中古住宅を取得する際は「ホームインスペクション」を。

「ホームインスペクション」を日本語に訳すと「住宅診断」となります。

中古住宅を取得する際に、既存の住宅を専門の「ホームインスペクター」に診断してもらいます。中古住宅の売買の際に、仲介事業者が買主や売主に対して建物の状態について説明しなければなりません。その、ホームインスペクターを紹介・斡旋することが、宅地建物取引業法の改正によって、2018年より義務化されたのです。

宅地建物取引業法の改正では、中古住宅の流通を増やすことを目的の一つに据えています。ホームインスペクションによって、買主は中古住宅の状態を正しく判断したうえで売買をすることができます。売主も売買に関わるトラブルを回避することができます。コストや手間はかかりますが、売買に関する重要な判断基準となります。

「私たち、旧耐震な女です」

先日、大丸建設の広報についての打ち合わせで、スタッフの坂本と、広報コンサルティングの女性が、「私たち、旧耐震な女です」と言って、大爆笑しました。ちょうど1981年以前に建てられた住宅の耐震改修が2件続いたタイミングでした。彼女たちは1981年よりちょっと前に生まれた、いわゆる「アラフォー」で、なるほど、おもしろい表現だな、と思いました。工務店に関わる女性あるあるでしょうか。

新耐震基準が施行された1981年6月以前の建物は、構造壁の量が少なく、開口部のバランスもあまり耐震性を考慮していないので、来たるべき大地震に備えた補強が必要になります。今月は、耐震改修や建物診断の「ホームインスペクション」についてお話しします。

 

大丸建設がURAとのコラボレーションで目指すこと

大丸建設は東京・多摩エリアで創業150年の工務店です。これまで長きにわたり、親子代々でご愛顧くださるお客様もいて、私たちも世代をつないでいくことができました。しかし、昨今の地価高騰や人口減少などの余波を受け、工務店業界は厳しい環境にさらされています。

私たちには、明治初期以降受け継いできた「匠の技」があります。職人さんとの信頼感、そして良質な国産材を提供してくださる林産地や自然素材の建材メーカーとのつながりを正直に伝える工務店は、決して多くはありません。

そしてこれからの時代、工務店単独で生き残るのは難しく、同業者をはじめとした同じ志を持つ建築関係者と手を携え、自分たちの強みを発信していかなければなりません。そうすることで、同じような気持ちのお施主様にも巡り会えるのではないかと思います。

私は、URA(地域主義建築家連合)とのコラボに大きな期待をもって、この事業に取り組みます。

これからの「大丸建設×URA」住まいの相談会スケジュール

6月から、「大丸建設×URA」住まいの相談会をスタートします。

大丸建設、URA建築家のパネルを展示し、これまでの作例などをご覧いただけます。来場者への個別相談にも対応いたします。

木工体験や木のおもちゃコーナーを用意し、お子様連れでのご参加も歓迎です。お茶をご用意してお待ちしていますので、お気軽にご来場ください。

第1回:2019年  6月  8日(土)10:00〜15:00  ゲスト:伊藤誠康氏

第2回:2019年  8月  3日(土)10:00〜15:00  ゲスト:水澤悟氏

第3回:2019年  9月  7日(土)10:00〜15:00  ゲスト:大野正博氏

第4回:2019年10月26日(土)10:00〜15:00  ゲスト:木下治仁氏

第5回:2019年11月16日(土)10:00〜15:00  ゲスト:松本直子氏

第6回:2019年12月14日(土)10:00〜15:00  ゲスト:中村聖子氏

第7回:2020年  1月18日(土)10:00〜15:00      ゲスト:岩瀬卓也氏

第8回:2020年  2月15日(土)10:00〜15:00  ゲスト:伊藤誠康氏

 

http://www.chilchinbito-hiroba.jp/column/URA/

URA建築家の紹介

現在URA(地域主義建築家連合)に参加している建築家は9名です。

伊藤誠康さん、岩瀬卓也さん、大野正博さん、木下治仁さん、中村聖子さん、松本直子さん、水澤悟さんが首都圏を中心に活躍しておられ、中島祐三さん、永見進夫さんが西日本で活躍されています。

URAの建築家の作品は雑誌『チルチンびと』でご覧になった方もあるかもしれません。いずれも地域の気候風土に根ざし、風や光を取り入れ、日本の伝統美と、新しい提案とが融合した美しさがあります。それでいて、建築家それぞれの個性と建築思想が発揮され、お施主様の生き方が反映された、唯一無二の建物です。

ぜひ皆さん、雑誌『チルチンびと』を手にとってご覧ください。

 

URA 「地域主義建築家」宣言

住宅雑誌『チルチンびと』を発行する風土社の理念的な礎となっている、平良敬一先生の「地域主義建築家宣言」の草案をここに記載します。

 

