夏の「蚊」対策_10 カラダも室外も清潔が一番!

蚊の種類によって、きれいな水場を好むものから、汚いところを好むもの、広い水場で生息するもの、少しの水があればそこで孵化するものなど、さまざまです。ただ、清潔で風通しがよいところは、そうでないところに比べて蚊は発生しにくくなります。

そのため、蚊の発生しやすい夏季は、水がたまるようなものを家の周囲(網戸の近くなど)に置かない、草むしりをこまめにする、風通しをよくする(見通しをよくする)ことを心がけることが大切です。

また、人も、汗をダラダラかいて体温が高い状態ですと、蚊が近寄りやすくなります。運動や外出などで汗をかいた時には、室内に入ったら早めにシャワーを浴びて清潔にすることで、蚊に刺されにくくなります。

家の周りから全ての水たまりや、草や植物を排除することは不可能です。ポイントをしぼって、蚊の室内侵入を防ぐことで、不快な状況への対処が可能になります。

 

 

夏の「蚊」対策_9 蚊の発生源

よく、草むらやヤブに入ると蚊に刺される、と言いますが、実は蚊の発生源は草ではなく、水場です。蚊は卵を水の中に産卵します。草は蚊の休息場所で、発生源は水たまりなのです。ですので、蚊を駆除するならば、家の周囲にある汚い水たまりをきれいにすることが先決です。

・水たまり

・側溝

・雨水マス

・バケツ

・古タイヤ

・墓場(供花の水)

・空き缶、空きペットボトル

・植木鉢の受け皿

・境界ブロックの穴

このようなところに蚊が発生しやすいので、水がたまらないように、日に当てて、乾かすようにしましょう。

 

夏の「蚊」対策_8 実は恐ろしい蚊

夏はほぼ誰もが虫刺されを経験すると言ってもいいほど、蚊は日本人にとって馴染みの深い生物です。しかし、油断は禁物です。蚊は感染症を媒介する性質があるからです。

ヤブ蚊として知られる「ヒトスジシマカ」はデング熱やウエストナイル熱の媒介蚊です。ほかにも、黄熱病、日本脳炎、マラリヤ、ジカウイルス感染症なども蚊によって感染します。

蚊によって媒介される感染症の多くは、熱帯地域やアフリカなどで流行しますが、アジアでは日本脳炎とジカウイルス感染症の発生が認められています。また、日本でも2014年にデング熱の感染例が確認されました。デング熱はジカウイルス感染症はワクチンがないので、蚊に刺されないこと以外の予防法がないのが現実です。

「蚊は世界で最も人間の命を奪う動物である」という言葉がありますが、これはデング熱やマラリヤなど、蚊が媒介する感染症での死者が世界全体を見てとても多いことに由来しています。気候変動や人の移動領域の拡大によって、感染症が世界的に蔓延する状況をこの数年のわたしたちは知っています。「たかが蚊」と侮ることなく、その危険性をしっかりと認識し、対策をしていくことが大切です。

夏の「蚊」対策_7 蚊に刺されやすい気温と時間帯

日本にいる代表的な蚊は、「アカイエカ」「チカイエカ」と、ヤブ蚊の一種である「ヒトスジシマカ」です。

このうち、家の中に入ってくるアカイエカは、主に夕方から明け方にかけて活動します。夜寝ている室内で「ブ〜ン」という不快な音は、蚊の鳴き声ではなく実は羽音なのですが、人間にとって不快な周波数でよく耳につくと言われます。アカイエカは20〜30度で活発に活動するので、冷房の効いた室内でも生息します。また、主にビルの地下などに生息するチカイエカは、低音に強いので、冬季でも活動します。

一般にヤブ蚊と言われる「ヒトスジシマカ」は、25〜30度の気温を好み、明け方から昼前にかけてと、夕方から夜間にかけて活動が活発になります。真昼に活動しないわけではないのですが、気温が30度以上になると活動が鈍化するため、昼間の時間帯は夕方よりも発生しにくいということができそうです。

 

 

夏の「蚊」対策_6 蚊に刺されたらなぜ腫れる?

蚊に刺されたら皮膚が痒くなって腫れるのはどうしてでしょうか。これは一種のアレルギー反応だと言われています。蚊が人を刺す時には、口の先にある針を皮膚に刺し(この針は6本あります)、血管から血を吸い上げる時に、自分の唾液をヒトの血管に注入します。これは、自分の唾液と混ざった血液を吸うことで血液が固まらないようにするためだと言われています。

蚊に刺された後に痒くなったり、腫れるのは、蚊の唾液という異物が体内に注入されることによるアレルギー反応が生じるからです。

ちなみに腫れ方にも二種類あり、刺された直後から赤くなったりふくれたりする「即時型」は、1〜2時間で症状が治まるケースが多く、冷やしたり、メントールの入った塗布薬で症状が改善します。一方、1〜2日後に反応が現れる「遅延型」は、血管の周囲に炎症が起こって、炎症が起きた周囲の皮膚が硬くなり、痛みを伴います。遅延型は主に乳幼児に見られがちで、蚊に刺され慣れないことから反応が大きくなるようです。

痒くなった時に掻きむしると、炎症が起こって化膿したり、「とびひ」になるなど、症状が悪化するので、患部を清潔にする、薬を塗る、冷やすなどして、あまり掻かないようにしましょう。

 

夏の「蚊」対策_5 虫刺されを予防するには?

