2025年の抱負_8 会社を未来に継承するために

物価高騰により資材価格の高騰、最低賃金の上昇の一方、景気が上がっている実感に乏しく、我々、零細企業には厳しい経済情勢が続いています。お客様の経済的負担も想像できるだけに、お見積りの際には価格を提示するのは悩ましく、一方で原価割れをしてしまうと我々は倒産してしまいますので、最低限の利益を確保することは必要です。そのせめぎ合いの中で、「見積価格には根拠がある」とご理解いただき、大丸建設を選んでくださったお客さまには感謝することしきりです。

先にも書きましたように、今後、建築業界をめぐる環境はますます厳しくなってくると思われます。職人の数が減ってきており慢性的な人手不足であること(大丸建設に限らず、全国的にどこも同じ状況です)。夏の過酷な暑さが職人に負担をかけていること。資材やエネルギー価格が高止まりな状況のなかで、企業努力を精一杯していますが、会社が持続可能であるためには、社会状況に合った価格設定も必要だと考えています。特に人材確保に関しては深刻ですので、大丸建設で働きたい、働き続けたいと思ってもらえるよう環境整備もしていきたいと考えています。

お客さまにはこのような状況をご理解いただき、末長く大丸建設のことを応援していただけると幸いです。

2025年の抱負_7 職人、監督を募集しています

大丸建設が2カ月に一度発行している「大丸ニュース」は、これまで大丸建設で家を建ててくださったお客様、これから大丸建設で家を建てることを検討してくださっている方と、我々スタッフを結ぶ情報誌です。建築業界の最新情報や、環境のこと、会社のことと、暮らしの情報、社員の横顔が見える内容を書き、お客様とのコミュニケーションの一助になればと願っています。

現在、社員は代表取締役社長である私と、現場監督の山崎、そして私の父である会長の安田昭のみ。少数で現場を動かしているのが実態です。業務の効率化や建築家とのコラボレーションでこの数年、なんとか回してきていますが、大丸建設の家づくりをより多くの方と実現していくには、もう一人、現場監督が必要な状況です。木の家が好き、オーダーメイドの家づくりが好き、建築家による優れた住宅の現場を手掛けたいという方は、ぜひ奮って応募ください。

建築業界は引く手あまたで、職人さんも足りていません。大丸建設の大工は、国産の無垢材を手で刻むことができ、大工の技術を高められる現場環境です。我こそは、という方をお待ちしています。

 

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2025年の抱負_6 建築家とのコラボレーション

この5年ほど、建築家にご指名を受けて、デザインされた住宅を施工することが増えてきました。特に、住宅雑誌『チルチンびと』でも名高い松本直子建築設計事務所の松本直子さん、グッドデザイン賞などを受賞し注目株の若手・ことこと設計室の小林敏也さんとは、年間数件の住宅をご一緒します。お二人とも、大丸建設の技術力を信頼してくださって、ご依頼いただけるのは、ありがたいことです。

コロナ前の2019年に、URA-チルチンびと地域主義建築家連合-の建築家の方々と、大丸建設とでコラボイベントを行いました。住宅をデザインし、施工することについて、建築家の立場と工務店の立場で語り合う時間を経て、信頼関係が醸成されていきました。いつか大丸建設の社屋1階を、地域の方がふらりと立ち寄れるようなスペースにできないか、という夢も語り合いました。

建築家とのお仕事によって、私たちだけでは思いつかないような空間設計や素材の提案を学びます。一方で、高い要望を予算内で形にしていくのは難しいことでもあり、技術力の研鑽が求められます。緊張感のある仕事ですが、確実に私たちを高めてくれるのは間違いありません。

こうした経験を重ね、これからも建築家の多様なニーズに応えられるように務めてまいりますので、どのようなことでも遠慮なくお問合せください。

2025年の抱負_5 会社の持続力を高める専門性

大丸建設は社員3人の小さな会社です。多摩に根ざして150年余、歴史を長く刻んでこられたのは、会社に息づく「匠の技」を未来に伝えていきたいという思いから。

私は、幼少のころから父に連れられて建築の現場に出向き、建物を素材から形にしていく職人さんの格好いい姿に憧れ、また現場で的確に指示を出していく父の後ろ姿を見て、いつか私も工務店で働くんだという意識がありました。

大学時代も建築や土木を専攻し、その後専門学校では建築士の資格試験の勉強をして、一級建築士に合格。建築資格取得の講師も務めています。木造耐震診断の資格や、省エネ建築の資格など、時代に合わせてさまざまな専門性を身につけてきました。これも、工務店は「住まい」をトータルで考え、建てて終わりではなく、「建ててからこそがお客様との本当のお付き合いの始まり」という社是を受け継いできたからで、お客様の住まいの長い一生に寄り添っていくためには各種の専門性が必要だからです。

住まいも人と同じように、年数を重ねればなんらかのトラブルが発生します。そんな時にはまず、私たち大丸建設にご相談ください。ハウスドクターとして、何が最もその住まいに必要な処方なのかを提案させていただきます。

2025年の抱負_4 東京一極集中時代に工務店はどうあるべきか

口減少が止まりません。2023年10月1日現在の人口動態を見ていくと、総人口は1億2435万2千人で、前年に比べ59万5千人(-0.48%)の減少となり、13年連続で減少しています。特に若者(15歳未満)の割合は11.4%と過去最低になり、一方で高齢者(65歳以上)の割合は29.1%となり過去最高を更新し続けています。今後少子高齢化の傾向はますます顕著になり、若者が高齢者を社会的に支えていく構造もいずれ立ち行かなくなる可能性があります。

