2006年よりアスベスト使用は原則中止に

アスベストによる健康被害は世界中の多くの現場で報告されていましたが、日本で全面的に使用禁止になったのは2004年からです。昭和30年代から使われ始め、昭和40年代の高度経済成長期に幅広く大量に使用され、昭和50年になって最初の規制が行われました。昭和55年まではアスベストが含有された吹き付けロックウールが使われていました。平成に入りアスベスト重量に応じて段階的に使用が制限され、全面的に使用中止になったのは2006年からです。

2006年9月に改正された「労働安全衛生法施行令」では、「石綿及び石綿をその重量の0.1%を超えて含有するすべてのものの製造、輸入、譲渡、提供、使用が禁止される」と記載され、それ以前に製造・輸入された在庫品についても規制が行われました。

このように、石綿に関する健康被害例や使用制限はかなり昔から行われていたにもかかわらず、全面使用禁止になってから日が浅く、さらにすでに建築されている建物の解体等で発生するアスベストの除去対策が必要になっています。アスベストによる健康被害は今なお大きなリスクとして日本に存在するのです。

アスベストによる健康被害の特徴

アスベストによる健康被害としては、肺がんや悪性中皮腫が多く報告されています。実は、アスベストの成分自体に毒性があるというよりも、石綿の微細な粒子を吸い込むことで肺にたまり、10〜40年の潜伏期間を経て肺がんや中皮腫を発症することがわかってきました。アスベストは超微細な繊維で、吸い込んでも気付きにくく、丈夫で変化しにくい物質であるため、人間の体内でも長く蓄積し、それが長い期間を経て発症に至ります。いったん発症すると多くの方が1、2年で亡くなるという実態がわかり、国が「石綿健康被害救済制度」を設けて医療費や療養手当の給付や、遺族への給付を行っています。

日本では昭和40年代に幅広く大量にアスベストが使用されてきたので、アスベスト施工の現場作業員といった対象者を特定することが困難な状況であるのが実態です。

アスベストはどういうものなのか

アスベストは「石綿」とも呼ばれます。天然の鉱物繊維の総称で、蛇紋石属、角閃石属に大別されます。蛇紋石属のクリソタイル(白石綿)が世界で使われている石綿の9割を占めるとされます。角閃石属のアモサイト (茶石綿)、クロシドライト(青石綿)、アンソフィライト(直閃石)、トレモライト(透角閃石)、アクチノライト(緑閃石)を含めた6種類が、いわゆるアスベストとして知られています。

厚生労働省【石綿総合情報ポータルサイト】より

アスベストは超微細な繊維で構成され、熱に強い、摩擦に強い、酸やアルカリに強い、防音性が高い、耐腐食性が高いといった特性があります。さらに、繊維が微細で吹き付けしやすく、安価で加工しやすいため、断熱材や耐火壁、天井材などに使われてきました。昭和30年ごろから使用が始まり、昭和40年代の高度成長期に建てられた建築物に多く使用されていると言われています。

住宅のリフォーム時にアスベスト調査が義務付けられました

2021年4月に「大気汚染防止法」が改正されました。これは、アスベストによる健康被害を抑制することを目的とし、建築物のリフォームを行う前に、設計図などからアスベストの使用の有無を読み解き、また現場での目視確認を行い、アスベストの使用の有無を調査することが義務付けられました。

既存の建物にアスベストの吹き付けや、アスベストを含む断熱材が使用されている場合は、アスベストの除去や封じ込め作業を行う必要が出てきます。この際、労働者を守るために、労働基準監督署に工事の14日前までに工事計画届を出すことや、除去作業が終わった後にアスベストの取り残しがないことの確認など、細かい記録と確認作業が義務付けられます。

2023年10月以降は、厚生労働大臣が定める講習を修了したものが事前調査を行うことが義務付けられました。大丸建設では私・社長の安田佳正がこの講習を修了し、事前調査業務を行うことができるようになります。

建築物に使用されるアスベストによる健康被害

みなさん、「アスベスト」という言葉を聞いたことがありますか? アスベスト(石綿)は、耐熱性や耐久性、耐腐食性にすぐれているため、建築資材として長いこと使用されてきました。鉄筋コンクリート建造物の構造材に吹き付けて天井断熱としたり、鉄骨の耐火被覆などで使われていました。また、断熱材として使われる人造鉱物繊維のロックウールにもアスベストが含まれていることがあります。

このアスベストがむき出しになった建築物で、アスベストを吸い込むことによる健康被害が多発しました。アスベストは非常に軽く粒子が細かいので、空気中に浮遊しやすく、それを吸い込むことによって肺がんや中皮腫といった健康被害が発生、報告されるようになりました。

2006年以降に着工された建築物では原則的にアスベストの使用は禁止されていますが、今問題になっているのはそれ以前に建てられた建築物をリフォームする時に、建築業者がアスベストを吸い込むかもしれないリスクです。

8) 止まっていた本社1Fリノベを今年こそ!

