なぜ、昔の家では釘を使わなかったのか。

伝統構法は、様々な仕口を形作り、継手で柱や梁を大きく使って、釘を使わずに木を組み立てていました。
日本では、古くは飛鳥時代から釘が使われていた歴史があります。昔の楔(くさび)は鉄でできていました。日本刀は鍛鉄や鍛冶屋の文化で生まれています。なので、釘を使おうと思えば、伝統構法でも使えたはずなのです。では、なぜ釘を使わなかったのでしょうか。
釘は金属だから、錆びやすい。日本は湿度が高いので、木に金属を組み合わせることで、耐久性がかえって落ちてしまうことが考えられます。
木は、湿度が高い時は湿気を吸収し、乾燥している時には水分を放出して、いわゆる「伸縮」をします。木の特性を活かせば、木造建築に鉄を混ぜ合わせる必要はなく、伝統構法で十分に長持ちする家を建てられたのだと思います。

「継手」と「仕口」の違い

伝統構法でいう「継手」と「仕口」の違いは、いったい、どんなものなのでしょう。
継手は、あくまでも木と木を継ぐ時の手のことです。梁と梁をつなぐつなぎ手です。梁は大きく長いので、一本で渡せないところをつなぎ合わせるのが「継手」です。
「仕口」は、梁と梁のぶつかるところの「形」そのものです。梁と柱が直行するところの端部の形を指します。
継手をつなぐ「ホゾ」があることで、木と木のつなぎ手がずれないようにしている。ホゾに「込み栓」という栓を挿すことで、木と木が外れないようになっています。

「在来工法」と「伝統構法」の違い

大丸建設は、明治初期の創業以来、木造建築物を専門とする工務店を家業として続け、5代になります(私は6代目になります)。
木造住宅を建てる時に、「在来工法」「伝統構法」といいますが、どちらも一聞すると似ているような気がして、正確な違いを把握している人はどれだけいるでしょうか。
私が小さなころは、「在来工法」は日本で従来からおこなわれてきた伝統的な木組みの家のことで、今でいう「伝統構法」と同義でした。伝統構法では、木を刻み、金物を使わず、仕口・継手によって木の接合部を組み合わせて構築する技術で、昔はほとんどの家が伝統構法でした。
その後、住宅の大量生産が始まってからは、木造住宅の接合部に金物を使うことや、プレカットといってあらかじめ規格化された寸法の柱や梁を組み立てる工法も含めて「在来工法」というようになりました。
そのため、釘や金物を使わずに手刻みの木材を組み合わせる「伝統構法」と、その他の「在来工法」を分けて呼ぶようになりました。

赤本は、建築にかかわる人であれば、座右に置いておくのがおすすめ

一級建築士の国家資格を取得するために、必死で勉強していたころ。そして日建学院で教えていた3年間。私はこのオレンジ本を真っ赤になるまで引き、勉強し、内容をすべて頭にたたきこんでいました。実はこうした勉強は、結構好きなのです。
法律の専門用語や言い回しがわかりにくいので、仲間はみんな嫌いというけれど、私は、その言い回しをどう解釈するのかを考えるのが好きでした。普段の建築の仕事の中で当たり前のように考えていること、実践していることが文章になっていて、あらためて読んでみるととても楽しいものです。
私の「オレンジ本」は2054ページ、そのうち建築基準法そのものは220ページで、あとの9割は関係法令や告示です。
赤本(オレンジ本、緑本)は、建築にかかわる人の基礎です。ここに書いていることをある程度わかっていれば、建築物を見ても、図面を見ても、あらゆることが理解できるはずです。建築に興味のある人は、一冊、座右に置いておくのがおすすめです。

大丸建設の普段の仕事で、赤本はどれくらい使うのか?

