2024年の抱負_8 会社の体制も持続可能に

大丸建設の家は、すべてオーダーメイドです。大工さんや職人さんの力を合わせて、お客様の理想を形にするコーディネーターが、現場監督です。

私自身、長く現場監督を務め、一級建築士として数多くの現場を見てきました。現場監督の仕事は、スケジュール管理や見積りの積算、材料の発注や職人の調整など、多岐にわたります。現在は私と山崎で監督を務めていますが、ありがたいことに近年、建築家との仕事や、お客さまからのお問い合わせが増えているため、それに応えていくにはもう一人、現場監督ができるスタッフが必要です。

「現場監督募集」の記事に、大丸建設で働くおもしろさや醍醐味について、私の思いを述べました。大丸建設に加わって、一緒に働いていただける人を募集しています。

木の家づくりはとても面白いです。そして大丸建設では素敵なお客様に出会えます。今年も、お客様や職人さんと一緒に、いい家づくりを進めていきます。

2024年の抱負_7 今後ますます価値が高まる職人の技術

大丸建設で使うのは、国産の無垢材と、自然素材です。これらを生かす家づくりは、設計段階からどのように使いこなすのかの詳細を詰め、現場で職人の知識や経験を活かしながら調整し、木の個性や表情を見極めておさめていく、高度な技術が求められます。

今の住まいは、新建材を組み合わせることでもできます。安く、早く、確実な施工ができますが、決まったモジュール、寸法通りのものしかできず、自由度がありません。決まったパターンの商品を選んで買う、という作り方なので、そこに職人の技術はあまり求められません。AIやロボットが発達した時代において、職人技術が生かされる現場の価値は、ますます高まっていくことでしょう。

お客様自身もますます目利きになり、ご自身でライフスタイルをデザインすることができる方が増えていきます。そんな時代だからこそ、自由度高く、経験を持ってお客様に最適な住まいを提案できる工務店でありたいと思います。

 

2024年の抱負_6 木を使える職人を育てる

大丸建設は国産無垢材の家づくりをしています。ここで何よりも大切なのは、地域の職人さんの技術を活かしていきたい、ということです。

木の家づくりには、特に大工さんの力量が大切です。木の家は、その木が森に立っていた時のように木を使うのがいいとされ、木の天地を知り、表裏を見て素直に立てるのが一番なのです。しかし、これも一朝一夕にできることではなく、また無垢材にふれる経験が少なければ、身につかないものです。木は切った後も生きていて、呼吸しています。木の経年変化や季節による変化を理解して、それでも住まいという形におさまるように、木と対話しながら家を建てていけるような大工を、仕事を通して育てていきたいと思っています。

仕事がなければ職人の技術を未来に受け継いでいくことはできません。大丸建設では、木の家を求めるお客さまと職人をつなぐ架け橋でありたいと願っています。

耐震グレーゾーン住宅を解消したい(3)新耐震基準と2000年基準

新耐震基準は1981年6月1日以降に建築確認が行われた住宅のことで、それ以前の木造住宅よりも耐力壁の量や倍率を確保するなどして、震度6〜7程度の地震でも倒壊しないレベルまで耐震性能が引き上げられました。

しかし、1995年に発生した阪神・淡路大震災によって多くの木造建物が倒壊し、このことによってさらに新耐震基準が見直されることになりました。阪神・淡路大震災で倒壊した建物の98%は旧耐震の建物でしたが、一方で新耐震の建物でも倒壊したものがありました。新耐震基準で倒壊している建物は、柱や梁の接合部、基礎との連結部分などに問題があることがわかったから基準の見直しに至ったのです。

2000年6月1日以降に建築確認が行われた建物は「2000年基準」を満たした建物、ということができます。柱、梁、筋交、土台等の各接合部に金具を使って固定し、大きな横揺れが起こった際に柱が抜けて倒壊するようなことが起こらないようにします。また、耐力壁の配置バランスに対する基準を設け、部分によって偏りが出ないような設計が求められます。

 

建築家との仕事_8 工務店との相乗効果

建築家との仕事は難しいのか? そう問われると、私は「難しくはない」と答えます。大丸建設に仕事を依頼してくださる建築家は、自然素材や無垢材の力を大切にし、素直でやさしい住まいを設計します。私たちはその設計意図を正しく読み解き、図面に描かれていることを形にしていきます。設計する、施工するという役割の違いであって、求めている完成図は一緒なのだと思います。

設計―施工を自社で一括してやる場合、どうしても、現場での現実(予算、スケジュール、物の置き場、職人さんの調整、納期など)をいかに調整するかということがメインの仕事になります。一方で、設計やデザインを手掛ける方が、現場の現実に引きずられてしまうと、現場寄りの考えになって、デザインのためのプラスひと手間とのせめぎ合いになってしまう可能性もあります。

設計:木下治仁氏

それぞれの専門性を持って、限界を決めずに、よりよい住まいのために力を発揮していくためには、建築家と工務店がコラボして住まいをつくることが、最適解の一つなのかもしれません。

