日本の林業の歴史

日本ではなぜ、木材の6割以上を輸入に頼るようになったのでしょうか。

林野庁の資料によると、日本では古来、森林資源を建築や燃料(薪炭)として利用してきた歴史があります。江戸時代には建築文化が著しく発達し、木材供給が過剰になり、江戸の近くでは山の木が大量に伐採される事態に陥りました。そうして、江戸時代の大都市近郊で、育てやすく木質が素直なスギやヒノキが造林されるようになり、林業が産業としてスタートしていきます。

明治維新によって西欧の文明が入り、日本も近代化がスタートします。建築用材のニーズが増え、住宅だけでなく工場や公共建築、造船など、多用途に木が使われるようになりました。明治30年には我が国初めての「森林法」が制定され、本格的に森林整備が始まります。国有林、私有林の棲み分けができてきたのもこの頃です。

太平洋戦争が始まると、軍需物資として大量の木材が必要になり、大規模な森林伐採が行われました。戦後、荒廃した森林を再生し、林業を立て直すために、 スギ・ヒノキを中心に戦後の拡大造林が行われます。

私たちが現在使用しているのは、戦後に植えられた木がほとんどです。

山を守る視点を持つこと

ウッドショックにより、木材の6割以上を外国産材に頼ってきた日本の住宅業界のもろさが浮き彫りになりました。ここで国産材に注目が集まってきていますが、一時的に国産材に需要が集中することで市場が混乱することがよいとは思えません。

私たち大丸建設は長年、「山を守る」視点を持って、日本の林業生産者と手を携えてきました。国産木材の多くは、戦後に植えられたスギで、1本のスギが使えるようになるまでは、50〜60年ほどかかります。その間、スギに光が当たるように間引きをしたり、下草を刈って山を整備する、いわゆる「山守り」の仕事が大切になります。

適正に管理された山は、雨水を蓄え、洪水の調節機能を持つなど、環境保全に役立ちます。一方で、管理が行き届かない山は荒れ、土地が痩せ衰えます。大雨の時には土砂崩れや洪水の原因になることも。

日本の山を維持管理していくためには、林業が産業として成り立たなければなりません。経済が回らないと、山で働く人がいなくなるからです。

 

[写真提供:山長商店]

ウッドショックをどこまで吸収できるか

令和のウッドショックでは、北米からの輸入材が入らなくなったことで、木材価格が高騰し、そのぶん国産材の需要が高まって、圧倒的な材木不足の状況に陥っています。

木材価格は日に日に変わり、このブログの執筆時点での正確な数字を出しにくい状況ですが、シカゴの木材先物価格取引市場では、今年5月の段階で、新型コロナウイルスの世界的なパンデミックが宣言された昨年4月と比べて約5倍の価格高騰が起こりました。

日本への木材価格の影響は、昨年秋以降、数回にわたって値段があがり、1.5倍〜2倍ほどで、外国産材ではなく国産材に至っても、末端で1.2倍以上の価格になっている実勢です。

大丸建設でも1.1〜1.2倍ほどの木材仕入れ価格が上昇しており、社内である程度吸収の努力をしても限界があります。特に、リフォーム材に関しては価格の上昇が顕著なので、お客様に値上げをお願いせざるを得ない状況に陥っています。

 

令和のウッドショック、大丸建設への影響

日本の住宅業界を直撃している「令和のウッドショック」ですが、大丸建設にも影響は少しずつ出始めています。

大丸建設は、ほぼ100%、国産材を使って住宅をつくっているため、ほぼ外国産材の住宅メーカーよりはウッドショックの影響は少ないとはいえます。木材市場が混乱すると、国産材の需要を圧迫して、結果的に私たちのように産地直送の地域工務店への影響も回避できない状況になっています。

私たちが直接つながっている産地でも、需要が過多の状況で、在庫が少なくなってきているとのことです。リフォームの場合は近場から材木を仕入れていますが、どうにか木材市場から在庫を確保しようと努力していて、結果的に仕入れの価格が上がる状況になっています。

大丸建設も、お付き合いのある材木店も、お客様への影響を極力減らそうと努力していますが、世界的な価格高騰で、材木の原価はどうしても上がってきています。令和のウッドショックがいつまで続くかで、小規模の材木店や工務店が店を畳まなければいけなくなる事態も想定され、住宅業界挙げての対策が必要だと感じています。

 

新型コロナウイルスの影響が拡大

北米のDIYブームが、回り回って日本の住宅市場を直撃している。令和のウッドショックは、まさしくグローバル経済の弊害を実感させる出来事になりました。北米の住宅供給過多により木材価格が高騰し、中国経済の回復によって木材需要が大幅に高まり、また今年3月のスエズ運河での貨物船座礁事故で世界の物流が滞り、木材流通が大混乱しました。

新型コロナウイルスの世界的な流行は、私たちの日常生活に大きな影響を及ぼしていますが、経済的にも大打撃で、飲食店やスポーツ、エンタメ業界のみならず、住宅業界にも大きな影響を及ぼしています。

日本の「巣篭もり需要」で、白物家電や家具、インテリアグッズの業界は大躍進でした。住宅業界もステイホームでリフォーム、リノベーションのニーズは高まりをみせ、大丸建設も堅調ではありましたが、ここにきてウッドショックの影響を受け始めており、お客様と見積もりについてご相談をすることも起こってきています。

