気候変動から気候危機に_4 温室効果ガスを理解する

地球温暖化の原因と言われている「温室効果ガス」は、大気中に含まれる二酸化炭素やメタン、一酸化二窒素、フロン類を総称します。

このうち二酸化炭素(CO2)の割合が76.0%と最も高く、石油や石炭などの化石燃料由来の温室効果ガスの排出量を減らすことが重要です。人間生活や経済活動に直結しているのが二酸化炭素なので、温暖化対策といえば二酸化炭素、脱炭素と言われるゆえんです。

続いてメタンが15.8%。実はメタンは同じ量のCO2に対して25倍以上の温室効果があるとされ、対策が急務な温室効果ガスの一つです。よく話題になるのは畜産業で「牛のゲップ」がメタンガスの発生源になると言われ、肉食を減らす運動の根拠にもなっています。他にも水田やごみの埋立処分場から出てくると言われています。

一酸化二窒素は6.2%、フロン類は2.0%で、大気中の残存期間が長く、成層圏のオゾン層の破壊物質でもあります。いずれの温室効果ガスも対策が必須であることには違いありません。

 

気候変動から気候危機に(3) 住宅産業の気候危機対策

気候危機は住宅産業にも大きな影響を与えています。これまでの温暖な気候のなかでは、日当たりのよさが住まいでは重視されてきましたが、現在は強烈な日差しをいかに遮り、室内の温度上昇を防いでいくかという視点が大切になってきました。また、豪雨や台風などの災害に対して、いかに命を守っていくかについては、住まいの立地の選び方(川沿いや斜面などを避ける)、風雨に強い住宅にしていくための改修などを検討しなければなりません。

一方で、住まい=暮らし自体も、気候危機の原因物質である温室効果ガスを排出しています。いかに温室効果ガスの排出を減らすかを考えた住まいの設計は、現代社会での必須の姿勢と言えます。建物自体で使うエネルギー量を少なくし、かつ住まいの快適性を向上させるために断熱性を高めることや、エネルギー効率のよい冷暖房や給湯設備を取り入れていくことで、エネルギーのランニングコストを下げることもできます。

環境と経済性を両立させることができるのは、住宅産業でも同じことと言えそうです。

 

気候変動から気候危機に_2 気候危機による影響

気候危機によって、私たちの生活は大きな影響を受けています。今年の日本は、暑く長い夏になりました。東京の真夏日の期間は90日に及び、夏の間は外出したり、外でのスポーツが命の危険に直結するような事態に。熱中症による緊急搬送や死亡事例も後を絶ちません。

極端な豪雨や台風の激化も増えています。気象予報で「緊急安全確保」「避難指示」といった、命を守るための行動を呼びかけられるようになりました。河川の氾濫や土砂災害などで、生活基盤を奪われる人も増えています。

農作物への影響も甚大で、豪雨被害などによる作物の被害だけでなく、気温が上がることによりコメの品質低下や、作付の適地が北上する、畜産や酪農で家畜が暑さにやられる、魚の生息域が変わるなど、第一次産業は大打撃を受けています。

環境より経済が優先と言われていた時代はとうに過ぎ、環境に対してきちんと対策をしなければ経済基盤も奪われてしまうことになりかねないのが気候危機時代の特徴です。

 

 

気候変動から気候危機に_1 生ぬるくない危機感

2023年の長く厳しい猛暑を思い起こすと、地球温暖化という言葉が生ぬるいと思えるほどの状況でした。メディアは「地球沸騰化」という言葉を使うようになり、私たちを取り巻く環境が大きく変化していることを感じます。

地球温暖化は、世界をとりまく「気候変動」の一つのトレンドであり、地球の平均気温が少しずつ右肩上がりになるなかで、さまざまな環境変化が起こっていることを表しています。環境省が毎年発表している「環境・循環型社会・生物多様性白書(環境白書)」では、気候変動の影響と見られる災害が激化していることを受け、人類だけでなく、すべての生物にとって生活基盤が脅かされる状態にあるとし、「気候危機」という表現を打ち出しました。

