2014年09月19日(金)

夏と冬の断熱の違い

断熱性能を考えるとき、夏はどれだけ外気の熱を入れないかが肝要で、逆に冬はどれだけ外の熱を取り入れ、それを逃がさないかがポイントになってきます。そのため、いかに気密性を高めるかが大切です。
 夏場の場合、日射が窓に照りつけると、アルミのフレームやガラス自体に熱が生じます。アルミは金属なので熱を帯びやすく、逆に樹脂は熱を持ちにくいので、樹脂のフレームの方が、断熱性能が高いと言えます。 
 冬場は室内外の温度差が激しいため、フレームやガラスに結露が生じやすくなります。樹脂のフレームの方が結露を生じにくくなります。
 断熱では、夏は熱を入れたくないが、冬は熱を積極的に取り入れたい。こうした相反する性能を両立するには、設計がキーポイントになります。サッシの選び方、配置の仕方の設計はもちろん、プラスαの工が必要です。例えば、開口部に深い庇をつけたり、ブラインドや障子をつけるのも一つの手です。

2014年09月16日(火)

窓の省エネ基準の等級は地域によって変わる

窓の省エネ基準の等級は、地域によって差があります。地域区分は北海道のような寒冷地から沖縄のように暑いところまで、1〜8まで区分されています。
 例えば、冬は寒く雪が降る東北地方と、比較的温暖な四国地方では、必要な断熱性能は変わってきます。同じサッシでも省エネの等級は地域によって異なってきます。
 具体的な数字を出すと、東京近郊は、「4A」「4B」という地域に入ります。熱損失係数で2.7という数値が基準です。省エネ基準を満足するためには、樹脂のフレームでペアガラス、空気層は12mm程度必要、ということになります。
 近年は夏場の暑さが深刻ですが、それでも断熱を考える時には寒さの方が基準になります。寒い地域の方が、基本的には省エネ等級は厳しくなります。ただし、近年では逆の傾向も見られるようになり、熱い夏の太陽の光をどう防ぐのかも重要な論点になっています。

2014年09月12日(金)

窓の性能を高めるガラスの種類

窓サッシのガラスは、大きく、1枚の【単板ガラス】か、2枚のガラスを組み合わせた【複層ガラス(ペアガラス)】かに分けられます。
 複層ガラスは、2枚のガラスの内側に空気層があります。空気層の厚みによって熱伝導率が変わります。空気層に厚みがあるほど、一般には断熱性能は高くなると言えます。
 また、2枚のガラスの間に特殊な金属膜などを配した高性能なガラスもあります。空気層の代わりに真空層をつくり、より断熱性能を高めているガラスも。Low-Eガラス(断熱)は、ガラスとガラスの間に特殊なフィルムを張り、遮熱性能を高めています。

2014年09月09日(火)

窓の【省エネ基準】について

窓の基本性能10項目【耐風圧性】【水密性】【気密性】【断熱性】【遮音性】【防火性】【防露性】【遮熱性】【バリアフリー】【防犯性】のすべてが揃うことによって、「窓」が成り立ちます。
 特に省エネと深く関わる性能は、【断熱性】【遮音性】【遮熱性】の3つ。この3つの性能を高めるためには、窓のみならず、住まい全体で考えていけば、より快適性の高い暮らしが実現できます。
 窓に関しては、「框(かまち)」と言われる枠の部分がアルミなのか、樹脂なのかによって、熱の伝わり方(熱伝導率)が異なってきます。アルミよりは樹脂や木の方が、熱抵抗が高く、そのぶん省エネ性能が上がってきます。
 もう一つ、窓の中でも大きな面積を占めるガラス自体の性能もポイントになってきます。

2014年09月05日(金)

窓性能の基本性能<10項目>

窓の性能を評価する基本項目は全部で10あります。
【耐風圧性】
どの程度の風圧に耐えられるのか。いちばん低い等級は風速36m/s。大きいものでは76m/s。
【水密性】
どの風速で雨が入ってしまうかという基準。耐風圧性と密接なつながりがある。
【気密性】
サッシの隙間からどの程度空気が出入りするか。
【断熱性】
外と中との温度差をどの程度抑えられるか。
【遮音性】
中からと外からの音の出入りがどの程度あるか。
【防火性】
火災によってどの程度サッシが耐えられるか。
【防露性】
どの程度結露を抑えられるのか。
【遮熱性】
日射などの浸入率がどれくらいか。またどれくらい熱を遮れるか。
【バリアフリー】
段差の解消など。
【防犯性】
外からの侵入を防ぐ抵抗力がどれくらいあるか。

