とっさの雷雨に対応するには

 突然のゲリラ豪雨、雷雨に見舞われたら、まずはすぐに屋内に避難するようにしましょう。最寄りの駅まで走ろう、自宅まですぐだから家に帰ろうと走っている間に、雷に打たれる可能性も否定できません。今年は雷の被害も起こっています。命に関わることなので、たとえ他人の住まいの軒先でも、頼み込んで雨宿りさせてもらう方が懸命です。
 私のようにクルマでの移動が多い場合は、クルマに逃げ込むのも手です。クルマは避雷できる構造です。
 また、屋外での移動中、雷が鳴ったら、特に手にもっている金属などには注意が必要です。腕時計、クルマや家の鍵などは、手に持たずに鞄の中に移すのが無難です。また、根拠ははっきりしていませんが、私は携帯電話も手に持たないようにしています。電波の発生するものと雷が反応するような気がして……。

100ミリの雨のすごさ

 ニュースの気象情報で「1時間に◎ミリの雨」という表現をよく見かけます。これはいったいどのような体感なのか、気になって調べてみました。
 1時間に100ミリの雨というのは、例えば、11時から12時までの1時間の間に観測された降水量の合計値です。1時間に100ミリの雨の場合は、雨水が別の場所に流れず、蒸発せず、地面や土の中にしみこまない状態で留まった時に、100ミリメートル、つまり10センチの深さになるということです。これほどの雨水が側溝や河川にたまったら、どうなるでしょうか。1時間に100ミリの雨が3時間降り続いたら……。
 こうした降水量を測る実験は、家庭でカンタンにできます。1平方メートルあたりに100ミリの雨が降った場合、水の量は100リットルになります。重さでいうと約100キログラムです。例えばたらいなどを外に置いて雨水を直接受けることで、雨水の容量を量ることができます。たらいの底面積×高さで、降雨量が計算できます。
 ちなみに、大きめの傘がだいたい1平方メートルくらいだと考えると、1時間に100ミリの雨は、傘に100キロの重さがのっかるようなものなので、とてもではないですが立ってはいられない、と言えます。

都市に緑が増えてほしい

 ゲリラ豪雨が起こる原因の一つが、単なる異常気象とは言い切れないと、最近の調査からわかってきています。特に都市部では、エアコンの排熱やアスファルトからの照り返し、クルマの排気ガスなどによるヒートアイランド現象で上昇気流をつくり出し、熱が上がって上空の冷たい空気にふれ、雨が降ってくる……つまり、私たちの社会活動が気象に影響を及ぼしているということです(もちろん、気象的な要因の方が大きいのですが)。
 とはいえ、すでに成り立っている都市生活や経済社会を否定することでは、こうした異常気象への対応にはなりません。都市のメンテナンスにはお金がかかり、都市の再構築は今後数十年単位で考えていかなければならないことです。
 しかし、昔に比べ都市に街路樹が少ないこと、土にふれる機会が少なくなったことには危機感を覚えています。土や緑は、都市景観に潤いを与えるだけではなく、気温の緩和にも十分効果的であることが解明されています。異常気象の緩和のためにも、都市に緑が増えることを期待します。

猛暑よりも豪雨のほうが心配

 ゲリラ豪雨・雷雨の特徴の一つとして、ものすごく局所的な被害をもたらすということです。例えば、一駅違えばまるでウソのように路面が濡れていない、ということもざらです。私が住んでいる喜多見では雨が降っていたのに、会社に着くと晴れている……たった30分の距離でこれだけ気象が変わる、こんなことは私が子どものころにはなかった現象です。
 今年は35℃以上の猛暑日が多く、非常に暑かったのですが、私はこの猛暑よりもゲリラ豪雨の方が、命を脅かす心配があると思います。猛暑に関しては、予想気温が出ており、数分で急激に気温が変わることがないので、事前に対策を講じることができます。しかし、ゲリラ豪雨や雷雨に関しては、天気予報で確認はできても、それがやってくるのは急速です。特に雷に関しては、命に関わるので、危険を感じたらすぐに対応ができる判断力が重要になってきます。

ゲリラ豪雨は雲に気をつけよう

 今年の夏は、四季がなくなってきている実感を飛び越え、ゲリラ豪雨や雷雨など、いきなり極端な気象が私たちを脅かしていると感じています。
 昔から夕立はありました。最近のゲリラ豪雨は、東南アジアのスコールとは比較にならないような、極端な災害を引き起こしています。山口県や島根県で起こった水害、東北地方を襲い長期間の断水を引き起こした水害や、私たちの暮らす東京でもゲリラ豪雨により目黒川が冠水するなど、多くの被害をもたらしています。
 ゲリラ雷雨が起こるときの雲の様子も変わってきました。昔であれば積乱雲(入道雲)を空に発見した時は夕立に気をつけよう、くらいの感覚で済んでいましたが、最近ではまるで映画のワンシーンのように突如空が暗くなり、どう見ても「雨や雷をはらんでいる」と思えるスズメバチの巣のような形をした黒い雲が出てきて、突然、ひどい豪雨が降ってきます。
 この極端な気象から身を守るための適応策が、私たち自身にも求められていると感じています。

