(5) 防蟻工事とはシロアリ対策のことです

防蟻工事とは、読んで字の如く、「蟻を防ぐ」つまりシロアリ対策のための工事です。

シロアリ対策で最も重視すべきなのは、床下の環境です。シロアリは光が入らずにジメジメしているところを好むので、床下や水回り付近を風通しよくすること、少しでも光が入るようにすることで対策ができるようになります。

物理的な対策としては、シロアリの侵入路を遮断することです。シロアリの侵入路付近に毒餌を置く、基礎のクラックをつくらないことで床下付近の土からの侵入を防ぐなど、いろいろな方法があります。

薬剤を使った対策としては、シロアリの忌避成分を含んだ薬剤を床下に散布したり、シロアリの餌となる木部に薬剤を浸み込ませることです。

ただ、薬剤散布は人の健康に影響する可能性もあるため、大丸建設では薬剤とシックハウスの関係を勉強し、人体への影響が少ない自然由来の忌避剤を使うなど、お客様と話し合いながら施工を進めていきます。

 

↑ 土台の基礎側に、ヒバ油を塗って防蟻性能を高めます。

[写真:大丸建設HP「施工レポートブログ」より]

(4) 断熱工事を重視すれば住まいの快適性が上がる !?

断熱工事の見積もりでは、基本的には断熱材と防湿気密シートの材料費が計上されます。

断熱材は最低限の場合、屋根、壁、1階床といった、外周部に面した場所に施工します。バルコニーや間仕切り壁までに断熱材を使うと、家全体の断熱性能がより高まります。

断熱材は厚みにより断熱性能が大きく変わります。断熱材を厚くするほど、外気の温熱環境に左右されにくくなるため、夏は涼しく、冬は温かい家になります。結果的に冷暖房のコストが削減され、快適性が増すので、建築の予算に少しでも余裕があれば、断熱性能を高めることをおすすめします。

断熱材は、断熱材の種類(安価なものならばグラスウール、エコにこだわるなら羊毛やセルローズファイバーなど)によって単価が異なります。あとは厚みをどうするかによって建物全体の断熱性能が変わります。

住まいにおける断熱材のコストが、その建物の暮らしやすさ、心地よさに直結してきます。

 


↑ 屋根の通気層を確保する為の、通気スペーサー(白いたまごのパックみたいなもの)。

 この隙間を通って、空気が流れます。

[写真:大丸建設HP「施工レポートブログ」より]

(3) 屋根工事にかかる費用

屋根がなければ雨風をしのげず、家に住むことはできません。屋根工事は住まいの中でもとても重要なパーツです。

屋根工事にかかる費用は、屋根の下地、ガルバリウム鋼板葺き(大丸建設の屋根材に使う軽量金属の屋根材)、軒先の処理、棟換気、雪止め、土台の水切り、軒樋や雨樋、集水器などが主なものになります。

このうち、棟換気とは、屋根裏や小屋裏の湿気や熱気を外に放出するために必要なもので、屋根の頂部分に取り付けられている換気システムのこと。雨漏りがしないように、高い施工技術が求められます。

見積もりに「破風」や「鼻隠し」という珍しい言葉を見かけることもあります。「破風」は屋根の妻側の端部分で、こちらも屋根の内側に水が入り込まないようにするために必要です。「鼻隠し」は屋根の端を囲い込む部材のことで、屋根面から室内に水が入り込むのを防ぐ役割があります。昔はここに唐草文用の装飾をしたことから「唐草」と呼ぶこともあります。

雨樋なども屋根工事にかかる費用に含まれ、屋根工事の見積もりを見ると、いかに「雨から住まいを守る」ことが大切かわかります。

↑「破風」

↑「鼻隠し」

[写真:大丸建設HP「施工レポートブログ」より]

(2) 大工手間こそが住宅建築の命!

