伝統的建築物の美 (4)屋根にも注目したい

伝統建築物において、檜は柱や梁などの構造材として優れていますが、もう一つ、屋根材にも用いられる材料でもあります。

「檜皮葺(ひわだぶき)」という屋根をご存知ですか。読んで字の如く、「檜の皮で葺いた屋根」のことです。檜皮葺は、法隆寺が建築されたころの飛鳥時代に広まった技法と言われています。神社仏閣など、格式の高い建築物に使われていたといいます。

檜皮葺の屋根をつくるには、樹齢100年以上の檜から檜の皮を採取する、採取した皮を整え、厚みをそろえて、使用する部位に合わせて形状を整えるそうです。檜の皮を立木からむいて採取する技法も、樹木自体には影響しないような技法で、皮がむかれた樹木はその後建築用材として使えるとのことです。

檜皮葺の屋根の国宝は日本全国に数多く、出雲大社や厳島神社、北野天満宮、清水寺など、日本を代表する伝統建築物に用いられています。

伝統的建築物の美 (3)高級建築材の「檜」

「檜舞台」という言葉は江戸時代にはすでに認知されていたと思われますが、それだけ檜は、重要な建築物に用いられていた高級材であったことがわかります。現代でも能楽堂には檜が使われています。かつて能などの伝統芸能は野外の能楽堂で行われていたので、耐久性、耐水性、耐候性が高く、かつ素直で加工しやすい檜が建築用材として使われていたことがうかがい知れます。

檜が使われている代表的な重要建築物は、世界最古の木造建築でもある奈良県の法隆寺。1300年も前に建てられた法隆寺は、その6割以上が建設当初の檜材で、修復しながらも建築当時のものが残っているそうです。

日本の社寺建築の多くは、檜材が使われています。檜の木は伐採後に強度が増します。日本は地震や台風など天災が多いなかで、数百年にわたって風雨に耐えることができるのは、檜をはじめとした適材適所の建築様式が伝えられてきたからではないでしょうか。社寺建築を見る時に、ここは何材が使われているのか? と予想するのもおもしろいのではないかと思います。

伝統的建築物の美 (2) なぜ「檜舞台」なのか?

福岡県福岡市の大濠公園能楽堂は、耐震工事や座席のリニューアルのため、1年をかけて大規模改修工事を行なっていました。リニューアルオープンは2022年1月。それ以前もコロナ禍において公演中止などが重なっていたそうです。大丸建設のリモートスタッフのSさんご家族も、大濠公園能楽堂の舞台にあがるまで、長い時間がかかりました。

念願叶っての舞台は、まさに「檜舞台」。大濠公園能楽堂の舞台にも、無節の檜の柱が使われています。現代の能楽堂は、安土桃山時代に完成された舞台建築様式で、元々は野外に設置されていたものです。野外の建築物に使われる建築用材は、風雨に耐え、かつ虫害などに対する耐久性が高い必要があります。檜は耐水性、耐光性にすぐれ、防虫性も高いため、昔から野外の重要な建築物には重宝されてきました。檜独特の上品な色合いや、新築材の高貴な香り、節が少なく素直な木目なども、高級建築材として認められる所以でしょう。

檜は昔から高級木材として知られていたので、幕府が公認した伝統芸能の舞台にのみ使用することが許されていたと言います。誰でも檜舞台に上がれるわけではない、一流の証なのです。

伝統的建築物の美 (1) 能楽堂からの便り

大丸建設には建築現場で働くスタッフの他に、広報企画をサポートするパートスタッフが2名います。うち1名のSさんはご家族の転勤で大丸建設から離れた福岡県福岡市に引っ越しましたが、転居後もリモートワークで大丸建設を支えてくれています。Sさんはイベントや長期休暇時には二人のお子さんを連れて出勤することもあり、子どもたちが会社にくると社内の雰囲気が明るくなったものです。

そんなSさんから、先日可愛らしい写真とともに、メッセージが届きました。狂言を習っているお子さんが、福岡市の大濠公園能楽堂で舞台を経験したという写真が添えられていました。衣装を身にまとった姿に歓声がわいたのはもちろんですが、大丸スタッフの間で話題になったのが、能楽堂の建築様式。無節の檜の柱や、鏡面のように磨き上げられた床、橋など、能舞台独特の建築様式に目が奪われました。

住まいの水対策(8) これからの季節、注意が必要

給排水管のトラブルは、生活から起こることと、外的影響から発生することと、両側面があります。排水の場合は、髪の毛や食べかすなどの掃除をこまめにする、パイプの詰まり取りの薬剤配布といった家庭でのメンテナンスや、定期的に業者を呼んで高圧洗浄を行うことも有効な対策です。

こうした、生活上でできることもありますが、地震や台風といった災害や気象災害によって配管トラブルが起こることもあり得ます。地震による大きな力で配管に亀裂が入る、台風や豪雨災害で大きな力が加わり配管に影響する、あるいは急な寒さで配水管が凍結して割れてしまう、などのケースです。

人為的なトラブルと、外的要因によるトラブル、どちらも起こり得るのが配管トラブルです。いずれにせよ水のトラブルは、住まいにとって緊急度も優先度も高い案件ですので、困った時にはすぐに「ハウスドクター」(=かかりつけ工務店)にご相談ください。

