第6回 資材高騰⑥自然素材を熟知する強み

ここまで書いてきた塗料、防水材、ベニヤ、断熱材、釘やビス。どれも住まいをつくるうえで欠かせないものですが、今、何がスムーズに入り、何が止まっているのか、その全体像を把握することは難しくなっています。

ひと月前まで普通に入っていた部材が、ある日突然「次回の入荷は未定です」という状況になると、工期に大きく影響してきます。逆に、しばらく止まっていたものが、ふと流通に戻ってくることも同様にあります。私たちのような小さな工務店は、流通全体をコントロールできるわけではありませんから、問屋や仕入れ先、メーカーとの関係性の中で情報を得て、日々の現場に対応させる、というのが精一杯です。

こうした状況のなかで私たちにできるのは、現場ごとに必要な部材を早めに洗い出し、確保できるものから手を打っておくことです。代替がきくものは、あらかじめ選択肢を持っておく。規格が決まっているものは、少し余裕を見て発注しておく。当たり前の段取りを、これまで以上に丁寧に積み重ねるしかありません。

そして、私たちの強みは、手仕事に強いということです。自然素材の持つ断熱性能や調湿性能を熟知しているため、いざとなれば木材で代替できる、自然素材の性能を生かしきる家づくりを提案できることです。こうした「現場力」と現実的な提案でお客様の不安を少しでも取り除いていきたいと思っています。

 

 

第5回 資材高騰⑤ナフサショックと買い占め

最近、テレビや建築業界で耳にする言葉に「ナフサショック」があります。ナフサとは、原油から精製される石油化学製品の基礎原料で、そこからさまざまな樹脂系の素材がつくられていきます。住宅で言えば、断熱材や接着剤、配管の樹脂部材など、思いのほか広い範囲がここにつながっています。

中東情勢によって大きく影響を受けたのが断熱材です。一部の高性能断熱材は、入荷の見通しが立たない時期がありました。石油化学製品由来の断熱材の影響が大きく、比較的木質や自然素材由来のものは影響がゆるやかという傾向でした。原料と素材の相関関係を痛感することになりました。

それに加えて気になっているのが、買い占めの動きです。テレビ等でよく見る現象ですが、ホームセンターの棚が空き、釘やビスといった、ふだんは目立たない日用に近い部材まで、品薄の傾向にあるといいます。実際に、何が足りないのか、なぜ足りないのか、はっきりした理由が見えないまま、不安が連鎖して買い占めが起きていくのは、ナフサに限った話ではないように思います。

私たちはひとまず、必要なものを必要な分だけ、誠実に確保していくしかありません。焦って動けば、流通の不安をさらに広げてしまうこともあります。落ち着いて状況を見ていくことが、地域の現場の役目だと考えています。

第4回 資材高騰④合板に使われる糊も影響

家の構造や下地に欠かせない部材に、合板、いわゆるベニヤがあります。こちらも縁の下の力持ち的な地味で目立たない存在ですが、耐震性を担保するために必要な構造用合板は、特にリフォームでは欠かせない部材になります。

そのベニヤの価格が、じわじわと上がってきています。木そのものの値段だけでなく、貼り合わせに使う糊、工場から現場までの流通、そしてトラックの運搬。さまざまな段階の値上がりが、最終的なベニヤ板の価格に積み重なってきます。原油の影響が樹脂系の糊にも響き、ガソリン価格の上昇が運搬にものしかかります。

ふだん私たちが「材料費が上がった」というときに、実はこうした見えにくいコストが連動しています。一つの部材の価格に連なるコストを理解しておくことが、無理のない見積もりや、無駄のない発注にもつながっていきます。

ベニヤと同じように、釘やビス、接合金物といった細かな部材も、影響を受けつつあります。一棟の家には、こうした目立たない材料が無数に使われていて、その一つひとつが工程を支えています。

私たちは、長年お付き合いのある仕入れ先と相談しながら、無理のない範囲で資材の手配を進めています。値段の上下に一喜一憂するのではなく、「家づくりを止めない」ことを重視しながら、判断を重ねていきたいと考えています。

第3回 資材高騰③大切な「確かめる」こと

家づくりに使う材料は、その種類によって、調達のルートが少しずつ違います。木材は、長くお付き合いをしている産地や材木屋さんから。それ以外の建材や住宅設備、金物類は、多くの場合、メーカーや問屋さん経由で仕入れています。