木工事の費用で大きなボリュームを占めるのに「大工手間」があります。これは、有り体に言えば大工の人件費のことで、おおよそ床面積によって単価が決まります。とはいえ、床面積で一律なわけではなく、例えば細やかな化粧が要求される内装部や、屋根裏などで見た目はあまり気にしなくてもいい場所など、単価は細かく変わってきます。床面積に対してどれくらいの日数がかかるのか、工期に余裕がない場合は必要に応じて応援大工を頼むこともあります。

基本的には設計図をもとに、材料や工数も細かく決まったうえで最終契約になるため、工事は見積もり通りに進んでいくものではありますが、途中で工事内容が変わったり、あまりにも工数が増えてしまうこともあるため、その際は再び話し合いなどをして見積もりを調整することもあります。

木工事の費用に「構造金物」「釘・金物費」があります。木と木を接合する時には接着剤は使いません。ホゾ組などで木を組み合わせ、金物で接合したり、釘で固定したりします。釘や金物が木工事に含まれるのはおもしろいですね。

[写真:大丸建設HP「施工レポートブログ」より]

 

(1) 木工事の材料費は構造材と内装材、建具がある

大丸建設の木工事のお見積もり内訳を大きく分けると、「材料費」と「大工手間」となり、材料費が6〜7割、大工手間(大工の人件費)が3〜4割となります。

材料費はおおまかに、構造材(柱、梁、下地用の合板)、階段の材料、壁、腰壁などの内装材、キッチンカウンターや玄関の上り框(かまち)、間仕切り棚や造作家具などの造作材に分けられます。

柱や梁など、建物の強度や安心・安全に直結する構造材は、大丸建設のまさに「柱」とも言えます。単体の材料費としては最もコスト面で大きなところになります。構造材がなければ家は建ちません。それほどの心臓部なのです。

続いて「羽柄材」もボリュームが大きいです。羽柄材とは、丸太を製材した時の残材からつくられる比較的安価な材で、主に構造部を補う下地材として使われます。筋交いや根太、野縁など、目立たないけれども住まいになくてはならない基本材料です。

大丸建設では合板を使う際も、国産材で、F☆☆☆☆(フォースター、有害化学物質のホルムアルデヒドを含まない)基準のものを使います。合板は下地に使われたり、壁や床の強度を「面」で保つために用います。

他にも階段材、床材、腰壁などの内装材や、棚やカウンターなどに使う造作材も材料費に含まれます。

 

 

[写真:大丸建設の事例紹介HPより]

(8)木工事の見積もりが、住宅建築で一番ボリュームが大きい

次は、木造住宅の最も花形ともいえる木工事の見積もり内訳です。住宅建築の中で最もボリュームが大きく、また材料の大きさや樹種の違い、産地、使う量、によって大きく値段が変わってきます。住宅の規模によって、木工事内訳の総額は1,000万円から1,500万円以上まで大きく変動します。

大丸建設は国産材を使うことを基本にしていますので、産地によって多少の金額の変動はありますが、構造的に安全であること、一定以上の品質を保っていること、産地が証明できることなどを基準に、良材を使っています。住宅の建築で最もボリュームが多いゾーンなので、見積もりをつくる際に最も頭を使う部分でもあります。この価格が極端に安いと、結局は住宅の質を下げることにつながり、結果的に安心・安全を脅かすことになるので、要注意です。

また最近はウッドショックによって木材の値段が高騰しているため、お客様にはご理解をいただきながら見積もりを調整しています。

木工事の項目としては、構造材、羽柄材、床下地合板、野地合板、補足材、補足材運搬費、建て方レッカー、建て方、構造金物、階段材、杉ラス板、ボード、一般金物、造作材、建材類、造作家具、木工事手間などの詳細内訳が出てきます。

 

(7) 基礎工事にかかる費用 その2

「捨コン」の作業まで終わったら、基礎工事本番になります。まずは配筋工事をし、その後型枠をつくり、基礎と建物をつなぐアンカーを取り付けます。ここまで準備が整ったら基礎コンクリートを流し込みます。鉄筋や型枠、コンクリートの材料単価があり、床面積に応じて小計が変わります。基礎コンクリートを流し込み終えたら、コンクリートの天端をきれいに均します。

玄関の土間を基礎と一体でつくる場合は、玄関の内外の土間コンクリートもここで一緒に打ちます。

基礎工事が終わった後に、掘削した土を所定の場所に埋め戻す作業や、残土の処分費用もかかります。また、大丸建設では安心・安全のためにコンクリートの強度試験を2回おこないます。基礎の型枠を外した後に、基礎の外側をきれいに左官で仕上げる「基礎仕上げ」も工事に含まれます。基礎パッキンの材料一式や、ポンプ車の手配の費用も基礎工事に含まれます。

こうして、工事の見積もりに含まれる費用を一つひとつ見ていくと、工事の流れがわかるので、おもしろいですね。

 

↑ 型枠組み

[写真:大丸建設のホームページ「施工レポートブログ」より]

