(4) 本体工事は新築工事と共通

一からつくり直すマンションリノベーションの場合は、新築の戸建て住宅同様、家の間仕切りや電気配線などもお客様の要望に合わせて設計し直します。壁式構造のマンションの場合は、どうしても抜けない壁や梁がありますが、柱がないので家の中のでっこみ引っ込みはありません。ラーメン構造のマンションは、柱と床で構造を支えるので、抜けない壁というのは外周部以外には少なく、間仕切りの可変性が高いのが特徴です。しかし、部屋の角に柱の存在感があり、凹凸によって家具の置き場に困ることもあります。近年、柱をバルコニー側に出すアウトフレームの場合は、室内空間の凹凸がなく、窓も高く広々ととることができます。

本体工事は、基礎工事がないのは戸建て住宅とは異なる点ですが、床を張るときには根太を置き、下地を敷いて、床を張り……と、基本的には新築工事と似たプロセスをたどります。建具やキッチンをオリジナルにすることで、その家の個性をつくることができますね。他にも、本棚やカウンターなどの造作家具を取り付けることもできます。また、一般的にマンションの壁はクロスであることがほとんどですが、大丸建設では左官工事もお勧めしています。塗壁は表情が豊かで、気持ちよく快適に過ごすことができます。

 

[図:「ライフルホームズのHPより]

(3) 大きくは「本体工事」と「設備工事」に分けられる

マンションのリノベーションは、基本的に「すべて(あるいは一部分)を一からつくり直す」ことを意味します。フルリノベーションの場合は、マンションの共有部である柱・梁、雑排水管などは動かせませんが、それ以外はすべて解体して、マンションという土地に一から家を建てるようなイメージで設計していきます。極端な話、風呂やトイレの位置を変えることもできるのです(しかし、水を流すためには排水管の勾配が必要になるので、あまり遠い位置にするのは現実的ではないです)。また、マンションはベランダや窓、玄関扉は共有部であることが多いので、回収できないのが通常です。

本体工事は、床、壁、天井の内装や間仕切り、断熱工事、建具や塗装、左官などです。施工の順序もだいたい、新築戸建て住宅と一緒です。

設備工事は、ユニットバスやシステムキッチン、給湯器、トイレ、火災報知器などの取り付け工事になります。

 

[写真:ブログ(1)の施工中の現場]

(2) 解体や運搬、共用部の養生が特徴

マンションのリノベーションでは、設計図を作って見積もりを積算し、細かい調整のうえ工事が始まっていくことは、新築戸建て住宅の建築とほぼ同じ工程です。リノベーションで特徴的なのは、既存の建物の「解体」が入ることです。

風呂、トイレ、キッチンといった大型の設備から、床、壁、天井や、備え付けの建具に至るまで、ありとあらゆるものを解体してそれを運び出すことから工事が始まります。

解体費用については、設備がいくら、という計算ではなく、床面積あたりの費用として概算で出されることが多いです。さらに、解体したものの処分費用が解体費用以上にかかることがほとんどで、床面積にもよりますが、都内のマンションでフルリノベーションする場合は、1000万円以上の費用がかかります。

解体の時には大きな音がするので、近隣の許可と同意を得る必要があります。解体したものを運び出す際に、マンションの共用部を傷つけないよう、マンション廊下やエレベーターの床や壁を養生します。エレベーターがないマンションの場合は、重いものの荷上げ、運び出しの金額が見積もりに加算される場合もあります。

 

[写真:前回ブログ(1)の施工中の現場]

(1) マンションリノベーションの見積もり

8月から新築戸建て住宅の「見積もり」について、詳細にお伝えしてきました。大丸建設では、一戸建ての新築だけでなく、一戸建てのリフォームやリノベーション、マンションのリフォームやリノベーションも行っています。また、一部外壁塗装や内装工事など、家の一箇所だけ、あるいは設備更新だけ、という工事も手がけます。

今月は「マンションリノベーション」の見積もりについて詳細に説明します。「リノベーション」が近年流行していますが、「リフォーム」とはどう違うのでしょうか。リフォームは経年劣箇所化したを部分的に修復、修繕したり、設備更新をして元の状態に戻すことです。一方で、リノベーションは「刷新」「革新」「復活」という意味があるように、住まい自体を新しくつくり変える大掛かりな工事となります。マンションの場合は、RC(鉄筋コンクリート)の躯体だけ残して内装やデザイン、間取りを一からつくり直すような工事を指します。

戸建て住宅のリノベーションも、まさに柱や梁、基礎だけを残して間取りや内装を新しくするので、既存の躯体を残しながらも、まるで新築同様に自分たちらしい住まいにできるのが特徴です。

 

[写真:大丸建設が手掛けたマンションのリノベーション]

↓ Before

↓ After

 

(8) 見積もりがわかると工事がわかる

8月から3カ月にわたって、見積もりの詳細について解説していきました。

見積書の中には、よくわからない単語があったり、設備機器や部品などについても調べることによって、どんな工事が行われるのか、家を作るための必要な部材のすべてが書かれています。

見積書の作成は、すなわち工事のコーディネートでもあります。誰が、どのような専門知識や施工技術を持ち、いつ、どの段階で工事に関わり、日数がどれくらい必要なのかをすべて計算し、お客様にご提示します。工数や使用部材、材料、設備機器についてもすべて情報を開示し、納得をしていただいたうえで、契約を完了させ、工事をスタートします。

