気候危機の時代(7) 河川の氾濫が身に迫る時

気象情報のウェブサイトでは、河川水位情報を調べることができます。河川洪水では、注意、警戒、危険、氾濫発生の5段階が表示されます。河川の氾濫や高潮などから身を守るための防災を「水防」といいます。

自分が住む地域でどのような水害のリスクがあるのかを事前に知っておくには、自治体が発行している「水害ハザードマップ」を入手しておくとよいでしょう。河川の近くでは早期の避難が必要になる場合や、木造住宅の倒壊が危険視される地域もあります。大雨の際は土砂崩れも心配です。高台に住んでいるから一概に安心とは言えず、排水溝から水があふれて周辺が浸水するようなリスクすらある時代です。

何度も書きますが、台風は事前に備えることができる災害です。特に、排水溝や雨樋などを清掃して水の流れをよくしていくことは、地域防災の観点からも重要です。

家庭でできることは、氾濫の危険が身に迫る時には、浴槽にためた水を流さないこと。家庭の排水も河川に流れるので、豪雨の際には雨水以外の水で川をあふれさせないことが大切です。

気候危機の時代(6) 避難場所や経路を確認しておく

土砂災害や浸水などの大水害が発生する恐れがある時には、気象庁から警戒レベルに応じた避難情報が発表されます。現在の警戒レベルは5段階。警戒レベル1〜2の段階から注意を払い、警戒レベル3以上の時にはいつでも避難できるように準備をしておきましょう。特にご家庭に乳幼児や高齢者がいる場合は早めの準備が必要です。

警戒レベル1:早期注意報

警戒レベル2:大雨・洪水・高潮注意報

警戒レベル3:高齢者等避難

警戒レベル4:避難指示

警戒レベル5:緊急安全確保

このうち、避難指示は、高齢や障害の有無に関わらず、全員が安全な場所に避難する必要があります。いざという時に慌てないよう、自分の居住地の避難場所や避難経路について、事前に確認しておきましょう。

警戒レベル5の緊急安全確保は、命を脅かすおそれのある災害が既に発生しているか、身近に迫っている緊迫した状況を指します。この段階ではすでに避難には間に合わないと判断されるため、避難ではなく自宅の中で少しでも高いところに身柄を移すなどして、命を守ることを優先します。

気候危機の時代(4) 台風は豪雨に加えて暴風対策も必要

今年の夏は「豪雨」の印象が強いですが、これからは「台風」に対する備えも大切です。我々も記憶に新しいのが、2019年の台風15号と台風19号です。

台風15号は房総半島を中心に、暴風で長時間の停電が発生し、住宅の屋根瓦が飛んだり、暴風によって家が傾くなど、局所的に甚大な被害をもたらしました。台風19号は東日本の広大な範囲で河川が氾濫し、100人以上の死者と行方不明者を出し、さらに住宅の全壊・半壊をあわせると3万を優に越す、史上稀に見る大災害となりました。

台風の場合は、豪雨だけでなく、暴風を伴うこともあります。豪雨災害がもたらす影響は、床下浸水・床上浸水といった深刻なものから、雨漏りなどがありますが、暴風が伴う場合はさらに、屋根や窓ガラスの破損が加わり、そこから水の被害につながります。

台風が迫っている時には、建築途中の現場の対策は非常に慎重を要し、かつ緊急性高いものとなります。足場の安全確保や建築資材の飛散防止、現場の浸水対策など、念には念をおして、台風の被害から建築現場と、近隣の環境を守る必要があります。

気候危機の時代(3) 激甚豪雨が日常になる夏

「100年に一回の大雨」は、日降水量にして「おおよそ北日本で100~200mm、西日本太平洋側で200~400mm」というのが気象庁の定義ですが、2022年8月の日降水量最高地点のデータを見ると、8月3日には新潟県で395.5ミリ、8月4日には石川県で392.0ミリ、8月9日には青森県で312.0ミリ、8月13日は静岡県で349.0ミリと、300ミリを超える日が4日もあったことがわかります。200ミリ以上となるとその数は大幅に増え、8月のうちに10日間は全国各所で「100年に一回の大雨」が降っていたことになる、と言えます。

気候危機の時代、雨の降り方や量は、我々が子どもの頃とは全く変わり、「これまでの常識」での降雨対策では、住まいや家財、そして命を守れなくなる可能性があります。これからの工務店は、こうした気候危機に備えた具体的な提案を住まいに織り込むことが必要になってきていると言えます。

気候危機の時代(2) 「100年に一回の大雨」が毎年やってくる

気象庁が発表したように、2022年夏(6〜8月)の降雨量は、「北日本日本海側と北日本太平洋側でかなり多くなった」とのことでした。特に、8月3日から全国各地に甚大な被害をもたらした「令和4年8月豪雨」では、青森県、山形県、新潟県、石川県、福井県の5県35市町村に災害救助法が適用され、住宅の損壊も数多くありました。

「100年に一回の大雨」という表現が、気象予報でも頻繁に言われるようになり、何を基準に100年に一回と言うんだろうと疑問に思う方もいるかもしれません。実は、気象庁では「100年に一回の大雨」について定義を持っています。