以前は、必要な部材を発注すれば、ほぼ予定通りに揃ってくるのが当たり前でした。しかし今は、その問屋さんに「これ、いま入りますか」と一つひとつ確認しなければ、あるかないかさえ見えてこない場面が増えています。

特に手こずっているのが、ユニットバスやトイレをはじめとした住宅設備の納期です。納期そのものが出てこないことも、もはや珍しくありません。大丸建設で今進めている現場は、早い段階で発注をかけて確保できていますが、この先の現場については、その都度仕入れ先と相談しながら、見通しを立てるしかないのが実情です。

家づくりの中で、当たり前に流れていた仕入れの仕組みが、うまく成り立たない。中東情勢や大きな災害などによって、当たり前は簡単にひっくり返ってしまいます。私たちはそんな状況を何度か経験しているので、今回も「またか」という感覚で、日々、仕入れ先とのやり取りを重ねています。

一見遠回りに見える「聞く」「確かめる」という地味な作業が、今のような時期には、現場を支えるいちばん確かな手段になっていると感じます。

第2回 資材高騰②防水関係は絶対に妥協しない

家づくりに使う塗料は、ふだんあまり話題にのぼらない部材かもしれません。けれども、外壁、木部、室内の建具、屋根材まで、住まいの仕上がりを最後に決めていく大切な役割を担っています。色合いや艶のひと刷毛で、家全体の印象は大きく変わります。

その塗料が、ここに来て少しずつ入りにくくなってきています。今のところ、進行中の現場には支障なく回せていますが、頼みにしている材料問屋さんがいつ動けなくなるかは、正直なところ見通せていません。日々状況が変わるなかで、手探りで仕入れの段取りを組んでいる、というのが現場の実感です。「次に入れたいときに入る保証がない」という前提で動かざるをえません。

塗料が止まれば、最後の仕上げ工程が止まります。住まいの引渡しは、内装や設備が整い、最後の塗装まで終わってはじめて、ご家族の暮らしが始まります。

最近ニュースでよく見る、お菓子のパッケージが無色になったりデザインが変わったりする状況は、よその業界の話ではありません。建築業界ほど深刻とも言えます。

先月のブログでもお伝えしましたが、資材の状況は、ひと月の間にも変わっていきます。今月は、現場のもう少し奥のほうで起きていることや、メーカー品の値上げなど、少し話題を広げてお伝えしていきたいと考えています。

 

第1回 資材高騰①「塗料」問題は他人事ではない

家づくりに使う塗料は、ふだんあまり話題にのぼらない部材かもしれません。けれども、外壁、木部、室内の建具、屋根材まで、住まいの仕上がりを最後に決めていく大切な役割を担っています。色合いや艶のひと刷毛で、家全体の印象は大きく変わります。

その塗料が、ここに来て少しずつ入りにくくなってきています。今のところ、進行中の現場には支障なく回せていますが、頼みにしている材料問屋さんがいつ動けなくなるかは、正直なところ見通せていません。日々状況が変わるなかで、手探りで仕入れの段取りを組んでいる、というのが現場の実感です。「次に入れたいときに入る保証がない」という前提で動かざるをえません。

塗料が止まれば、最後の仕上げ工程が止まります。住まいの引渡しは、内装や設備が整い、最後の塗装まで終わってはじめて、ご家族の暮らしが始まります。

最近ニュースでよく見る、お菓子のパッケージが無色になったりデザインが変わったりする状況は、よその業界の話ではありません。建築業界ほど深刻とも言えます。

先月のブログでもお伝えしましたが、資材の状況は、ひと月の間にも変わっていきます。今月は、現場のもう少し奥のほうで起きていることや、メーカー品の値上げなど、少し話題を広げてお伝えしていきたいと考えています。

第8回 価格転嫁と、会社を続けていく務め

最後に、お客さまにいちばんお伝えしておきたいことを書きたいと思います。

 

資材や物流のコストが上がり続けるなかで、住宅価格への影響をどう考えるか。私たちの率直な気持ちとしては、お客さまへの価格転嫁は、できる限り最後まで避けたいと考えています。家は人生の大きな買い物ですから、その負担をできる範囲で会社側で吸収するのが、地域工務店としての立場だと感じてきました。

ただ、会社が立ち行かなくなってしまっては、結局はお客さまにご迷惑をかけてしまいます。お引き渡し後のメンテナンスや、住まいの主治医としての長いお付き合いは、私たちが事業を続けていてこそ成り立つものです。そのため、どうしても致し方ない部分については、最小限の見直しをお願いせざるをえない場面も、これから出てくるかもしれません。

