温かいメッセージをありがとうございます。

2021年4月をもって、株式会社大丸建設の代表取締役社長に就任しました。お客様や取引先の皆様から、たいへん温かいメッセージを頂戴し、とてもうれしく思っています。古くからのお客様には「おめでとうございます」と言っていただけて、またご請求書やお見積書の代表者の名前をみて気づいてくださった新しいお客様もいます。こうしたお言葉をいただくにつれ、私としても「大丸建設の6代目として、先代たちに恥じない仕事をしていこう」と、決意を新たにしています。

社員たちも、私への呼びかけが「専務」から「社長」に変わり、お互いにまだ慣れずにぎこちないところもありますが(笑)、「社長」と呼ばれるたびに、会社を背負っていく責任を感じます。立場や肩書きが仕事をつくる、それを実感し、仕事の励みになっています。

これからも、お客様に喜んでいただけて、地球にも、地域にも、よい住まいをつくっていきますので、どうぞよろしくお願いします。

代表取締役社長として、新たな挑戦を。

今月は、大丸建設の歴史を振り返りながら、未来を展望しました。6代目として、代表取締役社長として、大丸建設の新しい未来をつくっていきます。今まで代々受け継いできた伝統や社是を大切にしながらも、新しいことにも挑戦していきたいと思います。

一つは、地域に根ざした工務店として、地域貢献をしていくこと。この10年ほど、会社でお客様や地域の方向けに木工フェスタやDIY教室、カフェなど、さまざまな挑戦をしてきました。コロナ禍において、地域にますます目が向けられている今、例えば耐震診断や防災など、地域工務店としてできる地域貢献を果たしていきたいと思います。

もう一つは、自然環境、地球環境を守り伝えていくこと。地球温暖化や異常気象など、私たちをとりまく環境は激変しています。住まいは人の命を守るものでもあり、環境と共存しながら、日本の木材を持続可能な形で使い循環させ、建築業を通じて環境貢献をしていきます。

多摩に根ざして150年――。株式会社大丸建設の代表取締役社長として、家業の6代目を継ぐ立場として、私、安田佳正は、「自然素材の、安心・安全な住まい」をこれからもつくり続けていきます。

[写真:木工イベントにて]

~おなまえハンコ(イベントにて)~

~木のストラップ(イベントにて)~

6代目を受け継ぐことになりました

私、安田佳正は、大丸建設の6代目社長として、2021年4月に代表取締役に就任することになりました。明治初期創業の大丸建設を受け継ぎ、これからもお客さまの「ハウスドクター」として、3代100年住み続けられる住まいをつくっていきたいと思います。今まで大丸建設が建てさせていただいたお客様の家を、長くメンテナンスし続ける、それが、先代からずっと続く大丸建設の社是です。そして、工務店業を通して、大工や職人の「匠の技」と、日本の木造住宅の建築技術を未来に伝えていきます。家業だけではなく、木造建築に関わるさまざまな業界、日本の林業、環境を守り、伝統技術を伝えていけるよう、精進していきます。

工務店が長く続いていくこと。それは、自社だけのことではなく、地域経済、伝統文化、木材産業など、あらゆることにつながっていくと思います。その要諦を自分なりに受け止めて、精進していくつもりです。

5代目社長・安田昭について

大丸建設の5代目社長、安田昭は、私の父で、幼い頃から私に背中を見せてくれました。私が大学卒業後に大丸建設に入社してからは、父と子という関係ではなく、社長と社員という関係性のなかで過ごしました。手取り足取り、工務店経営を学んだ、というわけではありません。どちらかというと「自分の心と体で学びなさい」という方針だったのか、なぜか若いうちから現場に放り込まれ、自分で大工さんや職人さん、お客さんと接するなかで、工務店の仕事とは何かを体得していったように思います。

今になってわかるのは、私が一人で現場に入るなかで、父がいろいろと裏方でフォローしてくれたのだと思います。昔の職人さんは、職人気質というか、頑固な人が多く、若造が何か言ってもその通りには動いてくれないもので(笑)、父が裏でそっと支えながら、私に経験を与えてくれていたのだと、今になってわかります。私も、現場で職人さんたちに負けないよう、知識と経験を身につけようと、必死で勉強しました。それが今の私をつくっていると思います。

[ 写真:完成した家のお施主様と、五代目社長 安田 昭(右) ]

大工・職人に対する憧れ

私は、家業が工務店だったこともあり、幼い頃から父に連れられて建築現場に出て、大工さんや職人さんが働く背中を見て育ちました。玄能(金槌)、ノコギリ、カンナやノミで木を刻み、切り、組み立ててものをつくっていく大工さんの姿に憧れを抱き、いつか自分もこのようになりたい、と思っていました。

その気持ちは大人になっても変わらず、建築の道に進むのは当たり前のことのように、大学時代は土木を専攻し、さらにその先、木造建築を習得するために、2年間建築の専門学校に通い、一級建築士の資格を取りました。大丸建設に入社して、現場監督として経験を積みながら、専門学校では講師も務めました。私が今でも、理論と実践の両立を目指すのは、この頃の経験が大きいかもしれません。今では、省エネ、耐震など、建築に関するさまざまな資格を取得しましたが、現場で生かせてこその知識だと思っています。

