第4回 工期がずれる、ということ

現在、大丸建設では水道管や塗料、断熱材、そしてベニヤ板といった建材の入手が困難になり、代替品の確保や工期の調整を進めていますが、すでに大きな影響を被っています。一つの部材が遅れるだけで、現場全体の工程が動かなくなる。家づくりは、そうした連続性の上に成り立っています。

 

たとえば、ユニットバスの入荷が一カ月遅れると、その間に予定していた壁の仕上げや、その後に続く内装工事も、順に後ろへずれていきます。職人さんの段取りも組み直しになり、別の現場との兼ね合いも生じます。基礎、大工、設備、仕上げと、現場は多くの職種が時間軸でつながっているため、一カ所の遅れがいくつもの工程に波及します。

最近は、こうした工期の遅れが、決して特別なことではなくなってきました。大手の建設会社ですら、納期やコストが見合わずに見積もりを出せない、ということが起きていると聞きます。資材だけでなく、人手不足といった問題も重なり、現場の段取りはこれまで以上に難しいものになっています。

 

工期が延びれば、当然コストにも影響します。仮設の費用や職人さんをおさえておく費用、管理の手間が増え、お客さまにとっては、お引っ越しの時期にも関わってきます。

 

だからこそ、私たちはできるだけ早い段階で見通しを共有し、無理な工程を組まないように調整を試みています。「予定通りに進めるための準備」だけでなく、「予定がずれたときにどう動くか」も、あわせて考えるようになりました。家づくりの時間軸は、思っていた以上に外の世界とつながっています。そのことを前提に、現場の組み立てを見直していく時期に来ていると感じています。

 

第3回 ユニット製品が手に入らない

なかでも特に頭を悩ませているのが、ユニットバス、トイレ、洗面化粧台、給湯器といった、いわゆるユニット製品の入手難です。

 

これらの製品は、メーカーの工場でさまざまな部材や電子部品を組み合わせて作られています。その部品の一つでも欠ければ、製品として完成しません。たとえば小さな樹脂部品がそろわないだけで、納期が数カ月単位でずれることが起きているといいます。同じ機種でも、グレードや色によって入荷の見通しが違うこともあり、選定の段階で何度もすり合わせが必要になってきました。

住まいの中では、ユニット製品が入らないと工事の最終段階に進めません。床や壁の仕上げを残したまま、製品の到着を待つ。そうした「待ち時間」が、現場のあちこちで生まれてきています。

 

私たちとしては、できるだけ早い段階で発注し、複数のメーカーから情報を集め、必要に応じて代替の機種をご提案するなど、納期の見通しを立てるようにしていましたが、それも今は難しくなってきています。現状では、発注はできても、正確な納期がわからない状態で、工事に影響をきたしています。

 

お客さまには、ご希望の機種をすぐにご用意できない場面もあるかもしれません。その背景にあるものを、まずは現場の実情としてお伝えしておきたいと思います。

 

第2回 動きが止まりはじめた建材たち

ここ最近、建材の納期に関する報道が、明らかに増えています。例えば断熱材の原料になっている石油化学製品「ナフサ」についてのニュースや、スナック菓子のパッケージの塗料が入手困難になり白黒印刷になるなど、「え、こんなところに?」と思うような影響が出ています。

石油化学製品が原料となっている建材の入荷は「未定」「数カ月待ち」「次回入荷時期は調整中」。大手のハウスメーカーですらそのような窮状に悲鳴をあげているのですから、私たちのような中小の工務店はさらに影響が大きいです。

 

特に影響を感じるのは、海外からの輸入部材や、海外で部品を組み合わせて作られている製品です。鋼材や設備機器、配管部材、樹脂系の建材、電気部品など、一つひとつは見えにくい部材ですが、住まいを完成させるためには、どれも欠かせないものばかりです。

これまでは、ある程度の余裕を見て発注すれば、工程に合わせて入荷していました。しかし今は、いつ入るかわからないという前提で計画を組まなければならない場面が増えています。特に発泡系の断熱材が入手困難となり、今度は代替品に発注が集中するため、悪循環を招いています。大丸建設の場合は環境性能を重視しているため、実はそう簡単に置き換えられません。仕入先と何度もやり取りをし、見通しが立った範囲から、慎重に工程に組み込んでいくような進め方になっています。

 

家づくりの現場は、たくさんの部材が予定通りに集まることで、ようやく工程が進んでいきます。その「予定通り」が、今は少しずつ揺らいでいる。そんな感覚を背景に、日々、一つひとつの判断を重ねている日々です。

 

 

第1回 中東情勢から、家づくりへ届く影

ニュースを見ていると、中東情勢の緊張や、原油価格の動きが毎日のように報じられています。遠い地域の出来事のように感じる方も多いかもしれませんが、建築現場にいる立場からすると、その影響はすでに足元まで届いていると感じています。

日本の住宅は、見えにくいところで海外との結びつきが多くあります。鋼材、合板、断熱材、設備機器の部品、配管に使う部材など、輸入や海外で組み立てられたものに頼っている割合は、思っている以上に大きいものです。輸送ルートが混乱したり、原油価格が上がったりすると、その影響が玉突きとなり、国内の納期や価格にじわじわと響いてきます。

 

家づくりは、社会情勢から切り離されたものではありません。ニュースの向こう側の出来事が、ある日、現場の見積書や工程表の中に、姿を変えてあらわれます。コロナ禍からウッドショックを経て、そのつながりが目に見える形で表れることを、私たちはすでに経験してきましたし、このブログでも何度かお伝えしていることです。

 

そして今、同じような波が、ふたたび現場に押し寄せてきています。その影響はすでに大きくなり、お客様に納期についてご相談することも出ています。今回からしばらく、この資材不足の現状について、現場で見えていることや、私たちがどう向き合おうとしているのかを、少しずつお伝えしていきたいと考えています。