スマートフォンからの光も睡眠に影響しますので、寝る前はなるべくスマホを見ないといった工夫も必要です。

(6) 時代の主流はLEDに

経済産業省は消費電力量の多い家電に対して、最もエネルギー効率のすぐれた製品を基準として、各メーカーが省エネ開発を進めていくように促す「トップランナー制度」を講じています。2019年にはLED電球もトップランナー制度の対象になり、より省エネ性能を高めていこうとしています。

白熱球はフィラメントを発熱させることによって光を放つので、熱が出るということは消費電力量が高く、省エネという観点からは不利な電球です。白熱球をLEDに切り替えようというキャンペーンがいっせいに行われたこともあり、交換は進んでいますが、一方でやわらかく温かな光が好きであるというファンや、アンティークのランプを楽しむ愛好家などからは残念であるという声が聞かれていました。

白熱球は製造「禁止」にはなっていないので、今でも販売は続いていますが、時代の流れは省エネが主流で、入手が困難になりつつあります。

音楽の流通がレコードからCD、そして配信に移り変わっていきましたが、レコードが今でも愛好家に愛されているように、白熱球の明かりも趣味的に残っていくのではないでしょうか。

 

 

(5) 明るさの単位「ルーメン」

LEDの電球が主流になった今、明るさを表す単位として「ルーメン(lm)」が用いられるようになりました。白熱球が主流の頃は「ワット(W)」という単位で表現されていた明るさですが、いったい何が違うのでしょうか?

ルーメンとは、LED電球の明るさを示す単位で、「光束(こうそく)」とも言います。光源から光が放たれる量を表しています。ちなみに、光が当たった先の物理的な明るさは「照度(ルクス)」という単位で表されます。

ワットは、実は明るさの単位ではなく、消費電力量で、白熱電球を使っていた時代は、消費電力量が大きくなるほど明るくなる、という意味で、ワット数が明るさの指標になっていました。LED電球は消費電力量が小さいのでワット数で明るさを表現するのは適していません。

今はまだ「明るさ」の基準としてワットの方がイメージしやすい方もいらっしゃいますが、いずれその感覚も変わってくるかもしれませんね。

 

[参照:「電球屋.JP」より]

(4) 電球の色はどう選ぶ?

電球を買うときに、どの色を選べばいいのか、迷ったことはありませんか? 一般に「電球色」「温白色」「白色」「昼白色」「昼光色」の5種類があるとされ、電球色は温かみのあるオレンジ色で、白色を中間とし、昼光色はやや青みがかった明るい色になります。「色温度」という言い方もあります。

部屋の用途によって、電球の色は変える方がよいでしょう。

例えば、電球色は温かみがあって、くつろいだり体を休めたりする部屋にぴったりで、リビングや寝室などに用います。昼光色は細かい文字や小さなものがよく見えるため、例えばオフィスや勉強部屋、裁縫をするなどのデスクスタンドライトに適しています。一方で、昼光色は細部まではっきり見えるため、目が疲れやすくなるという指摘もあり、寝室や、くつろぐリビングなどには使わない方がよいと言われています。

今は、シーリングライトで、明るさだけでなく色温度も調整できる機能もついているので、例えば勉強部屋と寝室を兼ねる子供室のようなところでは、調光式のライトを設置するのもよいでしょう。

 

(3) 電球の種類

照明の主役は電球。現在発売されているのは「白熱電球」「蛍光灯」「LED電球」の3種類があります。それぞれ特徴が異なります。

白熱電球は最も歴史が古く、フィラメントに電気を流して発熱させることで発光します。やわらかく温かみのある光が特徴で、白熱電球のあかりが好きだという根強いファンもいますが、電球の寿命が短く消費電力量も大きいため、「エコではない」ことから、現在ではインテリア性を高める以外の目的ではあまり使われなくなりました。

蛍光灯は、蛍光管の中の水銀が電気を通すことで紫外線が発生して発光します。クールな色合いの光が特徴で、白熱電球よりは寿命が長く消費電力量も少ないです。発光までに少し時間がかかるのが難点です。

LED電球はここ数年で一気に広がりました。発光ダイオードという半導体に電気を流すことで発光し、紫外線も熱も発生しないので、使用電力量もエネルギーのロスも少ないのが特徴です。強いて言えば導入時の価格が高いのが難点ですが、長寿命なので取り替えの心配がほとんどないとも言えます。

(2) 照明計画を考えるときには、ホテルを参考に。

照明計画と聞いても、なかなかピンとこない方は、「ホテルの照明」をイメージすると、多様な照明があることに気づくのではないでしょうか。ホテルは小さな空間に多様な用途があります。バスルーム・サニタリールームでは身だしなみを整え、ベッドではくつろぎ、体を休め、デスクでは仕事をすることもあるかもしれません。部屋全体が煌々と明るいのではなく、それぞれの場に適切な配置で照明が置かれています。

部屋全体はやわらかな明かりのダウンライトであることが多く、ベッドの脇にはやわらかな灯りのスタンドライトや、足元を照らすフットライトが配されています。デスクには手元を明るく照らすスタンドライトがあり、くつろぎのソファー脇には壁に光を当ててやわらかく反射させるブラケットライトがあります。一方、お化粧や身だしなみを整えるサニタリールームは明るい昼白色のライトであることが多いですね。

このように、ホテルの照明をイメージしながら、ご自宅の照明計画を考えると、イメージしやすいのではないかと思います。