2023年11月10日(金)

気候変動から気候危機に_5 カーボンニュートラルって何?

私たちの生活は、化石燃料によって生み出されるガソリンや電気によって一気に便利になりました。今のITに支えられた暮らしは、電気なしには成り立ちません。脱炭素は大切ですが、一方で完全にCO2を排出しない生活は難しいと言えます。

CO2は人間の努力によって、排出を減らすだけでなく、吸収することができます。植物は光合成によってCO2を吸収し、酸素を生み出します。植林や森林管理により、CO2を吸収して樹木に固定することができるのです。

発電や工場の排熱、ガソリンの排気等によって排出されるCO2の量と、森林によるCO2吸収の量が同等になれば、CO2の量はプラスマイナスゼロ=ニュートラルになります。

これが一般に言われる「カーボンニュートラル」という状態です。

CO2の排出量を減らして、CO2の吸収量を増やしていく、その努力や意識が、今後求められるでしょう。

 

2023年11月07日(火)

気候変動から気候危機に_4 温室効果ガスを理解する

地球温暖化の原因と言われている「温室効果ガス」は、大気中に含まれる二酸化炭素やメタン、一酸化二窒素、フロン類を総称します。

このうち二酸化炭素(CO2)の割合が76.0%と最も高く、石油や石炭などの化石燃料由来の温室効果ガスの排出量を減らすことが重要です。人間生活や経済活動に直結しているのが二酸化炭素なので、温暖化対策といえば二酸化炭素、脱炭素と言われるゆえんです。

続いてメタンが15.8%。実はメタンは同じ量のCO2に対して25倍以上の温室効果があるとされ、対策が急務な温室効果ガスの一つです。よく話題になるのは畜産業で「牛のゲップ」がメタンガスの発生源になると言われ、肉食を減らす運動の根拠にもなっています。他にも水田やごみの埋立処分場から出てくると言われています。

一酸化二窒素は6.2%、フロン類は2.0%で、大気中の残存期間が長く、成層圏のオゾン層の破壊物質でもあります。いずれの温室効果ガスも対策が必須であることには違いありません。

 

2023年11月03日(金)

気候変動から気候危機に(3) 住宅産業の気候危機対策

気候危機は住宅産業にも大きな影響を与えています。これまでの温暖な気候のなかでは、日当たりのよさが住まいでは重視されてきましたが、現在は強烈な日差しをいかに遮り、室内の温度上昇を防いでいくかという視点が大切になってきました。また、豪雨や台風などの災害に対して、いかに命を守っていくかについては、住まいの立地の選び方(川沿いや斜面などを避ける)、風雨に強い住宅にしていくための改修などを検討しなければなりません。

一方で、住まい=暮らし自体も、気候危機の原因物質である温室効果ガスを排出しています。いかに温室効果ガスの排出を減らすかを考えた住まいの設計は、現代社会での必須の姿勢と言えます。建物自体で使うエネルギー量を少なくし、かつ住まいの快適性を向上させるために断熱性を高めることや、エネルギー効率のよい冷暖房や給湯設備を取り入れていくことで、エネルギーのランニングコストを下げることもできます。

環境と経済性を両立させることができるのは、住宅産業でも同じことと言えそうです。

 

2023年10月31日(火)

気候変動から気候危機に_2 気候危機による影響

気候危機によって、私たちの生活は大きな影響を受けています。今年の日本は、暑く長い夏になりました。東京の真夏日の期間は90日に及び、夏の間は外出したり、外でのスポーツが命の危険に直結するような事態に。熱中症による緊急搬送や死亡事例も後を絶ちません。

極端な豪雨や台風の激化も増えています。気象予報で「緊急安全確保」「避難指示」といった、命を守るための行動を呼びかけられるようになりました。河川の氾濫や土砂災害などで、生活基盤を奪われる人も増えています。

農作物への影響も甚大で、豪雨被害などによる作物の被害だけでなく、気温が上がることによりコメの品質低下や、作付の適地が北上する、畜産や酪農で家畜が暑さにやられる、魚の生息域が変わるなど、第一次産業は大打撃を受けています。

環境より経済が優先と言われていた時代はとうに過ぎ、環境に対してきちんと対策をしなければ経済基盤も奪われてしまうことになりかねないのが気候危機時代の特徴です。

 

 

2023年10月27日(金)

気候変動から気候危機に_1 生ぬるくない危機感

2023年の長く厳しい猛暑を思い起こすと、地球温暖化という言葉が生ぬるいと思えるほどの状況でした。メディアは「地球沸騰化」という言葉を使うようになり、私たちを取り巻く環境が大きく変化していることを感じます。

地球温暖化は、世界をとりまく「気候変動」の一つのトレンドであり、地球の平均気温が少しずつ右肩上がりになるなかで、さまざまな環境変化が起こっていることを表しています。環境省が毎年発表している「環境・循環型社会・生物多様性白書(環境白書)」では、気候変動の影響と見られる災害が激化していることを受け、人類だけでなく、すべての生物にとって生活基盤が脅かされる状態にあるとし、「気候危機」という表現を打ち出しました。

気候が「変動している」から「危機に陥っている」と表現が変わることによって、今起こっている状況が変わるわけではありません。危機的状況を正しく理解し、行動を変えることにより、初めて状況が変わるのではないでしょうか。

2023年10月24日(火)

