ウッドデッキ(7) グリーンカーテンとの併用

 

ウッドデッキとグリーンカーテン。夏はこの組み合わせで気持ちよく過ごせそうですね。パーゴラがなくてもグリーンカーテンをつくることはできます。
グリーンカーテンとは、つる性の植物をネットやフェンスに絡ませてカーテン状にすることで、夏場は葉の蒸散作用で周辺の温度が下がり、目にも涼しいので、暑さ対策としても有効です。

ウッドデッキの先にプランターを置いて、軒先にフックなどを吊るし、プランターからフックまでグリーンのネットを貼って、苗からつる性の植物を這わせていきます。比較的害虫に強く、実を食べる楽しみがあるのがゴーヤ。ヘチマやキュウリも人気です。朝顔やフウセンカズラなど花を咲かせる植物も見る楽しみがありますね。

グリーンカーテンは省エネにも役立ちます。5〜6月ごろが苗を植えるタイミングなので、今年はぜひチャレンジしてみてくださいね。

ウッドデッキ(6) パーゴラのメリット・デメリット

ウッドデッキとセットで設置されることの多いパーゴラ。パーゴラとはイタリア語で「ブドウ棚」を意味して、柱と屋根のフレームで構成されるエウステリアです。つる性の植物をからませることで、日陰をつくり、目を楽しませてくれます。

ガーデニングをする人や、グリーンカーテンをつくる人に人気ですが、実は、私自身は工務店の立場から、あまりパーゴラを推奨していません。理由は、美しさや緑陰をつくれるメリットよりも、腐りやすい、壊れやすい、メンテナンスしづらいというデメリットの方が勝るためです。

木材で作る場合、パーゴラに適した細さにすると耐久性の面で心配です。近年は大型の台風や暴風雨が増えているので、壊れたり飛んで行ったりする心配もあります。これまで大丸建設でパーゴラを施工したことがありますが、結局その後解体する例も何度か経験してきたので、日陰や緑陰を屋外に作る場合は、シェードやネットなど、取り外し可能なもののほうが結果的にはラクと言えそうです。

ウッドデッキ(5) ウッドデッキには腐りにくい南洋材

 

ウッドデッキに適しているのは、いわゆる「ハードウッド」と呼ばれる、赤道直下で育った硬くて重い広葉樹です。水にも沈むほど重く、硬くて目が詰まっているので、水を吸いづらいのが特徴です。ゆえに腐りづらく、国産材より値が張りますが、メンテナンスがラクなので、外構や公共空間でよく使われます。代表的な樹種として、イペ、ジャラ、セランガンバツ材があります。

イペは黄褐色の常緑広葉樹で、ブラジルなど南米が原産地です。反りや狂いが少なく、臨海部のボードウォークなどによく使われています。
ジャラはアマゾンジャラとも呼ばれ、目が詰まって赤く美しい木肌が特徴のデッキ材です。腐食や虫害に強く、防腐処理が不要と言われるほど堅牢です。

セランガンバツはインドネシアやマレーシアに広く分布し、比較的安価で安定的に供給されることから、近年人気があります。個人住宅のウッドデッキやウッドフェンスに使われることが多いです。

ウッドデッキ(4) 針葉樹を使う時には塗料で保護する

大丸建設でウッドデッキに杉材を使うときには、腐食防止の塗料を使います。大丸建設で使っているのは「ウッドロングエコ」という商品です。ウッドロングエコを販売しているのは、三重県尾鷲市の小川耕太郎♾百合子社。同社は「未晒し蜜ロウワックス」の製造を20年以上続け、自然素材の家づくりに取り組む工務店から絶大な支持を得ています。無垢材のフローリングに自然な艶を与え、メンテナンスする楽しさを教えてくれる蜜ロウワックスは同社の主力製品で、屋外用にはカナダの製造元から取り寄せているウッドロングエコを販売しています。ハーブ、樹皮、鉱物などが原料の粉を水で溶いて、屋外用の材木に塗布する「木材防護保持材」で、塗り直しが不要とされています。

ウッドロングエコは防腐剤ではないので、水びたしになったり、風が通らない設計だと、木材腐朽菌が増殖してしまいます。ウッドデッキには、通風と水はけをよくする設計・施工が欠かせません。塗料だけに頼るのではなく、設計・施工とセットで考えていく必要があるのです。

 

ウッドデッキ(3) 杉材を使う際の注意点

大丸建設は国産材と自然素材をメインに使う工務店です。内装材は主に杉を使います。杉は、真っ直ぐでやわらかく、加工しやすいのが特徴で、日本では建築用材として柱や梁、床材などに用いられています。

もちろんウッドデッキに使うこともできますが、杉材は風雨にさらされると腐食しやすい、という特徴があります。これは杉に限ったことではありませんが、木材の中でもやわらかい材料は風雨に対する保護が必要です。

屋外に杉を使う場合、腐食しづらくする加工が必要です。具体的には塗料を塗ることです。塗料には、腐食防止、紫外線等から木材を保護する効果があります。とはいえ、万能ではないので、こまめなメンテナンスと、腐食した時には板を取り替える、補強するなどの処置が必要です。

 

 

