房総半島の住宅被害の特徴

台風15号は千葉県南部に上陸し、住宅に甚大な被害をもたらしました。特に、南房総市、館山市、鋸南町の被害が著しく、復興支援ボランティアの受け入れが進んでいます。県南部の被害が激しいため、あまり報道はされていませんが、千葉市や成田市などでも住宅の損壊や停電などで、日常生活に大きな影響を受けた方が多かったそうです。

館山市にボランティアに行った友人の話を聞きました。

「ブルーシートで覆われた家がとても多い。特に屋根瓦の被害が大きくて、瓦が飛んでしまったり、窓や壁が割れたりして、風雨にさられている家が多い。雨漏り防止のためにブルーシートで屋根や壁を覆って、土嚢で止めるしかない状態。屋根瓦を修理できる専門の職人が足りない。家財道具を守るすべのない高齢者が困っている状況。ボランティアの力でなんとか瓦礫の整理や、家財道具の移動などをおこなっているが、追いついていないようだ」とのことです。

2019年、台風被害に思うこと

2019年9月9日未明、関東地方に上陸した台風15号は、首都圏に甚大な被害をもたらしました。特に、千葉県南部の房総半島では、現在も停電が続く地域があるなど、住民の生活に今なお影響が残っています。被災された方には心からお見舞いを申し上げます。

千葉県の被害があまりに大きいので、報道は少ないのですが、神奈川県の南部にもかなり被害があったようです。匠の会の仲間で、鎌倉市の工務店さんは、住宅の修理に大忙しで、悲鳴をあげていました。

首都圏に少なからずの影響を残した台風15号。今後、台風の巨大化や上陸の多さが心配されるなかで、どのように住まいの対策をしていくべきなのか、工務店の視点から考えました。

飛び込み営業の対策

大雨の後は、外装業者の飛び込み営業が増える時期でもあります。屋根がはがれているとか、棟にトラブルがあるとか、外装にクラックが入っているとか……。本当に親切な業者もありますが、悪質な営業もあるので、気をつけなければなりません。

特に屋根については、専門的な知識をもった業者に入ってもらうのがベストです。飛び込みの営業マンを屋根に載せるのはお勧めしません。時には、「屋根のこの部材がはがれていました」と部材を見せて屋根にのって工事を取り付けたものの、実は営業時に見せた部材をそもそも使っていなかった、というケースも。

大丸のOBのお客様で、外装の飛び込み営業が来たら、必ず、大丸建設に相談してください。私たちはお客様の家を建てた時の建築図面を保持しており、使った素材や構造に熟知しています。飛び込み営業が来たらある程度外装が劣化していることの目安にはなりますが、緊急性を要するかどうかの判断は私たちにもできます。ですので、お気軽にご相談いただければ幸いです。

大雨の後にチェックすべきところ

ゲリラ豪雨や大雨が過ぎ去った後は、天井や壁にシミがないか、チェックしてください。雨漏りが起こると、雨水が天井や壁から沁みて、内壁に影響が出てきます。内壁までにシミが出ると、柱や梁、断熱材が濡れて、放置すると腐ってしまう可能性があります。

また、古いサッシ(窓枠)は気密性がよくないので、サッシから風雨が入り込んでしまうことがあります。床や壁が濡れて、そこから床が劣化してささくれたり、塗装がはがれてしまうこともあります。

内装が沁みるほどのトラブルは、外装を見てもわかるくらいです。そうした時に、外装工事業者の飛び込み営業が入ることもあります。

通気層で防水はとれやすくなった

現代は大雨や洪水などの気象災害が激化しています。首都圏など温暖な地域でも、住宅街に水があふれて住民がボートで避難するといった、信じられないような洪水の風景をテレビで見かけることがあります。

昔の家は、「雨は上から下に降る」という想定で家を建てています。そのため、下から水が当たると家に水が入ってしまう構造になっています。しかし、現代の工務店は、「大雨やゲリラ豪雨では、雨が叩きつけて、下から上に巻き込む」というのが常識になっているので、床上浸水などの大規模災害でなければ、家に水が入らないよう、防水をしっかりおこなうように指導されています。

