URA 「地域主義建築家」宣言

住宅雑誌『チルチンびと』を発行する風土社の理念的な礎となっている、平良敬一先生の「地域主義建築家宣言」の草案をここに記載します。

 

かつての民家は日本列島の住人たちが気候風土と闘いながら、長い時間をかけて築いてきた住まいのかたちでした。

しかし、それは猛烈なスピードで変化し続ける技術や科学ばかりが尊重されるのと反比例して、軽視され捨てられ消失してきました。

私たちURA(Union of Regionalism Architects=地域主義建築家連合)は住む人の暮らしをイメージし、使い勝手や構造強度にすぐれた、美しく、心地よい住宅を、建主と工務店とともにつくる建築家集団です。

住宅が商品化される現代の風潮の中で、家をつくることを文化の一端ととらえ、土地の気候風土や先人たちが築いてきた伝統を尊重し、地球環境への配慮を怠らず、国産材、自然素材を使った、良質な家や美しい町並みを、地域で活動する工務店とともにつくっていきたいと考えます。

さらには、新しい家の在り方も柔軟にとらえる広い視野を持ち、知識と技術の工場に努力を惜しまず、「文化としての住宅」建築のために、時代を切り開く「美学」を養うことをめざします。

 

(『チルチンびと』92号/2017年 より)

大切なのは職人とのコミュニケーション

職人さんたちに「匠の技」を生かしてもらうために何よりも大切なのは、コミュニケーションです。お客様がどんな住まいに暮らしたいのか、そのためにこの設計であること、心地よい暮らしと住まいをつくっていく、という目標が共有されており、だからこの作業をやっているのだ、という実感を持てれば、自ずといい家をつくれることになります。

設計者はお客様の希望を形にして、現場監督に伝えます。往往にして変更なども行われるため、現場監督はその意図を正確に職人さんに伝えなければなりません。お客様と直接接することの少ない職人さんたちとお客様をつなげる要は、現場監督なのです。

職人さんが気持ちよく力を発揮できる現場は、いい家を生み出します。それが、私の考える「匠の技」です。

仕上がりのきれいさとは何か?

大丸建設の大工は腕がいい、それは自信を持って言い切ることができます。その「腕」はどこで見ればいいのでしょうか。一言でいうと「仕上がりのきれいさ」なのですが、それも、なかなか言葉で伝えるのは難しいです。

例えば、板を張るときに、きちんと木目が揃っていること。木目が揃っているのは当たり前のように思えますが、一つひとつ異なる木のなかで、木目の性質を見極めて揃えていくのは、意外と大変なことです。材のすべてに目を通して、それを実際に並べ合わせていく前に「木の上を向いているか下を向いているか」「赤身と白太のバランス」「板目の間隔」などを判断します。

木は材木になってからも生きているので、室内環境によって割れたり反ったりします。それも当たり前のこととして、将来を考えて配置することも大切です。

また、ほぞや溝などの切り込みがきれいかどうか、ケバが立っていないかなど、細かいおさまりにまで木を配るのが、一流の大工さんなのです。

おさまりの美しさ=大工の力量

現場がスムーズに進むためには、理想的には最初に図面上で仕様や設計がすべて決まっていて、図面さえみればすべて家づくりを進められる状態にあることです。材料がスムーズにそろい、図面をみればつくれる状態であれば、大工さんは気持ちよく仕事ができます。

気持ちよい仕事は、仕上がりのきれいさにもつながります。木が美しくおさまっていること(例えば、梁と柱の接合部に隙がないとか、床材の木目がきれいに揃っているのを、おさまりがいい、と言います)で、お客様は、なんとも言えない心地よさを住まいから感じることができます。

 

おさまりの美しさは、元々の素材(無垢材)がよいことが前提になります。大丸建設が使うのは主に、紀州(和歌山県)産の無垢材です。日本を代表する林業家・山長商店のもので、材の質がとても高いです。しかし、木材は一つとして同じものはなく、木目も異なりますし、節もあります。現場で大工さんが材料を見て判断し、組み合わせる力が、おさまりの美しさにつながります。

建築現場をスムーズに進めるために

大工さんが気持ちよく仕事をするためには、現場監督の手際よく、段取りをスムーズに仕事を進めることが大切です。材料の発注をスムーズにし、大工さんが現場で手を余らせないようにします。材料が届かず大工さんが現場で何もすることがない……という状況をつくらないようにします。

お客様と合意形成をしながら、ご要望に沿って進めるため、営業から適切に情報を聞き出し、大工さんに伝えていくのも現場監督の務めです。営業との連携がうまく進み、意思決定をスムーズで、気持ちよく現場が回っていく住まいは、いい家になりやすいです。