ウッドデッキ(2)  室内空間と一体化できるメリット

大丸建設で一戸建ての住宅を新築する際は、敷地条件にもよりますが、お庭がとれる場合は、室内と屋外の中間領域でもあるウッドデッキを作ることをお勧めしています。室内の床のレベル(高さ)とほぼ同じくらいの高さにウッドデッキを設けることで、掃き出し窓を開ければまるでリビングの延長のように空間が広がります。さらに庭にも目線が広がり、空間の奥行きが出てきます。

首都圏で家を建てる場合、土地の価格が高くどうしても敷地に対して目一杯家を建ててしまいがちで、さらに駐車場も確保しなければならないため、庭やデッキなどの中間領域を確保するのが難しくなります。それでも、プランによっては2階のベランダ部分を少しでも広めにとってデッキをつくったり、デッキ部分を1階の庇(ひさし)のように有効活用したりと、限られた土地・空間で、家の中外を一体化できるメリットがあります。

家づくりは屋内だけでなく、敷地全体、あるいは地域の風景とも一体で考えていくのがおもしろいのです。

6) ウッドショックを契機に、林業を持続可能に

2021年は北米に始まった住宅DIYブームにより、建材が一気に不足し、国産材の高騰を招くといった事態に陥りました。大丸建設では長年の産地との提携関係から、なんとか材を確保できたものの、価格上昇に対する社内負担も限界に達したため、お客様への価格転嫁をお願いする状況になりました。いまだに木材の供給不足、価格の高騰は続いていますが、私からするとこのウッドショックは、木材の価値を見直すいい機会になっているとも思えます。

1本の木が建材として使えるようになるには、50年以上の年月がかかります。その間、山の手入れをして、木が強く美しく育つように、山主さんたちは100年の計で山の管理をしていきます。そんなふうに育てられた木材を大丸建設では使っており、その価値を山に還元するためには、安く買い叩くような姿勢ではいけないと感じています。

ウッドショックを契機に、日本の林業が持続可能であるために、私たち工務店ができることを考え、お客様に伝えていきたいと思います。

5) 多様なコラボを実現したい

建築家とのコラボ住宅だけでなく、仲間の工務店とのコラボも力を入れていきたいことの一つです。30年もの間加盟している協同組合「匠の会」の仲間とは、今でも強い絆で結ばれ、工務店業界での勉強会、省エネや断熱など最新技術の研鑽でお互いに切磋琢磨しています。「チルチンびと『地域主義』工務店」の仲間も同様、自然素材を活かした家づくりをともに学べる仲間です。

2003年に「チルチンびと『地域主義』工務店」の設立時に一緒に関わった長野県のデフさんは、自然素材派の工務店としてその知名度は全国区で、現在は関東でも手広く建築を手がけています。昨年、デフさんと再会する機会があり、東京や神奈川の物件の施工をお手伝いすることになりそうです。自然素材住宅ではトップランナーのデフさん。たくさんのファンをつくる秘訣などを学びながら、かつて一緒に自然素材建築を現場として切り開いていった仲間として、私もコツコツと続けてきた現場でのノウハウを提供しながら、ともに高めあえる関係を築いていきたいと感じています。

4) 建築家コラボが増えた喜び

ここ1、2年で、建築家の設計、大丸建設での施工という理想的なコラボ物件が誕生しています。ことこと設計室の小林さんは、『チルチンびと』にも掲載される若手建築家で、これまでに新築物件を手がけ、現在、マンションリノベーションでご一緒しています。

松本直子建築設計事務所の松本直子さんは、『チルチンびと』でも大人気の建築家。いつか松本さん設計の家を手がけたいという憧れを抱いていて、2019年に開催した大丸建設とURA(チルチンびと地域主義建築家連合)とのコラボイベント「本物の木の家を建てたい人のための 住まいの相談会」のゲストとしてお招きしました。このイベントを通して松本さんとたくさんお話をして、お互いのことを知ることができました。2020年から立て続けに、松本さん設計の新築住宅を任されることになり、今でもいい関係が続いています。

URAの建築家、木下治仁さん、伊藤誠康さんとのお仕事の経験も、大丸建設にとっては宝です。

大丸建設では今後も、自社設計と、建築家とのコラボと両輪があることで、美しさと機能性を両立した、本物の自然素材の家づくりを進めていきます。

3) 企画・広報も現場とリモートで

大丸建設の広報は、ホームページとブログを軸に情報を発信し、SNSユーザー向けにはFacebookを、地域の方向けにはチラシや会社前の掲示板を活用しています。

5年ほど大丸建設で働いている坂本さんは、2年前にご家族の転勤で福岡に転居してからも、オンラインで毎月ミーティングをして、リモートで大丸建設の仕事を続けてくれています。坂本さんの転居後にパートとして入った川上さんは、現在、くらすクラスでのイベント準備や、字がきれいで絵が上手な特性を活かし、会社前の掲示板や黒板アート、大丸建設の手書き文字を担当してくれています。地の利を活かし、雑誌『チルチンびと』の地域への寄贈や、地域施設へのチラシ配布などもお願いしています。

二人の企画・広報活動は、18年もの間大丸建設の広報サポートをお願いしている北原さんに月1回のミーティングに入ってもらい、アドバイスを受けながら進めています。

東京と福岡。距離があっても一緒に仕事ができる――10年前には考えられなかった働き方が、今、大丸建設では実現できています。