ブログで振り返るこの1年(1)

 今年は私自身が大丸建設の専務取締役として、どんなビジョンを描き、どんなことを思い、どんな住まいをつくっていきたいのかを多くの方々にお伝えしようと、ブログに注力し始めたのも大きな転機となりました。これまではどうしても日常的な業務に追われて、仕事についてゆっくり振り返り、自分の理想やビジョンを積み上げていく時間をとるのが難しかったのですが、今年1年は毎月1回時間を決めて自分に向き合い、何を発信していくべきかを考えました。私にとっては大きな変化だったように思います。
 会社の現状と課題、自分がやるべきこと、必要なこと等を一つひとつ洗い出し、反省し、あるいは「意外とがんばったなあ」と自分をねぎらい、社員に感謝し、先代や職人さんたちに思いを馳せ、未来のビジョンを描いていくことは、現実に向き合う分しんどい面もあります。しかし、日々忙しく日常が埋没してしまうなかで、何とか時間を捻出し、会社をよい方向に導こうと考えていく時間は、結構楽しいということも新しい発見でした。

お客様が訪れて楽しくなる会社

 昨年2月、大丸建設は本社社屋を新設し引っ越しをしました。親族で経営している系列会社とともに、古くなった本社社屋を壊し、同じ敷地の一角に新しい建物をつくり新しい大丸建設として再スタートしました。引っ越して間もなくまだ荷物も落ち着かないころ、東日本大震災が起こり、慌ただしいまま時を過ごしていたような気がします。 
 今年は本社も少しずつ態勢が整い、1階は社長や事務のスペース兼お客様との打ち合わせ場として整え、2階は私たち現場や営業のスタッフの資料やサンプル、図面が広がる仕事場になっています。1階はお客様がいらっしゃる場として、無垢材のさわやかな雰囲気が感じられる落ち着いたスペースです。事務のスタッフが会社をきれいに明るく整えてくれて、また、大工の山田さんが手づくりしてくれた無垢材のおもちゃが置いてあり、お子さんも楽しく過ごせる場になっています。
 お客様が気軽に訪問してくださって、ほっとできる、くつろげる場づくりをしていきたいと思っています。

口コミとご紹介に支えられて……

 このブログを書くにあたり、改めてこの1年間の仕事を振り返りました。新築、大規模リフォーム、耐震リフォーム、小規模リフォーム、マンションリフォーム、お風呂の入れ替えや近所の幼稚園でのチャボ小屋施工など、大小さまざまな仕事をさせていただきました。
 お客様がどのようにして私たちを選んでくださったのかを分析してみると、ホームページなどからのお問い合わせはもちろんあるのですが、圧倒的にご紹介が多いのが私たち大丸建設の特徴なのだな、ということがわかりました。特に、親御さんの家を建て、親御さんが私たちのファンになってくださってお子さんの家を建てる際にご指名くださるというケースが何軒かあり、多摩で140年根づいてきた先代たちの仕事がいまの世代に受け継がれていることにありがたく思っています。そうして、親子代々で私たちに住まいを任せていただけることに、今後も長く家業を続けていこうという誇りと決心につながってきます。
 また、OBのお客様がリフォームでお声がけくださったり、お客様からのご紹介が絶えないことが、何より大丸建設らしさで、いちばん大切な部分なのだな、と私自身感じています。とにもかくにも、たいへんありがたいことです。

2012年を振り返る

 年の瀬が押し迫り、何とも気ぜわしい気持ちになります。私も例外ではありませんが、毎日現場と会社の運営で、気づいたら慌ただしく走り回る日々。いよいよクリスマス、仕事納め、大晦日……と一年の締めくくりが近づいていますね。
 今年も残りわずかとなりましたが、大丸建設と私自身の2012年を振り返りたいと思います。今年は新築住宅の着工・竣工については、棟数としてはそれほど多くなかったものの、モダンなデザインの洋菓子店など幾つか印象深いお仕事をさせていただきました。どのお客様も家づくりにたいへん熱心で、深い知識や暮らしへのこだわりを持っておられて、私たちもやりとりをしながらとても勉強になりました。心から感謝いたします。
 また、大規模リフォームや耐震リフォーム、耐震診断なども間断なくお問合せをいただき、またお仕事もいただき、気づいてみれば1年間くまなく忙しく過ごすことができました。今年1年、多くのお客様に支えられて、私たち大丸建設一同、たいへん有意義な時間を過ごすことができました。

「大丸さんにお願いしてよかった!」が励み

 9月、10月のブログでは、耐震診断でどんなことをするのかを詳しくお話してきました。時に天井裏に潜り、床下にも潜り、埃や暑さ、湿気と格闘しながらも、お客様の住まいを安全に守るためのポイントを発見した時の喜び。そういった、一つひとつの手応えを感じるたびに、人の住まいに関わる仕事をしてきてよかったなあ、と感じます。
 住宅の新築やリフォーム、耐震診断など、仕事の大小に関わらず、一つの仕事を終えると、お客様によく言われることがあります。
「安田さんにお願いしてよかった!」
 この一言が、私の生き甲斐であり、仕事を続ける誇りでもあります。それを、社員や、いずれ次に続く世代にも味わってもらいたい。そんな思いで今をつなぎ、毎日仕事に励んでいきます。