在来工法で言えば、壁や床に通気層をしっかりとっています。通気層は防水にも有利で、もし仮に水が壁に入ってきても、壁の間に二重に防水層が入っているので、そこから水が出て、内壁までに被害が出にくいようになっています。

気象が激化しているので、外装チェックはこまめに。

2000年代に入り、地球温暖化、気候変動の影響が顕著に現れてきています。「50年に一度の大雨」のような激しい気象現象が、毎年どこかで起こっています。雨とは、基本的に上から下に降るものですが、近年は横殴りの雨や、地面に叩きつけて下から跳ね返ってくる、巻き込むような、「下から上」の雨も見られます。

現代の工法では、このような気象の激化に対して、特に防水をしっかりおこなうなど、何かしらの対応策をほどこしています。それでも、「50年に一度」ならず、「100年に一度」レベルの気象災害も起こる時代ですから、大雨の後には水漏れなどをチェックする習慣をつくるとよいでしょう。

外装メンテナンスの費用感

外装メンテナンスは、家の大きさ(外壁の面積)によって大きく変わります。

外壁から屋根までやる場合は、足場をかける費用まで考えると、外壁面積で30〜50坪くらいで想定すると、だいたい150〜250万円くらいではないかと思います。家の大きさによっても、施工業者や施工内容によっても価格は異なります。塗装だけならば2週間くらいが施工期間と考えてよういでしょう。

もともと使っている外装材や屋根材によって、施工のしやすさが変わってきます。施工期間が短いほど、費用も少なくて済みます。屋根が瓦であれば、壊れている一部分だけ直せばいいのですから。初期投資とメンテナンス費用は、ある一定期間までは反比例関係とも言えるのです。

外装メンテナンスは全体で

外装のメンテナンスを安価で仕上げるために、劣化した一部だけの塗装で済ませようとする方がいますが、それはやめる方がいいと思います。一部だけ塗装すると、見た目としても違いが出てきますが、実は「見えている部分」だけが劣化しているわけではないのです。汚れていないように見えても実は汚れていたり、劣化が見えないところで進行しているケースもあるのです。

何より、外装メンテナンスをやる際は、足場をかける手間がかかるので、その手間賃を考えると、一部だけやるよりも、全体をまとめてやる方が効率的です。

軒下のメンテナンスも必要です

近年、気候が激化して、雨は上から下に降るものだったのが、あまりに激しい雨で上から叩きつけられた雨が今度は下から上に飛び跳ねてきたり、横から打ち付けてくるような、そんな風に変わってきています。

雨風が軒裏まで風で巻き込んでしまうケースが増えてきており、軒先や軒裏の劣化が心配です。昔は軒天井も木で施工していましたが、最近では風雨対策でサイディングボードに張り替えたり、ペンキを塗り替えるメンテナンスをしています。

ペンキなどがささくれのように出ている軒先は、美観の問題もありますが、水がしみやすくなってきているサインでもあります。早めにメンテナンスをするのがおすすめです。

 

木の外壁塗装の方法

外装をメンテナンスする最大の目的は、住まいの構造材を守るためです。要は雨漏り、水染み対策です。外壁が傷むと、そこから雨風が入りやすくなり、染み込んで、構造材が劣化します。すると耐震に影響したり、壁の中がカビたり腐敗して、健康被害にもつながります。

外壁が木の場合は、しっかりと塗装をして、仕上げ材で水の対策をすることが大切です。木の外壁材が傷んだ場合は、塗装をするか、交換です。

木の塗装は、オイルステイン系の油を染み込ませる塗装か、ペンキと呼ばれる塗膜をつくるタイプの塗装の大きく2種類です。

木がしっかりしているうちはオイルステイン系の方が、木の良さをいかせるのでおすすめです。大丸建設ではかつて、木にはペンキ系の外壁塗装をおこなっていましたが、日光や風雨に当たると劣化してペンキが剥がれてきます。また、木は生きているので、湿気を吸ったり乾燥すると動き出して、それでペンキが剥がれることもあります。ステイン系の方が木の性質に寄り添ってよさそうに思います。