 

 

 

令和の“ウッドショック”で住宅業界が混乱

2021年に入り、木材価格の高騰が止まりません。

新型コロナウイルスの世界的な流行により、「巣ごもり需要」が高まったことで、DIY文化が盛んな北米で住宅用資材、特にツーバイフォー用の需要が急増しました。特に、梁などの構造材に使われるベイマツなどの集成材の入手が困難になり、日本の市場に出回らなくなってきています。そのため、住宅の着工が遅れたり、工期が長引く、見積もり金額が上がるなどの影響が出ており、私たちのような小さな工務店から、大手ハウスメーカーまで、会社の規模の大小にかかわらず多大な影響が出ている状況です。

米国のDIYの活況と、中国経済の回復といった、諸外国の状況に日本の住宅市場が影響を受ける理由は、日本の木材流通量の6割以上を外国産材に頼っているからです。食料自給率もそうですが、木材の自給率をいかに高めていくのか、住宅業界だけでなく、消費者も一緒に考えていく契機になるとよいなと思っています。

(8) 自然の光も「照明」として考えよう

朝、太陽の光を浴びて体を動かすと、心身がすっきりしませんか? 太陽の光を浴びることで、脳から分泌される睡眠ホルモンの一種「セロトニン」の分泌量が増えて、心身が活性化します。セロトニンは精神の安定やリラックスにつながる、別名「幸せホルモン」とも言われる物質です。日照時間の少ない冬季や、悪天候が続くと、なんとなく元気がなくなる……というのも、ホルモンに関係しています。

セロトニンは睡眠ホルモン「メラトニン」の原料にもなります。メラトニンは夜に分泌されるのですが、夜なかなか寝付けなかったり、夜中に何度も目がさめるのは、メラトニンが不足していることが原因です。朝のうちにしっかり太陽の光を浴びることで、セロトニンが分泌され、それが原料となって夜はメラトニンが働きます。しっかりと睡眠をとることで、体が休まり、睡眠と覚醒のリズムが整います。

照明計画でも、メラトニンの生成に影響しますので、できるだけ寝る部屋は明るくしすぎない、寝る直前はリラックスするなど心がけることで、メリハリの効いた生活リズムになります。

心身と光(照明)はつながっていることを考え、照明計画に生かしていただければと思います。

 

(7) 太陽の光も重要な「照明」

照明と日光は、切っても切り離せない関係です。日が明るいときには室内で照明をつける必要はなく、一方で光が強すぎる場合はカーテンなどで遮光しなければなりません。日の光がたくさん入る家は住んでいて気持ちよく、太陽の光をいかに室内に取り入れていくかという空間設計と照明計画は、切っても切り離せない関係です。

日中、屋外にいるときには、太陽光を浴びて過ごすので、目はそこで見た光の状態に慣れており、逆に室内に入ったときには、屋外とのギャップが大きすぎないように、自然な明るさの光で過ごせることも大切です。

一方で、人がぐっすり眠るためには、夜間に明るい光を浴びすぎないことも大事で、寝る数時間前はほの暗い明かりの中でゆったりと過ごすことで、スムーズな入眠につながります。スマートフォンからの光も睡眠に影響しますので、寝る前はなるべくスマホを見ないといった工夫も必要です。

(6) 時代の主流はLEDに

経済産業省は消費電力量の多い家電に対して、最もエネルギー効率のすぐれた製品を基準として、各メーカーが省エネ開発を進めていくように促す「トップランナー制度」を講じています。2019年にはLED電球もトップランナー制度の対象になり、より省エネ性能を高めていこうとしています。

白熱球はフィラメントを発熱させることによって光を放つので、熱が出るということは消費電力量が高く、省エネという観点からは不利な電球です。白熱球をLEDに切り替えようというキャンペーンがいっせいに行われたこともあり、交換は進んでいますが、一方でやわらかく温かな光が好きであるというファンや、アンティークのランプを楽しむ愛好家などからは残念であるという声が聞かれていました。

白熱球は製造「禁止」にはなっていないので、今でも販売は続いていますが、時代の流れは省エネが主流で、入手が困難になりつつあります。

音楽の流通がレコードからCD、そして配信に移り変わっていきましたが、レコードが今でも愛好家に愛されているように、白熱球の明かりも趣味的に残っていくのではないでしょうか。

 

 

(5) 明るさの単位「ルーメン」

LEDの電球が主流になった今、明るさを表す単位として「ルーメン(lm)」が用いられるようになりました。白熱球が主流の頃は「ワット(W)」という単位で表現されていた明るさですが、いったい何が違うのでしょうか?

ルーメンとは、LED電球の明るさを示す単位で、「光束(こうそく)」とも言います。光源から光が放たれる量を表しています。ちなみに、光が当たった先の物理的な明るさは「照度(ルクス)」という単位で表されます。

ワットは、実は明るさの単位ではなく、消費電力量で、白熱電球を使っていた時代は、消費電力量が大きくなるほど明るくなる、という意味で、ワット数が明るさの指標になっていました。LED電球は消費電力量が小さいのでワット数で明るさを表現するのは適していません。

今はまだ「明るさ」の基準としてワットの方がイメージしやすい方もいらっしゃいますが、いずれその感覚も変わってくるかもしれませんね。

 

[参照:「電球屋.JP」より]