不易と流行

大丸建設の建てる住まいは、決して派手ではなく、素朴で、温かみのある、等身大の家だと思います。これまで自社設計で、耐震性や素材の安全性を担保しながら、お客様の夢や希望を図面におこして、安心・安全な家づくりを進めてきました。

ここ数年は、積極的に建築家とご一緒し、デザイン性の高い住まいの施工を手がけることが増えています。建築雑誌『チルチンびと』などのネットワークを通じ、自然素材を使うこと、家づくりへの理念に共感し、信頼できる建築家との仕事は、私たちにとっても大きな学びになっています。

150年にわたる家業の歴史のなかで、宮大工として匠の技を競い名を馳せていた時期、戦後に建築業として規模を拡大した時期、新建材を使った時期、そして自然素材に原点回帰した時期……さまざまなことがありました。それでも変わらない、私たちの中心は「木を使うこと、匠の技を受け継ぐこと、地域に根差すこと、お客様と長くお付き合いしていくこと」です。会社としての軸をしっかりと持ち、これからも長くお客さまに信頼される工務店でありたいと願っています。

[写真=2020年完成 / 設計:ことこと設計室]

お客様の家を長く支えるために

大丸建設では、「家は、お引き渡しからが本当のお付き合いの始まり」という社是が長く伝わっています。家づくりはどうしても「つくる」ことに重きがおかれがちですが、実は竣工してからこそが工務店の存在意義とも言えます。その家のことを最もよく知るのは、私たち工務店です。構造や内装、床下、天井裏に至るまで、設計図や素材の一覧を持ち、住んでから時間が経っても、プロとしてその住まいの状態を的確に把握することができます。

そもそも、私たちは、家を建てる時点で、「3世代、100年以上住める家」を設計しています。良質な材料を使い、地震や風雨に耐え、長く住んでも飽きない、美化する家をつくっています。そして、長きにわたり、メンテナンスができるよう、設計図書を社内で受け継ぎ、お電話一本で修理、営繕に対応します。

良質な材料を使い、長く住める家づくりをしてきた大丸建設だからこそ、お客様の住まいを何十年にもわたりお支えする。そのため、会社を長く存続させていかなければなりません。

 

匠の技を受け継ぐ工務店として

株式会社大丸建設の創業は昭和36年です。明治初期に天才宮大工を初代として創業し、家業として代々受け継ぎ、3代目の石黒善次郎が木造注文住宅、店舗、アパート、鉄骨・鉄筋建築を生業とする地域工務店として会社化しました。3代目は大丸建設の中興の祖として、今につながる礎を築きました。地域に根ざした工務店として、4代目の石黒善弥、そして母方を石黒家に持つ5代目・安田昭が会社を受け継ぎ、今に至ります。

5代目の安田昭は、昭和18年生まれ。戦後の高度経済成長を肌身に感じ、家づくりの効率化や大量生産の様子を目の当たりにしてきました。家を合理的に建てることのできる新建材を扱ったこともありますが、「本当の家づくりとは何か」に真剣に向き合ってきた結果、先祖代々受け継いできた「匠の技」「木と自然素材の家」に原点回帰しました。

大丸建設は1980年に「協同組合匠の会」に入会、2003年に「チルチンびと『地域主義工務店』の会」に入会し、志を同じくする全国の工務店と、本物の木の家づくりに邁進しています。

[五代目:安田 昭]

大丸建設の歴史

大丸建設は「多摩に根ざして150年――」をうたう、家業としてこの地で長く受け継いできた工務店です。明治初期の創業で、宮大工を始祖に持ちます。

当時、「天才宮大工」と言われていたと伝わる初代・石黒善太郎は、たいへん優秀な職人として知られ、さまざまな木造建築物に携わりました。木を見て、土地を知る、大丸建設の「木づかい、気づかい」の歴史は初代から受け継がれています。

2代目の石黒仙太郎は、建築家として名を馳せました。東京・墨田河畔の東堂伯爵邸(大正2年9月の関東大震災で焼失)、飛鳥文吉邸など、大正・昭和を代表する名建築を手がけたことで知られています。

昭和に入り、3代目の石黒善次郎が大丸建設の前身となる「石黒組」を発足し、今に続く組織の土台をつくりました。昭和36年に株式会社大丸建設を創設し、今に至ります。

大丸建設は「匠の技」を受け継ぐ工務店として、創業以来150年の歴史を未来につないでいきます。

(7) 骨のように家を支える心材、やわらかく明るい辺材

樹木には白太(辺材)と赤身(心材)があり、部位によって特徴に違いがあります。家の建て方においても、適材適所があります。

心材は成長を止め、細胞が硬く、水や空気を通しにくい性質があります。木材自体もくるいにくく、水やカビなどに強いため、柱など、家を支える部材として使われます。心材は木の骨格ともいえるため、家の骨組みになるのもなるほど道理ですね。

一方、辺材は細胞が新しくまだ成長の途上にあります。多孔質で空気や水分を含むことができるので、調湿性能があります。色が明るく、肌ざわりがやわらかいので、内装材として使うと、室内空間が心地良くなります。赤身と比較すると腐りやすくなるので、床下や水回りなど、湿気が多い空間には使いません。