2014年09月02日(火)

住まいの断熱で最も大切なのは「窓」

先月は壁や床、天井に入れる「断熱材」についてお話ししましたが、実は住まいの熱損失・熱貫入の率が最も高いのは「窓」です。住まいの熱の約7割が窓から入り、抜けるということで、断熱性能の高い窓を採用することで住まいの温熱環境は格段によくなります。
 窓サッシは、大きくわけると、フレームとガラスで構成されています。
 フレームはアルミが主流で、最近は断熱性能の高い樹脂フレームも人気が出ています。また木造住宅には木製のフレームが愛されてきました。美しく断熱性能も高いのですが、コストが高いのが難点です。
 フレームの種類と、ガラスも1枚ガラスか2枚ガラスか、特殊コーティングなどがなされているガラスかにより、気密性と断熱性は大きく変わります。

2014年08月29日(金)

壁だけでなく窓とのトータルバランスで断熱を

住まいの断熱を考えるうえでは、住まいの外周(屋根・壁・床)だけではなく窓と、設計も含めたトータルで考えることがとても大切です。
 屋根・壁・床は一度施工してしまえば動きません。窓のように開閉することがないからです。素材×厚みの設計をきちんとすれば、一度施工してしまえばしっかりと性能を出せます。
 それよりも断熱を考えるうえでは、窓の設計が大切になってきます。窓は光を入れて熱を通し、開閉することで風も通します。季節によって熱を取り入れ、あるいは熱を遮蔽し、風を取り入れ、逃さないようにしなければなりません。いくら壁の性能がよくても、窓の配置や設計が悪ければ、建物の温熱環境・断熱性能が落ちてしまいます。
 来月は住まいの断熱で最も重要な「窓」についてお話します。

2014年08月26日(火)

自然系断熱材の価格差

住まいの施工価格における断熱材の占める割合は結構高いです。非自然系のグラスウールを「1」とした時に、大丸で標準施工しているウール(羊毛)は「3」、セルロース(古紙)は「6」から「9」くらいです。それぞれにメリット、デメリットがあり、価格なのか素材なのか、施工のしやすさなのか、どれをとるかは住まい手の方の価値観によります。
 最も高いセルロースは、断熱性能にとても優れています。防音性能も高く、断熱以外の面でも住まい全体のQOLが上がります。ただし価格が高いので、大丸建設では長期優良住宅で補助が出る際に使うことが多いです。
 ウールも施工できちんと留めるので浮沈はせず、価格と性能のバランスがよいので、大丸では通常の住宅の際に使用します。
 いずれも、施工がしっかりしていることが前提となるのは言うまでもありません。

2014年08月22日(金)

大丸建設は断熱材も自然素材

大丸建設ではウール系(羊毛)かセルロース(古紙)の断熱材を使うことがほとんどです。断熱性能の差は選ぶ断熱材によってそれぞれで、それが価格差になります。自然系だからいい、石油系だからダメということではありませんが、私たち大丸建設が自然系の断熱材を使っている理由は、大丸建設としてのコンセプトとして、地球環境を考えた家づくりは、自然由来のもの、カラダに害の少ないものを使うべき、という考えが根本にあるからです。
 断熱材が健康に与える影響はどうかというと、実は内装材や外壁材でふさいでいるので、数値で大きく目に見えるほどではないと私は感じています。ただ、断熱材がむき出しの状態の時に化学物質の計測をすると確実に数値に反応するので、住まいづくりのトータルのバランスで私たちは自然系素材を選びます。
 幸い、羊毛もセルロースも性能的にも十分で、それを選べる環境にあるので、大丸建設は自然素材の断熱材を使います。

2014年08月19日(火)

外壁、屋根、床に断熱を入れる。

住まいの断熱の目的は、室内に熱を入れない、室内の温かい空気を逃がさない、それが基本です。つまり、外気に接する部分に断熱を入れることになります。
 具体的には「外壁」と「屋根」と「床」に断熱材を入れます。断熱材の種類は一つの住まいで同じことが多く、入れる箇所によって厚みが変わります。
 一般的には屋根には壁の2倍の断熱材を入れます。同じ材料を使う際には屋断熱にいちばん厚みがあります。屋根には太陽がさんさんと降り注ぎ、冬は雪や冷気が吹き付けます。屋根からの熱の伝わりが最も大きいので、屋根断熱は最重要項目と言えます。