
熊本地震は、2016年の4月に、震度7の揺れが2度にわたって続いた、非常に厳しい地震でした。前震と本震が短い間隔で立て続けに起きた例は、それまでの震災には見られなかった特徴です。木造住宅にとっても、これまでの想定を超える負荷がかかった震災でした。
熊本地震で倒壊や大破が集中しているのは、1981年以前の旧耐震基準で建てられた住宅、および新耐震から2000年改正までのいわゆる過渡期の住宅です。2000年以降の基準で設計・施工された木造住宅では、2度の震度7に耐えて残った例が数多く報告されています。
もちろん、2000年以降の家であっても地盤の悪い場所で被害を受けた事例はあります。周辺の火災の影響を受けた住宅もありました。地震「だけ」による建物への被害と、火災、がけ崩れ、地盤の液状化といった二次的な被害は、切り分けて考える必要があります。

熊本の教訓から10年、熊本ではまた新たな地震に遭遇しました。熊本で確かめられた知見が、今回の7月の地震の分析にも、そのまま生かされていくことになると考えています。実際、復興ボランティアに行った方からは、10年前の教訓が生きているという声もありました。震災の分析は、次の家づくりの設計や施工に反映されていきます。地震という試練が来るたびに、私たちの家は少しずつ強くなってきたという事実は、ここ数十年の日本の住宅を語るうえで大切な視点だと考えています。