(6) 基礎工事にかかる費用 その1

基礎工事は文字通り住宅の「基礎」にあたる部分なので、ボリュームの大きなところです。使う材料(コンクリートやパッキンなど)の量によって値段が変わるので、大きな家であればそれだけ単価は上がります。大丸建設の建てる家では、160万円〜200万円程度になることが多いです。

基礎工事には、遣り方、掘削・砕石・転圧、捨てコンクリート、配筋工事、型枠工事、アンカー取り付け、基礎コンクリート、天端均し、玄関内外土間コンクリート、埋め戻し、残土処分、コンクリート強度試験、基礎仕上げ、基礎パッキン、ポンプ車といった項目が並びます。基礎ならではの独特の言葉が並びますよね。

「遣り方」とは、基礎工事前につくる仮設物のことで、建物の位置や基礎の高さ、基礎の中心線を出すことです。「掘削・砕石・転圧」は基礎工事のために地面を掘削したり、石を砕いたり、乱れた土を転圧して強度を保つことです。「捨てコンクリート」は地面を掘って地盤を固めた後に、水平面をつくるために打つ無筋のコンクリートのこと。こうして家を建てる地面がしっかりと固まったら、さらにその上に基礎が立ち上がっていきます。

 

↑「遣り方」・・・敷地内に建物の位置を出す作業のこと。

↑ 捨てコンクリートの上に組んだ鉄筋。

[写真:大丸建設のホームページ「施工レポートブログ」より]

 

(5) 仮設工事にかかる費用

それでは、新築の際にどんな費用がかかるのか、具体的に見ていきましょう。

仮設工事は、仮設トイレや仮設水道といった、住宅建築の際に一時的に必要となる設備をつくることで、これらは、工事が終わったら撤去されるものです。

足場づくり、仮説のトイレを工事期間分リースする費用や、仮設の水道、電気を引いてくる費用、また工事期間分の水道代・電気代、養生費がかかります。

最初に書く「墨出し」とは、いかにも大工工務店らしい項目ですが、これは家を建てる現場の地面などに、工事に関わるさまざまな「線」や「寸法」を書き出すことです。大工は以前、「墨つぼ」に入った墨を使って水平や垂直の位置を書いていました。今はレーザーを使って水平や垂直を出すため、「墨つぼ」はあまり使われませんが、大丸建設の社屋にはかつての名残を残す「墨つぼ」があるので、興味のある方はぜひ見にきてください。

仮設工事費用の中で最もボリュームの大きいのが「仮設足場」です。外壁や屋根工事など、高所で作業する時に、職人さんが安全に作業できるために単管や金属板をくさびで組み合わせたものです。また、「発生残材処分費用」も金額は大きくなります。

なお、お見積もりの注意点として、仮設工事にかかる費用を見積もり総額に入れない業者もあるため、ちゃんと仮設工事費用も見積もりに含まれているかどうかの確認が必要です。

家の大きさにもよりますが、仮設工事費用は70万円〜100万円程度みておきます。

 

[写真:大丸建設のホームページ「施工レポートブログ」より]

(4) 工務店の労力にもコストがかかっている。

お見積書の内訳を細かくみていくと、材料、養生、工事の実働、各工事の解体、運搬や電気・ガス代などの費用がかかっていることがわかります(各項目は別途詳述します)。それぞれの工事に、どんな材料が必要で、それを取り付けるのにどんな職人さんがいて、取り付けのための工具に何があって、つくるだけではなく処分にもお金がかかるということが、金額で示されています。

概要内訳書にある「諸経費」が、おおまかにいえば、工務店の取り分になります。工務店は、住宅の建築工事に関わる職人さんや材料を発注し、無駄なくスケジュールを立て、お客様と打ち合わせをしたり、図面を修正するなど、すべてのコーディネートとマネジメントをしていきます。工務店の実労働分の取り分がなければ、お客様がすべて自分で材料の発注から工事材料の廃棄、職人のコーディネートまでしていかなければなりません。労力、知識、産地やメーカーとのネットワークのある専門家が必要な分野です。私たち工務店は総合的に知識や経験をたくわえていかなければならず、そのための投資にかける費用も会社として持っていなければなりません。あまりに安い金額で契約してしまうと、現場を回すだけでそれよりもよい提案をする余力がなくなり、工務店としての先行きも厳しくなります。健全な経営のためには、工務店としての利益もきちんとおさえていかなければ、成り立たなくなるのです。