少数精鋭の時代に思うこと。

私が会社に入って20年以上が経ちますが、今、社員の体制は最もコンパクトではないかと思います。以前は、前社長、私に加えて、現場監督が2名、設計・営業が2名と、事務方もいて、会社の規模に比して大所帯だったように思います。

少子高齢化、人口減少の時代において、新築住宅の着工棟数は右肩下がりになり、大丸建設も数年前は、新築の着工棟数が大きく減っていた時期もありました。最近は、広報の強化や建築家とのコラボレーションが実を結び、お問い合わせが止まらない嬉しい悲鳴をあげています。

会長には引き続き、社員を温かく見守りサポートしてもらう役割を期待していますが、実質的に現場は私、雨宮、山崎の3人でまわしていく形になります。少数精鋭ですが、スキルが高く経験豊富な3人なので、お互いの強みを生かし、苦手を補いながら、助け合って仕事を進めていこうと思います。

少数精鋭でいい仕事をきっちり回していく。今、ようやく大丸建設として理想の形で仕事ができているように思います。

 

社員の自発性を大切にしたい。

私が専務の時代から、常々言っていたこととして、社員には「自分で考え、自分で学び、自分で提案する、そんな自主性を大切にしてほしい」ということです。

例えば、一級建築士の資格を取得したければ、大いに学んでほしいと思っています。今は、建築士だけでなく、省エネや福祉環境など、建築に関わる資格はたくさんあります。それらを学び、資格を取得する過程において学んだことは、すぐに現場に生かすことができます。

私自身は、匠の会やチルチンびと「地域主義工務店」の会に入会し、そこで学び交流することで、同じ志をもったたくさんの工務店仲間ができました。こうした機会にも積極的に出かけてほしいと思っています。

企画やパートでも、学べることはたくさんあります。写真研修、SNS研修、さまざまな学びの機会にあふれており、自らの提案でそれらを学ぶことは、私は大歓迎です。大丸建設の理念を広く発信していくことも大切な仕事で、直接的に建築に関わること以外でも、積極的に学んでほしいと思っています。

 

スタッフとのコミュニケーションを綿密に。

この4月に、会社にホワイトボードを導入しました。私と、現場監督の雨宮、山崎が、現場の状況を共有するためのものです。個人で仕事を抱えずにみんなで情報を共有する、という環境を整えるために、まずは「情報の見える化」に取り組みました。

今はスマートフォンなどで便利に情報交換ができる時代。ウィズコロナの時代にあって、ますますオンラインでの交流が進んでいます。会社も出社せずにリモートで仕事を済ませられる時代になりました。しかし、工務店稼業は現場に出てこそで、大工さんや職人さんがどのように材をおさめたのか、サイズの取り合いをどう調整しているのか、現場で起こっていることの一つひとつを、細かく、的確に判断していかなければなりません。例えばメッセンジャーツールに送られてきた写真などで状況を把握することもできますが、やはり社員と顔をみて話すのが一番の情報共有だと感じています。

ホワイトボードはアナログな情報伝達手法ですが、「会社で」やりとりをできる、というのがいいなと思っています。

 

大丸建設、社員の今。

大丸建設は現在、社長である私・安田佳正を中心に、現場監督の雨宮和幸、同じく現場監督と営業でもある山崎力の3人が主力となって動いています。5代目の安田昭は、代表取締役会長としてこれからも社員の精神的支柱でいてくれることと期待しています。社長の座を交代して、少しホッとしたのでしょうか、これまでもやさしい人ではありましたが、まるで好々爺のように、ニコニコと穏やかに働いています。

昨年まで、大丸建設の設計・営業として長年勤めてくれていた田上純子は、定年を越えても住まいづくりの第一線で活躍してくれましたが、今年、円満に退社し、今は余生をゆったり楽しんでいるようです。田上のさわやかで温かい接客を、これから男3人で引き継いでいくことになるので、お客さまにホッとしていただけるよう、誠意をもって務めてまいります。

経理の高野、パートの川上と、遠隔で活躍してくれている坂本の3人の女性パートスタッフも含めて、大丸建設は変わりなくアットホームな会社でありたいと思います。

 

[写真:2020年1月のブログより。

左から山崎、社長(安田佳正)、会長(安田昭)、雨宮、田上]

温かいメッセージをありがとうございます。

2021年4月をもって、株式会社大丸建設の代表取締役社長に就任しました。お客様や取引先の皆様から、たいへん温かいメッセージを頂戴し、とてもうれしく思っています。古くからのお客様には「おめでとうございます」と言っていただけて、またご請求書やお見積書の代表者の名前をみて気づいてくださった新しいお客様もいます。こうしたお言葉をいただくにつれ、私としても「大丸建設の6代目として、先代たちに恥じない仕事をしていこう」と、決意を新たにしています。

社員たちも、私への呼びかけが「専務」から「社長」に変わり、お互いにまだ慣れずにぎこちないところもありますが(笑)、「社長」と呼ばれるたびに、会社を背負っていく責任を感じます。立場や肩書きが仕事をつくる、それを実感し、仕事の励みになっています。

これからも、お客様に喜んでいただけて、地球にも、地域にも、よい住まいをつくっていきますので、どうぞよろしくお願いします。

代表取締役社長として、新たな挑戦を。

今月は、大丸建設の歴史を振り返りながら、未来を展望しました。6代目として、代表取締役社長として、大丸建設の新しい未来をつくっていきます。今まで代々受け継いできた伝統や社是を大切にしながらも、新しいことにも挑戦していきたいと思います。

