リノベーションのプロセス_5 解体と準備

リノベーション作業が始まる前に、既存の構造物や設備の解体が行われます。また、新しい設備や建材の配送や保管などの準備も行います。

建物の骨組み・構造を残して、内装を一新するようなリノベーションの場合、壁や床の取り外し、古い設備の撤去などを行います。同時に、新しい建材や設備の配送や保管についても計画していく必要があります。解体作業が進む中で、職人さんが安全に作業を行うため、また、建物や周囲の環境への影響を最小限に抑えるために、養生を施したり、足場を確保するなどの準備も行います。これには、建材の搬入経路の確保や保管場所の準備、必要な機器や道具の手配などが含まれます。

何事もそうですが、準備が万全であればその後の工事もスムーズに進みます。工務店の腕の見せ所は、現場監督の調整能力とも言えるのです。

 

リノベーションのプロセス_4 建築許可申請

大規模なリノベーションプロジェクトでは、建築許可やその他の許可申請が必要な場合があります。工務店は必要な申請書類を準備し、自治体や関連する当局に提出します。

新築の場合は建築基準法に基づいて建築許可を申請しますが、リノベーションの場合は基本的には修繕や改修に関する基準が適用されます。ただし、構造変更や増築など大規模な工事を行う場合は、建築許可が必要となることがあります。

届け出る書類としては、リノベーションの設計図やプランを示した設計図面や、実際の工事の施工図面や仕様書、隣地所有者の同意書(隣地との境界に関する工事がある場合には、隣地所有者からの同意書が必要になります)などがあります。

リノベーションの許可申請では、主に建築物の安全性や環境への影響なども考慮しなければなりません。建物の構造や耐震性、施工方法、設備の改修などが審査の対象となります。

中古住宅のリノベーションでは、建築許可だけでなく、都道府県や市町村によって異なる規制や条例にも対応する必要があります。大丸建設では、役所への許認可や、隣地とのコミュニケーションなど、具体的なアドバイスができますので、なんでもご相談ください。

リノベーションのプロセス_3 予算と見積もり

リノベーションのプランが決まったら、予算と見積もりを作成します。これには、建材や職人のコスト、設計料などが含まれます。お客様との合意が得られれば、工事契約を結びます。

予算と見積もり、そしてスケジュールを正確に把握することで、不測の費用超過や予期せぬ問題の発生を防ぐことにつながります。特にスケジュールを適切に把握することが大切です。職人さんには日当で支払うので、スケジュールが長期化することにより予算に直結してしまいます。また遠隔地になる場合はその分の距離が加算されることもあります。

こうしたコストを誠実に提案して、お客様の合意と納得が得られた予算をもとに、建材や労働費、設計料などを適切に見積もります。また、見積もりには十分な余裕を持たせ、予備費や予期せぬ追加費用に備えることも大切です。最終的な建物の品質と満足度を高める上で欠かせません。

リノベーションのプロセス_2 設計プロセスの重要性

設計段階は、中古住宅のリノベーションプロセスにおいて、具体的な計画を策定する重要なステップです。まず、建築家やデザイナー(私たちが担当することがあります)がお客さまと直接対話して、ニーズや希望を詳細に把握します。これには、間取りの変更や内装のリフォーム、外観の改善など、様々な要素が含まれます。また、現在の既存住宅の特性や制約についても考慮が必要です。

続いて、作成した設計案をお客様に提示します。予算や工期の考慮も大切で、実現可能なプランをお示しすることが大切です。このプロセスで行き違いがないよう、何度も意思確認をしていき、詳細な図面や仕様書を作成します。設計段階では、建築基準法や各種規制についても十分な配慮を行います。

お客さまの希望を満たしながら、リノベーションのコストや品質を確保していくことがとても大切です。

リノベーションのプロセス_1 ニーズを把握

大丸建設は、新築住宅の設計・施工がメインの仕事ではありますが、近年増えているのは中古住宅のリノベーションの依頼です。この20年ほどで、修繕的な意味合いのリフォームから、機能刷新のリノベーションに対するお客さまの理解が高まっています。既存の骨組みを活かしながら、新築よりも安価で、かつ現代のライフスタイルに応じた機能を獲得できるリノベーションを選択する方が増えています。

リノベーションに際して、お客さまのニーズの特定と目標設定は、最も重要なステップの一つです。例えば、ファミリー向けの快適な住環境の提供、老朽化した設備のアップグレード、エネルギー効率の向上など、さまざまなニーズが考えられます。お客さまの予算や「こんなライフスタイルを送りたい」という期待も重要な要素です。目標を設定する際には、リノベーションの注力点や予定期間も考慮し、お客さまのニーズを実現するための最適なアプローチを見極めます。

物価高騰_2 かなり厳しい物価高

建築業界の物価高は、今に始まったことではありません。コロナ禍の2020年に、DIY市場のある北米でDIYブームが起こり、木材や建材が品薄になりました。その余波で2020年後半から2021年にかけて「ウッドショック」が起こり、木材が手に入らない、価格が高騰するといった状況が続いています。