住まいの水対策(7) マンションの排水トラブルは大掛かりになる

マンションで排水トラブルが起こると、階下の住宅に影響が及ぶ場合があります。特に古い団地など、築年数が長い共同住宅は、排水管自体が劣化していたり、鉄管の内側がサビで腐食していたりと、個人の専有部分のみならず、共用部分でも配管トラブルを抱えていることがあります。しかし、キッチン、トイレ、洗面所、お風呂場、洗濯機といった個人の生活排水からのトラブルが階下に影響した場合は、個人での弁償が必要になるため、注意が必要です。

例えば、お風呂場の髪の毛の詰まりを放置したまま排水管から水漏れを起こしてしまった場合や、洗濯バンの糸くずの詰まりなどで、階下の住宅のサニタリールームやお風呂場に水漏れが起こることがあります。水漏れが起こった時に階下の住宅が留守の場合、さらにその下まで水漏れが進み、被害範囲が拡大し、階下の住宅の家財等に影響があった時には弁償が必要となることもあります。

排水トラブルにより階下からの訴訟や、全面リフォームを余儀なくされるなど、影響が広範囲かつ高額に及ぶこともあるので、注意が必要です。

住まいの水対策(5) 給水管トラブルは管の劣化が原因

配管トラブルは目に見えないところで起こることがほとんどです。住まいにおいて配管で見えるところは、蛇口とシャワーのホースくらいではないでしょうか。ほとんどは壁や床下におさまっていて、トラブルがあってもすぐに目には見えません。トラブルに気づいた時には、壁や床下が水浸し……と、大惨事になっていることが多いのです。

給水トラブルの場合は、配管自体の劣化によって起こる亀裂が原因と考えられます。例えば寒冷地ではよく起こることで、給水管に残っていた水が凍結して膨張して破裂、というのはよくあるトラブルの一つです。また鉄管が錆びて腐食してしまうことによる水漏れもあります。給水管のトラブルが見つかった場合は、応急措置としてタオルで配管まわりの亀裂を覆う、断熱材を巻きつけるなどの対策をして、修理事業者が到着するまでしのぎます。

住まいの水対策(3) 水道管=給水管。排水管もある。

水道管とは、一般的には「給水管」といいます。水道=上水道から送られてくる水を運ぶ管のことで、キッチンや洗面所、お風呂などの蛇口から出てくる水を送ります。給水管にトラブルが起こると、水道のメーターでの利用料が増えてトラブル発見につながります。

もう一つ、住まいの水に関わる管に「排水管」があります。排水管は、キッチンやトイレ、お風呂などで使った後の水を下水道に流すためのものです。

昔の水道管といえば鉄管でできており、今でも、公園や古い共同住宅の屋外で、水道管に蛇口がついて、そこから草花の散水などに用いるのを見かけることがあるかもしれません。鉄管は経年劣化するとサビ水が出てしまい、健康影響をもたらすこともありました。そのため、この20年ほどで鉄管から塩ビ管に置き換わりが進みましたが、塩ビ管は冬季の凍結に弱く破裂の原因になることもあるため、最近ではさらに強度の高い強化ポリエチレンの管を用いることが増えています。

 

住まいの水対策(2) 水道管トラブルに気づくのは水道屋さん?

水道管は、住まいの中でも目に見えないところに配管されています。床下や壁に覆われて、軽微なトラブルの場合、気づかずに放置してしまうことがしばしまです。しかし、いったん水漏れをしてしまうと水は自然に止まることはないため、壁や床下から水が滲み出てしまった時には大惨事。壁や床下は水に濡れて大変なことになってしまいます。

目に見えないところのトラブルに気づくにはどうしたらいいのでしょうか? 水漏れの場合は、水道メーターの検診に来た方が、明らかに不在なのにメーターが回り続けているような場合や、前回の検診に比べて極端に使用量が多い時などに、「何かありましたか」と声をかけてくださることが多いです。そうして初めて、住まい手が水道管のトラブルに気づいて、工務店や水道工事店に相談が行くことになります。

一戸建ての場合は、天気がいいのに家の周りの庭の土がいつも濡れている、乾かないといった時に、住まい手自身が気づくこともあるようです。

住まいの水対策 (1) 梅雨時こそ、配管周りを見直そう

6月6日、気象庁は関東甲信地方が「梅雨入りしたとみられる」と発表しました。先週から天気がぐずつき、天気予報を見ると雨マークと雲マークが入り混じる日々。今年は台風の発生時期も早まっているようです。雨の季節が始まると、室内もジメジメして、カビやサビなどが気になりますね。

今月は雨の季節らしく、雨漏り、配管のメンテナンスなど、水回りを支える大切な配管についてお話しします。住宅に必ずある水道管やガス管ですが、その姿は目に見えないので、普段生活しているとなかなか気にかけないところですよね。しかし、水道管にトラブルがあると、家全体に大きく影響してしまうことも。壁の中が濡れてしまうと、家を支える柱や梁、土台が濡れて、カビや木材普及金の発生につながります。

屋根からの雨漏りも心配の一つ。トラブルがあったら早めに気付いてメンテナンスに結びつけられるようにしましょう。