今後の目標は、一緒に会社を動かしていく人材を育てること

 私の父でもある大丸建設現社長・安田昭は、もうそろそろ古希を迎えます。私も世代交代を意識する年齢にさしかかりました。明治初期の創業から140年、現社長で5代を数える大丸建設は、地域に根ざし、多くのお客様の口コミや紹介で支えられ、今では親子代々にわたってご愛顧してくださる方も多く、この家業を継いで次に伝えていく使命を私自身、感じています。
 今の大丸建設は、社長や兄である常務・安田博昭、私の入社前から営業を一手に担っているインテリアコーディネーターでもある田上純子、そして同世代の現場監督・雨宮和幸が中心となり、パートさんや大工を始めとする職人さんたちによって支えられています。今建てているお客さんのため、今後お迎えするお客さんのため、大丸建設自身も持続可能であるよう、私の片腕となってくれる後輩と、しっかり理念や想いを共有し、社員の提案やチャレンジを受け止め、挑戦できる土壌をつくり、よき住まいをつくり続け、200年の歴史につないでいきたいと思います。

チルチンびとや匠の会で、同世代の建築仲間と出会う

 私も30代になり、会社での仕事を中心になって回すようになると、会社のお客様だけでなく、日本の木造住宅建築を担う同業他社との関わりも増えるようになりました。
 その中でも特に、「匠の会」と「チルチンびと『地域主義』工務店の会」でともにご一緒している、千葉工務店(埼玉県)の千葉社長や、高棟建設工業(神奈川県)の高橋社長など、私にとって兄貴分にもあたる先輩社長とのお付き合いが深まるようになりました。それぞれ、日本の杉や檜の無垢材と自然素材を使い、地域密着型、家族経営の代々の工務店として、共通点も多く、個性の異なる先輩たちは私に後ろ姿を見せてくれ、とても勉強になります。
 「チルチンびと『地域主義』工務店の会」では、有害化学物質ゼロの家づくり、地域を活性化する住まいや林業の担い手たちと、ともに学び、時に熱く議論しながら、日本の木造建築の最先端を作り上げてきました。その時の学びやネットワークは今でも私の礎になり、また今後の伸びしろもあるだろうなあ、と感じています。

4年目に一級建築士に合格!

 私が大丸建設の仕事で「少しは一人前に近づけたのかな?」と感じるようになったのは、入社して5年くらい経った、30代に入るころかと思います。
 20代のころはひたすら現場で汗をかき、父である社長や先輩社員たちの背中を見ながら、勉強、勉強の日々。
 文字通り受験勉強もしていました。一級建築士の試験です。木造建築の現場では二級建築士の資格でも十分なのですが、社会的信用度などの観点からも、一級建築士の資格を取得したいと、働きながら勉強を重ねて、入社後、4年目で合格しました。
 そのころから、少しずつ現場と会社の運営と、両面を見る余裕が出てきて、会社の中での自分の役割も意識するようになりました。30代になって会社の中核を担うようになってくると、ますます仕事が楽しく感じられるようになりました。

自学自習で木造建築を自分のものにしていった

 24歳で大丸建設に入社してからは、ひたすら現場で汗を流す毎日でした。現場監督として会社と職人さんをつなぎ、時にはお客様との打ち合わせに同席して営業的な役割も担当していました。入社当時は、特に「先輩」と呼ぶようなロールモデルもおらず、父や、営業の田上や、設計担当スタッフなどの仕事を見ながら、現場で「見て、感じて覚える」自学自習スタイルで、木造建築を少しずつ自分のカラダに染み込ませていきました。
 実は、大学3、4年生から専門学校時代も、アルバイトで会社の現場に入っていたのです。その時はひたすら大工さんのお手伝いで、現場の片付けや掃除、大工さんの刻みの手伝いなど、木のにおいと現場のにおいに囲まれて過ごしていました。
 今でも大工さんと職人さんに頭が上がらないのは、現場での大変さと、技術の確かさ、そういったものを肌で感じていたからだと思います。
 その時の経験から、職人さんとの連絡や調整は綿密にするよう、今でも心がけています。

大学では建築系で、土木の勉強をしました

 大学受験のころになると、進路について真剣に考えるようになりました。父は「建築の道に進め」とは一言も言いませんでしたが、「大学には行きなさい。大学は友達をつくる場だから」と言われました。
 高校時代は、勉強はそこそこに、遊びも楽しんでいたので、いざ進路を決めるとなると悩みもしましたが、幼い頃から漠然と感じていた「将来は建築の道に進むんだろうな」という思いは徐々に明確になっていき、推薦入試で建築系の土木を学ぶ学部に合格しました。
 それからの4年間は、いずれ自分に必要になるだろうと、土木の勉強をしっかりして、大学を卒業するころには明確に「家業である大丸建設を継ごう」と意識するようになりました。大学時代の土木の勉強では、木造住宅建築の現場で働くには知識も経験も足りなかったので、卒業後さらに2年、専門学校で建築を学びました。
 私が大丸建設に入社したのは24歳の時。もしかしたら、大丸建設の100有余年の歴史で初めての「新卒」として入社したのかもしれません。