続いて2021年には「アイアンショック」も起こりました。鉄筋や鉄骨といった、住宅の基礎には欠かせない鋼材の価格が高騰し、入手しにくくなったことから、工期遅れなども生じました。大丸建設は木造建築なので、アイアンショックの影響は限定的ではありましたが、それでも資材の価格上昇は如実に影響しています。

木材、鋼材だけでなく、原油価格の上昇から、クロスや断熱材、窓サッシ等のあらゆる建材が価格上昇の影響を受けています。それゆえに、工務店が資材の発注等でかかる見積もりも上昇し、お客様にもご負担をお願いするものの、あまりに価格の上昇幅が大きいため、工務店側でも利益を削っているのも事実です。

物価高騰_1 住宅業界にも物価高騰の波が

近年、家庭に物価高騰の波が押し寄せています。近年はエネルギー価格が高騰し、一時的に電気代が何倍にもふくれあがった家庭があったり、ガソリンの価格は高止まりのままです。家庭の光熱水費の影響は生活に直結し、ご苦労された家庭も多かったのではないでしょうか。

生活必需品の値上げも深刻です。円安の影響もあり、昨年は9000品目が一斉に値上げ、とか、食品でも値上げかつ袋の中に入っている量がとても少なくなったり、ニュースではスーパーマーケットでため息をつく生活者の姿がたびたび取り上げられました。原油価格、資料価格、包装資材、運送費、すべてが値上がりしたので、社会全体が物価高に苦しんでいる状態です。

建築業界も他人事ではありません。物価高騰の波が押し寄せ、会社の努力だけで吸収するのは難しい状況になってきました。今月は住宅業界の物価高についてお話しします。

2024年の抱負_5 国産材を大切にする

環境的な持続可能性を考えるときに、ゼロ・エネルギー・ハウス(ZEH)やライフサイクル・カーボンマイナス住宅(LCCM)などが言われますが、どうしてもエネルギー効率寄りの話になり、私としてはその視点に加えて、「国産材の住まいづくり」が環境配慮型の住宅にとって、非常に大切な要素なのではないかと考えます。

国産材を使うことは、多様なメリットがあります。一つは、木を育てることは森を育てることと同義で、健康な森は温室効果ガスの一つである二酸化炭素を吸収して光合成し、酸素を作り出します。森をつくること自体が温暖化防止に役立つのです。

二つ目に、輸送のコストやエネルギーが低廉で済むことです。日本の木材自給率はようやく回復傾向にありますが、それでもまだ半分近くが外国産材に頼っている状況です。外国から木を運ぶよりも、日本の木を使う方が、環境負荷が少ないのは言うまでもありません。

大丸建設は紀州(和歌山県)の山長商店の杉材を中心に、住まいをつくっています。これからも国産材の家づくりを続けていきます。

2024年の抱負_4 環境に配慮した住まいづくり

昨年、2023年は史上最も暑い夏と言われ、東京では最高気温が30度以上の日が90日以上、年間の4分の1が真夏日という、異常気象が日常的になってしまったことを実感せざるを得ない1年でした。

これまでは省エネのためにエアコンの温度設定について「夏は28度」「冬は22度」などと言われてきましたが、「我慢の省エネ」が命にかかわる事態になってきています。一方で、省エネをせずにエネルギーを使い放題のままでは、この異常気象はますます進んでしまう……という悪循環のなかで、一体どうしたらいいのでしょうか。

答えは一つではないものの、住まいにおいては断熱性を高めることによって、この難しい問題が大きく前進するはずです。断熱性の高い家では、夏の暑さや冬の寒さといった外的な温熱環境の影響を受けにくくなります。エアコンを使うにしても、エアコンが効きやすくなり、エネルギー効率を高めることができます。

異常気象時代に、こうした選択肢を提示していくのも、工務店の大切な務めです。

脱炭素な住まい_8 近くの工務店を選ぶということ

今年の後半は、気候危機から脱炭素まで、環境問題と住まいを結びつけた発信をしてきました。これからの時代、持続可能性について考えることなしに、快適な住まいも、暮らしも、実現することはますます難しくなってくるでしょう。私たちが生活の中で排出するCO2が、猛暑や豪雨などの自然災害に直結している。ここまで進んでしまった異常気象は、すぐに戻ることはないけれど、取り返しのつかないことになる前に、できることはたくさんあります。

なるべく近くで採れたものを食べる。近くの材木で家を建てる。そうした選択の一つひとつが、持続可能なライフスタイルにつながります。

そして、近くの工務店を選ぶということも、実は脱炭素な住まいづくりで重要なポイントになると思います。経済圏をなるべく身近なところで回していく。工務店のスタッフだけでなく、職人の技術も、地産地消であることで、未来に受け継いでいくことができます。脱炭素な住まいは、人から始まるのです。

今年も私のブログをお読みくださいまして、ありがとうございました。この先も、地域の方々に有益な情報をお届けできるように精進していきます。よいお年をお迎えください。