私は、実は、普段の仕事ではあまり赤本・オレンジ本『建築基準法 関係法令集』を引くことはありません。建築基準法が網羅しているのは、大規模建築物から住宅に至るまで、建築に関するあらゆる法規であり、住宅に使うのはその一部だからです。私の場合は、日常の業務で住宅にかかわる法律はほぼ理解し、頭に入っているので、赤本を引く必要はないのです。
たた、いまでも、建築基準法や関係法令が改正、アップデートされた時は、必ず目を通し、頭に入れるようにしています。特に、木造住宅に関しては、かなり勉強して、完璧に理解するようにしています。

大丸建設に関わる関連法規 その3

・ 品格法:正式名称は「住宅の品質確保の促進等に関する法律」です。住宅専門の法律で、瑕疵担保責任にかかわります。具体的には、住宅の竣工後、一定期間の間、構造等に瑕疵(ミス)があった場合、建てた業者がそのメンテナンスや修理を保証するという内容で、建て主さま側に寄り添った法律です。
・ 省エネ法:正式名称は「エネルギーの使用の合理化等に関する法律」です。近年の地球温暖化の影響などで、省エネ法の存在感が大きくなってきていますが、住宅については義務化になっていないため、まだ努力義務の範囲です。今後は要注目すべき法律です。

大丸建設に関わるその他の関連法規 その2

・ 都市計画法:都市計画についての法律です。「集団規定」の項でもお話ししましたが、その地域がどのような用途をもっていて、それに合わせて建物をどのように整備し、高さや日射、日影などをどのように制限するのかなどが示されています。
・ 宅地造成等規制法:大規模開発などでの宅地造成にかかわる法律です。
・ 消防法:大規模建築については細かく定められていますが、住宅の場合は火災報知器の設置などについて定められています。

大丸建設に関わるその他の関連法規 その1

建築基準法の関連法規にはさまざまなものがあります。一級建築士試験の時はすべてを覚えていなければなりませんが、実際の住宅建築業を営むには、すべての関連法規を使う必要はないので、木造住宅の工務店に必要なものを把握して日常的には使っています。そのうちのいくつかを紹介します。
・バリアフリー法:正式名称は「高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律(バリアフリー法)」といい、主に公共建築を対象にしています。体の不自由な方や高齢者のために階段やスロープ、手すりなどを設けなければいけないということを決めています。住宅にも関係する概念ですが、住宅で規定されているのはごく一部です。
・耐震改修法:その名の通りで、公共建築や大規模建造物、そして住宅に至るまで、建築物の規模に対して必要な強さと、それに応じた検査、報告の義務について定められています。住宅にも適用されます。

大丸建設に関わるその他の関連法規 その1

建築基準法の関連法規にはさまざまなものがあります。一級建築士試験の時はすべてを覚えていなければなりませんが、実際の住宅建築業を営むには、すべての関連法規を使う必要はないので、木造住宅の工務店に必要なものを把握して日常的には使っています。そのうちのいくつかを紹介します。
・バリアフリー法:正式名称は「高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律(バリアフリー法)」といい、主に公共建築を対象にしています。体の不自由な方や高齢者のために階段やスロープ、手すりなどを設けなければいけないということを決めています。住宅にも関係する概念ですが、住宅で規定されているのはごく一部です。
・耐震改修法:その名の通りで、公共建築や大規模建造物、そして住宅に至るまで、建築物の規模に対して必要な強さと、それに応じた検査、報告の義務について定められています。住宅にも適用されます。

関連法規「建設業法」について

建築基準法の関連法規「建設業法」も、私たち大丸建設には理解が必須の法律です。
建設業法で定められている対象の範囲は、工事関連の業者で、私たち工務店もそれにあたります。建設業をするためには、建設業許可を取らなければいけません。金額、規模によって取るべき許可が変わります。
大丸建設は「一般建設業」の許可を取得しています。
そのほかに、「特定建設業」があり、これは役所の仕事など、一つの工事に対して5000万円以上の規模のものをあつかえる業者です。規模によっては専属の技術者が現場に常駐するなどが書かれています。