大工さんに対してもっとも気を使うポイントは、やり直しをさせないことです。大工さんは、つくったものに誇りと愛着があります。つくったものを壊すのはもっとも嫌なことで困ることでもあります。注文住宅の場合、お客様のご要望に合わせてつくるので、変更が当たり前なことは大工さんも承知済みですが、計画段階で変更するのと、すでにつくってから壊すのでは、気持ちのうえでも工期もコスト面でも、お客様、工務店、職人さんともに負担が大きいものです。

 

 

大丸建設の仕事は、大工工事の期間が長めです。

大丸建設で家を新築する時の工期は、だいたい半年間(6カ月)いただいています。そのうち、大工さんの仕事の期間は約3カ月です。比較したことがないので正確には言えませんが、おそらく大工工事の期間が長いのではないかと思います。大工さんの工期は、木材使用率によって変わります。大丸の家は、木材使用率がとても高いです。構造材はもちろん、床、壁、天井、建具なども無垢材であることがほとんどなので、大工さんが腕をふるう場面がとても多いのです。

新築工事では、最初に地盤調査をして、基礎づくり、地鎮祭で約1カ月。その後上棟式から大工工事が始まり約3カ月。設備などの仕上げ工事で約1カ月。工期は最短で5カ月くらいです。天候などの変動要素で工期が伸びる場合もあるので、新築の工期は約半年、とお客様にお伝えしています。

「匠の技」を支えるために工務店がしていること。

匠の技=大工の技術とすると、大工さんが家づくりで存分に力を発揮できるようにするのが工務店の役割です。特に大工さんと直接的に接するのが、現場監督です。木工事が始まると、現場監督はほぼ毎日現場に通い、大工さんと顔を合わせて、現場の仕様などを確認します。

大工さんが木工事をする=家のフレームや内装をつくることなしに、水道や電気工事などの設備屋さんが入ることはありません。いつごろまでにどんな作業を進めるのかを大工さんに確認し、そのうえで、設備屋さんや左官屋さん、建具屋さんなど、ほかの職人さんが工事に入る日程を調整し、スムーズに工事全体が進んでいくよう調整するのが、現場監督の役割です。

「匠の技」=「大工の技術」

大丸建設の創業者は明治初期に天才宮大工と言われた石黒善太郎です。2代目は高級木造住宅を専門とする建築家で、大正時代には名建築と言われた数々の有名邸宅を手がけました。

3代目が昭和初期に「建築業」としての会社の母体を築き、戦後に会社組織になりました。その後今に至るまで、私たち自身が大工として鑿(のみ)や鎚(つち)などの道具を使いこなすのではなく、家をつくる数々の業種をコーディネートする「工務店」という役割になりました。

5代目の私の父は長年「現場監督」をしていました。私も入社してから専務になるまでは現場監督です。現場監督は大工さんの身近で家づくりの指示を出し、各種職人さんのスケジュール管理や発注を手がけます。

「匠の技」の近くで、大工さんが力を発揮できるようにサポートするのが私たちの役目です。

大丸建設の強みは「匠の技」です。

大丸建設の強みは「匠の技」です。こうは書いてみたものの、では、「匠の技」とはなんなのか、技術とは目に見えて表現できるものなのか? そんなことをスタッフの間で話し合っていました。

「匠」とは、木工の分野で手仕事の技術に優れた職人を指し、特に「大工」を示すものといいます(最近では料理など、別の分野でも使われるようですね)。

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「技」とは「技術」のことですね。

そうすると、大丸建設の強みは、現代風の言葉でいうと「大工の技術」と言い換えられます。

ペレットストーブで「木は3回働く」

私は、今後、なるべくペレットストーブを多くのお客様に広げたいと思っています。大丸建設は日本の木で家を建ててきた工務店です。山とつながり、産地直送で材を仕入れており、林業地の現状を見てきています。日本は世界有数の森林国で、特に杉や檜などの人工林は、適齢期の木を伐採して使い、また新たに植えて更新していかないと、山が荒れてしまいます。日本の木を使うことは、日本の環境を守ることにつながります。

私は、木は人間に対して3回働いてくれるものだと思っています。

1回目は、山にある時に、葉っぱが二酸化炭素を吸収して幹で固定し、酸素を出してくれることで、温室効果ガスを削減します。

2回目は、建材として家になることで、人々の暮らしを支えます。

そして3回目は、燃料としてはらたきます。捨てられてしまう端材や樹皮は、ペレットストーブの燃料として再生され、暖房に使われます。

こうしたサイクルで、木は人のために3回役立ってくれます。

大丸建設は、木材だけでなく、燃料としての木の力を伝え広げていきたいと思っています。