外装メンテナンスは全体で

外装のメンテナンスを安価で仕上げるために、劣化した一部だけの塗装で済ませようとする方がいますが、それはやめる方がいいと思います。一部だけ塗装すると、見た目としても違いが出てきますが、実は「見えている部分」だけが劣化しているわけではないのです。汚れていないように見えても実は汚れていたり、劣化が見えないところで進行しているケースもあるのです。

何より、外装メンテナンスをやる際は、足場をかける手間がかかるので、その手間賃を考えると、一部だけやるよりも、全体をまとめてやる方が効率的です。

軒下のメンテナンスも必要です

近年、気候が激化して、雨は上から下に降るものだったのが、あまりに激しい雨で上から叩きつけられた雨が今度は下から上に飛び跳ねてきたり、横から打ち付けてくるような、そんな風に変わってきています。

雨風が軒裏まで風で巻き込んでしまうケースが増えてきており、軒先や軒裏の劣化が心配です。昔は軒天井も木で施工していましたが、最近では風雨対策でサイディングボードに張り替えたり、ペンキを塗り替えるメンテナンスをしています。

ペンキなどがささくれのように出ている軒先は、美観の問題もありますが、水がしみやすくなってきているサインでもあります。早めにメンテナンスをするのがおすすめです。

 

木の外壁塗装の方法

外装をメンテナンスする最大の目的は、住まいの構造材を守るためです。要は雨漏り、水染み対策です。外壁が傷むと、そこから雨風が入りやすくなり、染み込んで、構造材が劣化します。すると耐震に影響したり、壁の中がカビたり腐敗して、健康被害にもつながります。

外壁が木の場合は、しっかりと塗装をして、仕上げ材で水の対策をすることが大切です。木の外壁材が傷んだ場合は、塗装をするか、交換です。

木の塗装は、オイルステイン系の油を染み込ませる塗装か、ペンキと呼ばれる塗膜をつくるタイプの塗装の大きく2種類です。

木がしっかりしているうちはオイルステイン系の方が、木の良さをいかせるのでおすすめです。大丸建設ではかつて、木にはペンキ系の外壁塗装をおこなっていましたが、日光や風雨に当たると劣化してペンキが剥がれてきます。また、木は生きているので、湿気を吸ったり乾燥すると動き出して、それでペンキが剥がれることもあります。ステイン系の方が木の性質に寄り添ってよさそうに思います。

 

屋根のメンテナンス方法

外装メンテナンスというと、つい外壁の補修をイメージしがちですが、実は屋根のメンテナンスがすごく大切です。

瓦屋根の場合は、瓦がはずれたり、棟瓦の漆喰部分が割れていれば、メンテナンスのサインです。瓦は基本的にメンテナンスフリーですが、棟瓦の漆喰は、天井のてっぺんで最も雨風を受けやすいところでもあるため、注意してチェックするようにしましょう。

カラーベストの屋根の場合は、埃がついたり、苔が生えたりして、表面が劣化します。水洗いをしてから塗装します。ガルバリウム鋼板の屋根も、カラーベスト材同様、10年から15年で表面塗装のツヤがなくなり、塗膜をもう一度つくる必要があります。苔が生えると劣化が早くなり、割れやすくなります。そうすると屋根から水が入り天井や構造材に影響を与えます。

 

外装工事はお肌のメンテナンスと一緒

外装のメンテナンスは「お肌のお手入れ」のようなものです。しかし、外装が人間の肌と違うのは、自動修復機能がないことです。

大丸建設では、工務店の役割の一つに「ハウスドクター」があると思っています。住まいのお医者さんとは、住まいに不具合が出ないように定期的に診察して、未然に病気を防ぐことです。

例えば、私はハウスドクターとして「耐震診断」をします。地震に対して今の住まいの健康状態がどうであるかを「健康診断」する、というわけです。

ホーム・インスペクションも同じようなものです。住まいに不具合が見つかったら、大事故につながる前に、早めに修復、営繕を提案します。

お肌のケアについても、紫外線対策をせずにいると、日焼けして肌が荒れたり、しみやそばかす、そして劣化の原因になります。外装が紫外線を浴びることは避けられないとしても、メンテナンスをすることで長持ちさせることはできます。