かつての民家は日本列島の住人たちが気候風土と闘いながら、長い時間をかけて築いてきた住まいのかたちでした。

しかし、それは猛烈なスピードで変化し続ける技術や科学ばかりが尊重されるのと反比例して、軽視され捨てられ消失してきました。

私たちURA(Union of Regionalism Architects=地域主義建築家連合)は住む人の暮らしをイメージし、使い勝手や構造強度にすぐれた、美しく、心地よい住宅を、建主と工務店とともにつくる建築家集団です。

住宅が商品化される現代の風潮の中で、家をつくることを文化の一端ととらえ、土地の気候風土や先人たちが築いてきた伝統を尊重し、地球環境への配慮を怠らず、国産材、自然素材を使った、良質な家や美しい町並みを、地域で活動する工務店とともにつくっていきたいと考えます。

さらには、新しい家の在り方も柔軟にとらえる広い視野を持ち、知識と技術の工場に努力を惜しまず、「文化としての住宅」建築のために、時代を切り開く「美学」を養うことをめざします。

 

(『チルチンびと』92号/2017年 より)

大切なのは職人とのコミュニケーション

職人さんたちに「匠の技」を生かしてもらうために何よりも大切なのは、コミュニケーションです。お客様がどんな住まいに暮らしたいのか、そのためにこの設計であること、心地よい暮らしと住まいをつくっていく、という目標が共有されており、だからこの作業をやっているのだ、という実感を持てれば、自ずといい家をつくれることになります。

設計者はお客様の希望を形にして、現場監督に伝えます。往往にして変更なども行われるため、現場監督はその意図を正確に職人さんに伝えなければなりません。お客様と直接接することの少ない職人さんたちとお客様をつなげる要は、現場監督なのです。

職人さんが気持ちよく力を発揮できる現場は、いい家を生み出します。それが、私の考える「匠の技」です。

仕上がりのきれいさとは何か?

大丸建設の大工は腕がいい、それは自信を持って言い切ることができます。その「腕」はどこで見ればいいのでしょうか。一言でいうと「仕上がりのきれいさ」なのですが、それも、なかなか言葉で伝えるのは難しいです。

例えば、板を張るときに、きちんと木目が揃っていること。木目が揃っているのは当たり前のように思えますが、一つひとつ異なる木のなかで、木目の性質を見極めて揃えていくのは、意外と大変なことです。材のすべてに目を通して、それを実際に並べ合わせていく前に「木の上を向いているか下を向いているか」「赤身と白太のバランス」「板目の間隔」などを判断します。

木は材木になってからも生きているので、室内環境によって割れたり反ったりします。それも当たり前のこととして、将来を考えて配置することも大切です。

また、ほぞや溝などの切り込みがきれいかどうか、ケバが立っていないかなど、細かいおさまりにまで木を配るのが、一流の大工さんなのです。

おさまりの美しさ=大工の力量

現場がスムーズに進むためには、理想的には最初に図面上で仕様や設計がすべて決まっていて、図面さえみればすべて家づくりを進められる状態にあることです。材料がスムーズにそろい、図面をみればつくれる状態であれば、大工さんは気持ちよく仕事ができます。

気持ちよい仕事は、仕上がりのきれいさにもつながります。木が美しくおさまっていること(例えば、梁と柱の接合部に隙がないとか、床材の木目がきれいに揃っているのを、おさまりがいい、と言います)で、お客様は、なんとも言えない心地よさを住まいから感じることができます。

 

おさまりの美しさは、元々の素材(無垢材)がよいことが前提になります。大丸建設が使うのは主に、紀州(和歌山県)産の無垢材です。日本を代表する林業家・山長商店のもので、材の質がとても高いです。しかし、木材は一つとして同じものはなく、木目も異なりますし、節もあります。現場で大工さんが材料を見て判断し、組み合わせる力が、おさまりの美しさにつながります。

建築現場をスムーズに進めるために

大工さんが気持ちよく仕事をするためには、現場監督の手際よく、段取りをスムーズに仕事を進めることが大切です。材料の発注をスムーズにし、大工さんが現場で手を余らせないようにします。材料が届かず大工さんが現場で何もすることがない……という状況をつくらないようにします。

お客様と合意形成をしながら、ご要望に沿って進めるため、営業から適切に情報を聞き出し、大工さんに伝えていくのも現場監督の務めです。営業との連携がうまく進み、意思決定をスムーズで、気持ちよく現場が回っていく住まいは、いい家になりやすいです。

大工さんに対してもっとも気を使うポイントは、やり直しをさせないことです。大工さんは、つくったものに誇りと愛着があります。つくったものを壊すのはもっとも嫌なことで困ることでもあります。注文住宅の場合、お客様のご要望に合わせてつくるので、変更が当たり前なことは大工さんも承知済みですが、計画段階で変更するのと、すでにつくってから壊すのでは、気持ちのうえでも工期もコスト面でも、お客様、工務店、職人さんともに負担が大きいものです。