気候が「変動している」から「危機に陥っている」と表現が変わることによって、今起こっている状況が変わるわけではありません。危機的状況を正しく理解し、行動を変えることにより、初めて状況が変わるのではないでしょうか。

史上最も暑い夏_7 1年の4分の1が真夏日

10月になってようやく「秋らしい」気候になってきました。9月末までの推移で、東京の真夏日(最高気温が30度以上)は年間90日ほどになり、1年365日のうち、実に4分の1が真夏日という気象になりました。地方部でも暑さがひどかったというデータが残っていますが、東京の場合はアスファルトの照り返しや、車の排気・エアコンの排熱などで、よけいに暑さを感じることも多かったのではないかと思います。

「暑さ寒さも彼岸まで」と言いますが、9月は秋のお彼岸(秋分の日、2023年は9月23日)を過ぎても東京では真夏日が続きました(9月28日に33.2度)。10月に入ってようやく最高気温が29,9度(10月1日)となり、それ以降は秋らしいさわやかな気候が続いています。

2023年の猛暑は、気温が高かったことと、それが長期化したことが特徴です。この傾向は今後も続くのか注意が必要ですが、21世紀に入ってからの気候変動の傾向は、徐々に気温が上がっていく方にグラフが傾いていますので、「夏が長く、暑くなる」という心構えをしておく方がよさそうです。

史上最も暑い夏_6 今年の冬はどうなる?

2023年はエルニーニョ現象が起こったため、ここまでの猛暑が続いたと言われています。エルニーニョとはスペイン語で「神の子」を意味し、南米のペルー沖から赤道付近までの海水温が高くなる現象が1年ほど続くこと。2023年のエルニーニョ現象は、過去最大と言われ「スーパーエルニーニョ」とも言われています。

実はエルニーニョ現象によって、海水温による風の向きに変化が起こるため、日本にとっては「冷夏をもたらす」と言われているのですが、実際には史上最高の猛暑となりました。これは、2023年春まで続いた「ラニーニャ現象」の影響が残っているためと言われています。ラニーニャ現象はエルニーニョと反対で、インドネシアなど太平洋西部の海水温度が高くなる現象で、その影響で今夏は暑かったという予想がされています。

夏はエルニーニョ現象が起こっていたので、今年の冬は暖冬の予想もあります。夏暑く、冬も暖かいとなると、年間平均気温はますます上昇しそうな見込みです。

 

夏の「蚊」対策_16 虫に刺された時の薬

蚊に刺された時には、市販薬等で素早くケアするようにしましょう。蚊はかきむしって「とびひ」になってしまうと、その後の肌トラブルが大変です。「とひび」になってしまった場合、小さな子は保育園に行けなかったり、入浴に不便するなど、日常生活に支障をきたします。刺されたら早めに対策しましょう。

昔ながらの「キンカン」や「ムヒ」「ウナコーワ」などの薬剤は、どの家庭にも1本はある虫刺され薬ではないでしょうか。いずれにも清涼感を与える「メントール」と「カンフル」が含まれることは共通していますが、痒みをおさえる有効成分が異なります。

「キンカン」は痒みをおさえる成分としてアンモニアが、また皮膚の刺激成分として「トウガラシチンキ」が含まれているので、独特のにおいと刺激があります。ムヒにはステロイドが含まれ、痛みを伴う虫刺されにも効果的です。ウナコーワは痒み止めに特化したシンプルな処方が特徴です。