大丸建設の本社1Fを、地域にひらかれたスペースにしたい。

そう掲げ、3年ほど前から少しずつ1Fの清掃や、社員とリノベプランを話し合ってきたのですが、気づいたらコロナ禍や代替わりなどで、あっという間に時が過ぎてしまいました。現場が忙しい、大工さんが足りないなど、お客様優先の嬉しい悲鳴のなかで、どうしても「自分のこと」は後回しになってしまう傾向があります。

本社リノベはこれまでにもURA(地域主義建築家連合)とのコラボイベントの中で建築家の皆さんに相談していた案件でもありました。ウィズコロナ時代に本格的に突入するなかで、地域に根ざした工務店の存在は今後ますます必要になってくると考えられ、地域の方が家の相談にふらりと訪れられるような、そんな場をつくっていきたいと考えます。

本社1Fリノベが2022年の大丸建設のトップニュースを飾れるよう、今年こそはその目標を社長ブログで掲げたいと思います。

 

6) ウッドショックを契機に、林業を持続可能に

2021年は北米に始まった住宅DIYブームにより、建材が一気に不足し、国産材の高騰を招くといった事態に陥りました。大丸建設では長年の産地との提携関係から、なんとか材を確保できたものの、価格上昇に対する社内負担も限界に達したため、お客様への価格転嫁をお願いする状況になりました。いまだに木材の供給不足、価格の高騰は続いていますが、私からするとこのウッドショックは、木材の価値を見直すいい機会になっているとも思えます。

1本の木が建材として使えるようになるには、50年以上の年月がかかります。その間、山の手入れをして、木が強く美しく育つように、山主さんたちは100年の計で山の管理をしていきます。そんなふうに育てられた木材を大丸建設では使っており、その価値を山に還元するためには、安く買い叩くような姿勢ではいけないと感じています。

ウッドショックを契機に、日本の林業が持続可能であるために、私たち工務店ができることを考え、お客様に伝えていきたいと思います。

5) 多様なコラボを実現したい

建築家とのコラボ住宅だけでなく、仲間の工務店とのコラボも力を入れていきたいことの一つです。30年もの間加盟している協同組合「匠の会」の仲間とは、今でも強い絆で結ばれ、工務店業界での勉強会、省エネや断熱など最新技術の研鑽でお互いに切磋琢磨しています。「チルチンびと『地域主義』工務店」の仲間も同様、自然素材を活かした家づくりをともに学べる仲間です。

2003年に「チルチンびと『地域主義』工務店」の設立時に一緒に関わった長野県のデフさんは、自然素材派の工務店としてその知名度は全国区で、現在は関東でも手広く建築を手がけています。昨年、デフさんと再会する機会があり、東京や神奈川の物件の施工をお手伝いすることになりそうです。自然素材住宅ではトップランナーのデフさん。たくさんのファンをつくる秘訣などを学びながら、かつて一緒に自然素材建築を現場として切り開いていった仲間として、私もコツコツと続けてきた現場でのノウハウを提供しながら、ともに高めあえる関係を築いていきたいと感じています。

4) 建築家コラボが増えた喜び

ここ1、2年で、建築家の設計、大丸建設での施工という理想的なコラボ物件が誕生しています。ことこと設計室の小林さんは、『チルチンびと』にも掲載される若手建築家で、これまでに新築物件を手がけ、現在、マンションリノベーションでご一緒しています。

松本直子建築設計事務所の松本直子さんは、『チルチンびと』でも大人気の建築家。いつか松本さん設計の家を手がけたいという憧れを抱いていて、2019年に開催した大丸建設とURA(チルチンびと地域主義建築家連合)とのコラボイベント「本物の木の家を建てたい人のための 住まいの相談会」のゲストとしてお招きしました。このイベントを通して松本さんとたくさんお話をして、お互いのことを知ることができました。2020年から立て続けに、松本さん設計の新築住宅を任されることになり、今でもいい関係が続いています。

URAの建築家、木下治仁さん、伊藤誠康さんとのお仕事の経験も、大丸建設にとっては宝です。

大丸建設では今後も、自社設計と、建築家とのコラボと両輪があることで、美しさと機能性を両立した、本物の自然素材の家づくりを進めていきます。

日常生活でも化学物質対策を

ここまで見てきたように、化学物質過敏症と言っても反応も軽度なものから寝込んでしまうくらいのもの、精神的にも不安や不調をきたしてしまう場合など、本当に人それぞれです。私にも花粉症がありますし、ヒバの香りをかぐと喉が痛くなります。誰がなってもおかしくないし、今は平気でもある時突然かかってしまう可能性もあります。

建材だけでなく、例えばホームセンターの家具売り場や、車のディーラーでの新車の匂いなども、人によっては反応が出やすい場所の一つです。何か違和感を覚えたら、なるべくその場から立ち去る方がいいと言えます。現在社会問題にもなっている「香害」では、洗濯用の柔軟剤への反応が多いです。近隣の洗濯物の香りや、学校で使い回す給食着、あるいは電車で隣に座った人の香料でも、人によっては反応が出ることもあるんだ、という認識を持つことが大切です。

誰もが異なる「化学物質を許容するコップ」を持っていて、その水があふれた瞬間につらい症状に悩まされる可能性がある、ということに想像力を持つことで、思いやりをもった選択ができるようになることが望まれます。