 

建築家との仕事_7 シンプルな形に宿る本質的な美しさ

大丸建設が手掛ける住まいは、基本的に国産の無垢材を使った、自然素材の住宅です。規格品の建材を組み立てるという形ではないので、一つひとつがオーダーメイドです。木の特性を見て素材の力を引き出す施工ができるのは、技術力がある職人がいるからです。決して簡単な仕事ではありませんが、木が好きで大工や職人になっている人たちは、素材をよりよく使うことに喜びを感じます。

設計:小林敏也氏(ことこと設計室)

雑誌『チルチンびと』に掲載されるような建築家も、きっと同じ思いを持っていると思います。無垢材や自然素材を使った、周囲の環境に調和した住まいを設計する方だからこそ、私たちの素材に対する知識や技術力を求めているのではないかと思います。大丸建設とご一緒する建築家が設計する住まいは、直線の美を感じるシンプルさで、住まう人への細やかな気づかい、安心感に包まれるやさしさがあります。デザインの力や可能性を感じ、その意図を汲み取った施工を心がけたいと常に感じています。

 

建築家との仕事_6 多くの人と仕事をともにする意義

美的感覚や技術力を高めていくには、もちろん、個々の学びや研鑽が重要なのはいうまでもありません。会社組織の中で、社員や職人一人ひとりが己の技術や知識を磨いていく機会もチャンスもありますが、ただ、どうしても日々現場や納期に追われて、目の前の仕事を優先せざるを得ないのはどこでも同じことではないでしょうか。

一方で、ネットワーク組織に入ることによって新たな技術や時代の流れ、新しい制度を知り、それに向けて会社の体制を整えていくことも大切です。

つまり、己の意志の力だけ自己研鑽していくのはどうしても難しくても、他者と一緒に仕事をすることで、結果的に仕事を通して技術力や知識の向上につながっていくのです。建築家との仕事では、デザイン性や設計意図を読み解いていくことで、現場の技術力を高めることにつながっていると実感しています。

建築家との仕事_5 現場力が磨かれる

建築家と仕事をするようになって感じるのは、「多くの人の目が入る住まいは、よりよいものになる」ということです。大丸建設では自社設計ができるので、大丸建設だけで設計―施工まで完結することができます。私が入社してから25年以上、ほとんどの住宅は自社でつくってきていましたが、この3年、建築家との仕事が増えて感じることは、自分たちのやり方だけではできないデザイン手法や、収まりを追求することで、より美しい住まいとなり、結果的に現場力が磨かれていく、ということです。

文章での表現が難しいのですが、例えば、現場で木枠をつくる時に、ミリ単位で枠を薄くシャープに見せていくデザイン指示が出ることがあります。縦格子のスリットを入れてルーバーをつくるような際にも、細くシャープに1本1本の格子を見せていくことで、とてもすっきりとした見た目になります。

「美は細部に宿る」といいますが、建築家の仕事を通して、まさにそれを実感しています。

 

設計:小林敏也氏(ことこと設計室)

 

建築家との仕事_4 自然素材に特化した工務店の強み

2020年ごろから、建築家の松本直子さんの仕事が毎年数件、コンスタントに入るようになりました。きっかけは2019年に大丸建設の社屋で開催した「オープンカフェ」のゲストで松本さんをお招きし、その際にいろいろお話しして、お互いのことを深く知り合うようになったことが大きいです。松本さんは、首都圏で特に東京都内の住宅の設計を手掛けることが多く、また自然素材を使った住まいをコンセプトにされているため、大丸建設との相性がよかったのかもしれません。

化学物質過敏症(CS)のお客様の住まいを一緒につくった際には、松本さんと何度も話し合いをしながら、お客様の症状を深く理解して丁寧に進めました。大丸建設ではCSに対応した住まいづくりができ、私自身も素材のテストや施工時に起こるご不安の解消などを冷静に対処してきた経験があったので、お互いに相談をして現場を進めていくのにあたり、信頼関係を築くことができたように思います。

設計:松本直子氏

建築家との仕事_3 刺激と成長

チルチンびと地域主義建築家連合(URA)」の建築家が毎月大丸建設に訪れてくださるようになったことで、私たちにとっては、たいへん大きな刺激になりました。コロナ前だったので「オープンカフェ」という形で、地域のお客様が大丸建設の本社に気軽に立ち寄り、住まいの相談をしていただく、というコンセプトで実施していました。お客様がいらっしゃらない時間帯には、大丸建設のスタッフとゲストの建築家で歓談し、本社1階のリノベーション計画にアドバイスをいただいたり、デザインで大切にしているポイントを伺うなど、学ぶことがとても多かったです。

設計:木下治仁氏

それまでは雑誌『チルチンびと』でその作品を見て憧れる存在だった建築家を、大丸建設にお招きすることによって、個別に語り合う時間を持ち、結果的にそれがきっかけとなって建築家の仕事が増えてくるようになった意味で、とても有意義なチャレンジだったと思っています。