ただ、この人口減少のトレンドは、東京だけで言うと状況が異なっており、全国47都道府県のうち、東京都のみ2年連続で人口の増加となっています。東京への一極集中の状況は明らかで、地方都市と東京の課題は同じ尺度で考えるのは難しいと思います。

ただ、東京でもさらに都心に近い方と、大丸建設がある多摩地方では、暮らし方や働き方は多少異なります。郊外では土地を取得して家を建てることはまだ可能ですし、若い世帯でも一戸建てを新築できる価格帯の土地はあると言えます。

大丸建設では、建物を建てるだけではなく、お客様の暮らしを提案できる会社でありたいと思っています。隣近所と仲良くなれるような暮らし方を大丸ニュースやこのブログでも折にふれ発信していきます。

 

2025年の抱負_2 大災害に備える

1年前の元日の午後、能登半島を襲った大震災は、お正月気分の私たちに大きな衝撃を与えました。崩れる家、隆起した道路や、土砂崩れした海岸線に、火事で焼けた輪島の朝市……。道路が寸断され、救助の手が届かない人々が多く出ました。高齢化した地域では、孤立した住宅もあり、今なお復興は進んでいない状況です。それに加えて昨年夏の大水害で、二度の大きなダメージを受けた能登地方。現地に生きる方々に心からお見舞い申し上げるととおに、我々のできることは何かを真剣に考えなければなりません。

私は一級建築士として、これまで東日本大震災や台風被害の現場などに出向き、ボランティアとして応急危険度判定などを手掛けてきました。数々の倒壊した建物を見てきて、まずは命を守ることの大切さを痛切に感じ、そのためには耐震診断により耐震性に不安がある建物は耐震補強をしていくべきだと考えています。

大丸建設は東京都建築士事務所協会に所属し、自治体の耐震診断を請け負うことのできる工務店です。これまでも数多くの耐震診断の実績があります。備えあれば憂いなし、近い将来発生すると予測されている首都直下自身に備えて、ご自宅の耐震にご不安のある方は、遠慮なくご相談ください。

酷暑と建築現場_6 暑さと湿度対策の重要性

日本の夏は、暑さばかりでなく、湿度の高さも問題です。湿度が高い環境では汗が蒸発しにくくなります。汗が蒸発しないと、体温が下がりにくく、体内に熱がこもりやすくなります。

建築現場では動き回る作業が多いため、体力を消耗しやすくなります。湿度が高いと体温調節が難しくなり、熱中症の危険性がさらに高まります。

建築現場では安全を確保するために、作業員は長袖、長ズボン、ヘルメット、安全ベストなどを着用します。これらの装備は体を保護する役割があるのに相反して、酷暑にはどうしても体力を奪います。最近は空調服なども増えてきていますが、私からすると「ないよりはマシ」くらいの感覚で、抜本的な対策にはなっていません。通気性があり汗を蒸散しやすい素材が使われるようになってきていますが、機械や埃から体を保護するという目的とどうしても相反してしまいます。

酷暑と建築現場_5 素材による熱リスクの違い

酷暑による現場作業は、暑さを遮るものが非常に少ないので、素材を守ることにも腐心します。

例えば金属の屋根材は高温になると熱膨張を引き起こし、サイズがわずかに変形することがあります。金属はキッチンなどの内装に使うこともあり、こうした素材が膨張と収縮を繰り返すことで、固定具が緩んだり、素材が歪んだりする可能性があります。その結果、仕上がりに問題が生じたり、後日修正が必要になる場合があります。特に酷暑の時期には、素材の変形を考慮する必要が出てきます。

一方で、無垢材は金属に比べて熱伝導率が低く、日光に直接さらされても急激に高温になることは少ないです。金属屋根や鉄骨に比べると、触った際の温度上昇が緩やかで、火傷のリスクも低くなります。

金属を扱う作業は特に夏場の暑さを考慮し、比較的気温が低い時間帯に作業するなどの工夫も必要になってきます。

酷暑と建築現場_4 屋根架構をつくる際のリスク

住宅の屋根材はガルバリウム鋼板やスレート材など金属であることが多く、猛暑の中でこれらの素材を扱うのには多くのリスクを伴います。

金属は太陽熱を保持する性質があります。金属屋根は直射日光を受けると非常に高温になり、表面温度が50〜60℃以上に達することもあります。このため、屋根職人さんが金属屋根の上で作業する際には、地面よりもはるかに高温の環境で働くことになり、熱中症の危険性が高まるばかりではなく、火傷を負うリスクもあります。

また、金属屋根材は、雨や汗、結露によって非常に滑りやすくなります。高温環境で汗をかくと、汗で滑りやすくなります。また、ゲリラ豪雨など急な雨や湿気が屋根材にかかると、表面が滑りやすくなり、墜落事故のリスクが高まります。

しかし、屋根がかからないと他の内装工事や電気工事を進められないため、最高気温によって作業を止めるわけにもいかず、現場監理としては非常に悩ましい局面です。

酷暑と建築現場_3 輻射熱や排熱の影響もある

夏場の建築現場が過酷なのは、アスファルトやコンクリートなどの地面や資材が多く使用されており、これらの表面は日光を吸収して高温になりやすいことも一因です。

コンクリートや鉄は熱を蓄え、その熱を輻射して周囲の空気をさらに温めます。実際、気温が高い日には、実際の気温よりも体感温度が高くなります。特に基礎コンクリートの打設作業では、これらの材料が高温になるため、職人さんたちにとって過酷な環境となります​。

さらに、機械や重機からの排熱も暑さを助長します。建築現場では、クレーンや重機、発電機などの機械が稼働しており、これらから放出される排熱が現場の気温をさらに上昇させます。エンジンや排気管から放出される熱風によって、職人さんたちは暑さを感じ、熱中症のリスクも高まります。