気象庁HPより

気象庁のHPによると、「◯年に一回の大雨」は、「全国51地点における1901~2006年の年最大日降水量のデータから推定した、再現期間30年・50年・100年・200年に1回降る可能性のある日降水量の分布図」をもとに、たとえば1日あたりの降水量では、「100年の1回の確率降水量は、おおよそ北日本で100~200mm、西日本太平洋側で200~400mmなどとなっています」とされています。

気候危機の時代(1) 気候変動から気候危機へ

地球温暖化が原因の一つとされる猛暑や大雨などの異常気象は、2000年代から顕著に現れるようになりました。「気候変動」という言葉は1980年代からあったとされますが、地球温暖化の影響が叫ばれるようになった2000年代からは認知が広がりました。

しかし最近は「気候変動」から「気候危機」に言葉を変えて語られるようになりました。日本では2020年、環境省が発行する『環境白書』で政府として初めてこの言葉を定義しました。気候変動の影響と見られる自然災害が激甚化し、また人間を含めた生物の生存基盤が脅かされている状況から、当時の環境大臣が「環境省として気候危機宣言をする」と発表するに至ったのです。

気象庁が9月1日に発表した「夏(6〜8月)の天候」によると、夏の平均気温は東日本・西日本・沖縄・奄美でかなり高くなり、夏の降水量は北日本日本海側と北日本太平洋側でかなり多くなったとのことです。また、東北北部・南部と北陸地方では梅雨明けが特定できなかったのも2022年の特徴と言えそうです。

気象庁HPより

住まいの水対策 (1) 梅雨時こそ、配管周りを見直そう

6月6日、気象庁は関東甲信地方が「梅雨入りしたとみられる」と発表しました。先週から天気がぐずつき、天気予報を見ると雨マークと雲マークが入り混じる日々。今年は台風の発生時期も早まっているようです。雨の季節が始まると、室内もジメジメして、カビやサビなどが気になりますね。

今月は雨の季節らしく、雨漏り、配管のメンテナンスなど、水回りを支える大切な配管についてお話しします。住宅に必ずある水道管やガス管ですが、その姿は目に見えないので、普段生活しているとなかなか気にかけないところですよね。しかし、水道管にトラブルがあると、家全体に大きく影響してしまうことも。壁の中が濡れてしまうと、家を支える柱や梁、土台が濡れて、カビや木材普及金の発生につながります。

屋根からの雨漏りも心配の一つ。トラブルがあったら早めに気付いてメンテナンスに結びつけられるようにしましょう。

アスベストと法規

2021年4月に施工された「改正大気汚染防止法」によって、建築物のアスベスト含有の有無を事前調査することが所有者に義務付けられました。建築物の所有者は、不動産取引時にアスベスト調査が必要となります。また、日常使用期間においても前回掲げたアスベストの飛散対策が必要となり、解体・改修時にもアスベスト仕様の事前調査と、労働安全衛生法関連の事前調査、建築リサイクル法における建築資材の付着物調査なども必要になります。アスベストの除去工事の際は、施工業者は作業の実施状況についての写真の記録、保存が義務付けられます。

2022年4月より、解体工事部分の床面積が80平米以上の建物や、100万円以上の予算の改修工事では、事前調査結果を労働基準監督署に届け出る必要が出てきます。

自治体によっては解体工事のアスベスト調査のための補助金を設けているところもあります。大丸建設はアスベスト調査の資格を取得しましたので、気になる方はお気軽にご相談ください。

アスベスト対策の工法

国土交通省では、吹き付けアスベスト等の使用が疑わしい建物では、アスベスト含有の有無の調査を行い、もしアスベストが含まれている場合は早急に対応工事が必要であるとしています(2021年より調査が義務化されました)。

アスベスト対策の工法は主に3つ。除去工法は吹き付けアスベスト等をした時から取り除く方法です。完全に除去することで、大地震などが発生して建物が損傷した際もアスベストが飛散する恐れがなくなります。

封じ込め工法は、吹き付けアスベスト等の層を残したまま薬剤を含ませるなどして吹き付けアスベスト等を固定し、飛散を防止する工法です。また、囲い込み工法は吹き付けアスベスト等を板状の材料で囲い込むことで、粉じんの飛散を防止する工法です。封じ込め工法も囲い込み工法も比較的安価に施工できますが、建物の取り壊し時には除去工事が必要になり、大地震などで建物が剥落、あるいは倒壊した時には、アスベスト飛散のリスクが残ります。

アスベストが使われてきた場所

アスベストは建築材料として防音性、防火性、耐熱性、摩擦や腐食に強いなど、多くのメリットがあり、かつ安価で加工しやすいという特性から、建築のさまざまな場面で使用されてきました。

例えば、間仕切り壁、スレート屋根、外装や外壁に使われるセメント板、サイディングボードなど、建築物のかなりの箇所に使われていることがわかります。

建材だけでなく、断熱材用の接着剤や、配電盤や配管のジョイント部分の耐熱や電気絶縁版として、機器の接続部分のシール材、煙突や排気管など、とにかく多用途に使われてきたアスベスト。学校や病院、オフィスビル、商業施設、公共施設など、昭和40年代に建てられた建築物の多くにアスベストが使われ、それらの耐用年数が近づき、リノベーションや解体工事が進むにつれ、新たなアスベスト対策が必要になってきているのです。