(7) 意外と多い「出窓」の悩み

窓リフォームで時々お悩みを聞くのが「出窓」についてです。出窓は、インテリアとして窓近くに植物の鉢を置いたり、採光を目的に作られていることが多く、窓が建物から出っ張っているため、熱の影響を受けやすいのが特徴です。「出窓の近くが寒い」「結露しやすい」というお悩みを抱えている方が意外と多いのです。住宅の流行もあると思いますが、出窓がつくられていた頃の住宅は、断熱性を考慮されていないことが多く、アルミサッシによる結露が発生しやすくなります。

出窓はカーブがかかっていたり、窓の形状が複雑なので、サッシも含めての交換となるとかなりのコストがかかります。ガラスだけを交換するのも一つの手ですが、窓=ガラス+サッシなので、ガラスのみの断熱性能が高くても効果はイマイチなのが残念です。

最も効果が高いのは、出窓にものを置いたり、インテリア機能を持たせるのは諦めて、内窓を設置することです。採光確保はできますし、断熱性能は高まりますので、室内環境は快適に保たれます。

 

(6) 簡単リフォームには内窓がおすすめ

集合住宅の場合はマンションの管理規約上、窓が共有部であることが多く、住まい手自身の希望で行えないケースがほとんどです。しかし、室内側にもう一枚窓をつける「内窓」であれば、マンションでも設置が可能です。内窓であれば内装材扱いなので、室内のインテリアや家電と同じような感覚で導入できることになります。コスト面でも、材料費+施工費において、窓リフォームより大幅に安く済ませることができます。リフォームの時間も窓1つに対して1時間程度と、大掛かりにならずに簡単に終わります。

断熱面もかなり高く、防音や防犯面でも優れている内窓。いいことづくめなのですが、デメリットがあるとしたら、窓を開ける時に2つの窓があり、窓の開閉に不便、ということです。

日本家屋に見られる「障子」も一種の内窓と言え、障子の開閉+窓の開閉の感覚で、それを不便と感じない方であれば、内窓はコスト面でも性能面でもかなりおすすめです。

[写真:大丸建設HPより「夢だった梁の見える古民家風の家」]

(5) 断熱と遮熱は異なる

断熱の目的は、熱を伝わりにくくすることです。熱は高い方から低い方へと移動する性質があり、夏場は外の熱が室内に入ることによって室温の上昇を防ぎ、冬場は室内の温かい熱が外に逃げていくことを防ぎます。人間にとって快適な温度帯の室内環境をつくることを目的にしているのが断熱です。

一方、遮熱は、日光による熱放射を反射させることで室温の上昇を防ぐことを目的としています。たとえば、夏の強烈な日光が屋根に当たり、屋根面の温度が上昇することでその熱が室内に伝わることで室温が上がってしまいます。熱を室内に伝えにくくするのが断熱で、屋根面で熱を反射するのが遮熱です。

冬に防寒性の高いダウンジャケットを着るのが「断熱」、夏にUV加工をした日傘を差すのが「遮熱」と考えるとわかりやすいですね。

 

[図参照:YKKホームページより]

(4) 窓ガラスの種類

サッシに比べて、窓ガラスの方は選択肢がたくさんあります。組み合わせによっても断熱性能には差が出てきますので、ランキングは難しいと言えます。

ガラスは、1枚(シングルガラス、または単板ガラス)より2枚(ペアガラス)、2枚より3枚(トリプルガラス)の方が、断熱性能が高まります。最近では5枚ガラスの窓も発売されており、最上位の断熱性能を誇ります。

2枚以上のガラスは複層ガラスと言われ、ガラスで挟んだ層の間を真空状態にしたり、アルゴンガスやクリプトンガスを封入して断熱性能を高めたガラスもあります。

ほかにも、Low-Eと呼ばれる特殊金属膜をガラスの内側に貼り付けたものもあります。遮熱タイプの金属膜を入れた窓は西側につけることが多く、西日をカットして紫外線や熱の侵入を防ぐ効果があります。一方断熱タイプの金属膜を入れた窓は南側につけて、冬場の日光を室内に取り入れ、逆に室内の熱を逃しにくくする特徴があります。

[参照:YKK ap ホームページより「Low-E複層ガラス(遮熱タイプ)」]

(3) 窓=ガラス+サッシ

窓は、ガラスと窓枠(サッシ)の組み合わせで断熱性能が変わります。

かつての日本の住宅では、アルミサッシ+単板ガラス(ガラス1枚だけ)の組み合わせがほとんどでした。アルミサッシは軽量でコストが安い反面、熱を伝えやすく、夏は熱く冬は冷たくなります。また、室内と室外の気温差によって結露を生じ、特に冬場の朝方などは、結露で窓周辺がびしょびしょに濡れてしまったり、窓枠近くの床材などがカビたり腐食しているのを見たことがある方もいるかもしれません。

サッシの種類は主に3つで、アルミサッシ、アルミ+樹脂の複合サッシ(室内側が樹脂で室外側がアルミ)、樹脂サッシ、木製サッシがあります。断熱性能で言えば樹脂よりも木製サッシの方が高いのですが、木製サッシの場合は樹脂サッシに比べて機密性能を確保するのが難しく、コスト面から考えても樹脂サッシの方に軍配が上がりそうです。

