木の表情(6) 日本の木造を支えてきた「杉」と「檜」

日本の木造住宅、そして数百年にわたる建築の歴史のなかで、職人たちに愛され、建築用材として多用されてきたのが「杉」と「檜」です。この二つの材には、「似て非なる特性」があります。

杉は、軽くて加工しやすく、調湿性や断熱性に優れる木です。木材としての比重が軽く、内部には無数の微細な空隙があり、その空気が熱を通しにくくすることで「冬は冷えにくく、夏は涼しい」という住み心地をつくります。また、杉は生長が早く、伐採後の供給量も安定しやすいため、住宅建材として入手しやすいという実利的なメリットもあります。

対する檜は、杉と比べると密度が高く、重くて硬いとされています。それでも杉と同じく針葉樹なので、広葉樹に比べれば入手しやすく、加工性にも優れています。古くから、寺社建築や重要な構造材に檜が多く使われてきたのは、この重さと耐久性、防腐・防虫性が評価されてきたからにほかなりません。

つまり、杉と檜は「どちらが優れているか」ではなく、用途や設計、価格のバランス、入手しやすさなどで、価値が変わります。たとえば、構造の要になる土台や柱には檜、室内の床や造作、壁材には杉――といったように、適材適所で使い分けていくのがよいでしょう。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です