2026年01月21日(水)

第4回 今、稲城市に住むという選択

稲城市は東京の都心と違い、派手に名前が出る街ではありませんが、新築で住宅を建てる価格帯と、開発余地があるため、新規で住宅を取得する方の選択肢にあがりやすいように感じています。

稲城市は都心との距離感が絶妙で、通勤圏でありながら、駅を少し離れると住宅地は落ち着いていて、ほどよい利便性が魅力です。日常生活に必要なものはきちんと身近に揃い、必要以上に人が集中しない分、朝夕の時間帯もどこか穏やかです。

 

家づくりの視点で見ても、丘陵地ならではの高低差があり、風の通り方や日照条件など、土地ごとに個性があり、画一的な家ではなく「その場所に合わせた住まい」が求められます。

 

住む場所を選ぶということは、これからの時間の使い方を選ぶことでもあります。稲城という選択肢は、住宅ローンに追われすぎずに、ほどよく落ち着いた暮らしを思い描く方にとって、十分に検討する価値のある街だと、私は感じています。

2026年01月18日(日)

第3回 開発と自然のほどよいバランスが稲城市の魅力

私が生まれてからの50年を振り返るとき、同時に思い浮かぶのが、生まれ育った東京・多摩地域の風景です。開発によって大きく変わった部分と、今でも変わらない自然。特に多摩川は私にとって大切な遊び場であり、家族の思い出が詰まった場所です。

 

かつての稲城市は、今よりもずっと農地が身近にあり、畑や雑木林が生活のすぐそばにありました。その後、多摩ニュータウンをはじめとする開発が進み、道路が整備され、住宅地が増え、街としての利便性は大きく向上しました。都心へのアクセスも改善され、利便性も高まりました。

一方で、稲城は開発一辺倒にはなりませんでした。多摩丘陵の地形を活かした緑地や公園、

川沿いの風景など、自然が完全に失われることなく残されてきました。

この街の変化を間近で見てきたからこそ、私たちは「その場所に合った家」をつくる必要があると感じています。街の歴史を知り、変わらない価値を大切にしながら、これからの地域にふさわしい住まいを考える。

それが、この地域で長く家づくりを続けてきた工務店の役割だと思っています。

 

2026年01月15日(木)

第2回 50年、節目の年に。

昨年末、私自身が50歳の誕生日を迎えました。

160年以上続く会社の歴史に比べれば、まだまだ若輩者ですが、それでも「生まれてからの50年」を振り返ると、社会は本当に大きく変わったと感じます。

 

私が子どもの頃、日本はまだ高度経済成長の余韻を残していました。家は「早く、たくさん建てる」ことが求められる時代でした。

やがてバブル経済が訪れ、住宅にも「大きさ」や「見栄」が求められる時代がありました。そんな中でも私たち大丸建設は、派手さよりも本質的な住まいの価値を求め、自然素材を大切に、大工技術をその中心に据えて仕事を続けてきました。

 

人口構成は変わり、家族のかたちも多様になりました。共働き世帯が増え、子育てや介護を同時に考える必要も出てきました。さらに近年では、気候変動やエネルギー問題といった「暮らしの前提」そのものが揺らいでいます。

 

こうした50年の変化の中で、家づくりは「量」から「質」へ、「新しさ」から「持続性」へと軸足を移してきました。断熱性能、耐震性、素材の選び方、そして何より、長く安心して住み続けられるかどうかが問われる時代になったのだと思います。

社会が大きく変わった50年。だからこそ、これからの家づくりには、地に足のついた判断と、経験に裏打ちされた視点が必要です。

次の50年を見据えて、私はこれからも一棟一棟の家と向き合っていきたいと考えています。

 

2026年01月12日(月)

第1回 2026年、今年もよろしくお願いします。

年が明け、2026年が静かに始まりました。毎年お正月は、いつも心が引き締まります。今年もどんなふうに仕事に向かおうか、どのような出会いが待っているのか。心を新たに、仕事に向かい始めた年初です。

家とは、暮らしを守る器であると同時に、家族の未来を育む場所です。そのための住まいをつくるということは、お客様の人生に寄り添い、安心を支えることでもあります。今年は、これまで以上にこの責任を意識したいと思っています。

 

ここ数年、気候変動や物価変動といった外部環境の変化が、建築現場と暮らしのあり方そのものに大きな影響を与えています。たとえば2025年の夏は、日本全国で観測史上最高の暑さを記録し、建築現場での安全対策や断熱性能の重要性がさらに高まりました。

 

私たち大丸建設は、創業から160年にわたり、稲城・多摩の風土に寄り添う家づくりを続けてきました。木という素材の特性を読み解き、地域の気候・暮らし方までを踏まえて「住まい」をつくり続けてきた歴史があります。

