自然系断熱材の価格差

住まいの施工価格における断熱材の占める割合は結構高いです。非自然系のグラスウールを「1」とした時に、大丸で標準施工しているウール(羊毛)は「3」、セルロース(古紙)は「6」から「9」くらいです。それぞれにメリット、デメリットがあり、価格なのか素材なのか、施工のしやすさなのか、どれをとるかは住まい手の方の価値観によります。
 最も高いセルロースは、断熱性能にとても優れています。防音性能も高く、断熱以外の面でも住まい全体のQOLが上がります。ただし価格が高いので、大丸建設では長期優良住宅で補助が出る際に使うことが多いです。
 ウールも施工できちんと留めるので浮沈はせず、価格と性能のバランスがよいので、大丸では通常の住宅の際に使用します。
 いずれも、施工がしっかりしていることが前提となるのは言うまでもありません。

大丸建設は断熱材も自然素材

大丸建設ではウール系(羊毛)かセルロース(古紙)の断熱材を使うことがほとんどです。断熱性能の差は選ぶ断熱材によってそれぞれで、それが価格差になります。自然系だからいい、石油系だからダメということではありませんが、私たち大丸建設が自然系の断熱材を使っている理由は、大丸建設としてのコンセプトとして、地球環境を考えた家づくりは、自然由来のもの、カラダに害の少ないものを使うべき、という考えが根本にあるからです。
 断熱材が健康に与える影響はどうかというと、実は内装材や外壁材でふさいでいるので、数値で大きく目に見えるほどではないと私は感じています。ただ、断熱材がむき出しの状態の時に化学物質の計測をすると確実に数値に反応するので、住まいづくりのトータルのバランスで私たちは自然系素材を選びます。
 幸い、羊毛もセルロースも性能的にも十分で、それを選べる環境にあるので、大丸建設は自然素材の断熱材を使います。

外壁、屋根、床に断熱を入れる。

住まいの断熱の目的は、室内に熱を入れない、室内の温かい空気を逃がさない、それが基本です。つまり、外気に接する部分に断熱を入れることになります。
 具体的には「外壁」と「屋根」と「床」に断熱材を入れます。断熱材の種類は一つの住まいで同じことが多く、入れる箇所によって厚みが変わります。
 一般的には屋根には壁の2倍の断熱材を入れます。同じ材料を使う際には屋断熱にいちばん厚みがあります。屋根には太陽がさんさんと降り注ぎ、冬は雪や冷気が吹き付けます。屋根からの熱の伝わりが最も大きいので、屋根断熱は最重要項目と言えます。

「外断熱」か「内断熱」か。

断熱の工法は大きくわけて「外」か「内」かです。
 一般的に「外断熱」と言われる工法は、建物の外周に板状の断熱材を張り巡らせて、外側からの熱をシャットダウンします。
 大丸建設では「内断熱」で施工しています。内断熱とは、柱と柱の間、あるいは壁材の間に断熱材を充填します。自然素材系の住まいの場合、木質ボードなどの板状のもので外断熱という施工もありますが、実際は充填断熱がほとんどです。
 施工方法としては、ウール系(羊毛)は充填、袋をつくってシートの中に断熱材を吹き込む施工、また壁に断熱材を吹き付ける施工法など様々です。
 大丸建設では、ウールでの充填断熱、あるいはセルロースの吹き付けを行なうことが多いです。

住宅に使われる断熱材の主な種類

 戸建の木造住宅に使われる断熱材は、大きくわけて「石油系」「自然系」にわかれます。
 最も多く使われているのは【グラスウール】です。グラスウールは短いガラス繊維からできており、弾力性がある、均一で施工しやすいといったメリットがありますが、シックハウス対策から大丸建設では使用していません。鉱物からできている【ロックウール】も同様の性質があります。
 また、石油系の【ポリスチレンフォーム】、ウレタン樹脂からできた【ウレタンフォーム】などもよく使われる素材です。
 大丸建設では自然素材を使った木の家づくりがコンセプトなので、古紙からできた【セルロース】、または羊毛からできている【ウール】を使っています。自然系には木の繊維を固めた木質ボードなどもあります。

