6) ウッドショックを契機に、林業を持続可能に

2021年は北米に始まった住宅DIYブームにより、建材が一気に不足し、国産材の高騰を招くといった事態に陥りました。大丸建設では長年の産地との提携関係から、なんとか材を確保できたものの、価格上昇に対する社内負担も限界に達したため、お客様への価格転嫁をお願いする状況になりました。いまだに木材の供給不足、価格の高騰は続いていますが、私からするとこのウッドショックは、木材の価値を見直すいい機会になっているとも思えます。

1本の木が建材として使えるようになるには、50年以上の年月がかかります。その間、山の手入れをして、木が強く美しく育つように、山主さんたちは100年の計で山の管理をしていきます。そんなふうに育てられた木材を大丸建設では使っており、その価値を山に還元するためには、安く買い叩くような姿勢ではいけないと感じています。

ウッドショックを契機に、日本の林業が持続可能であるために、私たち工務店ができることを考え、お客様に伝えていきたいと思います。

5) 多様なコラボを実現したい

建築家とのコラボ住宅だけでなく、仲間の工務店とのコラボも力を入れていきたいことの一つです。30年もの間加盟している協同組合「匠の会」の仲間とは、今でも強い絆で結ばれ、工務店業界での勉強会、省エネや断熱など最新技術の研鑽でお互いに切磋琢磨しています。「チルチンびと『地域主義』工務店」の仲間も同様、自然素材を活かした家づくりをともに学べる仲間です。

2003年に「チルチンびと『地域主義』工務店」の設立時に一緒に関わった長野県のデフさんは、自然素材派の工務店としてその知名度は全国区で、現在は関東でも手広く建築を手がけています。昨年、デフさんと再会する機会があり、東京や神奈川の物件の施工をお手伝いすることになりそうです。自然素材住宅ではトップランナーのデフさん。たくさんのファンをつくる秘訣などを学びながら、かつて一緒に自然素材建築を現場として切り開いていった仲間として、私もコツコツと続けてきた現場でのノウハウを提供しながら、ともに高めあえる関係を築いていきたいと感じています。

4) 建築家コラボが増えた喜び

ここ1、2年で、建築家の設計、大丸建設での施工という理想的なコラボ物件が誕生しています。ことこと設計室の小林さんは、『チルチンびと』にも掲載される若手建築家で、これまでに新築物件を手がけ、現在、マンションリノベーションでご一緒しています。

松本直子建築設計事務所の松本直子さんは、『チルチンびと』でも大人気の建築家。いつか松本さん設計の家を手がけたいという憧れを抱いていて、2019年に開催した大丸建設とURA(チルチンびと地域主義建築家連合)とのコラボイベント「本物の木の家を建てたい人のための 住まいの相談会」のゲストとしてお招きしました。このイベントを通して松本さんとたくさんお話をして、お互いのことを知ることができました。2020年から立て続けに、松本さん設計の新築住宅を任されることになり、今でもいい関係が続いています。

URAの建築家、木下治仁さん、伊藤誠康さんとのお仕事の経験も、大丸建設にとっては宝です。

大丸建設では今後も、自社設計と、建築家とのコラボと両輪があることで、美しさと機能性を両立した、本物の自然素材の家づくりを進めていきます。

3) 企画・広報も現場とリモートで

大丸建設の広報は、ホームページとブログを軸に情報を発信し、SNSユーザー向けにはFacebookを、地域の方向けにはチラシや会社前の掲示板を活用しています。

5年ほど大丸建設で働いている坂本さんは、2年前にご家族の転勤で福岡に転居してからも、オンラインで毎月ミーティングをして、リモートで大丸建設の仕事を続けてくれています。坂本さんの転居後にパートとして入った川上さんは、現在、くらすクラスでのイベント準備や、字がきれいで絵が上手な特性を活かし、会社前の掲示板や黒板アート、大丸建設の手書き文字を担当してくれています。地の利を活かし、雑誌『チルチンびと』の地域への寄贈や、地域施設へのチラシ配布などもお願いしています。

二人の企画・広報活動は、18年もの間大丸建設の広報サポートをお願いしている北原さんに月1回のミーティングに入ってもらい、アドバイスを受けながら進めています。

東京と福岡。距離があっても一緒に仕事ができる――10年前には考えられなかった働き方が、今、大丸建設では実現できています。

1) 2022年、新年の抱負

 あけましておめでとうございます。本年もどうぞよろしくお願い申し上げます。

20214月に、私、安田佳正が株式会社大丸建設の代表取締役社長に就任して、初めてのお正月を迎えます。6代目を受け継ぐにあたり、専務取締役として会社の実務一切を取り仕切るなかで、ここ数年かけて社長就任に向けて準備をしてきましたが、実際に社長になってみると、会社としても大きな変化を遂げていることを実感しています。

昨年5月ごろから、新規のお客様の問い合わせが毎月コンスタントに来るようになり、設計事務所との仕事も増えてきました。大丸建設は9月が期首で、すでに今期は、私が入社以来の最高の成績でお正月を迎えられる状態になっています。これまでの数年間で準備してきた、設計事務所とのコラボイベント、イベント出店等を通しての地域との関係構築、地道な広報がようやく身を結んでいることを感じます。

今年はいい波にのれてきています。勝って兜の緒を締めよ、ではありませんが、こういう時こそますます地道に、ていねいに、仕事を進めていきたいと思います。

(8) 「適正」な見積もりとは何か

マンションリノベーションといっても、その価格はピンキリです。一般的な不動産価格で言うと、最低限のリフォームとして内装を安価な建材できれいにして、シンプルなシステムキッチン、洗面台、ユニットバス、トイレの設備を更新して、再販するようなケースがほとんどです。

