2025年12月23日(火)

木の表情(2) 杉の白身と赤身が生む表情の違い

杉材をよく見ると、淡く明るい部分と、赤みを帯びた部分が混在しています。これは仕上げの違いでも、経年変化でもなく、杉という木が持っている本来の性質によるものです。

杉の外側に近い部分を「白身(しろみ、または白太)」、幹の中心に近い部分を「赤身(あかみ、または赤太)」と呼びます。
白身は比較的若い年輪で構成され、色味が明るく、やわらかな印象です。一方、赤身は長い時間をかけて形成された部分で、油分を多く含み、耐久性や耐水性に優れています。赤身は水をはじきやすく、腐りにくく虫に強い性質があるため、昔から土台や柱など、構造的に重要な部分に多く使われてきました。
反対に、白身は加工性がよく、明るい表情を持つため、床や壁、天井といった内装材として使われることが多くあります。

木が生きてきた時間の違いが、そのまま性能と表情の違いとして現れている。そこに、自然素材ならではの奥深さがあります。

大工は、一本の材を見たとき、「この部分は赤身が多いから構造に使おう」「この白身の表情は、室内に使うときれいだな」と、自然に判断します。これは経験だけでなく、木の性質を理解しているからこそできる判断です。

住まいの中で、白身のやさしい色合いが目に入り、目立たないところで赤身が家を支えている。そんな関係性を知ると、木の家の見え方が少し変わってくるかもしれません。

2025年12月22日(月)

木の表情(1) 建築用材としての杉にも個性や表情がある

気がつけば、もう師走です。一年を振り返りながら、住まいのことを考える方も多い時期ではないでしょうか。私たち大丸建設が日々向き合っている「木」について、実はすべて同じではなく、一つひとつに個性や表情があることをお話ししてみたいと思います。

日本の木造住宅で、最も身近な存在といえるのが杉です。古くから柱や梁、床材として使われてきましたが、それにはきちんとした理由があります。

杉の特長は、まずその軽さです。木材の中でも比重が小さく、建物全体を軽くつくることができます。これは地震の多い日本において、大きな利点になります。建物が軽いほど、地震時に建物へかかる力は小さくなるからです。

また、杉は加工性に優れています。鋸や鉋が素直に入り、大工の手仕事に応えてくれる木です。仕口や継手といった、日本の木造建築に欠かせない技術を成立させてきたのも、杉という素材の性質があってこそだと思います。

さらに、断熱性や調湿性にも優れています。冬は冷えにくく、夏は熱を溜め込みにくい。触れたときのやわらかさや、どこかほっとする感触も、数値には表れにくい大切な性能です。湿気がある時には空気中の水分を吸収し、乾燥している時には放出する。そんなふうに、室内空間を快適にする役割も果たしています。

見た目がやさしいだけでなく、構造的にも、暮らしの面でも理にかなった素材。それが、建築用材としての杉なのです。

 

 

2025年11月29日(土)

2025年の酷暑_8 高温の影響での熱中症患者の増加

東京都消防庁によると、2025年6月から8月にかけての東京では、熱中症による救急搬送が8,341人と、過去最多を更新しました。2024年は6〜9月で7,996人だったので、9月のデータも足されると、さらに多い人数が熱中症に倒れたといえます。

東京では、都市部ならではの環境、つまり建物が蓄積して熱がたまりやすく、最低気温が下がらずに夜も室温が下がりにくいことなど、複合的な要因が熱中症リスクの底上げにつながったと考えられます。

もはや熱中症が避けられないリスクとなっているため、ライフスタイルにおいては、日中だけでなく夜間も冷房を活用して「暑さの残り」を軽減することが大切です。また、室内にいても水分補給をしっかりして、喉乾いてからではなくこまめに水分を取るように心がける必要があります。また、熱中症による救急搬送者の半数以上は高齢者であることから、高齢のご家族やお子さまが特にリスクが高いことを意識して、「我慢をしない」対策を家族で今一度確認をしていくことをお勧めします。

 

2025年11月26日(水)