工務店は、自分たちが職人として手を動かすのではなく、材料、スケジュール、人のマネジメントといった、トータルコーディネートが仕事です。時に現場でドリルを持って手を動かすこともありますが、いちばん大切なのは納期と予算を守って、約束通りにお客様に住まいを手渡すことです。

見積もりがわかると工事がわかります。ぜひこのブログを参考にしてください。

 

(7) 床暖房やソーラーシステム、太陽光発電など

床暖房やソーラーシステムといった、独自の空調設備を入れる場合は、追加費用がかかります。床暖房は温水式床暖房、電気式床暖房があり、設置コストとランニングコストの両方を検討しながら、お客様のライフスタイルに合った形でご提案します。

近年では太陽光発電設備や蓄電池の設置なども、オプションで承ることができます。近年ではソーラーパネルの価格が下がってきており、新築住宅で採用するところも増えてきました。いずれもイニシャルコスト(設置時のコスト)と、ランニングコスト(使用時のコスト)を比較して、新築時に設置が可能な場合は環境対応からもおすすめします。

工務店によってはソーラーシステム(空気循環式、太陽光発電との併用型など)を採用するところもありますが、大丸建設は特にソーラーシステム会社との提携はしていないため、独自システムを採用したい場合は取り扱い工務店にご相談ください。

 

[写真:大丸「施工レポートブログ」より]

(6) 免震・制振工事、地盤改良工事

大丸建設では耐震の専門家として、構造計算をしっかり行い、耐震基準の順守は当然のこと、それ以上に安心してお住まいいただけるように安全な住まいを提案しています。基礎・土台・柱・梁など、それぞれに強度の高い構造材を使っています。東日本大震災の時に私は工事現場にいましたが、不安を感じることはなく、お客様のお住まいでも構造上の不具合はありませんでした。

一方で、より強固な備えを求められるお客様によっては、免震や制振装置を追加する場合もあります。制振ダンパーを基礎に組み込む場合は、おおよそ50万円ほどの追加費用がかかります。

大丸建設では、選択肢としてさまざまな免震・制振のメニューをご提示できます。必要性を感じられるお客様はお問い合わせください。

 

[写真:大丸「施工レポートブログ」より]

(5) 外構工事

外構工事は、家の建築工事の最後に行われることが多いです。竣工して引き渡し後に、残工事として行われることもあります。

駐車場や駐輪場の土間コンクリート、敷石、砂利敷き、門扉やアプローチの設計、ウッドデッキ、隣家との垣根づくりなどが項目に入ります。

門扉を頑丈にする、塀を高くする、生垣にするなど、近隣環境によっても変化の幅が大きいのが外構工事です。

お庭を芝生にするのか、土にして家庭菜園やガーデニングなど植栽を楽しむのかなど、あるいは手間をかけずに石を敷いて雑草などが生えないようにするのかなど、外構工事はお客様のライフスタイルによって、やることや程度、そして予算はさまざまです。

植栽は、長い時間をかけて育んでいくもので、お客様ご自身でお世話していただくことになるので、工務店側ではあまりつくりこまずにお引き渡しをすることもあります。

 

[写真:大丸建設「施工レポートブログ」より]

(4) 電気工事図面と電気工事

電気工事はまさに配線がキモになります。家の配電盤、ブレーカーから、どの部屋でどのような電化製品を使うのか、照明器具をどのように配置するのかなどを設計し、幹線と配線設備を設計していきます。

スイッチ、コンセントの設置や、インターネットの配線、それからエアコンや冷蔵庫、食器洗浄機、給湯器など大型の家電製品専用の配線、換気設備など、家のどこに何をつけるのかを検討していきます。これらの情報は、部屋の間取り図の上に専用の配電図を設けて、見積もりと合わせていきます。

内訳としては、幹線配線設備、分電盤、電灯、コンセント、弱電設備、LAN配線、専用電源、換気設備、換気扇や照明器具の取り付け費、エアコン用のスリーブ、シーリングファン、配線工事に伴う消耗品などです。

エアコンについては、入居後にお客様がご自身で家電量販店などから購入して取り付ける場合もありますし、工務店が手配して総工費の中に含める場合もあります。見積もり総額の調整をしやすい部分です。

 

[写真:大丸建設「施工レポートブログ」より]

(3) 給排水設備工事は設計時から細かくチェック

給排水設備工事は神経を使うところです。水漏れを起こしてしまうと、住宅の構造や壁体内、床下の腐食につながり、安全・安心を脅かすことになりかねません。信頼できる配管・給排水設備工事業者にお願いし、立会い検査やチェックをしっかりやっていきます。

給排水設備工事では、屋内給排水・給湯設備の工事、屋外給水工事、屋外排水工事があります。屋内では、キッチン・洗面所・洗濯槽・トイレ・風呂や、ベランダのシンクなどの給水と排水をそれぞれ設計していきます。特に排水については水を流すための勾配が必要になるので、床下高さとの調整があります。

屋外は外構の掃除や植栽の水やりのために必要で、また家の外周部の道路排水との連携も必要になります。給排水設備とガス配管は連動しているため、ガス会社との連絡もこの見積もり内訳に入ってきます。

いずれも、水道局に水道を新設するための手続きや、下水道局への申請手続きなど、神経を使うところで、これらの立ち会い検査費用についても見積もりに計上しています。

 

[写真:大丸建設「施工レポートブログ」より]