一方で、工務店と一からつくるマンションリノベーションは、外壁や構造、窓、主要配管部はそのままにしなければなりませんが、逆に言えばそれ以外はすべて自分の好きな形でデザインすることができます。スイッチ、照明、建具など、一つひとつこだわり抜いて選ぶことで、全体が調和した心地よい住まいができます。言うまでもなく、スイッチプレートも市販の最安価なものよりも、おしゃれにデザインされたものは高価になります。しかし、それこそが「価値」「ブランド」なので、一概に価格だけでは比較できるものではありません。

見積もりを細かくみていくと、一つひとつの材料があり、工事の手間・人工があり、その積み重ねが見積もりに反映されていきます。

ただ値段が高い、安いだけではない、お客様が目指したい「価値」そのものが、適正な見積もりといえます。

 

[写真:大丸建設が手掛けたマンションのリノベーション]

↓ Before

↓ After

 

(7) フルリノベーションは若い世代にいい選択

大丸建設がある東京都は、23区外であっても土地の値段が非常に高く、駅に近い立地で新築住宅を建てるのには、かなりのコストがかかります。若い世帯ほどお金には余裕がない一方、電車を使って通勤をするため、駅から近い利便性の高い土地が必要になる場合があります。駅近の新築住宅は現実的でない場合は、マンションも一つの選択肢になります。

ライフスタイルにこだわりのある人も増えてきており、自分らしいセンスや趣味を反映させた住まいづくりの選択肢として、マンションリノベーションはとても有効だと思います。マンションであれば、駅に近い築古の物件をあえて選び、フルリノベーションで自分らしい住まいをつくることができます。リフォーム済み物件として、新建材とユニットバス、システムキッチンでピカピカな内装の物件も出回っていますが、せっかくだから家づくりの楽しみをマンションでも味わえるといいですよね。キッチンやトイレ、水回り、照明など、思い通りの設計で、自分たちらしい住まいづくりができます。

 

[写真:大丸建設が手掛けたマンションのリノベーション]

*ブログ(1)にリノベーションのBefore/Afterを掲載しているので、ご覧くださいませ。

(6) 配管・給湯・電気工事には気を使う

マンションのリノベーションで最も気を使うのは、水回りの工事です。水回りとは、キッチン、トイレ、風呂、洗面所、洗濯機のパンのことで、特に注意しなければいけないのは「排水」です。

マンションで最も恐いトラブルは、水漏れ事故です。排水管の結節部がゆるんでいたり、コンクリートやモルタルのひび割れから階下に水が漏れた場合、階下の住宅の家財の補償や、改修工事が必要になることもあります。その場合は上階の責任となるので、施工工務店としては、細心の注意を払って施工する部分です。

電気工事については、今は漏電等のトラブルはほとんどないですが、一度配線してしまうと、その後分岐したりコンセントやスイッチの増設には、壁に穴を開けなければいけないので、設計時点でしっかりと配線計画をしていく必要があります。お客様がどの部屋で、どういうライフスタイルで過ごすのか、具体的な生活のイメージまでして、配線図を設計図に落とし込んでいきます。

 

(5) マンションの性能向上には断熱対策

マンションは基本的に構造は丈夫という前提でつくられています(かつて耐震偽装事件もありましたが……)。また、リノベーションによって耐震性能をアップすることは難しいので、できることといえば家具の転倒防止や、家具を建具にしたり、ドアのラッチをしっかりしたものにすることくらいです。

断熱性能も基本的には躯体の性能に頼ることが多いのですが、実は、壁や天井に断熱材を付加する、性能のよい断熱材に変える、床暖房にするなどして、暑さ寒さを軽減することができます。

最も有効なのは窓のリフォームです。断熱性の高い窓(Low-Eガラスや真空断熱ガラスなど)に変えるだけで、窓周辺からの熱貫入や放出を大幅に軽減することができます。エネルギーコストが低減できることよりも、寒さ暑さの体感が大きく変わってくるので、価格以上のメリットを感じられるはずです。

ただし、マンションの窓をリフォームできるかどうかは、管理組合によって異なります。多くの場合は、窓は共有部とされているからです。その際は内窓という選択肢があります。内側に窓を設置するだけなので、共有部のルールに抵触せず、安価に効果が高い断熱工事となります。

 

[参照:会社HPブログ(全8回シリーズ)より]

(4) 本体工事は新築工事と共通

一からつくり直すマンションリノベーションの場合は、新築の戸建て住宅同様、家の間仕切りや電気配線などもお客様の要望に合わせて設計し直します。壁式構造のマンションの場合は、どうしても抜けない壁や梁がありますが、柱がないので家の中のでっこみ引っ込みはありません。ラーメン構造のマンションは、柱と床で構造を支えるので、抜けない壁というのは外周部以外には少なく、間仕切りの可変性が高いのが特徴です。しかし、部屋の角に柱の存在感があり、凹凸によって家具の置き場に困ることもあります。近年、柱をバルコニー側に出すアウトフレームの場合は、室内空間の凹凸がなく、窓も高く広々ととることができます。

本体工事は、基礎工事がないのは戸建て住宅とは異なる点ですが、床を張るときには根太を置き、下地を敷いて、床を張り……と、基本的には新築工事と似たプロセスをたどります。建具やキッチンをオリジナルにすることで、その家の個性をつくることができますね。他にも、本棚やカウンターなどの造作家具を取り付けることもできます。また、一般的にマンションの壁はクロスであることがほとんどですが、大丸建設では左官工事もお勧めしています。塗壁は表情が豊かで、気持ちよく快適に過ごすことができます。

 

[図:「ライフルホームズのHPより]