2025年の酷暑_7 9月にも続いた猛暑

気象庁の定義する「夏」は6〜8月で、9月は「秋」というのが一般的です。しかし、2025年の東京では、9月にも猛暑が続きました。

9月1日から3日にかけて、最高気温は36.4℃、37.0℃、37.0℃と3日続けて猛暑日を記録し、9月8日の35.0℃まで、合計4日間の猛暑日がありました。ただ、それ以降も9月全体で真夏日が14日あり、9月18日ごろまで最高気温が33℃〜34℃台の日が続きました。

いわゆる「秋のお彼岸」と呼ばれる時期の9月19日から最高気温が30℃を下回り、過ごしやすい日が増えてきました。

10月に入ってからは最高気温が30℃以上の真夏日はなく、過ごしやすい日々が続いています。ようやくホッと一息つけた実感があります。

今年の最高気温の推移を見ていますと、「夏」の定義そのものが変化しているのを実感します。少なくとも9月は「秋」というにはあまりに暑く、真夏、猛暑の9月の傾向は今後も続くのではないかと感じています。

 

2025年11月23日(日)

2025年の酷暑_6 1日中暑くて休む間がなかった

この夏(6〜8月)の最低気温の最小は6月1日の15.0℃でした。昼は灼熱、朝晩の涼しさは短く、体が休まる時間が少なかったことが数字にもにじみます。

夏の熱帯夜(日最低気温25℃以上)は、6月は1日、7月は20日間、8月は24日間の合計45夜。エアコンなし、扇風機だけでは眠りにくい、そんな夜がほぼ半分以上の夏の夜にやってきた計算になります。「夜が暑い」はやはり決定的で、一日中暑く、日中の疲れがとれない、体を休める時間すらなかったように思います。

日中の危険な暑さも、例年以上でした。猛暑日(35℃以上)は、6月は0日、7月は7日、8月は18日で、合計25日でした。30℃以上の真夏日は6月が13日、7月が27日、8月29日で、合計69日でした。7月と8月はほとんどが30度以上だったと言えます。

特に東京では、街なかのアスファルト舗装と建物の蓄熱が重なるため、日が傾いても温度が下がりにくく、夕方以降の熱負荷も高止まりした印象です。

2025年11月20日(木)

2025年の酷暑_5 東京の気温の傾向

“史上いちばん暑かった”と言われる2025年の夏。気象庁の東京(東京気象台)の実測から、東京ならではの様子を振り返ってみます。

この夏、東京の最高気温が最も高かったのは、8月30日の38.5℃でした。

6月では、最高気温が30℃以上になった日は6月16日で、翌17日には34.8℃となったのをピークに8日間、真夏日が続きました。6月24日・25日を除く13日間が最高気温30℃以上の真夏日だったのです。

7月はさらに気温が高い傾向が続きます。31日間のうち、最高気温が30℃以上の日が21日、35℃以上の猛暑日が6日ありました。30℃を下回る日はわずか4日。1日の平均気温が30℃を超える日が6日あり、一日中暑いという実感がありました。

8月は猛暑の記録を塗り替えるような日々でした。最高気温が30℃以下は2日のみ。猛暑日は18日、真夏日は11日でした。日平均気温が30℃以上の日が15日あり、うだるような暑さといえる日々だったと思います。

2025年11月06日(木)

2025年の酷暑_4 猛暑日の地点数が歴代最多

 日本で最初に最高気温が40度以上を記録したのは、実は1927年7月22日、愛媛県宇和島市で、その記録は40.2度。その後、1933年7月25日に山形県山形市で40.8度を記録し、その記録は2007年8月16日に埼玉県熊谷市と岐阜県多治見市で40.9度を記録するまで、74年間破られることはありませんでした。

2007年以降、猛暑日の回数は増えてきます。2013年8月には高知県四万十市で41.0度を記録、この年40度以上を記録した地点は8地点と増え、その後、2018年7月には埼玉県熊谷市で41.1度を記録しました。この年に40度以上を記録したのは17地点となりました。2018年以降、毎年40度以上の地点が全国で1〜9カ所あったのですが、2025年はそのレベルがあがり、全国30地点で40度以上を記録することになったのです。