 

そうしたお願いをする際には、何が起きていて、どこまで吸収し、どこから見直しになるのか、できる限り丁寧にご説明していきたいと考えています。状況を共有し、ご理解をいただきながら一緒に進めていくことが、地域工務店にできる誠実なやり方だと思っています。

 

160年続いてきた家業を、これからも淡々と続けていく。それが、いま私たちが果たすべき、いちばんの務めだと感じています。

第7回 長年の業者さんに、支えられて

資材不足や工期の遅れに直面するなかで、改めて感じているのが、業者さんとの長いお付き合いに支えられている、ということです。

 

材木屋さん、建材店、設備工事の職人さん、基礎工事屋さん、左官屋さん。家を一棟つくるためには、本当に多くの方の力が必要です。大丸建設はその多くと、何十年単位でお付き合いをしてきました。中には、先代の頃から関わってくださっている方もいらっしゃいます。

ふだんの現場では、あまり表に出てこない関係ですが、今のように資材が思うように入らないとき、その積み重ねが大きな意味を持ちます。「いつもの大丸さんなら、なんとかしたい」。そう言って動いてくださる方が、私たちの現場をいくつも支えてくれています。

 

商売としてのやり取りだけでは、こうした関係はつくれません。お互いに無理を言わない、約束を守る、現場の苦労を分かち合う。そういった当たり前のことを、長い時間積み重ねてきた結果なのだと思います。

 

地域に根ざした工務店として、家族のような信頼でつながった業者さんと一緒に、なんとかこの時期を乗り越えていきたい。一棟一棟の家は、こうした方々の力が重なってはじめて形になるものだということを、改めて噛みしめながら、日々の現場に向き合っています。

 

 

第6回 ガソリン価格の上昇の影響

中東情勢の影響は、建材そのものだけでなく、それを運ぶ運輸部門にも及んでいます。原油価格の上昇は、ガソリンや軽油の値段に直結し、トラックでの輸送費に重くのしかかります。

 

注文住宅は、規格化されたハウスメーカーの住宅と違い、お客さま一邸ごとに必要な部材を仕入れていきます。木材は産地から、自然素材の建材は誠実なメーカーから、その都度直接届けてもらっています。輸送のたびにかかる燃料費の上昇は、こうした小さな積み重ねの中で、確実に効いてきます。

 

加えて、職人さんの移動も、日々の現場には欠かせません。道具を載せた車で、複数の現場を行き来する。その燃料費もまた、業界全体の負担として広がりつつあります。

 

物流の費用は、建材そのものの値段ほど目立たないため、ふだんは意識されにくい部分です。しかし、家づくりに関わるあらゆる工程は、必ず何かを「運ぶ」ことの上に成り立っています。一棟の家ができあがるまでに、何台ものトラックと、何人もの人が動いている。その全体像を改めて意識する時期に来ていると感じます。

 

今後の情勢を注視しながら、無理のない物流の組み立てを工夫していくことが、現場の責任だと考えています。仕入先と運び方の相談を重ね、少しでも無駄を減らしていく地道な工夫を、これからも続けていきたいと思います。

 

 

第5回 木材は産地から直送、だからこそ影響が最小限

こうした資材不足の中で、大丸建設で比較的影響が小さくおさえられているのが、家の骨格を支える木材です。

 

大丸建設では、長年にわたり、国産材の産地と直接のお付き合いを続けてきました。柱や梁、床材に使う無垢材の多くは、産地から私たちのもとへ直送されてきます。間に多くの流通を挟まないため、海外情勢や輸送網の混乱の影響を受けにくい仕組みになっています。

数年前のウッドショックのときも、北米を中心とした木材供給の混乱で、国内では一気に木材価格が跳ね上がりました。あのとき、産地との関係を続けてきたおかげで、私たちは大きな混乱なく現場を進めることができました。価格や数量の面でも、できる限り無理のない形で材を確保していただけたことに、今も感謝しています。

 

産地との関係は、価格の交渉や数量の調整だけで成り立つものではありません。山の状況、伐採の時期、乾燥の手間。そうした一つひとつを共有しながら、お互いの仕事ぶりを長く見てきた信頼があってこそ、いざというときに支え合うことができます。

 

国産の無垢材を使い続けることは、家の質や心地よさのためだけでなく、こうした不確実な時代に、家づくりを止めないための現実的な備えにもなっていると感じています。