蚊が人間を検知する三大要素が「二酸化炭素」「汗」「体温」とお話ししましたが、人間は呼吸を止めることはできませんし、体温を下げることもできません。ビールを飲まないことで多少の蚊対策にはなるかもしれませんが、それも一要素にすぎません。この中で最も有効なのは「汗」の対策をすること。汗をかいたままの皮膚と、シャワーできれいになった皮膚とでどちらが蚊に刺されやすいかを比較検証した実験では、清潔な皮膚の方が圧倒的に蚊に刺されにくい結果が出たそうです。

汗をかいたらこまめに拭く、シャワーで洗い流すなどの対策と同時に、屋外で活動する時には肌を露出しないようにするのも大切です。蚊は色を認識せず、色の持つ波長で人に近づいてくるとのこと。白などの明るい色の方が刺されにくく、一方で黒などの濃い色の方に反応します。なるべく白っぽい色の薄手の長袖を着用することが、蚊対策に有効です。

夏の「蚊」対策_4 ビール好きが蚊に刺されやすい理由

蚊が人間を見分けるのは「二酸化炭素」「汗」「体温」です。特に二酸化炭素が遠くまで届くため、蚊が人間を察知する最初の手がかりになります。

ビール好きな人は蚊に刺されやすいと言う定説がありますが、これは決して都市伝説ではありません。ビール自体が炭酸ガスを発生することもありますが、お酒を飲むと体がアルコールを分解しようとして呼吸が速くなり、たくさん二酸化炭素を放出するためです。また、お酒を飲むことで体温が上がって汗をかきやすくなります。蚊が人間を検知する「体温」「汗」「二酸化炭素」が優位に上昇する条件が、お酒(特に炭酸系のビール)を飲む人に当てはまるからです。

運動直後に蚊に刺されやすくなるのも、呼吸や体温、汗といった要素が揃うためです。

ほかにも「O型の人は蚊に刺されやすい」という話があります。こちらも真偽のほどは定かではない話なのですが、統計学的にも医学的にも血液型による刺されやすさの違いはあるようです。血液型によって血液に成分差があることに理由があるようですが、それが「なぜ」なのかははっきりしていないようです。

夏の「蚊」対策_3 なぜ血を吸うの?

蚊の普段の主食は花の蜜などで、糖分を栄養として生きます。メスの蚊が人の血を吸うのは、産卵のため。人間や動物の血液中に含まれるアミノ酸が、元気な卵を産むために必要な栄養素だからです。人間だけではなく動物も刺されるので、実は動物にも虫除け対策をしてあげる方がよさそうです。

では、蚊はどのように人間を見分けるのでしょうか? まず挙げられるのは「体温」です。人や動物の体温の熱を手がかりに、人の肌に着地して吸血します。しかし、その熱は最も近いところにあり、最も遠くまで放出できる手がかりが「二酸化炭素」です。人や動物は息を吐く時に二酸化炭素を放出します。二酸化炭素の濃度が高くなったところを手がかりに、蚊が人に近づき、さらに「汗」に含まれる臭いに引き寄せられ、体温を感じて肌に着地して吸血する、というわけです。

夏の「蚊」対策_2 蚊ってどんな生物?

「蚊」は昆虫の一種です。生物学的に言うと、昆虫綱 – ハエ(双翅)目 – カ亜目 – カ科といい、読んで字の如く「カ」と呼びます。

世界を見渡すと3000種類以上の蚊がいますが、日本では100種類ほど生息していると言われています。日本ではヒトスジシマカ、アカイエカ、チカイエカが代表的な存在です。一般に「ヤブ蚊」と言われるヒトスジシマカは体調4.5mmほど。アカイエカ、チカイエカは5.5mm程度とのことです。

蚊は気温が25度〜30度くらいになると卵からかえり、10日ほどで成虫になります。蚊の卵は水辺に散乱され、幼虫は「ボウフラ」と言われます。脱皮を繰り返して蛹(さなぎ)になり、成虫になったあとは2〜3週間ほど生きます。この間、交尾して産卵を繰り返します。

人の血を吸うのはメスだけで、オスは吸血しません。メスは血を吸うことで卵巣を発達させることができるそうです。

 

夏の「蚊」対策_1 夏こそ蚊対策

夏が近づくと悩まされるのが「蚊」。屋外で仕事をしていると、蚊対策は欠かせません。蚊に刺されると腫れ、痒みに悩まされ、とても不快です。腫れがひどくなると痛みを生じたり、かきむしると「とびひ」になるなど、いかに虫に刺されないよう対策をしていくかは、日焼け止め対策と同じくらい大切です。

虫除けの対策も、今では多種多様な商品が出てきており、しっかりと効果をねらえるもの、肌が敏感な人でも安心して使えるものや、いっさいの薬剤を使わないものなど、目的や効果に応じて選ぶことができます。

ただ、新たな商品を買う前に、蚊がどういう生物なのかを知ることによって、より効果的な対策をしやすくなります。どんなところで発生しやすくなるのか、何が好きで嫌いなのか、家の中での発生対策など、建築的な視点も踏まえて蚊対策について語ってみたいと思います。