大丸の断熱施工

大丸建設の住まいは木造の軸組工法です。
 柱と柱(あるいは間は白)の間に断熱材を充填し、その外側に透湿シートを張ります。その外側には通気胴縁を設け、通気層をとります。この通気層をしっかり取ることで空気による保温効果が見込めます。さらに外側にラス下という無垢の壁材(木摺・きずり)が入ります。その外に防水透湿シートを張り、ラス網を張り、網にモルタルを塗って仕上げをします。
 住まいの内装側は、断熱材の内側にプラスターボード(石膏ボード)、そして仕上げ材(無垢材、漆喰、珪藻土など)となります。
 使う断熱材の性能を知り、適切な厚みを入れて隙間なく施工するのが断熱工事の基本です。

省エネを極める!には断熱を知ろう

住まいの温熱環境を考えるうえで、断熱は最重要項目と言えます。断熱は季節によって役割が異なり、これまでは冬場の寒さをいかにしのぐかが重要視されていました。住まいに日射を取り入れ部屋を温め、それを逃がさない魔法瓶のような効果が求められます。しかし近年の温暖化から夏の断熱も大切と見なされ、夏場はいかに日射を遮蔽し熱を住まいに取り入れない、適切に風を通して熱を逃がすような設計が求められます。
 住まいの断熱は大きく二つが挙げられます。屋根、壁、床といった住まいの外周部に断熱材を施すこと。そして住まいの熱損失の約7割を持つとも言われる窓の断熱性能を強化すること。
 今月は断熱材についてお話しします。

見積もりのバリエーションも大切

 住宅建築の場合、それが新築であれリフォームであれ、予算の擦り合わせと納得は最重要事項です。リフォームがわかりにくいのは、何を、どの程度変えたらどのくらいのお金がかかるのか。部品交換型ならば、このパーツを変えれば幾ら、という話なのでカンタンです。しかし、本質改善型の場合、既存住宅ありきで、全体の状態を把握しながら優先順位を決めていくので、一概に幾らとは言いにくいのです。
 リフォームの場合、新たに工事を行う部分と、既存のまま残る部分が出てきます。その調和も大切です。部屋ごと、階ごと、パーツごとのリフォームの積み上げか、ある程度全体をいじる場合でも変わってきます。住みながらのリフォームの場合、工期もかかるし、部分部分を改善しながら最終的に全体を調和していくリフォーム手法が求められます。
 最初の提案のなかで、今改善したいすべてを変えればどのくらいの金額がかかるかの総額を提示し、本質改善のために外せない要素は何か、部品交換だから今急がなくても大丈夫なところはどこか、など、一つひとつ線引きできるような明確な基準を用意できれば、と思っています。

「何年その家に暮らすのか」が大切

 リフォームをどこまでするのか、そこで大切になってくるのが「何年その家に暮らすのか」、その家で「どう暮らしたいのか」です。自分にその家に暮らさなくなった時にどうしたいのか、家族に受け継いでもらいたいのか、中古住宅としてなるべく高く売りたいのかなどで、どのようにリフォームするのかが変わってきます。
 リフォームといっても、一回限りで考えず、お客様のライフステージ全体を通して、どんなリフォームが必要になっていくのかを提案していく必要もあります。今は耐震性の向上が最優先なので限られた予算をそこに注ぎ込むが、数年後にはお子さんが独立するだろうからその時までにお金を貯めて間取りを使いやすくする、10年後には外壁や屋根が傷んでくるはず……など、優先順位を決め、着手していく目処を提示することも大切かと思います。
 私たち大丸建設のスタンスはお客様と生涯にわたり長くお付き合いしていくことです。そのため、今、目の前の仕事をとることにとらわれず、総合的な視野でリフォームの提案をすることができます。

温熱環境の改善で快適性を高める

 本質改善型リフォームをしていくと得られる「安全・快適・長寿命」のうち、住まい全体の断熱性を見直し、夏場・冬場の熱損失を軽減して、省エネを実現していくことは、暮らしの快適性を高めることにつながります。北側の台所を南面にもってきて、日中住まいにいる時間の長い主婦が快適に過ごすことも可能です。内装の素材を自然素材に変えるだけでも快適性は大きく向上します。無垢材が素足にふれた時の温かさや心地よさ、調湿性能で室内の空気環境が清浄に保たれることも、快適の要因の一つです。ほかに、通風を確保し空気循環をよくする、開口部を適切に配置し明るい空間をつくるなども一つの手です。
 住まいをリフォームする動機として、中古住宅の寿命を延ばす「長寿命化」も大切です。建物の安全性を高める(耐震リフォーム)と、長寿命化してストック住宅としての価値を高めるという両側面があると思います。