伝統的建築物の美 (3)高級建築材の「檜」

「檜舞台」という言葉は江戸時代にはすでに認知されていたと思われますが、それだけ檜は、重要な建築物に用いられていた高級材であったことがわかります。現代でも能楽堂には檜が使われています。かつて能などの伝統芸能は野外の能楽堂で行われていたので、耐久性、耐水性、耐候性が高く、かつ素直で加工しやすい檜が建築用材として使われていたことがうかがい知れます。

檜が使われている代表的な重要建築物は、世界最古の木造建築でもある奈良県の法隆寺。1300年も前に建てられた法隆寺は、その6割以上が建設当初の檜材で、修復しながらも建築当時のものが残っているそうです。

日本の社寺建築の多くは、檜材が使われています。檜の木は伐採後に強度が増します。日本は地震や台風など天災が多いなかで、数百年にわたって風雨に耐えることができるのは、檜をはじめとした適材適所の建築様式が伝えられてきたからではないでしょうか。社寺建築を見る時に、ここは何材が使われているのか? と予想するのもおもしろいのではないかと思います。

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