温度のバリアフリー_6 町田の家の事例紹介が公開されます

2カ月にわたり「ヒートショック最前線」と「温度のバリアフリー」というテーマで、断熱の重要性と、住まい全体の温度差をなくし健康で快適に暮らすためのポイントをお話ししてきました。

大丸建設では建築家の松本直子先生の設計する住まいを手がけることが増え、特に今年竣工した「町田の家」は、「温度のバリアフリー」を高い次元で実現した住まいと言えます。

大丸建設ホームページの「事例紹介」のページで、撮り下ろした写真と共に紹介する予定です。

また、建築家の松本直子先生と私、大丸建設の安田佳正の対談も公開します。松本先生から見た大丸建設の技術や施工について、過分なお言葉をいただき、とてもうれしく感じると共に、その信頼に自信を持って、これからもよい住まいを作っていきたいと考えます。公開されたらぜひご覧いただけると幸いです。

 

温度のバリアフリー_5 持続可能な住まいづくりのために

住宅の断熱性能を高め、温度のバリアフリーを実現することが、ヒートショックやアレルギーなどの健康リスクから家族の健康を守るために、とても重要であることがわかりました。

家族にとって快適な住まいは、長期的な視点で見れば、家そのものの耐久性が高く、使用するエネルギー量が極めて少なく、環境負荷も少ないと言えます。自然素材を活用することで、シックハウス症候群のリスクを減らし、家の中の空気をきれいに保つ効果も期待できます。何より、素材の心地よさは、快適な暮らしに欠かせないものです。オープンで可変性のある間取りはライフステージの変化に対応できます。家の中でのブラックボックスが少ないため、経年劣化を防ぐためのメンテナンスがしやすいとも言えます。

これからの家づくりで重視すべきポイントをまとめると、「健康 × 省エネ × 持続可能性」がキーになるのではないでしょうか。

家づくりは、一生に一度の大きな決断です。「価格」や「デザイン」だけでなく、健康を守り、快適に暮らせる家であるかどうかをしっかり考えることが大切です。

これから家を建てる方は、ぜひ「温度のバリアフリー」「省エネ性能」「長期的な快適性」を意識した住まいづくりを検討してみてください。大丸建設が皆さんの心地よい住まいを実現します。

温度のバリアフリー_4 高効率の設備機器で光熱費を低減

温度のバリアフリーを実現するには、家全体の断熱化が必要です。それに高効率の設備機器を導入することで、ランニングコストを大幅に低減、あるいはゼロにすることも可能になる時代がやってきました。

特に、ゼロエネルギー住宅(ZEH)は、1年間に消費するエネルギーを、太陽光発電などで「実質ゼロ」にする住宅のことで、国が普及に力を入れています。

ゼロエネルギー住宅は、「高断熱・高気密」が前提としてあり、さらに「省エネ」と「創エネ」を組み合わせることで、エネルギーの消費量を実質ゼロにする=光熱費も実質ゼロになるという仕組みです。

 

「省エネ」はいうまでもなく、省エネ性能の高いエアコンや給湯器、LED照明を使用することで、エネルギー消費を抑えることができ、電化製品による放熱も防ぐため、快適な室温で暮らすことができるようになります。

太陽光発電などを組み合わせた創エネルギーは、蓄電池を導入することで実質的に電力の自給自足も可能になってきています。災害時にもエネルギーインフラを維持することができるため、今後大震災が起こるリスクのある首都圏では、資金に余裕があれば太陽光発電と蓄電池の併用は検討したいところです。

温度のバリアフリー_3 高断熱+開放的な間取りが心地よい空間を実現

間取りの工夫によっても、温度のバリアフリー化は可能です。特に、家全体の空気の流れを意識した設計をすると、冷暖房の効率が大幅にアップします。

まずは、家全体がすっぽりと断熱されていることが大切です。特に窓や玄関などの開口部から熱が進入したり逃げたりするので、外気にふれる開口部断熱をしっかりすることが大切なポイントです。

そのうえで、家全体が大きなワンルームになるような設計が、温度のバリアフリーを実現する肝になります。リビング+ダイニングと個室、廊下を区切らず、1階と2階も吹き抜けや高窓を活用することでひとつなぎにするような住まいの設計です。

リビングとダイニング、キッチンが一体化した住宅は増えていますが、浴室や脱衣所は廊下で区切られているのが一般的な中で、あえて廊下を設けずにリビングから直接脱衣所や浴室に行けるような設計にすると、温度差を限りなく減らすことができます。また、玄関近くに断熱ドアや風除室を設け、外気の影響を受けにくくすることができるので、玄関の断熱性を高めていくことがとても重要になります。

また、個室が必要な時にも、引き戸にすることで区切る必要がない時には大空間にできますし、断熱性が高い住まいであれば一度部屋を温めた後でも引き戸で区切ることで快適な室温が逃げずに済みます。高窓をスライドすることで暖かい空気を循環させることもできます。

温度のバリアフリー_2 全館暖房は高断熱でこそ実現可能

温度のバリアフリーを実現するためには、家全体の温度を均一に保つ設計が重要です。

まずは何より、断熱性能を高めることです。これまでもヒートショック対策で何度もお話ししてきましたが、壁・床・天井に断熱材を入れるだけでなく、窓や玄関ドアの断熱性能も重要なポイントになります。窓断熱に対する意識は上がってきていまが、実は玄関の断熱性を高めることは家全体の断熱性を高め、特に寒くなりがちな廊下などリビング以外の温度低下を防ぐ意味で大切です。金属ドアやガラスが入った玄関ドアは、それ自体が熱を通しやすく冷蓄熱することもありますし、玄関の隙間から冷気が入り込むことで廊下の底冷えの原因になります。

家全体の断熱性が高まれば、「全館暖房」も実質的に可能になります。一般的な住宅では、リビングだけ暖房が効いていて、廊下やトイレ、浴室が寒いというケースがほとんどです。しかし、家全体が高断熱であり、かつ間取りもオープンで細かく区切られていないような家の場合は、エアコン1台で家全体を暖房することもできます。また、小屋裏や床下などに送風機能を持たせることで、冬は小屋裏で暖められた空気をおろす、夏は床下から相対的に低い温度の空気を送風するといった空気循環で冷暖房することもできるようになります。

 

 

温度のバリアフリー_1 温度のバリアフリーの考え方

これまで、ヒートショックが人々の健康と暮らしに及ぼす影響について考えてきましたが、住まいについては今後、「温度のバリアフリー」という考え方がとても重要になってくると考えます。

一般的に「バリアフリー」というと、段差をなくしたり、手すりを設置したりすることで、高齢者や障がいのある方が住みやすい家をつくることを指します。

しかし、温度のバリアフリーとは、「家の中の温度差をなくし、どの部屋でも快適に過ごせる環境をつくること」を意味します。

・リビングと廊下の温度差がない家

・お風呂場やトイレが寒くない家

・部屋ごとの暖房を必要としない家

このような住宅であれば、ヒートショックのリスクを抑え、快適で健康的な暮らしが可能になります。

1月末に竣工した町田市の住宅は、まさに「温度のバリアフリー住宅」を実現したような住まいです。これまで大丸建設が手がけた住宅の中で最も断熱性能が高く、エアコン1台で家中の冷暖房を賄うことができます。