[写真:YKK ホームページより]

(2) 断熱性能の高い窓への理解が広がる

近年、大丸建設で新築する住宅のお施主様は、断熱性の高い窓をオーダーされることが増えてきました。20年ほど前までは、日本では窓の断熱についてあまり意識がされてこなかったため、アルミサッシの単板ガラス、よくても複層ガラス(ペアガラス)が定番でしたが、地球温暖化の進行といった社会的状況も相まって、消費者の省エネ意識が変わってきました。この10年でメーカー側も高断熱なガラスやサッシの開発に励んだことによって、樹脂サッシや遮熱ガラスなど、断熱性能の高い窓が普及するようになりました。導入コストは割高でも、居住時のランニングコスト(月々の光熱費)が下がるので、結果的に高断熱の窓の方がお得で、しかも居住環境は向上します。

大丸建設の最近の新築事例では、断熱性能が高い樹脂サッシ+特殊金属膜やガスを封入して断熱・遮熱性能をガラスといった組み合わせが定番となり、お客様に快適な居住環境を提供できています。

[イラスト:YKK apホームページより]

 

(1) 家の環境をよくするために、窓を考えませんか?

今年は新型コロナウイルスの感染拡大から、リモートワーク、在宅ワークをする人が増え、家の居住環境やワークスペースを快適にしたいと考える人もいるのではないでしょうか。知人の中には「家族の在宅ワークによって光熱費が上がった」という人もいます。

家の光熱費に直結するのは、断熱性能です。断熱とは、壁、床、屋根・天井、窓といった家の外周部に断熱材を入れたり、空気層を設けることで、外気と室内の温度差を減らして、結果的に結露も抑制し、居住環境をよくしていくことにつながります。

家の断熱性を高めるために最も効果的なのが窓断熱です。夏場は室内に侵入する熱の74%が窓から入ってきて、冬場は逆に家の温かい熱の52%が窓から逃げるというデータもあるくらい、断熱性能の低い窓の家は「夏暑くて冬寒い」というわけです。

【上イラスト参照:YKK ap ホームページ

「アルミフレーム(複層ガラス)の窓の家における熱の流入出の割合」より】

(4) 杉は多孔質で調湿性が高い

大丸建設では、新築の家では無垢の杉材を床板として使うことが多いです。無垢の杉はやわらかく、肌ざわりがよくて、温かみがあります。それは単に自然素材だからというだけでなく、杉の持つ特性にあります。

木材は微細な細胞からなる自然素材ですが、杉はその中でも特に微細な「孔(穴)」が多くある「多孔質」な特徴を持っています。周囲の湿度が高い時には、この「孔」が水分を吸って、逆に周囲が乾燥している時には杉自身が蓄えた水分を吐き出します。まるで呼吸しているようですね。

室内に一部でも無垢の杉があると、調湿性能が働き、心地よく過ごすことができます。木材の持つやわらかな雰囲気、香りが、癒しをもたらしてくれます。床がベストですが、腰壁や、木工教室でつくったベンチなどでも、その効果を感じることができるはずですよ。

 

ペレットストーブで「木は3回働く」

私は、今後、なるべくペレットストーブを多くのお客様に広げたいと思っています。大丸建設は日本の木で家を建ててきた工務店です。山とつながり、産地直送で材を仕入れており、林業地の現状を見てきています。日本は世界有数の森林国で、特に杉や檜などの人工林は、適齢期の木を伐採して使い、また新たに植えて更新していかないと、山が荒れてしまいます。日本の木を使うことは、日本の環境を守ることにつながります。

私は、木は人間に対して3回働いてくれるものだと思っています。

1回目は、山にある時に、葉っぱが二酸化炭素を吸収して幹で固定し、酸素を出してくれることで、温室効果ガスを削減します。

2回目は、建材として家になることで、人々の暮らしを支えます。

そして3回目は、燃料としてはらたきます。捨てられてしまう端材や樹皮は、ペレットストーブの燃料として再生され、暖房に使われます。

こうしたサイクルで、木は人のために3回役立ってくれます。

大丸建設は、木材だけでなく、燃料としての木の力を伝え広げていきたいと思っています。

ペレットストーブは都市型ストーブ

私はペレットストーブに注目しています。煙突が不要で、ストーブの後ろに排気口をつければいいので、施工も比較的簡単で、設計も難しくありません。何より、排煙が少ないので、都市部でも設置しやすいのが魅力です。

材料は木質ペレットといい、材木の製造工程で出た端材をチップにして圧縮した状態にしたものです。薬のカプセル状で小さいので、燃焼しやすいです。丸太を角材にする時に出る木の端材、間伐材などの小径木、樹皮、おがくず、チップなど、使い切れない木材が原料なので、リサイクル製品とも言えます。小さな円筒状なので持ち運びしやすく、価格も安いのが特長です。ただ、首都圏で入手するには、運送料金分のコストが上乗せされます。それでも、ストーブの団欒効果などを考えると、ペレットストーブの導入はおすすめできるものです。