一つは、地域に根ざした工務店として、地域貢献をしていくこと。この10年ほど、会社でお客様や地域の方向けに木工フェスタやDIY教室、カフェなど、さまざまな挑戦をしてきました。コロナ禍において、地域にますます目が向けられている今、例えば耐震診断や防災など、地域工務店としてできる地域貢献を果たしていきたいと思います。

もう一つは、自然環境、地球環境を守り伝えていくこと。地球温暖化や異常気象など、私たちをとりまく環境は激変しています。住まいは人の命を守るものでもあり、環境と共存しながら、日本の木材を持続可能な形で使い循環させ、建築業を通じて環境貢献をしていきます。

多摩に根ざして150年――。株式会社大丸建設の代表取締役社長として、家業の6代目を継ぐ立場として、私、安田佳正は、「自然素材の、安心・安全な住まい」をこれからもつくり続けていきます。

[写真:木工イベントにて]

~おなまえハンコ(イベントにて)~

~木のストラップ(イベントにて)~

6代目を受け継ぐことになりました

私、安田佳正は、大丸建設の6代目社長として、2021年4月に代表取締役に就任することになりました。明治初期創業の大丸建設を受け継ぎ、これからもお客さまの「ハウスドクター」として、3代100年住み続けられる住まいをつくっていきたいと思います。今まで大丸建設が建てさせていただいたお客様の家を、長くメンテナンスし続ける、それが、先代からずっと続く大丸建設の社是です。そして、工務店業を通して、大工や職人の「匠の技」と、日本の木造住宅の建築技術を未来に伝えていきます。家業だけではなく、木造建築に関わるさまざまな業界、日本の林業、環境を守り、伝統技術を伝えていけるよう、精進していきます。

工務店が長く続いていくこと。それは、自社だけのことではなく、地域経済、伝統文化、木材産業など、あらゆることにつながっていくと思います。その要諦を自分なりに受け止めて、精進していくつもりです。

5代目社長・安田昭について

大丸建設の5代目社長、安田昭は、私の父で、幼い頃から私に背中を見せてくれました。私が大学卒業後に大丸建設に入社してからは、父と子という関係ではなく、社長と社員という関係性のなかで過ごしました。手取り足取り、工務店経営を学んだ、というわけではありません。どちらかというと「自分の心と体で学びなさい」という方針だったのか、なぜか若いうちから現場に放り込まれ、自分で大工さんや職人さん、お客さんと接するなかで、工務店の仕事とは何かを体得していったように思います。

今になってわかるのは、私が一人で現場に入るなかで、父がいろいろと裏方でフォローしてくれたのだと思います。昔の職人さんは、職人気質というか、頑固な人が多く、若造が何か言ってもその通りには動いてくれないもので(笑)、父が裏でそっと支えながら、私に経験を与えてくれていたのだと、今になってわかります。私も、現場で職人さんたちに負けないよう、知識と経験を身につけようと、必死で勉強しました。それが今の私をつくっていると思います。

[ 写真:完成した家のお施主様と、五代目社長 安田 昭(右) ]

大工・職人に対する憧れ

私は、家業が工務店だったこともあり、幼い頃から父に連れられて建築現場に出て、大工さんや職人さんが働く背中を見て育ちました。玄能(金槌)、ノコギリ、カンナやノミで木を刻み、切り、組み立ててものをつくっていく大工さんの姿に憧れを抱き、いつか自分もこのようになりたい、と思っていました。

その気持ちは大人になっても変わらず、建築の道に進むのは当たり前のことのように、大学時代は土木を専攻し、さらにその先、木造建築を習得するために、2年間建築の専門学校に通い、一級建築士の資格を取りました。大丸建設に入社して、現場監督として経験を積みながら、専門学校では講師も務めました。私が今でも、理論と実践の両立を目指すのは、この頃の経験が大きいかもしれません。今では、省エネ、耐震など、建築に関するさまざまな資格を取得しましたが、現場で生かせてこその知識だと思っています。

不易と流行

大丸建設の建てる住まいは、決して派手ではなく、素朴で、温かみのある、等身大の家だと思います。これまで自社設計で、耐震性や素材の安全性を担保しながら、お客様の夢や希望を図面におこして、安心・安全な家づくりを進めてきました。

ここ数年は、積極的に建築家とご一緒し、デザイン性の高い住まいの施工を手がけることが増えています。建築雑誌『チルチンびと』などのネットワークを通じ、自然素材を使うこと、家づくりへの理念に共感し、信頼できる建築家との仕事は、私たちにとっても大きな学びになっています。

150年にわたる家業の歴史のなかで、宮大工として匠の技を競い名を馳せていた時期、戦後に建築業として規模を拡大した時期、新建材を使った時期、そして自然素材に原点回帰した時期……さまざまなことがありました。それでも変わらない、私たちの中心は「木を使うこと、匠の技を受け継ぐこと、地域に根差すこと、お客様と長くお付き合いしていくこと」です。会社としての軸をしっかりと持ち、これからも長くお客さまに信頼される工務店でありたいと願っています。

[写真=2020年完成 / 設計:ことこと設計室]