史上最も暑い夏_8 この先の気候はどうなるのか

2023年、史上最も暑かった夏をデータで振り返ると、日本の気候の変化の階段を一足飛びに駆け上がったような感覚があります。これまで「異常気象」ととらえられていた気候が常態化し、今後もその傾向が続くとなると、これから私たちは、「東京の夏は暑く、長くなる」と思って備えていく方がよさそうです。

それには、ライフスタイルの変化が欠かせません。これまでと同じように温室効果ガスをたくさん排出する生活をしていては、ますます地球温暖化は進み、暑さでしんどさを感じる夏が長期化し、生活しづらくなってしまいます。マイボトルやエコバッグを使うといった小さな心がけも大切ですが、温暖化対策として有効なのは住まいの断熱をしっかり進めることや、移動の低炭素化といった、抜本的な対策が必要になってきます。特に断熱については、熱中症予防や健康維持にも直結するので、ぜひとも検討していただきたいテーマです。

今夏の猛暑は、今後のライフスタイルに大きな影響を与えたと思います。今こそ、本気で変わる時なのではないでしょうか。

2023年10月20日(金)

史上最も暑い夏_7 1年の4分の1が真夏日

10月になってようやく「秋らしい」気候になってきました。9月末までの推移で、東京の真夏日(最高気温が30度以上)は年間90日ほどになり、1年365日のうち、実に4分の1が真夏日という気象になりました。地方部でも暑さがひどかったというデータが残っていますが、東京の場合はアスファルトの照り返しや、車の排気・エアコンの排熱などで、よけいに暑さを感じることも多かったのではないかと思います。

「暑さ寒さも彼岸まで」と言いますが、9月は秋のお彼岸(秋分の日、2023年は9月23日)を過ぎても東京では真夏日が続きました(9月28日に33.2度)。10月に入ってようやく最高気温が29,9度(10月1日)となり、それ以降は秋らしいさわやかな気候が続いています。

2023年の猛暑は、気温が高かったことと、それが長期化したことが特徴です。この傾向は今後も続くのか注意が必要ですが、21世紀に入ってからの気候変動の傾向は、徐々に気温が上がっていく方にグラフが傾いていますので、「夏が長く、暑くなる」という心構えをしておく方がよさそうです。

2023年10月17日(火)

史上最も暑い夏_6 今年の冬はどうなる?

2023年はエルニーニョ現象が起こったため、ここまでの猛暑が続いたと言われています。エルニーニョとはスペイン語で「神の子」を意味し、南米のペルー沖から赤道付近までの海水温が高くなる現象が1年ほど続くこと。2023年のエルニーニョ現象は、過去最大と言われ「スーパーエルニーニョ」とも言われています。

実はエルニーニョ現象によって、海水温による風の向きに変化が起こるため、日本にとっては「冷夏をもたらす」と言われているのですが、実際には史上最高の猛暑となりました。これは、2023年春まで続いた「ラニーニャ現象」の影響が残っているためと言われています。ラニーニャ現象はエルニーニョと反対で、インドネシアなど太平洋西部の海水温度が高くなる現象で、その影響で今夏は暑かったという予想がされています。

夏はエルニーニョ現象が起こっていたので、今年の冬は暖冬の予想もあります。夏暑く、冬も暖かいとなると、年間平均気温はますます上昇しそうな見込みです。

 

2023年10月06日(金)

史上最も暑い夏_5 暑さの中での現場作業

今年の大丸建設の建築現場では、大工さんが「この暑さは本当に大変」とつぶやいていました。私が大丸建設に入社してからの25年ほどの間で、最も暑かったと言い切っていいと思います。職人さんの言葉にもあるように、これから先、どのように建築現場での安全性を確保していくか、会社としても重要課題だと感じています。

最近では暑さ対策のためのさまざまなグッズが出ています。首にまく保冷剤や空調ベスト、塩分タブレットなど、個々の暑さ対策と工夫はとても大切です。

少しでも涼しいうちに現場に出て作業を進めるとか、日中長めに休みをとって体力を温存するなどの対策も進めたいのですが、それには建築現場での近隣のご理解が必要となります。最近では中高生の部活でも、練習時間を早めたり、熱中症の危険性が高い時には屋外でのスポーツを控えるなどの対策も進んできています。数十年前には水筒を持ち歩くことがあまりなかったのが、今では水分補給が当たり前の時代です。社会全体で「暑さから命を守る」ことへの関心と理解を高めていくことが必要になってきます。

 

2023年10月03日(火)

史上最も暑い夏_4 本社での暑さ対策

大丸建設の本社では、今年、業者に入ってもらい、エアコンのクリーニングを行いました。業者さんが室外機まで本当にていねいに掃除をしてくださったので、冷気が心地よく循環し、快適性が高まりました。私自身が実際に執務をする中で、明らかに空気がきれいになったのを感じ、実感をもってエアコンクリーニングの効果をお客さまに説明できるようになりました。実際に電気代の節約効果もあるため、「我慢の省エネ」ではなく「効果的な省エネ」につながります。

また、パートタイムスタッフが2階の断熱対策をしてくれました。直射日光が当たる窓に遮光カーテンをつけてくれたことで、エアコンの効きが高まり、執務環境がよくなりました。「夏の窓はストーブ」とはよく言ったもので、窓の断熱・遮熱対策をすることが、そのまま暑さ対策や省エネ対策につながり、ひいては健康維持、環境保全にもつながります。

身近にできることをおろそかにせず、一人ひとりの行動が、環境と調和していく大きな一歩になるのだと感じます。