木の家の本質を知り、自然素材の強みを活かし、暮らす人の安心と未来を守ること。

そして何より、お客様とともに歩む家づくりであること。これが私の仕事であり、大丸建設の使命です。

2025年12月29日(月)

木の表情(8)) 「木づかい」に長けた工務店として

年の瀬になり、日ごとに冷えが深まるなか、今年つくった家のことを思い返しています。どの現場でも、私たちは木と対話し、木を読み、木を生かすことに努めてきました。設計者の意図を汲みつつも、現場でどの木をどう使うのかは、工務店や大工の采配に任されます。誇りをもって木に向き合ってきたこと、これは年が変わっても不変の大丸建設の姿勢です。

 

木にはそれぞれ“顔”があります。年輪の詰まり、白身と赤身、木表と木裏、節の有無、樹種による特性。これらはすべて「この木がどんな木か」を語るサインであり、同時に「この木をどう使うか」を決める判断材料になります。

家をつくるというのは、単に木を並べることではありません。構造、安全、快適性、コスト、将来のメンテナンス……。それらを見据えて、「どの木を、どこに、どんな工程で使うか」を采配するのが工務店の責任です。

私たち大丸建設は、明治初期からの160年の歴史とともに、多くの木と向き合ってきました。紀州・山長商店をはじめとした全国の産地から直接取り寄せる杉。檜やヒバ、広葉樹を使うこともあります。

一本一本の木の声に耳を澄ませ、その木が一番生きる形で、住まいをつくる。それが、私たちの誇りであり、責務です。

木の表情を読み切る——それは単なる技術ではなく、木を敬い、木に応える姿勢です。
来る年も、この姿勢を変えることなく、一つひとつの家と、向き合ってまいります。

本年もお世話になりありがとうございました。良いお年をお迎えください。

2025年12月28日(日)

木の表情(7) 針葉樹と広葉樹を適材適所で使い分ける

木には大きく分けて「針葉樹」と「広葉樹」があります。住宅建築で使う場合、この分類がとても重要です。

針葉樹は生長が比較的早く、幹がまっすぐ伸びやすいため、構造材に適した木が多い傾向があります。杉や檜に代表される針葉樹は、軽く、しなやかで、加工性が良く、さらに断熱・調湿性にも優れています。構造材や壁・床・天井、造作など、多用途に使いやすいのが特徴です。

一方、広葉樹は生長がゆっくりで、木の繊維が詰まり、密度が高く、硬く重いのが特長です。例えば、ナラやケヤキなどは、その強度と重さ、耐摩耗性から、家具材や床板、高級な造作材として重宝されてきました。

このように、木の性質は“用途”によって異なります。構造や内装を担うなら針葉樹、日常の生活で触れる家具や床など摩耗性の高い箇所に使うならば広葉樹。そうした材適所の使い分けが、快適で長く住める家をつくるためには不可欠です。

もちろん、コストや入手性、メンテナンス性も考慮しなければなりません。広葉樹は良材であっても高価なことが多く、重いため扱いや施工が難しくなる場合もあります。だからこそ、“木の性質を知る”こと。そして“使い分けの判断”ができることが、工務店が持つべき力だと思います。

 

2025年12月27日(土)

木の表情(6) 日本の木造を支えてきた「杉」と「檜」

日本の木造住宅、そして数百年にわたる建築の歴史のなかで、職人たちに愛され、建築用材として多用されてきたのが「杉」と「檜」です。この二つの材には、「似て非なる特性」があります。

杉は、軽くて加工しやすく、調湿性や断熱性に優れる木です。木材としての比重が軽く、内部には無数の微細な空隙があり、その空気が熱を通しにくくすることで「冬は冷えにくく、夏は涼しい」という住み心地をつくります。また、杉は生長が早く、伐採後の供給量も安定しやすいため、住宅建材として入手しやすいという実利的なメリットもあります。

対する檜は、杉と比べると密度が高く、重くて硬いとされています。それでも杉と同じく針葉樹なので、広葉樹に比べれば入手しやすく、加工性にも優れています。古くから、寺社建築や重要な構造材に檜が多く使われてきたのは、この重さと耐久性、防腐・防虫性が評価されてきたからにほかなりません。

つまり、杉と檜は「どちらが優れているか」ではなく、用途や設計、価格のバランス、入手しやすさなどで、価値が変わります。たとえば、構造の要になる土台や柱には檜、室内の床や造作、壁材には杉――といったように、適材適所で使い分けていくのがよいでしょう。

2025年12月26日(金)