化膿したり炎症を起こすなど、ひどい虫刺されには医師による診断と処方が必要になります。市販薬のみに頼らず、専門家による治療で早く対策しましょう。

この夏の間、ずっと蚊に関する情報を発信してきましたが、これで最後です(笑)。ぜひ来年の夏も読み返してみてください。

夏の「蚊」対策_15 薬剤を使わないナチュラルな虫除け

自然素材活用派の大丸建設としては、化学薬剤を使わないナチュラルな虫除け方法もご紹介したいところです。

まずはアロマミストです。雑貨店などでも販売されているナチュラルなスプレーは、蚊が忌避する香りが含まれており、シトロネラやユーカリ、ペパーミントなど、人間にとってはさわやかで心地よい香りがするものが多いです。ハッカ油なども蚊がきらいな成分なのと、清涼感があって、ナチュラルな虫除けとして人気があります。

手作りコスメ派にはドクダミチンキはいかがでしょうか。すでに季節は終わってしまいましたが、6月ごろから自生するドクダミの花をアルコールに1カ月以上浸すと、痒みを抑える成分が抽出されます。刺された時にシュッと一拭きで痒みを抑えましょう。

最近注目なのはオニヤンマのレプリカです。蚊の天敵はオニヤンマということで、アウトドアに出かけると帽子やテントにオニヤンマのレプリカが吊るされていることが……。効果は人によりますが(笑)、実際に「効いたよ!」という声もあるので、気になる方はぜひ試してみてください。

夏の「蚊」対策_14 薬剤を使った虫除け

夏場にはドラッグストア等でたくさんの虫除けが販売されています。

昔からあるのは渦巻き型の「蚊取り線香」ですね。緑色の蚊取り線香はピレスロイド系の薬剤を使っており、着火することで煙とともに殺虫剤が蚊の皮膚や口から神経に作用して殺虫します。予防+殺虫を兼ねることができるのが特徴です。天然素材のものは「除虫菊」という商品名で販売されています。

電気や電池で薬剤を空中散布して、殺虫&予防効果のある虫除けも各社から販売されています。火気やにおいが気になる方におすすめです。

ワンプッシュして効果が数時間長持ちするスプレータイプの殺虫剤は、1シーズンで1本あれば十分に事足りるほど、殺虫効果が強いです。蚊に直接噴射することで即撃退することができるものもあります。部屋に薬剤散布する時は、外出前など、人間が直接吸い込むタイミングは避けましょう。

肌に塗布するタイプの虫除けで有効成分が高いのはディートが含まれているものです。ただしこれには副作用があり、濃度が12%以上のものは「医薬品」、10%以下のものは「医薬部外品」として扱われます。濃度は持続時間の違いですが、医薬品は生後6カ月未満には使用しないこと、12歳未満も回数が制限されていますので、気をつけて使いましょう。

網戸や玄関に吊るすタイプのものや、網戸に貼り付けるものは、主にユスリカやハエ対策のもので、蚊に直接的に効果があるものではないので、購入時には注意が必要です。

その他、側溝等に使用する薬剤(錠剤や液剤)もありますが、個人使用は避け、自治体や害虫駆除専門業者と相談のうえご使用ください。

夏の「蚊」対策_13なるべく化学的な薬剤には頼りたくないが……

大丸建設は自然素材と無垢材を大切にし、化学物質過敏症に苦しむ方でも安心して暮らせる住まいを提供したいと考えています。家づくりにおいて、合成化学薬品を使わないことを心がけているので、蚊の対策もできるだけ薬剤を使わない、ナチュラルな方法をおすすめしたいと思っています。

その気持ちとは裏腹に、薬剤を使わずに暮らしていたら、大量の蚊に刺されてしまい、お子さんが「とびひ」になって結果的に医師から強い薬剤を処方されてしまった……というお話を聞くこともあり、自然との共存の難しさを感じる面もあります。特に温暖化が激化してしまっている昨今、蚊による伝染病の媒介リスクはかつてより上がっているため、薬剤を使ってもしっかり虫除け対策をする方がいいのか、あくまでもナチュラルな手法で効果もやわらかな方向性を目指すのか、一人ひとりの価値判断が必要だと思います。

私のブログではなるべくニュートラルに、いろんな情報をお届けできればと思います。