私の熱中症対策

 私は、防災グッズとして、常に飴を鞄の中に忍ばせています。例えば都心で震災に遭って帰宅難民になって、喜多見まで歩いて帰ることになった時に、飴が一つでもあれば、精神的にもだいぶ救われるからです。
 最近では、飴は熱中症対策にもなると思っています。特に、塩飴。熱中症はカラダの水分や塩分が急に失われることで起こります。塩分を手軽に補給ができる塩飴は、熱中症対策の観点からも注目を集めており、最近はいろんなメーカーからいろんな味の塩飴が出ていますね(梅干しの飴もいいですね)。 それから、水分をこまめにとることも有効です。猛暑だと知らずのうちにカラダから汗が流れ出て、体温が上がってしまいます。必ず、水筒やペットボトルを持ち歩き、汗をかいたら水を飲むようにしています。
 もう一つ心がけているのが、直射日光にはなるべく当たらないようにすること。木陰やアーケードなどを目指して、帽子がない時はタオルをかぶるようにしています。
 そう考えると、毎日外に出て、炎天下の中を作業している職人さんは、本当にすごいなあと思います。体調を崩すことなく、きちんと猛暑のなか作業をして乗り切っています。気力、体力、プロ意識に、心から尊敬します。

猛暑の日にクルマに乗って感じること

 外気温が30℃を超え、特に猛暑日は、クルマに乗ってエアコンをつけても、効くまでにかなりの時間がかかります(省エネのために冷房を我慢する……のは、この暑さではナンセンスです。熱中症にかかって体調を崩してしまっては本末転倒ですから)。それがなぜか考えてみると、クルマにはほとんど断熱性能がないからですね。
 クルマは鉄板とシングルガラス、そして少しの断熱材で構成されています。クルマにしっかり断熱が施されていれば……と思いますが、そうすると車体も大きくなり、かつ重量も増し、製造コストも上がり、燃費は下がる……。せめて、窓ガラスがペアガラスや遮熱ガラスであれば、かなり変わってくるのではないかと思うのですが……。

今夏の猛暑はすさまじい

 今年は梅雨明けが例年より早く、七夕の頃、暦の上では「小暑」の時期に連日35℃を超えるような猛暑が続きました。1カ月後、「立秋」の頃にも35℃を超える猛暑で、高知県四万十市では最高気温が41.0℃となり、国内最高気温を更新しました。
 近年、日本の四季がなくなってきている実感があります。私が子どもの頃は、春夏秋冬のメリハリがあり、新芽や花が萌え出る春、清々しい初夏、梅雨、そして暑く元気が出る夏、空気が澄んだ秋、そして冬の寒さ……と、それぞれの季節の風物詩を楽しんでいました。
 ところが最近では、四季のよさを感じる間もなく、春は花粉症、清々しい初夏の季節は短くすぐ梅雨入り、そして猛暑、ゲリラ豪雨、さわやかな秋も短くすぐ冬……と、快適な季節が極端に短くなっているような気がします。

雨漏りはいつか必ず止まります

 さて、住まいに雨漏りしたら……?
 大丈夫、雨漏りは必ず止まります。
 きちんと造られた住まいであれば、水道の蛇口のように水がダラダラと入り込むようなことはなく、せいぜい、ポタ、ポタとしずくが落ちる、あるいは天井がじんわりとシミになる程度。それならば、晴れて乾いてしまえば問題ありません。
 よく、天井の断熱材がそのままカビてしまうのではないかと心配されることもあるのですが、天井は住まいのなかで最も熱がたまりやすいところなので、太陽の熱や室内からあがった熱で乾いてしまうことがほとんどです。また、自然素材の住まいであれば通気性があるので、雨漏りでジメジメが残ることも考えにくいです。実際、私は耐震診断で天井裏にのぼることも多いのですが、天井裏がカビてひどい家はあまり見たいことがありません。
 雨漏りしている家は、雨の道が雨だれとして壁や天井に残っているので、わかります。もちろん、雨漏りは住まいのQOLを著しく下げますし、万が一、天井や壁の中が雨漏りでカビてしまうと住まいの劣化につながるので、雨漏りが見つかったら必ず連絡をください。

横殴りの雨に要注意

 近年、地球温暖化の影響か、短時間で集中的に強い雨が降るゲリラ豪雨や、台風が激化したり、スコールのような突然の雨、長時間強く降る雨など、これまでとは異なる雨の降り方をします。
 少し前までの建築の常識では、斜めの勾配がある屋根であれば、基本的に雨は屋根に留まらず下に流れるものと考えていました。
 しかし、近年では豪雨+強風という状況で、雨が屋根に長時間留まる傾向にあります。つまり、風が屋根に吹き付けることで雨が下に流れずに屋根面に留まる。その上からまた次から次に雨が降ってきて流れるスピードが遅くなる。つまり、雨が屋根に滞在する時間が長くなるので、そのぶん雨が逃げ場をなくして、継ぎ目(隙間)を探してそこに潜り込もうとするのです。
 また、横風が強いので、雨が屋根に落ちるのではなく壁面にも留まるので、それが雨漏りの原因にもなると考えられます。