木の表情(5) 節は木の生きてきた証

木材には「節」があります。枝があった証として残るこの模様を、木の長所と捉えるか、それとも欠点と捉えるかは、使い方次第です。

節は、木が自然の中で枝を伸ばし、風雪や日照といった環境に耐えてきた証拠です。つまり、節を見れば、その木がどんな環境で生長したか――ある種の“履歴書”とも言える存在です。

しかし建材として節が多いと、かつては「木としての均質性に欠ける」「強度や加工性にばらつきが出る」として、敬遠されることが多くありました。

確かに、節の周囲は繊維が乱れがちで、材としての安定性が劣る場合があります。伝統的な構造材や規格材では、無節材を選ぶことで品質の均一性と安全性を担保してきた歴史があります。

それでも、現代の木造住宅では、材の等級管理や構造計算、乾燥・含水率の管理が進み、節を含んだ木材でも十分に安全かつ安定した建材として使えるようになりました。つまり、「節=ダメ」ではなく、「節あり材をどう使うか」が問われるようになったのです。

そして、節には“味わい”があります。木の個性や自然の営みを感じさせ、和の空間や古民家風の家にはとても似合います。節の存在を恐れず、むしろ「この木は、こんなところで育ったんだな」と想像を膨らませることができます。節が、木の家の個性と深みを生むのです。

構造材として重要な部分には無節や高等級材を使い、内装や仕上げには節あり材で表情をつける。そんな使い分けとバランスこそ、木の家づくりの奥深さであり、つくり手としての腕の見せどころです。

 

 

2025年12月25日(木)

木の表情(4) 柾目と板目、年輪の切り方で変わる木の表情

年輪の重なりは、木材の表情にも大きな影響を与えます。材木の「切り方」の違いによって、木目も大きく変わります。

丸太から板を切り出すとき、年輪に対して直角に切る「柾目(まさめ)」、あるいは丸太に沿って切る「板目(いため)」という切り方があります。これにより、同じ木でも木目の表情や性質に明確な違いが出ます。

柾目は、年輪が直線的にきれいに並ぶため、見た目が安定し、狂いや反りが起きにくくなります。収縮や膨張による木の動きが少なく、寸法安定性に優れています。古くから建具や造作、床柱など、狂いが致命的になりやすい部分に重宝されてきました。 その反面、丸太の中心近くからしか板が取れず量が限られるため、希少で価格も高くなりやすくなります。

一方で 板目は、年輪が波打ったり山形になったり、木らしい豊かな模様を見せてくれます。これは空間に温かみや自然の息吹をもたらす表情になります。リビングや天井、内装の羽目板、家具などに使われます。ただし、年輪の幅や密度のばらつきから、乾燥・湿気変化による木の動きが大きく、反りや割れなどのリスクは柾目より高くなります。

だからこそ、木の家づくりでは「用途」と「目的」に応じて木目を選ぶことがとても重要。

 

和室の落ち着きある空気感をつくるなら柾目。木の風合いや自然のぬくもりを感じたいリビングや天井なら板目。同じ一本の丸太からでも、切り方ひとつで家全体の印象や性能が変わってきます。まさに、木と木目を“読み切る”目が、家づくりの質を左右します。

 

 

2025年12月24日(水)

木の表情(3) 木には表と裏がある?年輪が刻む木の記憶

木の家をつくるというのは、木と対話することだ、と私たちは考えています。木には「表と裏」があるということをご存知でしたか?

木は育ちながら年輪を重ねます。幹の中心から外へ、年ごとに厚みを加えながら成長していきます。そのため、丸太の外側に近いほど“若い年輪”、中心に近いほど“古い年輪”が重なっています。この構造が、製材後の板に「木表(きおもて)」と「木裏(きうら)」という性質の違いをもたらします。

一般に、丸太の中心に近い側(木裏)は年輪が密に、繊維も詰まっていて、乾燥後の収縮が比較的安定するため、寸法変化が少なく狂いにくい傾向があります。一方、木表側は外周に近く、年輪が若く間隔が広めの年輪も混じることがあり、乾燥・湿気の変動に対して敏感で、反りや割れが出やすくなります。つまり、「木表・木裏」というのは、見た目の話ではなく、木が生きてきた時間の痕跡であり、材の“性格”そのものなのです。

この性格を理解せずに木材を使うと、たとえば床板や羽目板で「張ってから数年後に隙間ができた」「板が反って床鳴りがする」といった不具合につながります。だからこそ、私たち大工は「木表の向き」「木裏の向き」を見極め、どちらを表にするか、裏にするかを判断して板を張ります。

ただし、どちらが良い悪いではありません。大切なのは、どこに、どのように使うかです。構造材、下地、仕上げ、それぞれに応じて使い分けるからこそ、木の家は長持ちし、味わい深くなるのです。木の成長の履歴を読み取り、その木の性格を尊重して扱う——それが本当の「木づかい」だと、私は考えています。