省エネ最新事情(2) 「でんき予報」に注目

今年の夏にたびたび耳にするようになった「電力ひっ迫注意報/警報」。ここ数年で、地震や台風での大規模停電や、3月に起きた電力不足による停電といった、電気が使えなくなる事態が起こり、生活に不便をした方もいたのではないでしょうか。2011年の東日本大震災後に発生した大規模停電、計画停電で、電気を使えない暮らしの不便さをあらためて思い出したのと同時に、これだけIT化が進み、電気なしでは暮らせないことも痛感しました。それだけに、「電気が使えなくなる」ことを回避するためには、日本全体で使用するエネルギー量を減らしていく必要性を痛感しています。

電力ひっ迫注意報/警報は、翌日の電力供給のために必要な電力の余力が一定規模を下回る場合に発令されます(3〜5%の時は注意報、3%以下の時には警報)。企業や工場などの産業・業務部門はもとより、家庭での省エネを広く呼びかけ、節電効果によって解除されます。今夏は「てんき予報」とともに「でんき予報」にも注目した夏になりました。

省エネ最新事情(1) 電力が足りない夏

2022年6月末、観測史上最速の梅雨明けという報道に、驚いた方も多いのではないでしょうか。梅雨入りからわずか20日ほどの梅雨明け、しかもその日から連日猛暑日という状況に、「この夏はどうなってしまうのだろう……」と不安を抱いた方も少なくないはずです。天気予報では連日「猛暑」を警告するのと同時に、「電力ひっ迫注意報/警報」が発令され、「猛暑なのに、エアコンをつけるのがはばかられる」といった、暑さに命を脅かされる状況が訪れていたと言わざるをえません。

この電力ひっ迫がなぜ起こったのか。それは、石油や天然ガスといった化石燃料が高騰して輸入しづらくなっていること、ウクライナ戦争の影響で世界的にエネルギー危機に陥っているなど、複数の要因があります。いずれにせよ日本はエネルギー自給率が低い国なので、エネルギー源を輸入に頼るだけでは限界で、再生可能エネルギーと省エネルギーの両輪で脱炭素化を進めていかなければならないのは明白です。

伝統的建築物の美 (8)建築探訪で「見る目」を養う

今月は、福岡県の大濠公園能楽堂や、私の好きな京都・清水寺本堂舞台を引き合いに、伝統的建築物の美しさについて語りました。日本には数多くの社寺建築が残っており、その土地ならではの構造や屋根の形状が見られます。雪深い地域かどうか、湿度や台風の襲来回数、宗派などによっても特徴があり、一つの建築物を見るだけでも歴史や文化の様々な側面を学ぶことができます。

ぜひ、伝統的な建築物を見にいくときには、拝観時にいただくパンフレットをよく読み、できれば事前にホームページなどで予習していくと、建築に関するより深い知識が身につくのではないかと思います。一度勉強したことは、折にふれて思い出すことができるので、他の場所を見たときにも「あ、これは檜皮葺だな」とか、「伝統構法は釘を使っていないと聞いたな」などと、共通の目をもって見ることができるようになります。

大丸建設の創設者は、伝統構法を得意とする宮大工でした。私は、その血を受け継ぐ者として、日本の伝統的な家づくりを後世に伝えていきたいと思います。

 

 

伝統的建築物の美 (7)上品な檜の木肌

大丸建設では日常的には杉材を用いた家づくりをしています。杉は建築材の中では早く成長し(約50年)、素直でまっすぐ、やわらかいので加工しやすく、国内でも大量に生産されているので比較的安価に入手することができます。日本の杉材の乾燥・加工技術は高く、建築用材として使いやすい材です。

一方、檜は杉と同じく針葉樹でまっすぐ、加工しやすい性質は共通していますが、杉よりも成長に時間がかかることから高級材として知られ、「総檜造の家」となれば建築費用もかなり高くなります。そのため、一般の住宅では床柱などの家の顔となる部分や、土台や浴室まわりなどの耐水性を求められる一部分に使用するのにとどまります。

伝統的建築物では総檜造を感じることができます。檜の木肌は杉の健康的な明るい色合いよりも、一段階落ち着いたグレーやシルバーの光沢が感じられ、しっとりとした上品な雰囲気です。木目の流れも穏やかで緻密さを感じられます。

杉のよさ、檜のよさ、それぞれなので、ぜひみなさんも「木肌」について観察してみてはいかがでしょうか。

 

伝統的建築物の美 (6)伝統建築のおさまりに注目

私自身、伝統建築物を見る時に最も注目するのは、柱や梁の接合部やおさまりといった、構造的な部分です。現代の住宅では耐震性や合理性のために釘や金物で接合部を固定することがほとんどです(これは現代の構造計算上は致し方ないことで、金物を使うことを否定しているわけではありません)。

伝統建築物では金物は使わず、貫(ぬき)や「ほぞ」といった、金物を使わず凹凸を組み合わせる、木の板をかませることで木を接合する、といった構法が用いられます。

伝統構法では、木目の流れや季節によって収縮と拡張を繰り返す木の持つ性質を最大限に生かし、木を組み合わせることによって釘や金物を使わずに済みます。金物は湿気によって錆びたり劣化するため、貴重な木材を再利用していくためにも使用しないという選択をしていたのかもしれません。耐震性においても、木組の家は地震の衝撃をやわらかく受け止めて分散させることができ、高級な社寺建築が今も残るのはこのような木の性質を最大限に生かした技術によるものだとうかがえます。