なお、猛暑日は最高気温が35度以上のことをいうのですが、2018年に6479地点を記録して以降、「史上最高に暑い夏」が始まった2023年は6692地点、2024年には8821地点となり、2025年にはついに9385地点となりました。

これらの数字からも、今年の夏がいかに暑かったのかがわかります。

2025年11月03日(月)

2025年の酷暑_3 早くて短い梅雨

2025年の夏の特徴は、梅雨入りと梅雨明けがとても早かったことが、猛暑の後押しをしたと考えられます。

東北地方を除いて5月には梅雨入りしたところが多く、気象庁によると「かなり早かった」と発表しています。例えば、九州では平年は5月末から6月初旬の梅雨入りですが、今年は5月16日ごろでした。東海や近畿、中国、四国でも5月16〜17日ごろに梅雨入りしており、関東甲信と北陸地方では5月22日ごろの梅雨入りでした。いずれも平年より半月は早い状況でした。

一方で東北地方では6月23日ごろの梅雨入りとなり、平年の6月中旬にくらえて10日以上遅く、関東甲信地方から比べても1カ月も遅い梅雨入りとなりました。

また、梅雨明けは九州から関東甲信越地方にかけて6月27〜29日ごろとなり、平年の7月15〜20日ごろに比べると「かなり早い」梅雨明けだったと言えます。

結果的に、梅雨の期間が「早くて短い」状況となり、降水量も全国的に「少ない」、または「かなり少ない」状況になり、長く暑い夏に影響したと考えられます。

2025年10月30日(木)

2025年の酷暑_2 平年より2.36度高い気温が意味するところ

2025年の6〜8月の平均気温は、平年より2.36度高く、史上最高に暑い夏だったというこの記録が意味するのは、どんなことでしょうか。平年とは過去30年間の平均値のことで、その年の「平年値」に比べて、どれだけ気温が高いか低いのかについての比較になります。

さて、私はこの数字を見て思い出すのは、今から10年前に発表されたIPCCの第5次評価報告書のことです。地球の持続可能性の指標として「2100年の世界の平均気温を産業革命前に比べて2度未満に抑えることで、気候変動に適応できる可能性がある」というものです。ところが、現時点でそれは達成不可能な目標に近づいているようにも思われ、「2100年には2.8度以上上昇する」という報道もあります。

産業革命前よりも平均気温が上昇している今、日本では1990年代以降の平年値より2.36度平均気温があがった今夏の状況を考えると、気候変動の影響はすでに回避できないものとなり、今後はどのように危機を乗り切っていくのか、私たちは真剣に検討していかなければなりません。

工務店の建築現場でも然り、できあがった家に暮らすお客様のライフスタイル然り。このブログでも積極的に発信していきたいと思います。

2025年10月26日(日)

2025年の酷暑_1 史上最高に暑い夏を更新

近年の夏の暑さはレベルが変わったと感じるほどで、建築現場で作業をしていると、命の危険を感じるほどです。大丸建設では社員・現場の安全を守るために、さまざまな対策をしていることは以前もこのブログでお話ししていますが、もはや人智では追いつかないほどの状況だとも言えます。

実際に2025年の日本の夏は、「歴代最高気温」を更新しました。8月5日群馬県伊勢崎市で41.8度を記録。静岡県、埼玉県、兵庫県、栃木県、岐阜県、高知県の12カ所で41度超を記録しました。特に8月5〜6日ごろの関東地方の気象予報を見ていますと、埼玉県や群馬県の各地点で「41度」と目を疑いたくなるような数字が並び、日本の気象は大きく変化したのだと実感しました。

 

実際に、2025年6〜8月の国内の平均気温が平年より2.36度高く過去最高となりました。前年の2024年も「史上最高に暑い夏」だったのですが、それをはるかに凌駕する記録となり、あまりうれしくないのが実態です。