2017年07月07日(金)

山長商店の材が大丸建設に届くまで

大丸建設で使っている木材の多くは、和歌山県田辺市の山長商店から仕入れています。山長商店は林業、製材、乾燥、加工まで一手におこなう日本でも有数の林業家です。樹齢50年から100年の杉材、檜材を主に取り扱っています。

<林業>分野では、植林、下刈り、除伐・間伐、そして伐採までをおこないます。

<製材>では、伐採した木の皮を剥いで、丸太を四角く加工します。山長商店では、剥いだ木の皮や製材時に出たチップ材などはすべて木質バイオマス燃料として自社のエネルギー源として使っています。

<乾燥>の工程では、高温蒸気式減圧乾燥機で、強度の高い木材乾燥を実現しています。乾燥後さらにモルダー仕上げで0.1mmレベルまで仕上げし、その後割れ、そり、虫食いや節などの検査を1本1本おこないます。木材含水率やヤング係数(強度)検査をし、それらの結果を材に印字して1本1本にシリアルナンバーをつけて、出荷します。

<加工>さらに、プレカット加工、熟練職人による手加工など、細やかな仕上げをして、私たちの元まで<出荷>されます。

厳格な品質管理がおこなわれているのが山長商店の材の特徴です。

2017年07月05日(水)

大丸建設のブランドを支える紀州材

大丸建設でメインで使っている杉材は、紀州(和歌山県)の山長商店のものです。和歌山県田辺市の山長商店は、江戸時代末期から育林事業に取り組み、まさに「100年の計」で林業をおこなう老舗の材木店です。およそ5000haに及ぶ自社所有林を有し、個人としては日本有数の山林を維持管理しています。

山長商店の材は、よじれがなくて素直、しかも目が詰まっていて強度も高い、とても素晴らしいものです。植林から伐採まですべてをおこなう林業、製材、加工、品質検と管理、木材加工まで、すべて自社で一貫しておこなっています。

山長商店の材は、大丸建設のブランドを支えてくれています。

2017年07月03日(月)

産地と顔を見える関係を築いていく

大丸建設では今後も国産材の活用を進めていきます。そのうえで大切にしたいのは、産地と直接顔の見える関係を築いていくこと。自らが産地に赴き、林業の生産者との信頼関係を築いて、生産管理方法や加工の工程を見て納得したうえで使いたいと思っています。誰が、いつ、どのように植えて、適切に間伐や下草刈りなどの手入れがなされ、伐採や乾燥の工程もていねいにおこなわれていること、そして材木として加工されて私たちの手元に届く流通まで……木材の「生産履歴」、つまりトレーサビリティがしっかりしていることを重視しています。

それが、お客様にきちんと情報をお伝えすることにもつながりますし、お客様が住まいに使われる木に愛着を持ってくださることにも直結すると思います。

当たり前ですが、和歌山の材木と東北の材木は、同じ杉でも性格が異なります。私たちはそれらをきちんと見る目を養い、お客様に最適なものを提案するための努力を惜しんではならないのです。

2017年07月01日(土)

理論と感覚の使い分け

私はどちらかといえば理論派なので、数字やデータで納得ができないと、建築用材として採用することはほとんどありません。特に構造材で使用するとなると、お客様の命と財産を守る最重要な部分で、強度試験や性能評価がきちんとされているものでないと使えないので、慎重には慎重を期しています。数値的に納得できれば、お客様に自信を持って勧めることができますし、安心して使うことができます。

一方、仕上げ材などは、「肌感覚」や「デザイン性」が重要な要素になってくるので、感覚的な雰囲気で選んでもいいのかな、という気がします。ただ、構造材に比べてメンテナンスはしやすいものの、クロスの張り替えといっても、家具をどかしたり、費用も工期もかかるので、なるべく後悔しないよう、普遍的で飽きのこない素材を使いたいものです。

そういう意味では、杉の無垢材は使い込むほどに色合いが飴色に変化し、「経年美化」していくので、内装にもおすすめです。

2017年06月30日(金)

第3回土曜日の日曜大工講座

こんにちは。

第3回土曜日の日曜大工講座(ダストボックス)を記事にしていただきました。

3回目にしてやっと天気に恵まれ(恵まれすぎ?)広々と出来ました。

参加いただきました皆さんの笑顔がとても素敵です。

ダストボックス

次回は7月8日(土)に行います。

http://morinooto.jp/2017/06/29/daimaru3/

8月5日(土)10時から12時、地元稲城で、いな暮らしさん主催の元、南武線稲城長沼駅高架下でマガジンラックを作るワークショップを行います。

是非ご参加下さい。

2017年06月26日(月)