伝統的建築物の美 (5)清水寺の壮麗さ

私は旅行などで伝統的建築物を見るのが好きです。特に好きなのは、京都の清水寺で、京都に出張で行けば必ず立ち寄るほど、これまでに10回以上見に行っています。

清水寺は「清水の舞台から飛び降りる」という言葉で知られます。清水寺の本堂の舞台は国宝、世界文化遺産に指定され、舞台にかかる屋根は「入母屋造」という、上部が切妻になっており、四方に久屋根をつけた造りになっています。

清水の舞台が迫り出した高さは約13メートル。およそ4階建ての高さになり、下から見上げても、上から見下ろしても、大迫力の高さです。そして、驚くべきことに、この清水寺本堂舞台は伝統構法でつくられており、いわゆる金物(釘など)は使われていないことが特徴です。18本の欅(けやき)の柱を傾斜に合わせて並べ、縦横に「貫(ぬき)」と呼ばれる欅の厚板を通して接合している「懸(かけ)造り」という構法です。

なお、清水寺の舞台の床は「檜」で、まさにこちらも「檜舞台」です。

伝統的建築物の美 (4)屋根にも注目したい

伝統建築物において、檜は柱や梁などの構造材として優れていますが、もう一つ、屋根材にも用いられる材料でもあります。

「檜皮葺(ひわだぶき)」という屋根をご存知ですか。読んで字の如く、「檜の皮で葺いた屋根」のことです。檜皮葺は、法隆寺が建築されたころの飛鳥時代に広まった技法と言われています。神社仏閣など、格式の高い建築物に使われていたといいます。

檜皮葺の屋根をつくるには、樹齢100年以上の檜から檜の皮を採取する、採取した皮を整え、厚みをそろえて、使用する部位に合わせて形状を整えるそうです。檜の皮を立木からむいて採取する技法も、樹木自体には影響しないような技法で、皮がむかれた樹木はその後建築用材として使えるとのことです。

檜皮葺の屋根の国宝は日本全国に数多く、出雲大社や厳島神社、北野天満宮、清水寺など、日本を代表する伝統建築物に用いられています。

伝統的建築物の美 (3)高級建築材の「檜」

「檜舞台」という言葉は江戸時代にはすでに認知されていたと思われますが、それだけ檜は、重要な建築物に用いられていた高級材であったことがわかります。現代でも能楽堂には檜が使われています。かつて能などの伝統芸能は野外の能楽堂で行われていたので、耐久性、耐水性、耐候性が高く、かつ素直で加工しやすい檜が建築用材として使われていたことがうかがい知れます。

檜が使われている代表的な重要建築物は、世界最古の木造建築でもある奈良県の法隆寺。1300年も前に建てられた法隆寺は、その6割以上が建設当初の檜材で、修復しながらも建築当時のものが残っているそうです。

日本の社寺建築の多くは、檜材が使われています。檜の木は伐採後に強度が増します。日本は地震や台風など天災が多いなかで、数百年にわたって風雨に耐えることができるのは、檜をはじめとした適材適所の建築様式が伝えられてきたからではないでしょうか。社寺建築を見る時に、ここは何材が使われているのか? と予想するのもおもしろいのではないかと思います。

伝統的建築物の美 (2) なぜ「檜舞台」なのか?

福岡県福岡市の大濠公園能楽堂は、耐震工事や座席のリニューアルのため、1年をかけて大規模改修工事を行なっていました。リニューアルオープンは2022年1月。それ以前もコロナ禍において公演中止などが重なっていたそうです。大丸建設のリモートスタッフのSさんご家族も、大濠公園能楽堂の舞台にあがるまで、長い時間がかかりました。

念願叶っての舞台は、まさに「檜舞台」。大濠公園能楽堂の舞台にも、無節の檜の柱が使われています。現代の能楽堂は、安土桃山時代に完成された舞台建築様式で、元々は野外に設置されていたものです。野外の建築物に使われる建築用材は、風雨に耐え、かつ虫害などに対する耐久性が高い必要があります。檜は耐水性、耐光性にすぐれ、防虫性も高いため、昔から野外の重要な建築物には重宝されてきました。檜独特の上品な色合いや、新築材の高貴な香り、節が少なく素直な木目なども、高級建築材として認められる所以でしょう。

檜は昔から高級木材として知られていたので、幕府が公認した伝統芸能の舞台にのみ使用することが許されていたと言います。誰でも檜舞台に上がれるわけではない、一流の証なのです。

伝統的建築物の美 (1) 能楽堂からの便り

大丸建設には建築現場で働くスタッフの他に、広報企画をサポートするパートスタッフが2名います。うち1名のSさんはご家族の転勤で大丸建設から離れた福岡県福岡市に引っ越しましたが、転居後もリモートワークで大丸建設を支えてくれています。Sさんはイベントや長期休暇時には二人のお子さんを連れて出勤することもあり、子どもたちが会社にくると社内の雰囲気が明るくなったものです。

そんなSさんから、先日可愛らしい写真とともに、メッセージが届きました。狂言を習っているお子さんが、福岡市の大濠公園能楽堂で舞台を経験したという写真が添えられていました。衣装を身にまとった姿に歓声がわいたのはもちろんですが、大丸スタッフの間で話題になったのが、能楽堂の建築様式。無節の檜の柱や、鏡面のように磨き上げられた床、橋など、能舞台独特の建築様式に目が奪われました。