ホームインスペクションのご相談にものります

実は私は、ホームインスペクター(住宅診断士)です。ホームインスペクションの診断は、実は耐震診断よりも診断の程度は軽く、床なり、配管、雨漏りなどです。私は一級建築士でもあり、耐震診断の専門家なので、中古住宅の売買を検討されている方がいたら、ご相談にのりますので、ぜひお声がけください。

ホームインスペクションは住宅の健康診断とも言えますね。こちらは軽微の診断なので、より深く診断するなら耐震診断にステップアップすることができます。ホームインスペクションは中立的な立場でおこないます。リフォーム業者の斡旋や、大丸建設への誘導などはできませんので、そこはご留意ください。

今「リフォーム済み」の中古住宅は減っている

昔、中古住宅を買うとなると、リフォーム済みの物件が多かったように思いますが、最近は中古住宅の売買でもリフォームはせずにそのまま引き渡しをするケースが増えています。なぜかというと、やはりリノベーション需要が高まっているからで、住宅の買主には「中古住宅を安価に手に入れて、新築よりも割安な価格で自分の理想通りの住まいをつくりたい」という人が増えています。そのこと自体はよいことだと私は思っています。

中古住宅が適切に売買されるためにも、安心・安全性が目に見える形であることが重要です。しかし、中古住宅は築年数や耐震状態によって、必ずしも安心・安全であるとは限りません。大切なのは、買手が住宅の状態を正確に把握して、取得前に必要な改修費用についても理解をし、納得していることです。

「旧耐震だけれども、補助金を活用しながらしっかり耐震改修をして、安心して住もう」と納得して費用を負担すれば、後々の精神的な負担も軽減することができます。結果的に良い買い物になるのです。

中古住宅を取得する際は「ホームインスペクション」を。

「ホームインスペクション」を日本語に訳すと「住宅診断」となります。

中古住宅を取得する際に、既存の住宅を専門の「ホームインスペクター」に診断してもらいます。中古住宅の売買の際に、仲介事業者が買主や売主に対して建物の状態について説明しなければなりません。その、ホームインスペクターを紹介・斡旋することが、宅地建物取引業法の改正によって、2018年より義務化されたのです。

宅地建物取引業法の改正では、中古住宅の流通を増やすことを目的の一つに据えています。ホームインスペクションによって、買主は中古住宅の状態を正しく判断したうえで売買をすることができます。売主も売買に関わるトラブルを回避することができます。コストや手間はかかりますが、売買に関する重要な判断基準となります。

命を守る耐震改修

今は、割安な価格で中古住宅を取得して、リノベーション(性能向上リフォーム)をして住みたい、というお客様も結構いらっしゃいます。リノベーションは、内装だけでなく、耐震性を担保し、断熱性も向上させ、内装や設備も入れ替えるので、建物の床面積にもよりますが、全てを満足させるとなると、1500万円から2000万円は予算が必要になってきます。予算をおさえるならば、何かを少しずつ諦めなければなりません。

旧耐震(1981年6月以前に建てられた建物)の場合は、地方自治体から耐震改修の補助金が出ることが多く、断熱改修にはエコリフォームの補助金が出ます。耐震性の向上は、地震の際に命を守ることに直結しますし、断熱性の向上は寒さ暑さによる健康に左右します。

地盤が弱いと建物も揺れやすい

耐震改修工事では、建物の構造だけを見るのではなく、基礎、擁壁、地盤と、トータルで検討します。すでに建っている建物を活かすので、地盤の補強はできません。地盤が弱いと、地震が起こった時に建物も揺れやすくなるので、建物の耐震性を高くすることで対応します。耐力壁、合板、筋交いの三本柱で建物を補強し、柱と梁の接合部に金物をつけてさらに強さをまします。

基礎に鉄筋が入っていない場合は、外側に鉄筋を配した基礎を補強したり、外側からアンカーを打ち込んで補強する、布基礎の上にコンクリートを流し込んでベタ基礎にするなどの方法があります。

地盤が弱い場合、建っている建物の上から地盤改修はできませんから、耐震性を担保するためには、一度壊して新築にする方が安く上がるケースもあります。しかし、お客様の中には、愛着のある家を壊したくないなどの理由もあり、悩ましいところです。