柱→檜という概念からの脱却

私は幼少期から父の背中越しに家業である工務店の仕事を見つめていました。大工さんに憧れ、いつか自分も住まいをつくる人になるんだという漠然としたイメージを持っていました。

学生時代にはすでに大丸建設でアルバイトを始めていたので、かれこれ20年以上もこの仕事に携わっていることになります。20年前は、柱に杉材を使うなんてことは、考えられませんでした。当時の大丸建設は「高級和風建築」が売りだったこともあり、檜の柱が当たり前、予算的にどうしても難しい場合にのみ杉材を使うという感覚でした。

それが変わったのは、2003年に「チルチンびと『地域主義工務店』の会」への加入がきっかけでした。国産材を積極的に活用していくには、構造材で杉材を使用することが不可欠。当初私は「杉は弱いのでは」という感覚がありましたが、工務店の会で大学と連携した強度試験等を見てきて、「杉は強いんだ。構造材に使っても強度は十分である」ということが理論的にわかり、それからは納得して杉材を使うようになりました。

2017年06月23日(金)

ホームセンターでも国産材が人気

最近のDIYブームも手伝ってか、ホームセンターで国産材を見かけることが増えてきました。杉は動きやすいものの、やわらかくて肌ざわりがよく、ぬくもりがあります。やわらかいから切りやすいし、加工がしやすく、扱いやすいので、DIYには最適ですね。なんと言っても、軽いので持ち運びも楽です。

大丸建設の「土曜日の日曜大工講座」が人気ですが、そこでも杉材を使っています。小学生のお子さんですと、自分で鋸を引いたり釘打ちをするなどして活躍しています。金槌で釘を打っても、釘が入りやすいですし、失敗して釘を抜くときでも容易です。

クリやナラ、カシなどの広葉樹は、硬くて目が詰まっていて、伸縮性がほとんどありません。硬質なので肌触りは少し冷たいです。そのぶん、動かないので家具には広葉樹が使われます。DIYには少し難しいので、そこは職人技でプロが手がける方が仕上がりがよくなります。

2017年06月21日(水)

日本材を海外にアピール?

新国立競技場は日本の材木を世界にPRする絶好の機会だと思いますが、それがただちに国産材の輸出につながるかというと、私にはそうは思えません。

国産材、特に杉材は成長が早く、50年ほどで建築用材として使えるほどすぐれた材ですし、素直で加工しやすいのが利点です。やわらかくてぬくもりがあり、調湿性にすぐれているため、四季のある日本にはぴったりの素材です。

しかし、それをそのまま海外に輸出して住宅材として使えるかというと、海外は気候風土も異なるため、難しいのではないかと思います。乾燥している地方では割れや反りも出てくるでしょうし、高温多湿な国ではカビや木材腐朽が心配です。

木は適材適所、地産地消がいちばんです。その国の気候風土のなかで育った木が、その土地の住まいにはぴったりだと思います。

むしろ、木材の加工技術で日本は勝負すべきではないかと考えます。

2017年06月19日(月)

日本の木造建築の伝統美

日本が誇る寺社建築や数寄屋造りの建物など、直線で区切られた精緻な日本の美を感じる新国立競技場。私も実物をこの目で見るのが楽しみです。

私は、日本の建物は特別に美しいと感じています。法隆寺に代表される寺社建築は、1400年を超えてなお新しく、非常に合理的で、かつ堅牢です。桂離宮のような数寄屋建築も、木材の繊細な表情や直線で構成された空間の絶妙な緊張感のなかに、どこか曲線の要素も入った洒脱さがたいそう美しいと感じます。

ログハウスなども温かみがあって好きですが、日本らしさという意味では、直線美を追求し、そのまま木を生かしていく面白みがあると思います。

寺社建築や伝統建築のみならず、一般の住宅建築でも、柱や梁を見せることによって「直線」を感じる日本の建物が、私はとても好きです。

2017年06月16日(金)

木材はメンテナンスしやすい

新国立競技場はメンテナンスのしやすさも大きなポイントです。主要な構造体は100年間大規模な修繕を必要としない計画とし、高耐久性の材料・仕様の仕上げ材を用いています。大屋根トラス部材の集成材、軒裏の縦格子といった外装に使われる木材は、加圧注入処理を施した高耐久性木材です。雨がかりのところは国産木材の中でも比較的雨に強いカラマツ材とし、杉材は雨のかかりにくい軒裏に仕様するなど、「適材適所」であるのも特徴です。

7万人以上を収容する超巨大な建築物である新国立競技場、しかも2020年には世界中の注目を集めるスポーツの祭典が開かれるこの場所で、日本の木造建築、木材加工技術の粋を集め発信できることは、非常に価値のあることと思います。